一読して下句に惹かれました。ふたりにとっては今日が永遠にも思えるのに、なぜ過去になってしまうのか。まっすぐな問いが胸に迫ります。
すっぽり覆われてしまいそうな月は満月かな、でも「たおやかな」というとほっそりした三日月のような気もします。個人的には、覆われてしまいそうなくらいに大きく見える満月、と読むと楽しいので、「たおやかな」は別の表現があるかも。
大葉れい
「なぜなるのです」と問いかけているのに、答えが返ってくることを望んでいないような、ただひたすら切なくて問うことしかできないような印象。そのやるせなさは「今日」を大切に思うからこそ、かけがえのない「ふたり」の空間をくれたからこそなのだろうなと想像しました。どんな「ふたり」なのかは分からない、けれどふたりがどんな関係であっても月は何も責めず優しくどんな事情であっても覆ってくれる。今日が昨日へ変わることを覚悟しているふたりなのだろうか、なんとなくそんなことまで考えました。
不可思転
たおやかな月は三日月をイメージしますが、とても調べが美しく惹かれました。ふたりにとっては、永遠に今日であって欲しいのでしょうね。ふたりの切ない関係性をも連想させる深い作品だと思いました。
ちゃむ
わたしも下の句がいいなと思います。今日が過去にならなければいいという気持ちが、答えのいらない疑問として表現されているところが好きです。余談ですが笑っていいともグランドフィナーレでの香取くんのスピーチを思い出しました。
たおやかな月というのはわたしも三日月をイメージしました。月の満ち欠け、明日はまた今日と違う月。それが下の句で表されている気持ちとマッチしていていいなと思います。
野崎アン
上の句の情景がきれいな印象です。「今日は昨日になる」というのは一日があっという間に過ぎてしまうということなのでしょうか。「なぜなるのです」と歌に問いかけられて少し戸惑いを感じてしまいました。
太田青磁
今日が過ぎてほしくない、あるいは今日を忘れたくないという切なる願いと、それを言い切らず問いかけの形にしている奥ゆかしさが上の句の「たおやかな」と響きあうようで、綺麗で上品なお歌だなと思いました。月は、やわらかな月の光そのものなのか、或いは月の架かった夜空そのもの、転じて夜そのものなのかなとも。「覆う」という表現に、なんとなくふたりが裸であることまで想起してしまったのですが、それはさすがに考えすぎでしょうか…
蒼井灯
私もエロスを感じました。
「たおやかな月」は三日月であり、女性のほっそりとした身体であるような印象です。下句は不倫を表現している気もして、美しさと切なさを感じました。
遊糸
「たおやか」という言葉からも想起される、上の句の上品さ、余裕のある雰囲気、永遠性のようなところから、下の句の切羽詰まったところに結ばれてゆくところがとても素敵だと思いました。「のに」という逆説的な結び方が面白いと思います。本当は月が出ているわけですから、夜が来て、朝が来ることを知っていて、今日が昨日になってしまうことも、主体は分かっているんですよね。それでもあえて問わざるを得ないところに切なさを感じます。
龍翔