月の歌会



連歌の花道

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    帰りたくないのと渋谷で駄々こねる君をこのまま真空パック

    三次則秋さん&彩華さん

    真空パックというと、食べ物を腐らせない(空気に触れさせない)ようにパックすることですね。「今」を閉じ込めるという風に捉えることもでき、歌題を表現する際の着眼点が良いです。
    場面の状況としては、
    自分は「君を帰さない」って気分ではない。だけど「君」は駄々をこねる。一度こうなると聞かない。真空パックにして大人しくさせて家に帰してやる。
    というものか、または、
    その姿がかわいいから駄々をこねてる状態のまま閉じ込めてやる。いつでも見られるように。
    のどちらかだと思いました。
    複数の読み方ができる短歌は面白いと思います。

    始めかわいくてしかたない君への気持ちと思いました。でも、よく考えると怖いですね。とても可愛くて少し迷惑、大切にしたいけどパックにしてしまうのは人間的ではない。でも合理的。歪んだ愛情がかるく読まれていて、問題提起のような歌だと感じました。
    気球

    きっとかわいい彼女なんだろうなあ(「君」が女性と読みました)。真空パックにして持って帰りたいという主体(男性?)もかわいい。真空パックにしたいのは「君」自体だけではなくて、別れを惜しんでいちゃいちゃしているこの時間かもしれない。いずれにせよ、バカップルの歌かもしれませんが、とてもかわいらしいです。お題の「今」を真空パックで表現されているのも好きです。
    亜梨

    今という題を使わずに真空パックに閉じ込める視点はきらりと光ります。一方で、全体的に言葉足らずに感じられるのと、渋谷はいかにも過ぎる感じです。

    太田青磁

    私は最近北海道から東京に初めて行きまして、渋谷を見ましたが帰りたくないというより帰りたかったです。そんなことより帰りたくないということは家出少女か、デートしているのか、それとも親とケンカしたのか色々理由がありますよね。私はデートしている男女だと思いました。
    渋谷は人通りが多いので、駄々こねていたら嫌でも目につきます。それをなるべく目につかないように、君が駄々こねるのを見ていたい。だから真空パックして閉じ込めるというのがとてもいいなと思いました。
    でも真空パックに君を閉じ込めると息はできません。男の人は独占欲が強そうですね。真空パックに閉じ込めるよりも、女の子は野放しにしたほうが生き生きしててかわいいですよ。
    カオリナマンダイ

    歌をぱっと視界に入れて一回読んだとき、全体的に可愛らしい歌だと思ったのです……が。切なくて少しだけ暗さも孕んだ歌なのかもしれない、なんて思いも出てきました。
    「真空パック」→息の出来ない状況→口付けをしたり息が出来ないほど抱きしめている、とか。今を永遠にするためなら、そのままいのちを消してしまってもいいと思い詰めている恋人同士が、わざと明るく可愛らしく言い合いしているのかな。渋谷には駆け落ちしに来ているのかも。雑踏の中でいくら駄々をこねても、行きかう人の足は止まらない。
    「渋谷」と「真空パック」にしか居場所がないふたりなのかもしれません。だとすると寂しくて苦しい歌だと思いました。
    不可思転

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