連歌の花道『新月ノ歌会』

春分の歌会

新月ノ歌会工事中

夢で会う約束がある 傘立ての底にうまれた夜のみずうみ 久藤さえ × 西藤智

二人一組で短歌一首を詠む歌会R-2ぐらんぷり 『R-2ぐらんぷり』2016-春

『  』

概要
連歌の花道で最高の二人を決めるグランプリです
開催
平成28年3月20日(日)~ 25日(金)
資格
二人一組でエントリーができる方ならどなたでも
募集
二人で詠んだ短歌一首を提出してください
会場
http://sing-for.month.jp/open.php?no=86

月About


新月ノ歌会 春秋恒例"二人一組で短歌一首を詠む歌会"です

連歌の枠を超えて二人一組が話し合って短歌一首を詠むことで

どんな化学変化が生まれるのか新しい発見をお楽しみください

※上句下句を分担する連歌に限らず相談共作した短歌で参加できます

月Schedule


3月1日(火) 5日(土)
AM00:00 
20日(日)
PM22:00 
25日(金)
PM22:00 

月Rule

出詠は二人一組につき一首です
投稿は代表の方が行ってください
選歌は桃特選(2pt)黄並選(1pt)緑次選(0pt)の投票で行います
持ち票[特×1票][並×(参加コンビ数÷6)票][次×∞票]です
選評は一人一首以上に書いてください
どの詠草に書いても構いません
コンビの両名とも「選歌/選評」に参加ください
欠席したコンビが首席の場合は優勝無効になります
二首以上が同点首席の場合は以下の方式で一席を決定します
*特選票を多く得ていた方の勝ち
*それも同点なら次選票を多く得ていた方の勝ち

月History


花 2020-春

夢で会う約束がある 傘立ての底にうまれた夜のみずうみ

(有)西久商会 久藤さえ × 西藤智
花 2019-秋

「嫌い」から始めればいいこの花は「すき」で終わりになるために散る

十三夜 笠原楓奏(ふーか) × 水月雪乃
花 2019-春

たどりついた場所で誰かを好きになるいまは静かに回る地球儀

シジンズ 中本速 × とうてつ
花 2018-秋

こ、き、くる、くる、くれ、こいこい初恋の青さもぜんぶかき消せよ風

全米が山賊 笠原楓奏(ふーか) × 小泉夜雨
花 2018-春

レシートに揃った7が連れてくる君をふっきれそうな予感を

銀の海 天田銀河 × 淡海わこ
花 2017-秋

変身後のレッドがふんわり優しくて俺も明日からソフランにする

子連れレオパデス ひの夕雅 × 淡海わこ
花 2017-春

喉笛にやまなみはあり声変はり迎へしきみが買ひ替へる靴

大先輩とかわいい後輩 ナタカ × 塾カレー
花 2016-秋

かなしみを抱えるように雪のなか眠りつづける越冬キャベツ

空に浮かぶ子供 雀來豆 ×  月骨
花 2016-春

このところ笑顔ばかりを思い出すきみを許せる遠さに暮らす

おるとな 村田馨 × 砺波湊
花 2015-秋

かなしみを知る新聞が包み込む花瓶であった硝子の破片

栓抜きデモクラシー 死んでる死刑囚 × 多田なの
花 2015-春

今日のため生きてきたとか言ってみたいホットケーキがうまく焼けた日

みかん猫 焼きみかん × 黒猫。
花 2014-秋

後戻りできないことがしたいねと校庭に脱ぎ捨てた自転車

龍二~パンケーキ哀歌(エレジー)~ 龍翔 × 泳二
花 2014-春

片足を抱いて泣いてるフラミンゴあなたの月に飛び立てなくて

アメ白姫 糸憂 × 月丘ナイル
花 2013-秋

「おかえり」と 言いたい人を探してる あたしを画廊に売ったあの人

都々逸保育園さくら組 ゆかり × 小早川

詠草リスト

[今回の投票式目]
特選(2点)×1票
並選(1点)×5票
次選(0点)×∞票

冠このところ笑顔ばかりを思い出すきみを許せる遠さに暮らす

出詠名 おるとな村田馨 × 砺波湊
首席 / 46点 ×8 ×30 ×9

互選名 井田 直多田なの桜枝 巧ルイドリツコ御糸さち管理人那須ジョン知己凛遠井海外川菊絵ルオなかばまち子mihokoシュンイチみちくさ荻森美帆りつ木原ねこ404notF0816秋山生糸淡海わこ小川けいと和葉月骨中牧正太萩野聡ちゃむフジタレイえんどうけいこ三田たたみ終栗夢不可思転@aokikenichiペパーミントP小宮子々太田青磁一葉奈月遥坂本 樹泳二稲垣三鷹ゆきやなぎなぎ子のんぼう静ジャックたた悠佳里菊池優花

選評名 離れているときほどいいところばかりを思い出す人、いますよね。確かに好きなのに、一緒にいるときは解散したら何をしようかとそんなことばかり考えてしまうような。恋人に向いていて、家族になるには向いていなかった人。
せいや
★0
「許せる遠さ」って素敵です。
木原ねこ
★0
「許せる遠さ」という言葉が効いていますね。いつも一緒にいると、つい諍いばかりになってしまうけれど、それでもとても大切な人。笑顔ばかりを思い出すということは、それだけ主体と笑顔で過ごした時間が多いということでしょうし。言い回しが柔らかく美しい歌です。
ルオ
★0
近くにいすぎるといいところが見えなくなってしまいますよね。次に会うときは笑顔で会えますように。
なかばまち子
★0
精神的に遠い場所なのでしょうか、それとも物理的に遠い場所なのでしょうか。どちらにしても切ないです。切なさがこのお歌の魅力と思いました。
404notF0816
★0
ここに行き着くまでの長い時間を思いました。距離も時間も遠いことが際立っていますね。
外川菊絵
★0
もう別れてしまった男女なのだと読みました。今なら笑って許せるのに、気が付いたときには(距離的にも精神的にも)遠い存在になってしまった・・・ということが伝わってきます。とても切ない。
知己凛
★0
「許せる遠さ」とても深い。10年くらいの時間がぎゅっと濃縮されたかのようなこの表現は秀逸だと思います。大人の歌だと感じました。
思い出したくないのに傷つけ合ったことばかり思い出していた長い長い歳月を経て、思い出さない日々を過ごしたのちの「笑顔」。でもそうなるためには自分の心のありように散々苦しんで、ようやく辿りついた。胸を突かれました。
ルイドリツコ
★0
ちくしょう軽い感じでキャッチーな歌詠みやがって←口は悪いが褒めてる
@aokikenichi
★0
「このところ」と始まるのが口当たりがいいというか。「きみを許せる遠さ」の部分もさらっとしているようで、許せるのところで考えさせられます。
恋人同士でも、友人でも、血の繋がった家族でも、こういう関係はありますね。「このところ」笑顔を思い出すということは、これまではそれ以外の表情を思い出していたんでしょうか。過去、許せないほどの何があったのでしょうか。色々と想像する中で、主体が「きみを許せる」という目で遠くから「きみ」を見つめてたたずんでいる姿が強烈に浮かびます。
なんとなく、主体はもう一度距離を縮めたがっていてそのタイミングを考えているようにも受け取れたのですが、それでもこの状態が一番いいとして主体と「きみ」はこれからも「暮らす」んだな、と思いました。
不可思転
★0
すごく共感できる歌です。いつも側にいるとお互いの短所ばかりが目について文句を言いたくなってしまうのに、離れると素敵なところ、大好きなところばかりを思い出してしまう。「許せる遠さ」というのは一読してわかりやすいけれどなかなか出てこない表現で、上手だなと思いました。 
えんどうけいこ
★0
この一首を拝読し、映画を見終えたような感覚になりました。読者に自分の想い出や経験に引き寄せたストーリーを想像させるとても巧みで素敵な作品だと思います。このような歌が詠めたらと憧れます。
ちゃむ
★0
人の心の温かさを感じさせてくれる歌です。もともとは好きな相手だからこそ、許せないことも多々あり、距離ができてしまった……それでも嫌な思い出は自然と心から抜け落ちていくものです。相手も同じように思っていてくれるなら、自然と縁が戻るかもしれませんね。
三田たたみ
★0
三句のところで心持ち切れて、下句へ繋がっていく、この上句と下句の関係が絶妙です。それぞれを二人で分担したのなら、奇跡のようにハマったと思います。一票を。
ペパーミントP
★0
ちょうどよい距離感を「近さ」ではなく「遠さ」で切り取っているのがいいなと感じます。もっと近くに居たい、いつでも会いたい、ではなくて、「笑顔ばかりを思い出す」距離はあるのだろうと思いました。
太田青磁
★0
日常でふと笑顔を思い出すくらいだから、長くいっしょにいた大切な人だったんだろう。許すというのもひとつの自分の区切りで、穏やかで素敵な歌だと思います。
ゆきやなぎなぎ子
★0

離れゆく船をながめて疼きだすマーライオンの魚の部分

出詠名 知己菊外川菊絵 × 知己凛
2 / 35 ×8 ×19 ×11

互選名 絹更ミハル桜枝 巧ルイドリツコ御糸さち管理人那須ジョン遠井海雀來豆矢波多恵サリーBたかはしりおこなかばまち子こりけケリ子まうmihoko村田馨木原ねこ砺波 湊ナイス害秋山生糸淡海わこ小川けいと和葉中牧正太ちゃむ薄荷。三田たたみきい不可思転@aokikenichi小宮子々太田青磁小早川坂本 樹泳二稲垣三鷹ゆきやなぎなぎ子悠佳里

選評名 シンガポールの守り神として、陸から海を見ているマーライオン。下半身が魚なんだから確かに泳ぎたいかも。着眼点が個性的で面白いのと、「疼きだす」と「部分」のセットが生々しくていいです。
絹更ミハル
★0
船が遠く離れてゆくのか、遠い場所としてのシンガポールなのか、読む人によっては題との関連が希薄に感じられるのでは?と思いましたが、上の句と下の句の距離感と、それを「疼きだす」という語でつないでいるのがいいなと思いました。
木原ねこ
★0
かつてはきっと海にいた魚の部分が遠い昔の記憶を呼び起こされている様が伝わってきました。すごく上手くて面白い歌だなと思います。
なかばまち子
★0
その昔、マーライオンはあんなにめだってなくて、世界三大ガッカリのひとつと言われていました。今はすっかりシンガポールのシンボルですね。マーライオンの魚の部分は下半身。海に帰りたくてうずくのでしょうか。面白い見たてだと思います。
村田馨
★0
一読してどうしようもなく惹かれました。マーライオンの視線の先に船が見えるのかどうか知らないのですが、そんなことは関係ないくらい、情景が目の前に浮かびます。なんといってもアイデアが良いのですが、それを生かした美しい言葉の選択で、文句なしの素敵なお歌だと思います。テーマもしっかり感じとれました。
秋山生糸
★0
「の部分」って類歌がありそうですが美しい作品と思います。
@aokikenichi
★0
お茶目で、懐かしくなるうたですね。着眼点が好きです。
上半身が困惑しているのではないかと心配になりました。製造されて取り付けられたマーライオンは、生まれて一度も海を知らないはずですが、それでも「離れゆく船」を見ることによって「魚の部分」が泳ぎたくなるんですね。遠くに行きたいのでしょうか。とすると上半身と下半身の考えにも距離があり、船の旅路も遠いものでしょうし、題が入っていないようでいて入っているので面白いです。
不可思転
★0
かわいくて面白い、不思議な歌ですね。マーライオンの魚の部分がうずうずしているのを、ライオンの頭の部分はどんな風に思っているんだろうと、ちょっと想像して笑ってしまいました。
三田たたみ
★0
追加で評を書かせて頂きます。失礼します。
ふとふってきたのですが、うたの中の「マーライオン」をシンガポールのシンボルの物体としてとらえないで、人間の比喩として受け止めてみました。生き物は太古、海にいたものですし、人間は胎内で魚や小鳥のような姿を経てからヒトとして生まれます。海に還りたい、という、漠然とした人類の願いが「マーライオンの魚の部分」に託されているのかも。
不可思転
★0
「疼きだす」が航海の安全を願うマーライオンの像に寄せた思いを代弁するかのようで面白いと感じました。マーライオンの下半身は魚だったのですね。
太田青磁
★0
何よりまずマーライオンの意外性、並んだ詠草の中でも目を引きます。選を取る作戦としても上手いと思うし、それが飛び道具で終わらずにしっかりと魅力をそなえて整えられている。現地で実物を見たことのない自分でも、その姿形が頭に浮かんで「ふふ」となる面白味がある。難をあげれば、やはり題の掛かり方でしょうか。個人的には好きな一首なのでマイナスに見ませんでしたが、題詠として補完するには、動かすとしたら初句に『遠』を詠み込む形かなあ。それでも無理にはさわれないくらい完成している一首と思いました。
管理人
★0
実物を見たことがないマーライオンでもその哀愁が伝わります。評の必要がないいい歌。
泳二
★0
マーライオンって確かに魚ですね!でもネコは泳げなそうだから、ライオンの部分で溺れそう。笑 本当はどこか行きたいのに、行けないマーライオン、いつか自由に海を泳ぎ回れるといいな、と思います。
ゆきやなぎなぎ子
★0
「マーラインの魚の部分」は体のほぼ半分を占めているように見えますが、
「疼く」「部分」というのはそんな広範囲に当てはまる語なのかが気になります。
しかし、それを差し引いてもリズムやイメージの広がりなど、魅力的な歌です。
ポルトガル、英国という海の向こうからやってきた国の領土となっていたこと
(シンガポール共和国になってからはまだ50年そこそこ)も
無関係ではないのかな、と深読みかもしれませんが考えてしまいました。
砺波 湊
★0

水底に沈む自転車永遠に走りつづける夢を見てゐる 

出詠名 小川塾塾カレー × 小川けいと
3 / 34 ×4 ×26 ×15

互選名 井田 直多田なの絹更ミハル桜枝 巧ルイドリツコ御糸さち那須ジョン知己凛一条遊歩村田一広雀來豆矢波多恵なかばまち子こりけケリ子まうみちくさ荻森美帆村田馨りつ秋子七子404notF0816砺波 湊inbox淡海わこ和葉月骨中牧正太月島 かなちゃむフジタレイ薄荷。えんどうけいこ三田たたみきいオリー長月優不可思転ペパーミントP坂本 樹泳二宮木水葉稲垣三鷹静ジャックたた菊池優花

選評名 乗り捨てられたのか、事故で落ちてしまったのか…寂しい光景ですが、走り続ける夢を見ているのならときどき車輪が回ったりするんじゃないかな、などとファンシーな想像をしてしまいます。
御糸さち
★0
切ない…。捨てられてしまったのか、もしかしたら災害か何かで持ち主と別れなければならなかったのか。
なかばまち子
★0
絵本のようなファンシーな絵になりそうな一首だなと思いました。永遠に続く夢の中にいられるのなら意外と幸せなのかもしれませんね。
淡海わこ
★0
走り続ける夢を見ていられるなら、水底に沈んでいても楽しいかなと、自転車のいまある情景の寂しさを楽しさに変えているように思いました。
最後に「ゐる」と旧かなづかいを使われているのが他の部分とのバランスとしていいのかどうか・・・そこの評価は詳しい方にお任せします。
知己凛
★0
なぜ自転車なのでしょうか。自分の足で走るのとの違いは、と気になってしまいました。自分の感情の比喩としての自転車ではなく、沈んでいる自転車を見て、とのことでしょうか。
@aokikenichi
★0
川や海でも捨てられた自転車が引き上げられるニュースを見ます。走るために作られた物が走ることができなくなる姿は哀れです。最後の旧字「ゐ」に違和感があり、その姿に自身の姿を重ねつつも突き放すような印象で良い歌だと思いました。
和葉
★0
自転車は、人間をすいすい運んでくれる頼れる存在ですが、つまり誰かに動かしてもらわなければ移動できない物体でしかないですから、こうして水に沈んでしまったらなすすべがないです。かつて誰か持ち主がいて、一緒に楽しく過ごしたのかもしれません。故意に沈められ捨てられてしまったのか、事故なのかはわかりませんが、あまり大きなものを打ち捨てるというのは環境破壊ですし寂しい行為です。それでもずっと夢を見ている。
旧かなの「ゐ」はどうしてこうしたのかと考えていたのですが、そういえばこの字はどことなく自転車の姿を彷彿とさせる字ですね。
不可思転
★0
口語旧仮名の歌として表記に不自然さは感じませんでした。水底の自転車の車輪が流れる水によって回り続けている様子を想像しました。動詞が多くなりすぎるので「沈む」はなくてもよかったように思いました。見えないものを思い描いた歌でありながら描写が具体的でリアルなところがいいですね。悲哀をかもす擬人も効果的で好きです。
中牧正太
★0
役割を終えてしまったことに気付かないまま、走り続けている自転車の想いが切ないです。だれかが引き上げてやったら、自転車くんの夢は覚めてしまうのか……それくらいなら、このまま放置してあげた方がいいのかもしれません。
三田たたみ
★0
自転車には誰かが乗っているのでしょうか。自転車だけが走り続けているのだとすると、シュールな夢だなと思いました。題に対して、「永遠」と「夢」は少しつき過ぎな感じです。
太田青磁
★0
水の中で息ができない(もちろん自転車は息をしませんが)状態というのは身体感覚として「遠」がダイレクトに伝わってきます。
稲垣三鷹
★0
自転車を漕ぎながら、沈み続ける夢って、幻想的だけど夢でよかったな、って怖さもあると思います。夢には深層心理があらわれるっていうから、すごく孤独でなにかに囚われてしまって抜け出せないように感じてしまっている、悲しい人なのかなと思いました。
ゆきやなぎなぎ子
★0

あの夏におぼれたはずの海なのに果ての果てまで遠浅なんだ

出詠名 一蓮☆托生不可思転 × 小宮子々
4 / 30 ×4 ×22 ×10

互選名 絹更ミハル桜枝 巧アキヒニルイドリツコ御糸さち管理人那須ジョン一条遊歩村田一広雀來豆つんたかはしりおこなかばまち子シュンイチみちくさ荻森美帆秋子七子404notF0816淡海わこ和葉月骨中牧正太萩野聡ちゃむフジタレイ薄荷。えんどうけいこきいオリー終栗夢ペパーミントP太田青磁奈月遥稲垣三鷹ゆきやなぎなぎ子悠佳里

選評名 溺れて亡くなった方の亡霊でしょうか?亡くなった事実を消されたようで悲しんでいるのか?状況がつかめませんでした。短歌で「あの(日、夏、とき)」という表現を使いたくなったら今一度考えなおしたほうがよいと何方かの本で読んだことがあります(曖昧すんません)。そこを突き進めるとよりよい歌になるのではないかと思います。
@aokikenichi
★0
全体にあまり意味をこめない、でもイメージの世界が海のように際限なくふくらんでいく作品なので、僕は好感が持てました。声に出したときの韻律のやわらかさも魅力です。
シュンイチ
★0
子供の頃は溺れるほど深く感じていた海。大人になった時、その海が本当はどこまでも浅かったことに気が付いた。思い出を事実で上書きすること、安直に言えば大人になる寂しさを感じました。
御糸さち
★0
子供の頃におぼれた海なのかなと思いました。あんなに深いと思ったのに、とかあんなに広いと思ったのに、とかそういう経験はきっと誰にもありますよね。共感しました。
そしてこんなに浅かったのか、と海のスケールを小さく詠んでいるのに、果ての果てという言葉でまたスケールの大きな景色を表現しているなと思いました。
淡海わこ
★0
皆さんが書かれているように、子どもの頃、あんなに深かいと感じたのに大人になってから行ってみたらまるで浅かった。という歌と素直に読めますが、「果ての果てまで遠浅なんだ」がとても魅力的で、素直な読みにはちょっと大げさ過ぎる気がして、好きで好きでたまらなかった人、どっぷりとはまった恋をしていた人に数年後会ったら、「どこがよかったんだろう?こんなに浅はか(失礼)なひとだった?」とがっかりしたんじゃなかろうかと。
そう読むと果ての果てまでが私にはしっくりきます。
ルイドリツコ
★0
果ての果てまでというリフレインが面白いです。「あの夏」は幼かったころの記憶のようにも感じます。「海なのに」は少し強く主観を感じますが「遠浅なんだ」と着地しているので、心象風景がうまく描かれているように感じました。
太田青磁
★0
遠浅の海でおぼれるはずはないから、思い出の海とはちがう海に辿り着いてしまったのか、記憶がちがうのか。もう溺れられるような年でもないんだろうな、と思います。大人になってしまった悲しさみたいなものがきれいに詠まれていて良いなと思いました。
ゆきやなぎなぎ子
★0
恋に溺れたってことなのかなと感じました。
あの夏、この場所でおぼれた恋は、深まることなく消えてしまった。そんな切なさ、もの悲しさを感じました。
リズムが良く、好感が持てます。
悠佳里
★0

ぼくにだけそっとおしえて遠視って空がとおくに見えるんだろう

出詠名 春夏秋冬シュンイチ × 秋子七子
5 / 30 ×4 ×22 ×8

互選名 井田 直多田なの桜枝 巧管理人一条遊歩村田一広雀來豆外川菊絵mihoko荻森美帆りつ木原ねこ404notF0816砺波 湊inbox死んでる死刑囚秋山生糸淡海わこ和葉萩野聡ナタカなべとびすこちゃむえんどうけいこきい終栗夢塾カレー太田青磁小早川一葉坂本 樹ゆきやなぎなぎ子静ジャック悠佳里

選評名 前半と後半が詩的なだけに「遠視」が奇異に見えました。絶対違いますし、もしそうだとしてもあまり広がなないかと。もっと心の底の感情みたいなものと「空がとおく」を結びつけたほうが広がるのではないでしょうか。「殺意」「失恋」「孤独」etcいっそ「おとな」「女」とか。
@aokikenichi
★0
「遠視」のチョイス、とてもいいなと思いました。実際は、遠視だと空が遠くに見えるなんてことはないはずですが、「ぼく」の頭のなかではこの理論は成立していて、信じ込んでいるように感じました。この成立しえない理論を展開する「ぼく」というのがこの歌のキーポイントだと思います。このキーポイントから、とても盲目的な「ぼく」の姿が導き出されているのではないでしょうか。歌では「ぼく」が語りかけている相手の姿には一切触れられていませんが、「ぼく」はその相手に盲目的な理論を振りかざして接しているということから、相手は「ぼく」と親密な関係にあるのではないかという想像ができます。初句二句がひらがな表記なのもよいと思っていまして、読み進めてはじめに出てくる漢字が「遠視」なのも、「ぼく」の盲目的なさまを強調しているように感じました。
荻森美帆
★0
遠視という言葉の意味合いがはじめは出てきませんでした。それぐらい純粋に「ぼく」が空の遠さに憧れているように感じます。でも普通にしていても空はわりと遠いので、この話し言葉に、当たり前のことがかえって際立つような奇妙さがありました。
外川菊絵
★0
主体が純真そうな雰囲気を感じます。「ぼくにだけそっとおしえて」がひらがななので、ささやいているようで、秘密の共有であることを相手に植え付けているような感覚がします。問いかけられた相手はどう返すのか、もしも主体に反論するようなことを考えているとすれば、主体と相手の距離は近いようで遠いですね。
遠視は確かに「空がとおくに」見えるものではないですが、遠視によってもし空が遠く見えたら、ということを想像したくなりました。ファンタジーなようで寂しいような不思議な歌です。
不可思転
★0
恋人が見ているものを自分も共有したいという思いをうまく表現した歌だと感じました。ひらがなを多用しているのが、まるで耳元でささやいているようで効果的だと思います。
えんどうけいこ
★0
この歌の「ぼく」は遠視じゃないんですよね。当然のことながら。
遠視って普通は良くないことだと思うんですけど、そんなことは関係なしに相手が見ている景色を見たいんだ、共有したいんだ、という主体の思いを感じました。個人的には、「ぼくにだけそっとおしえて」とすべて仮名にひらいて幼い感じを醸しているにもかかわらず、結句の「だろう」が妙に硬いと言うか強いと言うか、急に大人びたような気がして(伝わるかなあ)馴染めませんでした。
塾カレー
★0
とても好きです。遠視は目が悪いということでマイナスの性質ですが、それを「空がとおくに見える」というプラスの視点で捉えているぼくの感性がいいなと思いました。青空は普通に見るだけでも遠く果てしなく見えるのに、遠視だったらもっと遠くに見える(実際にそうかどうかは置いておいて)というのに惹かれました。上の方も書かれていますが、遠視というマイナスの性質でも知りたい、二人きりで共有したいという思いがいいなと思います。ひらがなが多いのと、「そっと」という言葉から囁いているような雰囲気を感じました。
終栗夢
★0
一人称のぼくと口語体のやわらかさが歌の雰囲気を作っているようです。遠視を知らない子どものようでもあり、知っているのにあえて質問しているようにも取れていいなと思いました。
太田青磁
★0
前にも書かれている方がいらっしゃいますが実際遠視によって空が遠くに見えることはないはずです。でもそれをあえて質問するところに私は主体の純真さ、ピュアさのようなものを感じ、惹かれました。
主体が魅力的に見えるという点でこの歌がダントツだと思います。
坂本 樹
★0
君の見えてる世界を教えてよってことですよね。しかもぼくだけにってことは、独占させてよ、みたいな。すっごい殺し文句だなと思いました。
ゆきやなぎなぎ子
★0

首都、どこにも行けない ビル群の遠近法にだまされながら

出詠名 正鵠矢野和葉 × 中牧正太
6 / 28 ×5 ×18 ×9

互選名 多田なの桜枝 巧御糸さち那須ジョン村田一広雀來豆矢波多恵たかはしりおこ外川菊絵こりけケリ子まうシュンイチ荻森美帆村田馨404notF0816砺波 湊inbox死んでる死刑囚萩野聡月島 かなえんどうけいこ終栗夢長月優不可思転@aokikenichi小宮子々太田青磁泳二宮木水葉稲垣三鷹ゆきやなぎなぎ子たた

選評名 巨大なビルがもたらすスケール感の喪失が巧く表現されていると思います。
初句/二句の字足らず/字余りも遠近のあやふやさを煽るようで魅力的に感じました。
那須ジョン
★0
別の方のコメントと同様ですが、冒頭の「首都」がビルが林立しているように見え、字足らず、字余りの連続で距離感の喪失が素晴らしく表されていると思います。素晴らしい歌なのであえて細かい点を。
「首都、」はビルの林立を表しているように読みましたが、ならば「、」読点は不要で空白のほうが効果が高いと思いました。
「どこにも」の「に」ですが獏と「に=to」「へ=for」と思っています。目的地も失っている感じをより出すには「どこへも」の方が良いと思うのですが、日本語に詳しい方のご意見を伺ってみたいです。
「だまされながら」ですが「まどわされつつ」ではいかがでしょうか。うたの趣旨からは「騙す」より「惑わす」の方がしっくりくると読みました。
@aokikenichi
★0
最初どういうリズムで読んでいいかしばらくとまどいました。初句が大胆な字足らずなんですね。
わたしだったら「東京」とかにして四音(+読点一音)まで引き延ばすかなあって思ったんですけど、日本じゃない国の首都なんでしょうか。音数の問題だけでなく内容としてもわたしなら東京、ってより具体的にすると思う……だからこそこの言葉選びがとても気になる……

でも前のコメントにもあるように、リズムの不安定感と内容がとてもしっくりきていて、短歌としてとても面白いなと思いました。
たかはしりおこ
★0
魅力的な歌です。作者の不安な心情が上句の破調とあいまっています。だまし絵のなかに迷いこんでしまったかのごとく、たたずむ作者の姿が思い浮かびます。
村田馨
★0
おもしろい破調ですね。自分は初句を字余り、2句目を字足らずとして読みました。実験作にしては「どこにも行けない」がやや直接的すぎるのが気になるくらいですか。全体としては成功している作品だと思います。
シュンイチ
★0
初句からの過ぎる破調に、私は短歌として読むことができませんでした。
木原ねこ
★0
初めは初句の字足らずのインパクトが馴染めませんでした。でも繰り返し読むと、句読点の呼吸までを初句として一気にたたみかけるように言葉が届きました。とすると、一字明けの必要性はないのですが。ビル群の遠近法、どこか間違っていてぐらぐら揺れる主体の不安が見えるようでした。
外川菊絵
★0
首都、これは「しゅっと」とも読ませたいのかなと思いました。
大都会に住むのは息苦しさを感じつつ、便利さ、刺激の多さなど魅力があって離れがたいのでしょう。
実際には都会にいるのが一番便利で、どこにでも行きやすいのですが。
ルイドリツコ
★0
崩すカッコ良さを知りました。
死んでる死刑囚
★0
インパクトがありますね。とても面白くて好きです。
ビルに囲まれると立ち尽くしてしまうというか、ここはどこだろう、自分は何をしていたのだろうかと狐につままれたような感覚に陥ることがあります。だから「首都」とどこか他人事のように見ているのでしょうか。それとも東京ではなく遠く離れた見知らぬ地の首都でしょうか。
「だまされながら」というのは、あくまでビル群から主体へ働きかけてきているからなのだと思います。というよりも、主体が心細くて、それをビル群のせいにしているのかもしれません。空白の部分、読むときに少しつっかえるようなところが、そんな心情を際立たせているように感じます。
不可思転
★0
破調が実にうまく決まっている素敵な歌です。この「首都」はどこの国でもなく、また現代でもないような、なんとなく近未来的な都会のイメージを感じました。ビルが立ち並ぶ大都市の中で自分を見失っている乾いた孤独感があって、感傷的になりすぎていないところがまた良いと思います。
えんどうけいこ
★0
首都、日本でいうと東京には、全国各地から大勢の人が夢や希望を抱きながらやってきます。「東京へ行きたい」という気持ちは地方に住む人の大半は一度は味わうことでしょう。たくさんのビルや施設が建ち並ぶ国の中心は、若者にとってはなんでもやりたいことができる夢のような場所です。しかし、この歌の主体は首都が「どこにも行けない」場所だと気づいている。
そのことに気づけた主体の呟きのような上の句は、歌一覧の中から浮いてしまうほどのかなりの破調。そして、だまされた人々が首都をさまよう光景を詠む下の句は、皮肉のようにきちんと定型に収まっている。上の句と下の句の間のスペースからも、首都での暮らしに疑問を抱くことのない人々に馴染むことなく、しかし彼らと同じようにどこへ行くこともできない主体のどうしようもない孤独が感じられます。遠くへ行きたいという思いが伝わってくる上の句と「遠近法」による題の処理も良いと思いました。
多田なの
★0
地方から見た東京なのか、新宿の都庁のビル群なのか、異国の首都なのか、少しつかみ切れない感覚があります。初句の「首都、」は二音と読点ですが、唐突な印象を受けました。
太田青磁
★0
ビルに囲まれた孤独感が良いです。都会って本当はどこへでも繋がって行けるはずなのに、行けない、しかもだまされて、というのが、自分も含めてニセモノのような、もの悲しさがあるな、と思いました。
ゆきやなぎなぎ子
★0

左手に電話右手に望遠鏡「わたしの見てる星を当ててよ」

出詠名 1Q97 BOOK3稲垣三鷹 × 坂本 樹
7 / 24 ×5 ×14 ×9

互選名 井田 直絹更ミハル桜枝 巧那須ジョン一条遊歩村上すみれ遠井海雀來豆外川菊絵まうりつ木原ねこ秋子七子秋山生糸和葉月島 かなナタカえんどうけいこ三田たたみきい長月優@aokikenichi小早川宮木水葉ゆきやなぎなぎ子きつねたた悠佳里

選評名 穂村弘さんの『手紙魔まみ』の連作の一首でもおかしくないクォリティで素敵です。
これは同じ地球上でのお話とのことですよね。
現実にはありえませんが、互いに異星で望遠鏡で相手の星を探し合う、などとしても面白いと想像が膨らむ作品です。
@aokikenichi
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上のコメントにもあるとおりあまりに穂村弘っぽいとも思いますが、好きなイメージです。電話と望遠鏡という2種類の遠いモチーフを扱いつつとても親密な関係を描き出しているところがよいなと。
一条遊歩
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女の子が提示する難題の無邪気さが女の子を魅力的な存在にしていますね。地球上の話なのに、キャラクターやアイテムが活きてSFのような香りがするのが素敵です。
まう
★0
イラストにしたくなるような、すごくかわいらしい歌。断定はできませんが、この歌をつくったのは「わたし」ではなく、その電話を受けている側のような気がします。「わたし」はきっと甘えたくて困った質問をするような女の子なのではないか、電話の受け手はそんな「わたし」のことが大好きなのだろうな、と想像しました。
えんどうけいこ
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一読して、ああかわいらしい、と素直に思いました。電話しているので「わたし」と通話相手には距離があるのですが、それはさびしいものでなく、むしろ楽しんでいる弾んだ感覚がします。
「当ててよ」と言いつつも、内心では「わたし」は、当ててもらえないだろうなあ、きっと違う星を見ているだろうな、とあきらめているかもしれません。有名で目立つ星でないと当てるのは難しいと思います。こう受け取るとちょっとさびしい雰囲気になりますが、中々正解にたどりつかなかったり、結局違う星の名を返されたとしてもあたりだよと言ってしまいそうないじらしさを「わたし」に感じます。具体的に星の名前をあててほしいのではないのかも。
遠い、という点から見ると、親しげな雰囲気が醸し出されているせいかあまりそうは感じないのですが、「望遠鏡」に題が組み込まれていますし、電話する遠さであるというところは伝わってきました。
不可思転
★0
遠距離恋愛中の恋人同士の会話でしょうか。
きっとふたりは同じ姿勢でいるのでしょうね。
最初「わたし」の視点で詠まれた歌だと思いましたが、他の方の評のように、相手(彼)が詠んだと読む方が、この無茶なお願いをかわいいと思っているというようなことまで描かれているように感じます。
「遠」という題で恋人同士のことを詠むと、悲しい歌になりそうなのに、こんなにかわいらしく、ほほえましい歌が読めて、私もなんだかうれしくなりました。
木原ねこ
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彼女のわがままが可愛くて、きゅんときました。電話の向こうの彼としても、こんなことを言われたら萌えざるを得ませんね……。そして私の脳内には「君の知らない物語」という曲が再生されました。きっと彼女が見ているのは夏の大三角でしょう。
三田たたみ
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望遠鏡を見ながら相手に問いかけるという着想は面白さがあります。主体と客体の間に、何か星を見るという共通認識があったのでしょう。対句が説明的な感じもあり、望遠鏡は手で持つものなのかという疑問も残りました。
太田青磁
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かわいい彼女だなー!と思いました。星なんて星の数ほどあるのに、「当ててよ」って、遠恋の寂しさから甘えてるのがかわいいし、彼のほうもそれに付き合うんだろうと思うし、お互いにできるだけ長く電話していたいから、こんなかわいいやりとりになるんだろうな、と思います。映画のワンシーンみたいでとても良いです。
ゆきやなぎなぎ子
★0
電話をしながら星を見ていて、面白い光景です。上の句が詰まってバタバタと説明するようになってしまったので、整理して述べられたらもっと面白くなりそう。この歌は右手と左手が逆でも成り立ちますので。
たた
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全国の天気予報を見るようになった 押す人のいないストレッチ

出詠名 モウカラ不動産那須ジョン × 矢波多恵
8 / 24 ×4 ×16 ×11

互選名 井田 直桜枝 巧風野瑞人管理人知己凛村田一広村上すみれたかはしりおこなかばまち子秋子七子404notF0816砺波 湊ナイス害小川けいと和葉中牧正太萩野聡ナタカなべとびすこ薄荷。三田たたみオリー長月優塾カレー太田青磁一葉奈月遥坂本 樹稲垣三鷹悠佳里菊池優花

選評名 淡々とした日々の孤独に帰った理由はなんだろうと想像しつつ読ませていただきました。「押す人のいないスイッチ」がいいですね。
風野瑞人
★0
遠距離恋愛になったのか、単身赴任か。それともお子さんが家を出たのか。いたはずの人がいなくなった寂しさと、その方が住む地域の天気さえも気にする主体の優しさが素敵です。
なかばまち子
★0
相変わらずの駄目な癖で普通に相聞読みしました。遠距離恋愛。でもストレッチで押してもらうような関係となるとやっぱり違うかなー。学校以外ならおうちでやることですもんね、ストレッチ。子供が進学や就職で家を出たのか、単身赴任なのかな。逆に学校でのストレッチとして読むのもありか。相方がいなくなったさみしさ。
下の句と上の句で全然違う内容なのに、どちらも遠い人を想う表現としてとてもしっくりきていて、素敵だなと思いました。
たかはしりおこ
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二番目の方の評のように、いたはずの人がいなくなったと読みました。寂しいんでしょうけど、その寂しさを日常に溶け込ませ、自然に詠まれているところに惹かれました。
知己凛
★0
他の方のコメントも拝見し、いるべき人がいなくなったまでは理解できましたが、なぜ天気予報なのかが理解できませんでした。
@aokikenichi
★0
ストレッチを手伝ってくれるほど存在の近い人が、天気予報の地域も違う遠くへ行ってしまったという近→遠の動きのある距離感がうまく表わされていると思います。歌全体から醸し出される少しの寂しさが好きです。
小川けいと
★0
明日の天気予報を見ながらストレッチする日課、いなくなった人がいる場所の天気予報を気にする気持ちを素直に詠まれていて良いなと思いました。
和葉
★0
ストレッチって、どんな動きかにもよりますが、手が思うところに届かなかったりしますので、そういう意味でも遠いのかもと思いました。
主体は新社会人か大学生か。全然違うのかもしれませんが、こどもが一人立ちして巣立っていって、そこで初めて全国の天気予報を見て、ストレッチを孤独にやっている、と読みました。孤独というとさびしい感じになってしまいますが、全国の天気予報の図を見て淡々と距離を思い、もう「押す人」はいないんだな、としみじみしている。そんなイメージです。
不可思転
★0
天気予報を見て、かつてはストレッチにつきあつってくれた相手の住む町のことを考えるのだと読みました。
天気すら共有出来ない寂しさと、肌で相手を感じられない寂しさを感じます。
薄荷。
★0
ストレッチを一緒にしていた相手が「全国の天気予報」を見ないといけないほど遠く離れてしまったことや、一人になった寂しさがよく表れているなと思いました。わざわざ全国の天気予報を見て確認するくらい相手のことを想っていることも伝わってきました。
オリー
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テレビを見ながらストレッチをするイメージが想起されつつ、そこにいてくれた人がいないつめたさと遠くのその人を気遣うあたたかさのバランスが秀逸だと思いました。
御殿山みなみ
★0
何らかの事情で恋人や配偶者と別居することになった相手への相聞と読みました。一読どこで切って読めばよいかわからず、一字空けから三句を余らせてストレッチで着地させるのかなと読みましたが、語順などうまく整理できればもっとよくなると思います。
太田青磁
★0
「押す人」から離れて移ったのは主体のほうかなと読みました。一人の「ストレッチ」は独り立ちの第一歩。進学か就職か、いずれにしても初めて実家を離れた若者の面影を受けました。きっと、それまで「全国の天気予報」なんて気にして見ることもなかったような。BSニュースだと『世界の天気予報』もありますが、自分がそれを気にして見るようになった時に初めて、離れた場所と気候の差やその "遠さ" を実感することも多いはずだろうと。場面も道具立ても自然な生活感を描きながら読者に意味を伝えようとする、良い歌だなと思いました。
管理人
★0
今まで当然のようにいた人なんだろうな、というのがストレッチという生活感の中によく出ていると思います。このいなくなってしまったのを、「全国の天気予報を見るようになった」というのは、良い表現だと思いました。遠恋になって、まだそのことに慣れていない感じが切ないけどかわいいです。
ゆきやなぎなぎ子
★0
前半がとても頭に残りました。何気ないクセに複雑な感情が隠されている、目の付け所に唸らされました。
「押す人のいないストレッチ」は、2人組のストレッチを経験した人は共感が大きいと思いますが、一般的にはストレッチは1人でやるイメージが強いのではないのかな、と感じました。わたしは2人組のストレッチをよくしていたので、背中に体温を感じない違和感とか、柔軟運動に痛みを感じない寂しさとか、とても共感します。
稲垣三鷹
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一緒に暮らしていた人が遠くに行ってしまったことが『全国の天気予報』かtら伝わってきます。マネしたいくらい素敵な表現だと思いました!
遠くに行ってしまった今も、その身を案じているのでしょうね。切なさがじんわりと伝わってきます。
悠佳里
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子供らと街が眠りに就くころに遠野の婆が語りだすもの

出詠名 空に浮かぶ子供雀來豆 × 月骨
9 / 21 ×3 ×15 ×8

互選名 井田 直桜枝 巧アキヒニルイドリツコ風野瑞人知己凛サリーBルオ村田馨木原ねこinboxナイス害和葉フジタレイ薄荷。三田たたみ塾カレー不可思転ペパーミントP太田青磁小早川一葉奈月遥宮木水葉静ジャック悠佳里

選評名 遠野は遠野物語がありますから、怪談でしょうか。思い出話や懺悔でしょうか。若い頃に妖怪と約束して代償を払う日が来たとか。いろいろな想像ができる、物語のプロローグのような短歌ですね。
アキヒニ
★0
遠野物語へのオマージュでしょうか。人ならぬものが、街の歪みをとるように、音にならない語り部として夜に言葉を放つようです。
風野瑞人
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皆さん仰っていますが、やはり遠野物語を彷彿とします。夜の、身に沁みるような静謐な空気が浮かびますね。その静寂に寄り添うような昔語りが聞こえるようです。
ルオ
★0
日本の民俗学といえば柳田國男。『遠野物語』はその代表的な著作です。前評にあるとおり、遠野物語で登場する不思議な伝承が展開していくようです。
村田馨
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「遠野の婆」が効いている。昔語りが始まりそうな雰囲気が強く感じられる。
inbox
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身を乗り出して、物語を聞きたくなります。「遠野の婆」という表現がほんとうにいい。
知己凛
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きれいな作品ですが題の「遠」は遠いで捉えてほしかったなと少し思います。
@aokikenichi
★0
眠りにつく「子供らと街」と、「婆」は対比であるととりました。子供たちには未来があり、街はどんどん進化していきます。これからの時代の象徴だと思います。お婆さんには語るだけの知識、過去があり、「子供らと街」に比べると長く起きていられる。誰も想像のつかないような遠い記憶を語ってくれるのかもしれません。そのとき、目には今とは違う遠野の景色が広がっているのかも。
遠野物語はやはり考えました。そのことについて博識なお婆さんなのでしょうか。……長生きしてほしい、いっぱいいろんなことを教えてほしい、と思いました。
不可思転
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うん、みなさん触れていらっしゃいますが、やっぱり『遠野物語』を思い浮かべますよね。私もそうです。
老人ってわりと早い時間に寝てしまうと思うのですが、この作中では「子供らと街が眠りに就く頃」に遠野の婆が語りだしています。上の句をまるまる使った時間の描写が効いていますね。年に一度か二度、そういう(どういう?)話を聞かせてくれる特別な夜を思い浮かべました。好きな歌です。
塾カレー
★0
「街が眠りに就く」は時間をうまく切り取っているように感じます。遠野の持つ奥行きが、その日一日の眠りに対して、何十年もの間に語り継がれたものがあるようで印象に残りました。
太田青磁
★0
伝承世界の怪しさとか、夜見えない世界への敬意とかが感じられる一首です。
ゆきやなぎなぎ子
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ホログラムの彼がパンツでリビングをうろつく遠隔同棲ライフ

出詠名 わっちぃ淡海わこ × 御糸さち
10 / 20 ×4 ×12 ×11

互選名 桜枝 巧管理人知己凛一条遊歩遠井海雀來豆矢波多恵つん外川菊絵なかばまち子こりけケリ子まう木原ねこナイス害秋山生糸小川けいと和葉中牧正太萩野聡ナタカえんどうけいこ三田たたみ長月優太田青磁小早川坂本 樹きつね

選評名 笑いました。近未来ギャグ漫画みたいなイメージでしょうか。と同時にというかだからこそ、ひととひとが一緒にいるってどういうことなんだろう?と改めて考えさせられる歌です。
実はよく読むとパンツ・リビング・遠隔で撥音が効いてたり、ホログラム・パンツ・リビング・うろつく・遠隔・ライフでウ段で揃えてたりとかなりテクニカルで、上手いですね。
一条遊歩
★0
前の方の評から、ウ音の繋がりを楽しく読みました。遠隔同棲の造語にもひきつけられましたが、ウの口のまますねているような、ひとこと言いたいような感じのところが面白いです。
外川菊絵
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下の句が小気味いいリズムで、いいなと思いました。
こんな時代になるんですかね・・・近い将来。
知己凛
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火の鳥未来編のようなSF感が心地よいです。カタカナと漢字と平仮名のバランスがとても良いと思いました。
ナイス害
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近未来の科学技術とパンツでうろつくグダグダ感の面白みを目指しているのだと思います。ならば一部でも定型にすることでグダグダ感がより際立つのかなと思います。破調の意味がぼやけてしまっているかと思いました。
@aokikenichi
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韻がラップみたいですんごい軽やか!
『ホログラムの彼』という言葉がもうすごい。
小川けいと
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可愛い歌ですね。モチーフも、微笑ましく見守っている様子の作中主体も好きです。
和葉
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「ホログラムの彼」は人工知能の存在だなんていう展開ではないのですよね。「遠隔同棲」しているのですから実在していてそれを映しているんですよね……などと一瞬世界に入り込みました。
思えば文明発達と共に距離の感覚はどんどんとぶれてきているようにも思えます。近未来的、SFでありつつ、人間の生活感というものがユーモラスに出ていて好きです。リズミカル。カタカナがSF感を強めてくれているんだろうなと思いました。
不可思転
★0
「ホログラムの彼」は実在しているのでしょうか? それとも主体の妄想? いずれにしてもノリの良さそうなイマドキの若者カップル(なんて言うとわたしがオバサンみたいですが)の姿が浮かび上がる、楽しくてユーモラスな歌です。
えんどうけいこ
★0
いかにもありそうなSFの技術で、未来っぽくもなんともない、ありふれた日常を描いているところが面白いです。パンツでうろつく彼の方に、彼女の姿も見えているんでしょうか? もしお互い下着姿だったら、ふたりはお似合いではないかと。
三田たたみ
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互いの家に3Dモニターが設置されている遠距離恋愛をイメージしました。誰も見ていないとおもう一瞬をコミカルに表現していて面白いです。
太田青磁
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これで遠恋も寂しくない!という売り文句が浮かびました。パンツの彼の生活感がより、未来感を感じさせます。電子書籍もよく、紙の質感が……と言われていますが、人だとぬくもりが、と余計に言いたくなりますね。
ゆきやなぎなぎ子
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遠くない遠くないよと伝えても「やっぱ遠い」と来てくれぬ人

出詠名 B&PサリーB × ペパーミントP
11 / 20 ×4 ×12 ×10

互選名 桜枝 巧アキヒニ御糸さち那須ジョン知己凛雀來豆矢波多恵ルオまう荻森美帆りつ木原ねこinbox和葉月骨中牧正太なべとびすこフジタレイ薄荷。えんどうけいこ三田たたみオリー太田青磁小早川奈月遥坂本 樹

選評名 来てよ!!!
御糸さち
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住み慣れた場所を離れると、こういう人っていますよね。主体の恨みがましさと、それでも「来てくれぬ人」が大切なのだろう気持ちが伝わります。繰り返し含め、使われた言葉が絞られていることが、かえって想像を掻き立てる歌です。
ルオ
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一回来てくれたら「遠くない」ってわかってもらえるのに・・・ね。
知己凛
★0
「やっぱ」は相手の言葉なので差し引くとしても、前半の言い回しと「くれぬ」の言い回しがちぐはぐではないでしょうか。音数合わせのみに思えてしまいます。
@aokikenichi
★0
本当に何回も「遠くない遠くないよ」と繰り返し説明しているんですね。主体が相手に来てほしい気持ちが強調され、凝縮されている気がします。そして「やっぱ遠い」というせりふを改めて考えると、主体に対して少し雑な口調、対応にもとれて、主体はさぞやもどかしい気持ちでがっかりしているのでは、と想像しました。何度言ったって来てくれない、そういう人だ、あの人は、ともう言いきってしまってるようにとれたので。「やっぱ遠い」の一言で、物理的な距離から心の距離まで全部一気にひきはがされたように感じます。
不可思転
★0
「遠くない遠くないよ」の繰り返しが切ないです。
月骨
★0
恋歌としてリアルな情景をうまく詠んでいると感じました。
フジタレイ
★0
「遠くない」の繰り返しのリズムがいいです。素直に「来てほしい」とは言えないところが恋歌らしくて好きです。
オリー
★0
リフレインが歌のリズムをうまく作っています。最後に「人」でまとめてしまうと歌のふくらみがそがれてしまうように感じられて、結句はもう一工夫できるかもしれません。
太田青磁
★0
「遠くない遠くないよ」が必死で、それを「やっぱ遠い」って、相手はあっさりで、温度差が寂しいと思いました。でも、人と人ってそんなものなのかも、とも思いました。
ゆきやなぎなぎ子
★0

他人よりふたり離れてしまう日の黄ばんだゼクシィ付箋が揺れる

出詠名 意外とどうもう福間伊与 × 秋山生糸
12 / 19 ×2 ×15 ×10

互選名 絹更ミハル桜枝 巧ルイドリツコ知己凛村上すみれ遠井海雀來豆つんmihoko村田馨りつ秋子七子404notF0816ナイス害淡海わこ小川けいと和葉なべとびすこ三田たたみきい長月優塾カレー小早川坂本 樹泳二きつね静ジャック

選評名 「遠」の字が詠みこまれていないのに、とても遠く感じるお歌です。これはきっと、「ふたり離れてしまう」という距離の遠さ、「黄ばんだゼクシィ」という時間の遠さの二つの意味を重ねているからでしょう。「他人より」「離れてしまう」は続けたほういいかなぁと。例えば、「ふたり」を上の句の最後にするとかも良いかもと思いました。
須磨蛍
★0
ゼクシィは意味的にも物理的にも精神的にも、かなり重たいです。(経験談)
つん
★0
「遠」がないのに、遠く感じてしまいます。すごい。
一番目のかたどった同意見で、「他人より離れてしまう」と続けた方がすっきりしたのかなと思いました。
知己凛
★0
ずしりときた。ゼクシィと付箋が効いている。
村田馨
★0
ゼクシィって黄ばむかなぁと思いつつ黄ばんでるのは付箋なのか?と思い直しました
もう離れることが決まって片付けたりしてる時にたまたまゼクシィが出てきたのかな。
それを見てももう心は変わらないんだなあと文字通り遠く感じました。
りつ
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記念だから、大事に残していたゼクシィだとわたしには読めました。 何度もめくって、たくさんチェックしただろうから付箋は何枚も付いていたのでは? 黄ばんだとゆうのは、実際に黄ばんだわけではなく、月日の経過を表していて、ふたりで眺めたあの日はもう「遠い」その付箋が揺れる様は切ないです。 また、離婚は負の要素が強いイメージですが、恨みごとを感じさせない美しい別れの歌だと思いました。
秋子七子
★0
物語を感じさせるモチーフですが、歌意が読み取れなかったというのが正直なところです。
「他人よりふたり離れてしまう日」の部分が、自分の中で結論が出ませんでした。
①他人「と」ふたり「が」離れるのか(起点を表す「より」)
②元々無関係の筈のその他大勢の人たちよりもさらに、ふたりの間に溝が出来たのか(程度を表す「より」)
で迷いました。
付箋までつけて熟読した「ゼクシィ」(結婚情報誌)が黄ばむということは、二人は上手くいかなかったのかな、②の意かな、と思いましたが。
あと、有名な雑誌でも雑誌名にはカギカッコをつけてほしいです。
砺波 湊
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一度近づくところまで近づいたら、あとはそのままで保ち続けるか、もしくはとにかく離れていくしかない人間関係を思いました。
「離れてしまう日」とわざわざ日を限定しているということは、その日に何か決定的なことがあるのでしょうか。離婚届を出したとか、指輪を返したとか。離婚でなくとも何かあった日なのだろうと想像します。主体がふとしたことで雑誌の置いてあるほうを見たら付箋が揺れていて、何かしら主体にぼんやり思うことがあったのかも。でも、主体が見ていなくても、主体および「ふたり」をそっちのけで付箋は揺れる。そんな光景が浮かびます。
「他人」「離れてしまう」「黄ばんだ」と、遠さを連想させるものがどんどん入っているので、より遠く感じるのかもしれません。切ないさびしいといった感情もわくかもしれませんが、ただとにかく手の届かない過去を思って遠くなる感覚がしました。
不可思転
★0
短歌の素材としてゼクシィはやや手垢のついた感はありますが、他人より離れてしまうという表現がかなしげでいいですね。付箋も描写が具体的で効いていると思いました。でも黄ばむかな。あの素材のあの本が黄ばむというのが、ちょっと作り物っぽい感じがしてしまうのです。
中牧正太
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離婚するまで結婚式場の情報誌を残しておいたのでしょうか。それとも結婚の準備までしていながらうまくいかなかったのでしょうか。「黄ばんだ付箋」から年月をイメージできるのですが、情報誌の名称だけに頼りすぎな感じを受けました。
太田青磁
★0
黄ばんだゼクシィをまだ持ってるというのは、思い出があるからなんだと思います、しかも付箋がしてあるってことはだれかと夢を語らったあとなのだと。それを引っ越しか整理かわからないけれど、そういう区切りのときに出して、その付箋が風に揺れて、思い出すことがある。そういう大人の短歌だと思いました。
ゆきやなぎなぎ子
★0
あえて「遠い」という言葉を避けたところ、「ふたり」としたところ、「しまう」とうあたりに主体の寂しさがあふれています。上句には創作とは思えない実感がこもっています。それに比べると下句はやや作為が見えますが「黄ばんだ」「付箋」と背景を上手く描いています。
泳二
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泣きたくて泣けない人の遠吠えで育ちはじめる虹の芽ひとつ

出詠名 鍋パ@404号室404notF0816 × なべとびすこ
13 / 18 ×3 ×12 ×11

互選名 多田なの桜枝 巧風野瑞人那須ジョン矢波多恵つんたかはしりおこまうシュンイチ村田馨死んでる死刑囚和葉月島 かなオリー終栗夢長月優不可思転小宮子々太田青磁小早川坂本 樹泳二稲垣三鷹ゆきやなぎなぎ子のんぼうたた

選評名 下の句に詩性を感じました。
風野瑞人
★0
綺麗な作品なのですが心に訴えかけてくるものが足りないと思いました。
@aokikenichi
★0
泣いて流れた涙で虹がかかるのならば、「泣けない人」の流さなかった涙は虹の芽として昇華のときを待って育ちはじめるのだろうと読みました。
遠吠えもやるせなさが出ていて好きです。
矢波多恵
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絵画のようにシーンが膨らみました。「虹の芽」は、「泣きたくて泣けない人」の遠吠えによって育ちはじめている。遠吠えは、やるせない感情のこもったものかもしれませんが、虹の発生に関わっているのですから、無駄なものでは決してない。「泣きたくて泣けない人」への後押しのようにも思えます。「虹の芽」という表現のしかたも好きです。「虹の芽」が何かの比喩だとしたらと考えると、それもまた励まされるものだととれました。
不可思転
★0
泣けない人は吠えるのだ、という発想が面白いです。「虹の芽」も現実にはないものをうまくイメージさせていると思います。
太田青磁
★0
泣きたいけれど泣けないのはとてもつらいことで、そのような人の遠吠えはとても悲しく響く、そのことが何かを生み出すというのは共感できます。「虹の芽」はよさそうでもあり、ちょっと綺麗になりすぎたかなと思うところでもあります。
たた
★0
溜め込む人にとって、遠吠えは涙なのだろうと思います。その涙で架かった虹、育った花はきれいだろうけど、切ないし悲しいと思いました。せめてきれいな花を、と思いました。
ゆきやなぎなぎ子
★0

物憂げなチョコレートには過去があり形をなくす日はまだ遠い

出詠名 水属性グラフィティ木原ねこ × ナイス害
14 / 18 ×2 ×14 ×9

互選名 桜枝 巧ルイドリツコ風野瑞人管理人那須ジョン外川菊絵シュンイチ荻森美帆村田馨りつ秋子七子404notF0816砺波 湊和葉中牧正太ちゃむ三田たたみ終栗夢塾カレー小宮子々一葉稲垣三鷹のんぼう静ジャックたた

選評名 ほろ苦い、でもチョコレートの歌なのに甘酸っぱい。私のような大人になってしまうと詠めない歌です。羨ましい。で、1票です。
風野瑞人
★0
バレンタインに貰ったやつかな?なんか理由があって食べられないんでしょうか。
食べようかな、と思ってそのチョコを見るたびになんか微妙な気持ちを思い出して「やっぱりまだ食べるのやめよう…」と引き返している様子を想像しました。
りつ
★0
モチーフとして使われた「チョコレート」が、これじゃなきゃだめだった気がしますね。おそらく過去の成功とは呼べない恋愛なんだろうけど、そういうことを忘れてまた歩み出せる日までの長い道のりを「形をなくす日」と表現したところが秀逸だと思いました。
シュンイチ
★0
一筋縄ではいかないバレンタインのエピソードみたいです。時間がたてば形をなくすのか、溶けてしまうのか食べてしまうのか。ちょっと以前の劇的な物語として、この時期のこの歌はちょうどいいな、と楽しんで読みました。
外川菊絵
★0
「物憂げ」を表現するために「物憂げ」と言わず比喩等でそれを示すのが詩かなって思ってます。ので冒頭「物憂げ」で始まってしまうなら相当アクロバットな着地が必要かなと。
@aokikenichi
★0
渡せなかったチョコレートでしょうか。思い出のつまったチョコレートを、形をなくす=貰われる、食べられる、あるいは捨てる、迷いがあるところが素敵な歌だと思いました。
和葉
★0
過去がある「物憂げなチョコレート」、人間のようで面白いです。どんな物体にも過去はありますが、物憂げな雰囲気なんですね。これは主体の心境を映しているためかと思いました。その後「形をなくす」と続いているのでせつない感じに陥ってしまいますが、最後のさいごで「まだ遠い」と救いをおいている気がします。過去をもつからこそ、その過去が確かな支えとなって、くずれてとけてしまう日がくるとしてもまだまだ遠い。主体の凛々しさを感じました。
不可思転
★0
バレンタインチョコにまつわる、ちょっと訳ありな恋の歌ですね。渡せなかったチョコなのか、それとも受け取ってしまったものの食べられずに置いてあるチョコなのか……いずれにせよ、捨ててしまうこともできず宙ぶらりんなところが切ないです。
三田たたみ
★0
バレンタインの思い出でしょうか。食べずにしまわれているうちに物憂げになってしまったのでしょうか。「形をなくす」は主体の思いなのかもしれません。
太田青磁
★0
勿論バレンタインのチョコというのが妥当なのでしょうが、何でもない板チョコだったりしても素敵だと思います。物憂げ、なのは額面通りに受け取ればチョコレートの側ですが、そこには多分に主体の感情も投影されているはずです。だからこそ「形をなくす…」という下の句にナチュラルに掛かっていて巧みだなあと感じました。
下の句を導く「過去」という言葉はもう少し離れた表現でもよかったような気もしますが、語られない背景を想起させる広がりを持つこの歌の時間的な遠さは非常に好もしく思えました。
小宮子々
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バレンタインかな。もらったものか、あげようと思っててあげられなかったものか。私は後者で読みました。まだ思い出になっていなくて、思いが詰まったチョコレートが自分の目の前にあったら、チョコレートも物憂げな顔をするだろうと思いました。
ゆきやなぎなぎ子
★0
チョコレートが物憂げというのが面白かったです。「過去」「まだ」が設定を作りすぎかなとも感じました。
たた
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遠いものがとびきり欲しい 虹の端、流星、あなたの閉じてくまぶた

出詠名 エレメントたかはしりおこ × 長月優
15 / 17 ×2 ×13 ×9

互選名 井田 直多田なの桜枝 巧那須ジョン一条遊歩雀來豆つんまうみちくさ砺波 湊秋山生糸淡海わこ和葉中牧正太月島 かな薄荷。終栗夢塾カレー不可思転@aokikenichi奈月遥きつねのんぼうたた

選評名 「あなたの閉じてくまぶた」が虹の端や流星と並ぶほど遠いというのはなんとも切ないです。「まぶた」は漢字でもよいような気がしました。
那須ジョン
★0
リズム感と想う相手に至る流れが素晴らしいと思います。強いて申し上げると「遠いものがとびきり欲しい」という感情は分かるのですが、それを「遠いもの」と表現するかどうかがやや疑問です。
@aokikenichi
★0
一番最後に挙げられたものが、一番の望みなのだと思いますが、自分の前で眠ってくれるほどに「あなた」と近しくなりたい、という美しくも切ない願いだなぁと思います。
ただし、欲しいもののセレクト、特に前のふたつは美しく、儚く、触れられないものとして挙げたのでしょうが、入れ替え可能な気がします。
虹の端(動かないが「端」は見つけ難い)・流星(高速で移動するため触れられない)の対比は効いているか、単にロマンチックなイメージの集積になってしまっていないか、と気になりました。
砺波 湊
★0
上の句が好きです。こんな気持ちになることもあるので、そんなとき、この部分をくちずさんでみたいです。
「あなたの閉じてくまぶた」が自分の脳内ではスローモーションに再生されました。全体的に美しいです。虹も流れ星も消えてしまうもの、そう考えると、一番最後にくる「あなたの閉じてくまぶた」も何かが消える合図なのでしょうか……まぶたを閉じると景色が全部消えますね……意識が遠のくという感覚もあるのかもしれません。
不可思転
★0
「あなたの閉じてくまぶた」をどのように取るかで大きく解釈が変わってきますね。普通に眠ってしまうだけならいいのだけれど…。
塾カレー
★0
初句で抽象的な概念として「遠いもの」をあげて、三句以降に主体が遠いと感じるものを並べているのは詩的な印象です。イメージで押すのであればやや甘く、もっと飛ばしてもよいのかもしれません。結句の「閉じてく」は「閉じていく」と言葉を省略しない方が余韻が残ると思いました。
太田青磁
★0
虹の端も、流星も見えるけど届かないもので、しかもときどき偶然にしか出会えないもので、しかもきれいなもので。それと「あなたの閉じてくまぶた」は並ぶものなんだな、というのが儚く切なくやさしい歌だな、と思いました。
ゆきやなぎなぎ子
★0

喜多方の桜の色を守らんと廃炉ロボット遠隔操作す

出詠名 三月の歌詠みえんどうけいこ × 太田青磁
16 / 16 ×2 ×12 ×6

互選名 桜枝 巧風野瑞人知己凛遠井海ルオなかばまち子mihoko村田馨りつ木原ねこ和葉月骨萩野聡月島 かなちゃむペパーミントP小早川一葉きつね静ジャック

選評名 かなりの社会詠ですが、やはりこういった歌は常に世に開かれるべきものと思い、1票投じます。
風野瑞人
★0
守る対象として「喜多方の桜」を持ってくるのが巧いなと思いました。守るべき自然と無骨な人工物の対比が素敵な歌です。
ルオ
★0
下句で一フクイチの現状が表れてくる急展開に驚いた。
村田馨
★0
守るものが「桜の色」というところがすごくいいと思いました。あの淡いピンク色さえなくなってしまうかもしれない原発事故のことをすんなりとでも巧みに詠まれていると感じました。
知己凛
★0
短歌の全体としては地元を守る意志、ということかと思いますがそれですと「遠隔操作」ということで逆に意志が弱められていると思います。電気使っといて事故れば外野からあれこれ言うだけかよという東京批評的な意味とすると前半がぼやけますね。ということで意味がつかめませんでした。
@aokikenichi
★0
あの災害と事故がなければこのうたも生まれなかったのかと思うと少し神妙になります。短歌というものはこうして時代、世相も残していくものだということに気づかされました。
読んでそのまま受け取ったのですが、ひとつ考えたことがあります。自然たる「喜多方の桜」を壊したものは人工物です。そしてこのうたの中でそれを守ろうとしているのも人工物。発展する科学技術と追いつけない人間、ときに犠牲になりときに襲いかかる自然もまた、共存の難しいものなのかもしれません。遠いです。
不可思転
★0
自然を破壊したのも人工物、またそれを守ろうとしているのも人工物、か。いいコメントだと思います。より一首が深くなった。
喜多方の枝垂桜、さぞかし美しいのでしょう。
塾カレー
★0
社会詠ですね。桜を守るためというのが正しさの主張として、日本らしさがあると思います。遠隔操作というのが安全なところから、という感じがしますが、それも安全第一という面の主張なのでしょうか。
ゆきやなぎなぎ子
★0

忘れたくないものだけを助手席に バックミラーに昨日が映る

出詠名 栓抜きデモクラシー死んでる死刑囚 × 多田なの
17 / 15 ×2 ×11 ×9

互選名 桜枝 巧風野瑞人村上すみれつん外川菊絵なかばまち子まうみちくさりつ小川けいと和葉なべとびすこちゃむ薄荷。えんどうけいこきいオリー終栗夢坂本 樹泳二ゆきやなぎなぎ子のんぼう

選評名 輸入車コンパクト車を操るような、都市に生きる強がりの女性のひとコマ。できすぎなドラマのワンシーンを切り取ったように思うが、下の句がしゃれています。
風野瑞人
★0
助手席にいた恋人を失った、というようなことでしょうか。理解できませんでした。
@aokikenichi
★0
一日を過ごし、日々取捨選択をしながら月日を進んでいくことを表現されたのだと読みました(ちがったらすみません)。バックミラーに映る昨日には忘れたいものがちらりと映るのだろうと思いました。
小川けいと
★0
一読して感じたのは、映画やドラマのようでかっこいい、ということです。そういう生きかたであろうという主体の表情が目に浮かぶようです。記憶の取捨選択というのは人間は意識してできるものではないといわれますが、主体はおそらく、選んで進んでいきたいのですね。自分自身を律している印象です。まだ完全に「昨日」を忘れることができず、強がっているだけなのかもしれません。昨日を遠ざけたい、振りきって走りたい、という部分で題を意識されたのでしょうか。
「昨日」は確かに存在するからこそ、バックミラーに映っている。昨日には戻らない、過去と決別する心を感じながらも、「昨日」はずっとついてきます。置き去りにしているつもりでも過去に支えられているような気もします。
不可思転
★0
忘れたくないものを助手席に置き、バックミラーを見ると昨日の景色が映っていた、という心象風景を歌ったのでしょう。「昨日」はなにか追想のイメージかなと思います。「助手席に」「バックミラーに」と「に」が続くのを避けるための一字空けなのでしょうが、主体の視点がぶれるように感じました。
太田青磁
★0
昨日は置いていってしまうのね、と置いてかれる目線で悲しくなりました。でもバックミラーに映るのを横目で見ているってことは、未練があるってことで、視線が良いなと思いました。泣く泣く選んだ忘れたくないものへの視線はまた温かいのだろうと思いました。
ゆきやなぎなぎ子
★0

永遠を見つけ損ねた男には絵に描いたごと遠い青空

出詠名 遠い雷inbox × フジタレイ
18 / 15 ×2 ×11 ×7

互選名 桜枝 巧風野瑞人一条遊歩村田一広雀來豆サリーBmihoko秋子七子死んでる死刑囚和葉月骨薄荷。えんどうけいこ不可思転@aokikenichiペパーミントP小宮子々一葉宮木水葉菊池優花

選評名 個人的に、短歌的な短歌よりも詩的な短歌が好きなので選ばせていただきました。状況、理由、その他何も説明がありませんが、そこは想像の余地を残していて、味わえます。そして、「自業自得」という苛酷さを、優しさに包んで届けているような歌人のまなざしを感じます。
風野瑞人
★0
江戸川乱歩の『押絵と旅する男』の世界観に近いパラレルワールドのようで美しく素敵な作品と思います。「永遠」と「遠い青空」に押しつぶされそうなほど小さい男というように読みましたが、仮にそう解釈した場合は「男」の周りに漢字が多すぎるかなと思いました。
@aokikenichi
★0
悲しみの歌なのに、結句の美しさが際立っていることで透明感が感じられる。悲壮な歌になっていないのが良いと思います。
サリーB
★0
「男」のひとでないといけない理由というものを考えていました。夢を追いかけるロマン、映画みたいな感覚でしょうか。
「見つけ損ねた」ということはあと一歩のところまで行っていたのか、なんとなく惜しいという気持ちが伝わってきます。追い求めていたものが「永遠」だとして、その夢のやぶれた後に、男性の姿がぽつりとある、そんな情景が浮かびます。
歌の中の男性に、誰かが「青空」をプレゼントしているようにも受け取れました。何かを逃しても、孤独なようでいても、青空はその背を押すように存在しているし、そんな背中には青空が似合う。孤独なのですが応援されているようです。
不可思転
★0
永遠は見つからないものだと言う気持ちと、その言葉の詩的要素に頼ってしまってぼんやりしている印象です。「描いた」だけで絵は浮かぶし、漢字表記のゴツゴツしたようすも引っ掛かります。イメージが美しく好みなので、それがやわらかく伝わるともっとよかったと思います。
外川菊絵
★0
「永遠を見つけ損ねた」は自分探しを続けている青年のイメージが浮かびます。結句の「遠い青空」は上の句とイメージが近すぎて、比喩としては弱いかなと感じました。
太田青磁
★0
永遠なんて誰にも見つからない気がするけど、なにか大切なものを探していて、しかもそれに失敗してしまった男にとっては、青すぎる空というか、手の届かないものを見ている空虚さを、絵に描いたごと青空と描いたのは、良いなと思いました。
ゆきやなぎなぎ子
★0

永遠と寄せては<kana>反<:>かえ</kana>すさざなみへ<kana>終<:>しま</kana>われてゆく始発のふたり

出詠名 あっアニキと先輩@aokikenichi × ゆきやなぎなぎ子
19 / 12 ×2 ×8 ×7

互選名 井田 直多田なの桜枝 巧那須ジョン村田一広外川菊絵みちくさ荻森美帆和葉月骨中牧正太きいオリー終栗夢奈月遥悠佳里菊池優花

選評名 「延々と」を「永遠と」、「返す」を「反す」、「仕舞われて」を「終われて」と、ちょっとずつずらした言葉や表記から倒錯的な雰囲気を感じます。徹夜明けで頭がぼんやりしている様子が思い浮かぶようです。「寄せては反すさざなみ」は現実の日々、日常のようなものを表しているのでしょうか。「終われて」とありますが、恋の終わりというよりはそれぞれの場所に帰っていくときの一抹の寂しさをうたっているのかなと思いました。独特の空気を持った歌ですね。
中牧正太
★0
まず「始発」「さざなみ」でラッシュアワーを想像しました。しかし騒がしいわけではなく、静かな印象をうけたのですが、これは「さざなみ」とひらがなで表現されているからかもしれません。これからラッシュアワーにしまいこまれていくのでしょう。嵐の前の静けさのようです。
「始発のふたり」は、混雑する人混みの中へ片付けられてしまう。日常へ帰らなくてはならない、それまでふたりきりでいた時間は終わる。「反す」「終われてゆく」のあたりにそんな意味を感じました。「永遠と」とあるのでそういった時間を何度も経験しているのではないでしょうか。「ふたり」はこれからもずっとこういう関係である、というふうに少しさびしく受けとりました。
不可思転
★0
前の方の評を読んで考えたのですが、「永遠と寄せては反すさざなみ」には始発電車がレールの上を通過するときの「カタタン、カタタン」という音を重ねて読んでも面白いかな、と。
塾カレー
★0
サ行の持つリズムが心地よく、結句の着地点はいいなと思いました。永遠とさざなみは少し既視感のある言葉と思います。ルビを用いてまで、反と終を持ってきたのはあまり効いていないように感じました。
太田青磁
★0

くるくると遠心分離続けたら上澄みだけは綺麗なはずだ

出詠名 ルオリールオ × オリー
20 / 12 ×1 ×10 ×8

互選名 絹更ミハル桜枝 巧管理人遠井海雀來豆まう村田馨inbox和葉月骨ナタカなべとびすこちゃむフジタレイ塾カレーペパーミントP小早川静ジャック悠佳里

選評名 「たら」→「はずだ」の流れが、うまく決まったと思います。
「くるくると遠心分離」という出だしもいいですね。軽快な歌になっていると思います。遠心分離/続けたらという助詞抜きがやや詰まった感じがすること、「上澄みだけ」の「だけ」が過剰な気がすること、が惜しいところ。
雀來豆
★0
物理的には正しいですが、これは何を投入したのでしょうか。何か汚いものでも綺麗なはずだということでしょうか。歌の趣旨は分かりませんでした。
@aokikenichi
★0
遠心分離をし続けたらだいたいは上澄みは透き通る気がするんですけど・・・。
何を遠心分離にかけたのか、がわかればぐっと締まる気がします。
知己凛
★0
作中主体が「遠心分離続けたら」と思う対象が何を投入しても良いところがユニークです。恋愛でもいい、どんな行為でもいい、普段の日常そのものでもいい。例えばですが「くるくると遠心分離を続けたら上澄みだけは綺麗な恋だ」のように対象を明確にしてしまうと少しつまらないように思います。歌として何を伝えるかというだけでなく、器としての歌もあるのだなと面白く読みました。
和葉
★0
何を遠心分離させているんだろう、とものすごく考え込みました。人間の心かもしれないし、何かの行動かもしれない、主体自身かもしれない。何だろう。そこで前に評を書いてらっしゃるのおかたの「器としての歌」というとらえかたが目に入り、ハッとしました。何のことなのか分かりづらい、と言ってしまえばそれまでで、確かにそうかもしれませんが、こう考えていくのは面白いです。
ずっと続けないと綺麗にならないのですね。残るもののこともずっと考えておりましたが、一体何がひそんでいるのでしょう。分離させた後は見て見ぬふりをするのでしょうか、よほど「綺麗」ではないものなのでしょうか。
しかし、遠心分離を続けることによって、「上澄みだけは綺麗なはずだ」となるので、少し希望があるように思います。対象の美しさをさいごまで信じている、それに望みをかけている、見捨てたりしないという主体の意気を感じました。
不可思転
★0
遠心分離をしたあとの上澄みは、底に沈んでいるものに比べれば確かに綺麗なものに見えます(本当に綺麗かどうかは別として)。上澄みだけは綺麗なはずだ、という言い切りから、まるで主体が自身にそのことを言い聞かせているかのような印象を持ちました。遠心分離を詠ってはいるが、これは一首全体で比喩を成しており、主体が自分自身を厳しく追い込んでいく悲痛な思いを表しているのだろう、と考えました(読みすぎ)。
塾カレー
★0
遠心分離機による抽出をして、綺麗なものとそうでないものを分けて、上澄みだけを取りたいのだと読みました。おそらくは比喩なのでしょうが、何を遠心分離にかけたのかが想起できず読み切れませんでした。
太田青磁
★0
自分のことを詠んでいるのだと読みました。人はだれだって、ぜんぶがぜんぶ綺麗ではないけど、綺麗な部分もあるはずだって、少しでも自分を好きになりたくて、くるくると何度も遠心分離して、上澄みを取り出そうとしているんだろうと思います。やさしい人なんですね。
ゆきやなぎなぎ子
★0

雪解けの遠き峰緩く流れ去るさねさし相模鉄道の窓

出詠名 丹澤たかを佐藤博之 × 萩野聡
21 / 12 ×0 ×12 ×6

互選名 井田 直桜枝 巧雀來豆矢波多恵こりけケリ子みちくさ荻森美帆村田馨inbox和葉月骨フジタレイ塾カレーペパーミントP太田青磁泳二きつね静ジャック

選評名 「さねさし相模の小野に燃ゆる火の 火中に立ちて問ひし君はも 弟橘比売命」からの想起のお歌でしょうか。相模鉄道は横浜と厚木を結ぶ私鉄ですので「雪解けの遠き峰」とは大山、「流れ去る」のならば横浜に向かう電車と読みました。都会から遠くに見える雪山とのギャップで、ただでさえ詩情をかきたてる車窓の風景がより引き立つように感じました。
須磨蛍
★0
下句「さねさし相模鉄道の窓」が軽快で好感です。遠き峰は大山でしょうか、それとも箱根山でしょうか。
村田馨
★0
別の方のコメントにて、本歌を知りました。風景を詠むのは苦手なので読み取れてないのだと思いますが、最後の「窓」が残念に思いました。
@aokikenichi
★0
上句が詰め込みすぎてやや窮屈になってしまった気がします。ここから引き算ができるとより洗練されると思うのですが。
中牧正太
★0
具体的な主体が浮かぶより、風景が浮かびました。まるで、展覧会で優勝をとる素敵な写真に入り込んだようです。あくまで個人的な考えかたですが、漢字が多めであることによって、雪のある風景のきりりとしたイメージが伝わってきているのかな、と思いました。窓から見る景色は遠いものであり、また見ている景色である峰にとって雪解けは遠いものである。圧倒される自然と感情を共有できているような錯覚もうけました。
「さねさし」の枕詞が好きです。これを「相模鉄道」の表現にもってきたところに詠んだかたがたの粋を感じます。
不可思転
★0
「さねさし」は相模に掛かる古い枕詞ですね。
漢字が多い一首の中ではよく目立ちますし、「さねさし相模」のリズムが面白い。「緩く流れ去る」は、「雪解け」と「流れ去る」という意味上の繋がりや、ゆっくりと走り行く列車を踏まえての表現だと思いますが、若干雰囲気に流されているようにも感じました。
塾カレー
★0
さねさしは枕詞なのですね。サの音が連なり清冽な情景が浮かびます。相模鉄道からみる峰は大山か丹沢でしょうか。相鉄の窓は開閉できたように思います。
太田青磁
★0
「さねさし」は相模に係る枕詞なんですね。勉強になりました。上句は峰(の景色が)窓を流れ去るという意味ですね。「雪解け」という言葉があったので雪解け水が流れるのかと少し混乱しましたがこれは早とちりで歌の疵ではないと思います。むしろ二つの意味の重なりも味わうべきですね。
上句の五五八の韻律がなんともいえず、下句のさわやかなサ行も申し分なし。
泳二
★0
雪解けの遠き峰に、さねさしという枕詞を持ってきたことで、万葉感が出て、壮大なイメージも重なって、とてもきれいに情景を詠まれたな、と思いました。鉄道の車窓から、というのも素敵です。
ゆきやなぎなぎ子
★0

離婚事由詰まったバケツをぶん回す 手を離す日をただ待っている

出詠名 いくらまつこなかばまち子 × りつ
22 / 11 ×1 ×9 ×10

互選名 桜枝 巧アキヒニルイドリツコ管理人雀來豆こりけケリ子荻森美帆404notF0816inboxナイス害淡海わこ和葉なべとびすこえんどうけいこ三田たたみきい塾カレー小宮子々小早川坂本 樹

選評名 「事由」と「理由」を思わず検索して調べてしまいました。「個別の」に重きを置くという「事由」と「万人向け」の「理由」みたいですね。不倫や暴力ではないさぞ腹のたつ事由だったのでしょうバケツを「ぶん」回す気持ちが伝わって来ました。ただ、そこまでして「ただ待っている」というのが理解できませんでした。より遠くへ飛ばすために遠心力を得ているのならば「狙う」くらいの表現の方が適しているかと思いました。
@aokikenichi
★0
ものすごい遠心力かかってるんでしょうね。ぶん回す、で勢いがあることが伝わってきました。
淡海わこ
★0
「ぶん回す」でものすごく遠心力のかかったバケツを思い起こせます。
バケツから手をはなすときには「放す」を使うのでしょうけれど、あえて「離す」を使われているところから、もう別れてしまうことは決定なのでしょうね。そうであれば「待つ」よりももう少し能動的な動詞を持ってきた方がよかったのかな?と思いました。
知己凛
★0
ただ待っていることしかできない理由、あえてそうしている理由があるのでしょうか。ぶん回している主体の意思ではどうにもならない何かがあるのかも、と考えました。「手を離す日」というのはもしかして、心の中でバケツを手放すという日のことと、離婚されるおふたりの一度はつながれた手を離す日、のふたつを示しているのだろうかと個人的に思いました。
やはり「ぶん回す」にとても感情と力を感じます。比喩としても、バケツに詰まっているというのにも粗雑な印象を受けます。相当のことがあったのでしょう。遠心力を感じますし、ただ待つしかないその日も遠く、ふたりの関係も遠く……ととりました。
不可思転
★0
バケツをぶん回す、という動作の力強さがいいですね。
めちゃくちゃ遠心力がかかっていそうです。
そういえば、水の入ったバケツを高速でぶん回したら水はこぼれないんですよね、遠心力で。この場合も、こぼれてしまいそうな離婚事由がこぼれないように、バケツをぶん回して、必死で耐えているような主体を想像しました。「手を離す日をただ待っている」から、主体のやりきれなさが浮かびます。
塾カレー
★0
時限爆弾的なあやしさが心に響きますが、とりわけバケツは手から離れるものでなく主体が手を離すものであるというところに、意思とどうしようもなさのせめぎ合いが垣間見えていいなと思いました。
御殿山みなみ
★0
「離婚事由」は少し硬い感じですが、「ぶん回す」は勢いがあります。離婚と手を離すは同じ語が続いてしまっているのがすこしもったいなく感じました。
太田青磁
★0
少し検索してみたら、主に訴訟とかになると出てくるフレーズなのですね、「離婚事由」。これを見て存外な生々しさにおののいてしまったりもしたのですが、それでも全体を貫くあっけらかんとした感覚が好きです。「ぶん回す」というくだけた表現には、もう「どうにでもなーれ!」というような明るさがあるように思います。
でも、もしかしたらバケツじゃないのかもしれませんね。バケツと思っているだけで、もう離婚事由の詰まったバケツとしか思えない誰かと手を繋いでぐるぐる回っていたりするのかも。
小宮子々
★0
すごくいろいろ溜まっていそうだから、離した瞬間に飛んでいくんだろうな、その思い切りがいいなと思います。相手は溜まっていることに気づいているのかいないのか、その日はくるのか、小説のような短歌だと思いました。
ゆきやなぎなぎ子
★0

錆びついたコーヒーカップにホルン抱き遠心力で永遠になる

出詠名 おもちのつみ木都築つみ木 × すみ
23 / 10 ×0 ×10 ×5

互選名 桜枝 巧アキヒニ一条遊歩村田一広村上すみれサリーBシュンイチ和葉月骨中牧正太フジタレイきい小宮子々静ジャック菊池優花

選評名 恋人同士が近づけた、みたいな意味でしょうか。「永遠」をどう解するかが今ひとつわかりませんでした。あとせっかくのホルンが歌の中で生きてないのが残念です。
@aokikenichi
★0
コーヒーカップはもしかしたら遊園地にある遊具なのかも・・・と思いましたが、「ホルン」との関係性がよくわからなくて迷子になりました。
知己凛
★0
遊園地のコーヒーカップのくるくる回すやつ、僕は平らなのしか見たことないですけど、ラッパ状のものもあるんでしょうか。誰と乗ってるんでしょう。やっぱり恋人かな。もしくは一人でしょうか。終わらない回転運動、我が身が我が身でないような感覚から「永遠」を思ったんでしょうね。
中牧正太
★0
コーヒーカップは遊園地にある遊具と読みました。実際に、年季の入った遊具があり、それを主体が見つめているのでしょうか。
個人的な想像ですが、誰かから言われた言葉や思い出が錆びついているのでは、とも思いました。「錆びついたコーヒーカップ」は、古い言葉をずっとくるくる心の中で繰り返し思い出している主体のこと、かもしれません。ホルンは伸ばすととても長く、息が音になるまではそれなりに時間と力が必要です。管の中をぐるぐると回り、遊具のカップのように回転し、ふりまわされてやがて対象は永遠になる。錆びついたものが永遠になるのは、何にも興味をもたれずに消えていくよりもロマンがある、そう思っていいのだと、このうたは言ってくれているように感じます。「遠」という今回の題に重きをおいたというよりも、もっと別の物語を見せてくれるうたなのかも。
不可思転
★0
ふと、ホルンの形って内耳の模式図に似てるなあと思いました。開いてる場所から管が伸びてぐるぐるなっているところとか。コーヒーカップが「錆びつい」ているからにはやはり私も遊具だと思うのですが、あの遠心力の権化みたいな遊具に乗っていて、その遠心力を一番感じ取っているのは内耳ですよね。もう廃墟の遊園地なのかな、動くことはないコーヒーカップの上で主体の抱くホルンは内耳のかわりに永遠の遠心力を感じるのかもしれません…
…などと考えてはみたのですが、これはあくまでも私の想像なので。錆びついたコーヒーカップの遠心力/永遠というパーツは中々おもしろいものなのですが、なぜホルンなのか、という点が引っかかったまま先に進めないようなところがありましたが、楽しませていただきました。作者の方々の真意をお聞きしたいところです。
小宮子々
★0
遠心力や錆ついたから遊園地にあるコーヒーカップなのでしょう。ホルンは楽器でしょうか。ベルの形状とコーヒーカップは似ていなくもないですが、「遠心力」と「永遠」と題を重ねたところはやや過剰に感じます。
太田青磁
★0
錆びついたコーヒーカップとホルンは思い出の象徴なのかなと思います。それを遠心力という行程を経て、思い出として丁寧に永遠にするというのが、いいなと思いました。
ゆきやなぎなぎ子
★0

地球からはぐれつづけた遥かなる星です 人はいつも偽り

出詠名 風の図書館司書風野瑞人 × つん
24 / 8 ×2 ×4 ×4

互選名 アキヒニ村上すみれたかはしりおここりけケリ子まうmihoko404notF0816和葉中牧正太長月優

選評名 地球からはぐれたということはもともと地球だったということですね。
誰もまだ知らない星なのでしょうか。
「人はいつも偽り」がやや唐突な感じがしますがスケールも大きいですしきれいな歌だと思います。
村上すみれ
★0
他人になじめない「私」を「星」になぞらえたのでしょうか?意味が分かりませんでした。
@aokikenichi
★0
宇宙を背景に採ったことで、最後の「人はいつも偽り」がとても寂しく、加えて切ない”諦め”を感じさせます。何をされたなんなんでしょう? 想像がかきたてられます。
月島 かな
★0
太陽系や銀河系からはぐれたのではなく、地球からはぐれた。これは人間関係のことかな、と読みました。そのまま想像してもきれいですね。遠い遠い場所から、「人」を客観的に見ているような。遠いからこそ客観的に見ることができるのでしょう。
「偽り」は、動詞をわざとこういう形にしたのでしょうか、それとも単純にうそのものということでいいのでしょうか。少し考え込みました。「人」という存在自体がうそなのか、うそをつく存在なのかというところで変わってくるのではと。
飛躍しすぎかもしれないのですが、人工衛星かもしれないですね。人が偽りの行為をしていることを責めているような印象もうけます。果てしない宇宙に放置されたままの機械をふと思い浮かべました。
不可思転
★0
結句の唐突さが気になる一首でした。はぐれることと偽りであることはなんとなく近しい気がします。歌意はうまくとれていませんが、魅力があったので票を入れました。はぐれ、はるか、ほし、ひとのh音の連なりもよいと思います。
長月優
★0
「はぐれつづけた」と「遥かなる」は意味が近いので、どちらかを星の描写にできるのかなと思います。一字空けて「人はいつも偽り」と言い切るには、上の句で対立するものを想起させておかないと、やや唐突に感じてしまいました。
太田青磁
★0
この星は自分のことで、70億人が暮らす舟のなかではぐれ続けたっていうのが前半で、でも後半で、でもみんなもほんとはそうなんだろっていう感じがしました。挑戦的で良いと思います。
ゆきやなぎなぎ子
★0

いつもより君が遠くにいるようで坂道を見上げれば陽炎

出詠名 えいたた泳二 × たた
25 / 8 ×1 ×6 ×8

互選名 桜枝 巧ルイドリツコサリーB荻森美帆砺波 湊淡海わこ和葉えんどうけいこ終栗夢塾カレーペパーミントP小早川奈月遥ゆきやなぎなぎ子静ジャック

選評名 隣にいるのに気持ちだけ伝わらない、とかまだお互いの気持ちがわからない関係なのかな?と思いました。主体は学生でそんなもどかしい気持ちを抱えながら、でも一緒に帰っていて、言葉に詰まって顔を上げたら坂道の上に陽炎が揺れていた。みたいな光景が浮かびました。夏のむせかえるような空気を感じました。
淡海わこ
★0
友達だと思っていた「君」への恋に気づいた、あるいは失った、というようなことでしょうか。状況がつかめませんでした。
@aokikenichi
★0
予感をおぼえ、急いで顔をあげたら「君」ではなく陽炎がゆれていた、もしかして「君」とはもともと存在せず陽炎だったのではないかと主体が混乱してさびしくなっているような風景を見ました。
主体ひとりアスファルトの道路の上に取り残されたともとれましたし、陽炎をへだてて「君」とまだ向かい合っているのかもしれません。へだてるものだとすると「陽炎」は心の距離だともとれます。何を考えているかわからない友人か、好きなひとなのか。何かはぐらかされたのか、追いつけないともどかしさを感じているのか。とにかく確かに「遠くにいる」んですね。
不可思転
★0
今までは普通に接してくれていたと思っていた「君」がなんとなくよそよそしいことに気づいて、心変わりを疑った瞬間ではないかと読みました。坂道は二人の未来を暗示させるとともに、「君」に対する主体の信頼度の揺らぎと陽炎が重なって見えてくるようです。
えんどうけいこ
★0
「坂道を見上げれば」という何気ない描写がとても効果的な一首だと感じます。坂道の上にぼうっと陽炎が立っている。ただそれだけなのにどうしてこれほど遠さを感じるのだろう。下の句に頗る説得力があると思う。
塾カレー
★0
君はいつもは主体の近くにいるのでしょうか。この遠くはすでに会えなくなってしまったという追想のようにも取れていいなと思います。下の句の句またがりに加えて、体言止めの陽炎は少し強すぎる印象です。
太田青磁
★0
時を駆ける少女のような青春の一幕って感じで素敵です。いつもよりというのがワンシーンのようでいいです。坂道で見上げている感じが、届かないようだけど、それはきっと届くよ!と応援したくなる青春です。
ゆきやなぎなぎ子
★0

眠らない街の明かりがわたしだけ置き去りにしてまた遠回り

出詠名 31der荻森美帆 × 一条遊歩
26 / 8 ×0 ×8 ×11

互選名 桜枝 巧那須ジョン村田一広たかはしりおこ外川菊絵ルオ村田馨404notF0816死んでる死刑囚和葉月骨萩野聡えんどうけいこ不可思転太田青磁奈月遥泳二静ジャックたた

選評名 置き去りとは?遠回りとは?終電ということでしょうか?状況がわかりませんでした。
@aokikenichi
★0
終電を逃して、最寄り駅ではない駅から徒歩で帰っているのでしょうか。それとも、終電が迫っているために、「眠らない街」から引き離されるように帰っているのでしょうか。「置き去り」「遠回り」という言葉に主体の寂しさが伝わるようです。
ルオ
★0
深夜まで続いた飲み会などで、ふと孤独をおぼえ、置き去りにされたように感じている主体、を想像しました。知らない土地に来ているのかもしれません。「また遠回り」というところに、土地やひとびとになじみたいのになじめない主体のためいきを感じます。また、とあるので、何度もこうだったのだと。置き去りにされた感情から、なんとなく街のほうを避けて、人気のないはずれたところを歩いているという意味で「遠回り」なのかな、ともとりました。
不可思転
★0
置き去りにされたのは「わたし」だとすると、遠回りするのは「街の明かり」なのでしょうか。昼夜問わず動いている街に対して、立ち止まっている私の寂寥感があります。結句の体言止めは少しゆるいかもしれません。
太田青磁
★0
都会で一人ぼっちのさみしさは、孤独が増しますね。でもこの人は「また」置き去りにされても、遠回りして進もうとしていて、強い人なのがまた悲しいけど、希望がある歌だと思いました。
ゆきやなぎなぎ子
★0

バス停まで200メートル老眼の母のめがねは遠くかがやき

出詠名 三田みなみ三田たたみ × 御殿山みなみ
27 / 8 ×0 ×8 ×6

互選名 井田 直桜枝 巧那須ジョンサリーBたかはしりおこinbox和葉月骨ナタカペパーミントP小早川泳二宮木水葉ゆきやなぎなぎ子

選評名 バス停から200メートル離れているにいる母のめがねが輝いているということなのでしょうね。実景は思い浮かびます。
ただ、200メートルが遠いのかどうかというのが少し疑問に思います。また、主体と母の関係性がもう少し具体にあれば距離ではなく精神的に「遠」いと思えるかもしれません。
知己凛
★0
バスを降り立った母を迎える私の立場でめがねの輝きが見えたのか、バス停へ行く(足の悪い)母がその距離に挑むという比喩でめがねがかがやいたのか。前者だと詩として弱いと思います。後者ならば200メートルではなくもっと短くて良いのではと思います。
@aokikenichi
★0
母の立つ家の前から、バス停までが200メートルと読みました。主体が振り向いたとき、あるいはバスから降りたとき、老眼の母のめがねが反射したのでしょう。景はあたたかでバス停、200メートル、老眼の母、めがね、というモチーフが素敵です。めがねとひらがなで表記されている点と、かがやくという表現が少し気になりました。また「遠く」を外して推敲されるともっと良い歌になるように思います。
和葉
★0
200メートルというのは不思議な距離です。まっさきに短距離走の200メートル競走のことを思い浮かべたのですが、200メートルって本当に短距離だろうか、結構長いのではと子供の頃悩んだ記憶があります。
「めがね」とひらがなにしたのは、「老眼」の部分で眼の漢字が重複してしまうからではないかととりました。
バス停に母がいて、そこに主体が行こうとしているのか、それともバス停を目指して母と主体は一緒に進んでいるのか。「母のめがね」の「かがやき」を遠く感じているということは、主体と母親の位置関係としては離れているととっていいのでしょうか。少し悩んでしまいました。母と過ごしてきた年月を思って、それを輝きに見ているのかもしれません。
不可思転
★0
200メートルはどこからの距離なのでしょうか。「老眼」が遠視を想起させて「遠くかがやき」につながっているのかなと思いました。
太田青磁
★0
田舎の実家からまた一人暮らしの都会へ帰ろうとしていて、母が家の前で見送ってくれているのかな、と思いました。200メートル見送ってくれる母は、バスが見えなくなるまで見送ってくれるのだろうと思います。こういうとき、ふと、あとどのくらい親と過ごす時間があるのかな、と思ったりします。
ゆきやなぎなぎ子
★0

永遠にわからないような気がしてる隣の君が見せる深遠

出詠名 DDIT先生支部せいや × 悠佳里
28 / 6 ×0 ×6 ×11

互選名 桜枝 巧村田一広雀來豆まうみちくさ404notF0816和葉月骨中牧正太萩野聡フジタレイえんどうけいこ終栗夢小早川一葉稲垣三鷹のんぼう

選評名 冒頭と末尾に重い「永遠」と「深遠」が配置されていますがそれをつなぐのが「わからないような気が」というのは弱いかなと思いました。永遠も深遠ももともとわからないものなので。
@aokikenichi
★0
「永遠」か「深遠」のどちらかを目に見える具体的な言葉にしたら、状況が浮かびやすいかな、と思いました。個人的には、「隣の君が見せる深遠」というフレーズ好きです。隣にいても届かない部分、例えば一見笑っててもどこかせつなさが伴ってたり。恋するひとの複雑さとそれに手が届かない自分のせつなさが両方表現されてると思いました。
萩野聡
★0
上の句は主体のあいまいな気持ちの表れなのだろうか、と思いました。「ような」「気がしてる」のふたつの部分が、わかりたいようで、わかるようで……とうろうろしているイメージです。そしてそんなところを下の句でどすんと落とされた気がしました。言い切っていますし、「深遠」というものはおそろしく蠱惑的なものに感じます。上下いったりきたりして読みかえしたくなるうたです。
不可思転
★0
君が心の中で考えていることはいつまでもわからない、ということだと思います。「ような気がしてる」はとりたてて何かを言っているわけではないので、結句の「深遠」が唐突に感じられて、題を二回使ってまで難しく言わなくてもよいと感じました。
太田青磁
★0
ちゃっかり永遠に隣にいる気なのがいいなと思いました。こんなに近いのに遠いけど、だからこそ隣でずっとわかろうとしたいっていうハッピーな短歌です。深遠(淵)をのぞくとき、深遠もまたおまえをのぞき返すのだ、というニーチェを連想しました。かわいいカップルですね。
ゆきやなぎなぎ子
★0

急いている私の前に花びらで誘惑をする遠くの桜

出詠名 めっちゃむりっ!ルイドリツコ × ちゃむ
29 / 5 ×2 ×1 ×5

互選名 桜枝 巧mihoko淡海わこ和葉小早川一葉奈月遥静ジャック

選評名 状況は浮かびましたが「遠くの」が無理やりはめ込んだように思いました。
@aokikenichi
★0
「誘惑」といわれると、どうも「急いている私」を甘くたぶらかす、ちょっとよくない道へそそのかすように思われます。桜は、「私」が「急いている」のを知っていても、落ち着かせてくれるわけではないのでしょうか。励ましているわけでもないなら、やはり行く手を阻むものとしての「桜」でしょうか。何か急がなければいけないわけがあって、でも本心では別のことをしたくて、それを「桜」が読み取っている上で誘っているのかもしれません。春は色々なことの始まりの季節ですし、桜が咲くと浮足立つような、焦るような空気も感じます。色々考えてしまいました。
不可思転
★0
春は終わりの季節でもありますね……だからこそ「私」は急いでいるのでしょうか。やはり色々と想像をめぐらせてしまいます。
不可思転
★0
桜が花びらで誘惑するのは、花を見てほしいと思っているのか、何かの比喩なのかが取り切れませんでした。そんなに急がないでゆっくり花見でもしようよ、という心の余裕を持ちたい、というメッセージかもしれません。
太田青磁
★0
風で花びらが舞ってきて、ハッ(私は急いている)と思っているようなシチュエーションが良いなと思いました。本当はゆっくり生きていたいのかな。花びらの誘惑というのが雰囲気があっていいな、と思いました。
ゆきやなぎなぎ子
★0

時々は遠くへ行きたくなるらしいこころのなかの幼き自分

出詠名 薄荷すみれ薄荷。 × 村上すみれ
30 / 4 ×0 ×4 ×11

互選名 桜枝 巧管理人遠井海ルオなかばまち子死んでる死刑囚和葉月骨萩野聡えんどうけいこ不可思転奈月遥坂本 樹静ジャックたた

選評名 きれいなモチーフと思いますがあと一捻りあるとより良くなると思いました。
@aokikenichi
★0
「心」を敢えて「こころ」と表記する言い回しが好きです。具体性があればより心に刺さる歌になるでしょうか、しかし全てが抽象的であることが万人受けを呼ぶ歌であるような気もします。
ルオ
★0
少年のこころを忘れない、ということでしょうか。
子供の頃より大人になってからの方が遠くへ行きたい願望は大きくなったような気がします。
淡海わこ
★0
「こころのなかの」とひらがなが多く、やわらかで、「幼き自分」を優しく際立たせているように感じました。
想像ですが、主体は今いる場所のこともとても大切なのではないでしょうか。だからこそ、「時々」ふと息抜きに、何かを思い出すように「遠く」の場所へ思いを馳せる。単なる冒険心かもしれないし、少しだけ逃げて距離を置きたいのかもしれません。行きたい場所は具体的などこかではなく、想像の世界かもしれません。疲れたなあと感じたときにこういう「自分」が出てくる気がします。主体はそんな「幼き自分」を責めるでもなく、静かに受け止めて同調しているようにみえるので、幼い主体ともうひとり大人の主体が並んでどこかを見ている景色が浮かびました。
不可思転
★0
たぶん作者本人が「遠くへ行きたい」のですよね。でもその声を、「こころのなかの幼き自分」が発しているように感じる。「行きたくなるらしい」とぼかして表現しているところからも、思うがままに遠くに行くことができない大人になった作者の姿が見えてくるようです。
えんどうけいこ
★0
自分ではどうしようも無い、内なる衝動というんでしょうか、そういうものを軽やかに詠っている。「幼き」ってあんまり良いイメージの言葉ではないように思えるのですが、そんな自分の中の「子供」の部分と上手く折り合いを付けることが出来ている主体を思い浮かべました。衒いの無い一首ですが気持ちがいい。
塾カレー
★0
幼いころの好奇心を思い出しているのでしょう。「なるらしい」は自分でもこころのなかをうまくとらえられていないということなのかと思います。
太田青磁
★0
この気持ち、わかるなーと思うけど、人によって行きたいところはちがうんだろうな。過去に行きたいとか、あてもない旅に出たいとか。今を生きているからこそ、ときどき幼い自分が遠くへ行きたくなるんだと思います。前向きな歌だと思います。
ゆきやなぎなぎ子
★0

ティーカップ浮かぶ花びらきみの舟 身寄せるほどにひらり舞い去る

出詠名 月のさら月島 かな × 絹更ミハル
31 / 3 ×0 ×3 ×4

互選名 桜枝 巧一条遊歩和葉オリー一葉奈月遥ゆきやなぎなぎ子

選評名 助詞って言うんでしょうか。単語と単語の繋がりがわかりにくくて、難解だと思いました。ティーカップに浮かぶ花びらを、主体は「きみ」の舟だと見立てている。下の句は、そんな花びらが舞ってティーカップから出てしまうことなのかな。花びらと「きみ」を重ねて詠んであって、遠いっていうのもなんとなくはわかるのですが、ちょっと題から遠い気もしました。
たかはしりおこ
★0
花びらがお茶に浮いてて、とろうとするとスイッと逃げてしまう場面?でしょうか。
なかなか仕留められない恋を遠いと表現してる?の?かな…
私もちょっとこの歌から「遠」のイメージがつかめませんでした。
りつ
★0
他の方のコメント同様、「遠」が感じられませんでした。強いて上げると遠心力かなとは思いますが、
@aokikenichi
★0
カップに花びらを浮かべて飲もうとすると花びらはどう動くんでしょう。遠ざかっていくのかな。いやむしろ口のほうに寄って来るような気も…など思いつつ読みましたが、とりあえず遠ざかるものとして。発見が繊細ですね。喩もきれいだと思いました。ややきれいすぎる感もありますが。
中牧正太
★0
ティーカップに浮かんでいる花びらが「舟」で、「きみの舟」というのはきっと、「きみ」の存在、心そのものなのでしょうね。そうとりました。主体が「きみ」に近づけば風が巻き起こり、そのたびに、花びらは舞っていってしまう。心も体も近づけば近づくほど、主体のせいで遠ざかる。「きみ」はずっと遠い存在なのでしょう。もどかしいです。
不可思転
★0
主体が身を寄せるほど近づくと。きみが遠くに行ってしまう、という題の捉え方なのでしょうが、少し距離があるように感じました。「浮かぶ花びら」が「舞い去る」のも少し不自然に思います。上の句に並べられた三つの体言は意味は取れるのですが、助詞がないと視点が定まらない印象です。
太田青磁
★0
液体に浮かぶものは、近づくと逃げるから、それは確かに遠いのかも、と思いました。それを遠いととって、こんなにきれいに詠まれたのが素敵です。しかもティーカップに偶然入ってしまったんだろう花びらを「きみの舟」としたのが、きみと出会えたのも偶然なんだって言っているようで、良いなと思いました。
ゆきやなぎなぎ子
★0

あの星の3分の2は透きとおり遠ざかるほど青くなったの

出詠名 宇宙がーるず夕立いとな × まう
32 / 2 ×0 ×2 ×10

互選名 桜枝 巧管理人那須ジョン村田一広サリーBみちくさ404notF0816和葉小早川奈月遥ゆきやなぎなぎ子たた

選評名 宇宙から地球を見ていて、海の部分が青いことを言っているのかな?と思いましたが透き通るの意味がちょっとよくわからず。
りつ
★0
詩的で好きなお歌です。
「透きとおり」とは見えないことを指すのではないでしょうか。
月から見た地球と読みました。
404notF0816
★0
他の方のコメントで地球を外側から見た歌と理解しました。ただ、「透」くのと「遠ざかる」のと「青く」なるの関係性が分かりませんでした。
@aokikenichi
★0
「あの星」は地球で、「3分の2」の部分は海だろう、ととりました。「あの」と遠くをさす言葉を使って示しているので、主体は地球外生命体、もしくは元地球人で今は別の星へ移住しているとか。地球を見ながら懐古しているように思えます。「透きとおり」「青く」は賛美しているのかな。富士山は近づけばごみだらけ、遠くから見れば絶景、と言われますがもしかしてそういう感覚でしょうか。「遠ざかるほど」の部分はそう感じました。遠いものは感情・景色・記憶・物体、なんでも美しく見えるのかもしれませんね。
不可思転
★0
宇宙から地球を眺めているのでしょうか。遠くから見ると美しいものって沢山ありますよね。
「透きとおる」がうまく捉えられませんでした。
薄荷。
★0
先の評の方々と同様に、やはり3分の2が透きとおっている星は地球だろうと考えました。海は青く見えるもの、という刷り込みがされているせいか、「透きとおる」が多少意味を取りづらく感じましたが、地球は水の惑星であるということを考えれば「透きとおる」という表現はさほど無理のないものであると思いました。
塾カレー
★0
「地球は青かった」をモチーフに、あの星は地球、3分の2は海洋を意識しているのだろうとよみました。遠ざかるほど青くなるのかというところはうまく読み切れなかったです。
太田青磁
★0
地球のことですよね。遠ざかるほどキレイに色づくと言われると、まさに人の住む星だな、と思いました。もともとは透き通っているというのも人らしくて。しかも「なったの」という、受動的な感じが、いいなと思います。事実が大半だけど、人のきれいな部分を詠んだような素敵な歌だと思います。
ゆきやなぎなぎ子
★0


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空に浮かぶ子供雀來豆 × 月骨
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おもち
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「さーてぃーわんだー」と読みます。攻めます。
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三田みなみ三田たたみ × 御殿山みなみ
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イーーーー!!
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ワレワレハ「宇宙がーるず」ハジメテノ共作短歌ヨロシクドウゾ

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