連歌の花道『新月ノ歌会』

長月の歌会

新月ノ歌会工事中

夢で会う約束がある 傘立ての底にうまれた夜のみずうみ 久藤さえ × 西藤智

平成30年度 長月の歌会『下弦の部』

 上の句に付ける下の句を出詠ください

詠草リスト

[今回の投票式目]
特選(2点)×1票
並選(1点)×3票
次選(0点)×∞票
互選(2点)×1票

冠 仲間に入れてくれるだろうか

出詠名 古志野光
首席 / 15点 ×4 ×5 ×5 ×1

互選名 斎藤秀雄さちNATURAキール知己凛もーたろ寿々多実果藤 かづえロサ・ブラックティーかくとだに衣未(みみ)きい静ジャック古志野光

選評名 いちばん意外な下句だと感じました。「引っ越し」「鰯雲(秋)」といえば寂しさがあって、《去る町とその思い出への未練》または《新しい町への期待と不安》、そのふたつのどちらかが詠まれるのだろう、と思っていました。意外にもあいだをとって(?!)鰯雲の仲間になりたいとは。でも意外でもなんでもなく、ほんとうの本心は、鰯雲って仲間がいっぱいいるなあ、仲間にしてくれそうだなあ、という、いまここで感じている寂しさを、雲に見出す、という連想が、リアルなのかもしれません。そうか、その方向があったか、という発見に、一票です。
斎藤秀雄
★0
窓にあふれる鰯雲を、引っ越し先で出会うことになる様々な人々に喩え、その人達と自分はうまくやっていけるだろうか?という不安と期待に満ちた気持ちを表していると思いました。ガンバレと応援したくなります。
NATURA
★0
率直な心の内を鰯雲に問いかけている感じがとてもいいです。転校してきた時のあの期待と不安を思いだしました。
静ジャック
★0
読み違えでしたらすみません。私は一見した時、窓にあふれる鰯雲の仲間になってどこか遠くにいってしまいたい、という気持ちを詠んでいるように思えました。人はともすれば、先の不安を思い、逃避したい様な感傷にとらわれるもの、そういう句なら共感するところがあります。
ロサ・ブラックティー
★0

涙を拭けばあとはオレンジ

出詠名 斎藤秀雄
2 / 10 ×1 ×6 ×4 ×1

互選名 つるさち甘酢あんかけ知己凛もーたろロサ・ブラックティーかくとだに蟻男きい静ジャック斎藤秀雄

選評名 鰯雲は涙を浮かべながら見ていた。その涙を拭いている間に鰯雲は(恐らく)なくなりオレンジ色の夕空になった。時間経過の描写が上手いです。
さち
★0
主体には窓に広がる鰯雲が自分の心を写しているように思えたのでしょう。やがて雲ははれ、オレンジの夕焼け。これは主体の心象風景なのかもしれないとも思います。希望めいていていいですね。救われます。
もーたろ
★0
春ではなく秋に引っ越しをしているという大前提から
主体は何か事情がありそうなもので、
流れる涙が止まったのなら幸いです。
センチメンタルな秋空でも、夕陽は優しい色ですね。
蟻男
★0

整備を終えた電車が並ぶ

出詠名 つる
3 / 9 ×2 ×3 ×5 ×1

互選名 斎藤秀雄さち甘酢あんかけ知己凛もーたろロサ・ブラックティー苔井 茅蟻男きい静ジャックつる

選評名 鱗雲の規則正しい模様と対比するような電車の描写があって、新しい生活の前のぴしっと姿勢を正すようなさわやかな気持ちにさせてもらえました。
電車が整列している様子は、それだけで静寂というかぴりっとした空気が感じられます。
知己凛
★0
「鰯雲」は(期待も混ざっているかも知れないですが)たくさんの不安の象徴の様ですが、それに対して出された、「整備を終えた電車」が、すべての準備を終えてあとは出発するだけ、と言う決意の様に見えて、潔くて心地良いです。
ロサ・ブラックティー
★0
票及び評有難う御座いました!
車両基地の近くに住んでおり、空かない踏切の向こうにある空室のアパートの画が浮かんだので詠みました。表現したかった事が伝わって、嬉しく思います。
つる
★0

 何も置かない部屋は広いね

出詠名 きい
4 / 9 ×1 ×5 ×3 ×1

互選名 つる斎藤秀雄もーたろ寿々多実果ロサ・ブラックティー蟻男静ジャックきい

選評名 とてもシンプル。引っ越しでカーテンもなくなって、窓いっぱいに空の鰯雲が見えるとき、当然、部屋にはなにもなくて、こんなにひろい部屋に住んでいたんだっけ、と改めて思いますよね。シンプルだけど、上句にもともと備わっている心情を強調する、控えめで役割のはっきりした下句のように感じました。
斎藤秀雄
★0
すっきりとしていて、上の句の鰯雲が引き立っていると思いました。

★0
私も上評の方々のように、「あふれる程たくさんの鰯雲」と「何も置いていない部屋」の対比が、美しいと思えるほどすっきりして感じて、まるで一枚の絵画を見る様で良かったです。
ロサ・ブラックティー
★0

コーヒーカップに湯気立ち上る

出詠名 きつね
5 / 8 ×1 ×4 ×7 ×1

互選名 斎藤秀雄さちNATURAキール甘酢あんかけ知己凛もーたろ寿々多実果ロサ・ブラックティー衣未(みみ)きい静ジャックきつね

選評名 引っ越しの始末が一息ついたというところでしょうか。コーヒー好きの私としてはこの気分、この気持ちというのはよく理解できます。とにかく一杯。窓にはいっぱいの鰯雲。どことなく物憂い雰囲気が漂います。
もーたろ
★0
新しい部屋での初めてのコーヒー。鰯雲とコーヒーカップの湯気との色合いが美しく、秋らしいなあと思いました。
衣未(みみ)
★0

切り取られゆく思い出ぽぽぽ

出詠名 知己凛
6 / 8 ×1 ×4 ×3 ×1

互選名 つる斎藤秀雄甘酢あんかけもーたろ古志野光きい知己凛

選評名 もちろん〈切り取られゆく〉という強引な複合動詞が気にはなったのですが、〈思い出ぽぽぽ〉は楽しく、かつ、とても的確のように感じました。これはたぶん、窓に切り取られているのでしょうね。鰯雲に、去る町・去る部屋の思い出が重ねられている。鰯雲がゆったりと大空を流れていって、〈ぽぽぽ〉と思い出し、〈ぽぽぽ〉と過ぎ去ってゆく。すてきなこころの擬音です。
斎藤秀雄
★0
「鰯雲」と「思い出」に「ぽぽぽ」が寄り添っていて
可愛らしい歌になっていると思いました。
ただ上の句に「窓」とあるため「切り取られゆく」はなくても分かるので
もったいない7音だと思いました。
古志野光
★0

片付けはあと 出ようか、街へ

出詠名 甘酢あんかけ
6 / 8 ×1 ×4 ×3 ×1

互選名 つるさちNATURA寿々多実果藤 かづえロサ・ブラックティー衣未(みみ)静ジャック甘酢あんかけ

選評名 引っ越して来た街を早く見たいという気持ちが伝わってきます。共感します。
藤 かづえ
★0
みなさま、読んでくださり、ありがとうございました。
お花もたくさんありがとうございます。
藤かづえさま、すてきな評を書いてくださりとても嬉しかったです!
甘酢あんかけ
★0

 「なんでやねん」の親子が通る

出詠名 静ジャック
7 / 7 ×2 ×1 ×4 ×1

互選名 さちNATURA甘酢あんかけ知己凛ロサ・ブラックティーかくとだに静ジャック

選評名 新居で、ふと、外を歩いている親子の会話が聞こえてきて、その方言から「ああ、本当に関西に来たんだなあ…」としみじみしている様子を想像しました。主体は、関西圏以外に住んでいた方で、テレビなどでしか関西弁を聴いたことがなく、生のリアル関西弁に小さな感慨を覚えていたのではないかと思いました。(自分も本物の関西弁を生で聞いたとき感動したのです。笑)鰯雲の描写との掛け算で、さりげなく新生活の新鮮さや希望が演出されているいい一首だと思いました。
甘酢あんかけ
★0

流れる先へと私もむかう

出詠名 寿々多実果
8 / 7 ×1 ×3 ×7 ×1

互選名 つる斎藤秀雄さちNATURA甘酢あんかけ藤 かづえロサ・ブラックティー古志野光きい静ジャックきつね寿々多実果

選評名 寿々多実果さんが上の句に「出ていく部屋か新しい住まいかによって違った雰囲気の下の句が出来そう」とコメントされていましたが、その点ではこれがピカ一。素直に読めばこの句の鰯雲は「出ていく部屋」の窓にあり、流れる先は「私」の引っ越し先となる。しかし「私」が引っ越した後は上の句に戻って、今度は「新しい住まい」の窓に鰯雲が流れ出す。短歌に表現するには長すぎるような時間経過が自然に(勝手に)想像されてしまいましたので、評を入れざるを得ません。
さち
★0
寿々多実果さん当人でしたか!相当考えて下の句を作られたのだなと改めて感じます。
さち
★0

新たな部屋の窓まで泳げ

出詠名
9 / 7 ×0 ×5 ×7 ×1

互選名 つる斎藤秀雄さちNATURAキール甘酢あんかけ寿々多実果ロサ・ブラックティー古志野光きいきつね

選評名 引っ越しシーズンでそれぞれが新天地へ向かう中、準備を終えた主体が、自分だけではないと鰯雲をみて思ったのだろうと読みました。
つる
★0

キャリーケースをにゃあと拒否する

出詠名 蟻男
10 / 7 ×0 ×5 ×5 ×1

互選名 斎藤秀雄さち甘酢あんかけ知己凛ロサ・ブラックティーきい静ジャックきつね蟻男

選評名 主体は猫?と一瞬思ったのですが、猫を運ぶキャリーバッグ・ケースに、猫が入るのを拒んだ、ということかもしれません。うちの猫もときどき嫌がります。〈鰯雲〉からの猫、という連想と、〈引っ越し〉からの「去りがたさ」「寂しさ」という連想が、うまく心情として結実した下句と思いました。
斎藤秀雄
★0
猫は家につくと言われますね。そこに住んでいた作中主体よりも、猫さんのほうがこの部屋により強い愛着があって、にゃあ(行きたくないよ)と、言っているのかなと想像しました。飼い主と飼い猫の、心のやりとり(いやだ→そう言わずに入ってくれよ→いやだいやだ!)が、目に浮かんできました。猫と鰯雲とのつながりも楽しめ、引越しの場のいい部分を切り取られたお歌だと思いました!
甘酢あんかけ
★0
鰯雲ににゃあ(猫)の取り合わせも面白いですし。実際の引っ越しに、ケースに入るのをネコが嫌がっているのかもしれませんが、このネコは、引っ越しをしたくない作者の心を代弁している様にも思えて、趣き深かったです。
ロサ・ブラックティー
★0

 猫が隣で大きなあくび

出詠名 衣未(みみ)
11 / 6 ×1 ×2 ×5 ×1

互選名 つるキール甘酢あんかけ藤 かづえロサ・ブラックティー苔井 茅静ジャックきつね衣未(みみ)

選評名 あわただしい引越し作業で落ちつかない中、ふとのんびりくつろぐ猫を見て、作中主体は何を思ったのかなと想像をして楽しみました。のんきでいいなあという気持ち、自分も一息入れようかなという気持ち、いわし雲が猫と主体を包み込むイメージで穏やかな空気が魅力でした。
甘酢あんかけ
★0

大きく息を吸ってごらんよ

出詠名 藤 かづえ
12 / 6 ×1 ×2 ×4 ×1

互選名 つるさちもーたろロサ・ブラックティー古志野光苔井 茅静ジャック藤 かづえ

選評名 この上の句は私には悲しいイメージがある。何か悲しい出来事が原因で引っ越したのだろう。その窓に広がる鰯雲は斑らになった心を表しているように感じる。この下の句は主体が自らを励ます言葉と受け取れる。悲しくも優しい歌に仕上がっているように思う。
もーたろ
★0

埋め尽くされても空は無限で

出詠名 ロサ・ブラックティー
13 / 6 ×1 ×2 ×3 ×1

互選名 つる斎藤秀雄さち知己凛苔井 茅静ジャックロサ・ブラックティー

選評名 「無限」の使い方を見て、下の句の作者さんからは数学的なセンスを感じました。
さち
★0
空いっぱいにひろがる鰯雲には見とれてしまう一方、視野におさまらない広さに不安な気持ちもわいてきます。引っ越しにともなう不安との取り合わせが良いと思いました。
苔井 茅
★0

この遠恋を後押ししてね

出詠名 NATURA
14 / 6 ×1 ×2 ×2 ×1

互選名 さちキール藤 かづえロサ・ブラックティーかくとだにNATURA

選評名 鰯雲に後押ししてもらう(しかも遠距離恋愛を)という発想はありませんでした。
さち
★0
引っ越しをして恋人と遠距離恋愛になってしまったと読みました。鰯雲に語りかけている感じがとてもかわいらしいなぁと思いました。
キール
★0

肩を並べて見る人のある

出詠名 キール
15 / 5 ×1 ×1 ×6 ×1

互選名 つるさちNATURA寿々多実果ロサ・ブラックティー蟻男キール

選評名 大切な人とともに引っ越しをしたのですね。鰯雲を二人で眺めている様子、これからの新しい生活への希望に満ち溢れているようで温かな気持ちになりました。
藤 かづえ
★0
今まで一人暮らしだった主体が、結婚を機にパートナーと共に新たな住まいに引っ越したのだと読みました。以前引っ越した時にはいなかった、自分と肩を並べて鰯雲を見上げる人がいる。
彼らの明るい未来を予感させます。

★0

 さよならの前に気づくものもある

出詠名 かくとだに
16 / 5 ×1 ×1 ×5 ×1

互選名 斎藤秀雄知己凛もーたろ寿々多実果藤 かづえロサ・ブラックティー静ジャックかくとだに

選評名 一緒に過ごしたふたりが別々のところへいく別れの場面を想像しました。この部屋からこんな空が見えたんだとか、この人はこんな表情をすることがあるんだとか、そういうことを最後になって気がついたというような。せつなくても悲しくありませんように……と思いました。
寿々多実果
★0
「さしも知らじな さよなら サラバ 振り返り見る 扉を開けて」う~ん情景が見えました・・今
ロサ・ブラックティー
★0

 青海原を沖へいざなう

出詠名 苔井 茅
17 / 4 ×1 ×0 ×0 ×1

互選名 きい苔井 茅

選評名 最初はわからなかったのですが、たくさんの鰯が泳ぐ空を青海原と表現したのかなと思いました。沖へいざなうという結句で、ゆっくりした雲の流れ、そして、引越しして心も沖へと流れていく気分を表現されたのかなと思いました。広がりがある開放感がいいですね。
甘酢あんかけ
★0
流れる雲がひき潮を引っ張っていくような大きな景色が見えました。
寿々多実果
★0
「青海原」がいいなと思いました。引っ越した先には不安と期待の混じる未来が広がっています。鰯雲がこれからの新生活を応援してくれるような、わくわく感を感じました。
きい
★0

背にし見慣れぬ商店街へ

出詠名 さち
18 / 4 ×0 ×2 ×3 ×1

互選名 甘酢あんかけ寿々多実果ロサ・ブラックティー衣未(みみ)静ジャックさち

選評名 下町の商店街を思い浮かべます。お店には秋の味覚が並んでいるでしょうか。初めてのところならちょっとワクワクしますね。これから行きつけになる店がみつかるといいですね。
寿々多実果
★0

 あなたは僕の青空でした

出詠名 もーたろ
19 / 4 ×0 ×2 ×2 ×1

互選名 さち藤 かづえロサ・ブラックティーきいもーたろ

選評名 今までも主体はあなたの事を思いながら青空を見上げていたのだと思います。様々な思いが鰯雲のように広がるのを感じました。
きい
★0

生活にひとつ空が足された

出詠名
19 / 4 ×0 ×2 ×2 ×1

互選名 甘酢あんかけロサ・ブラックティー蟻男静ジャック

選評名 これからのここでの暮らしは、この窓が切り取る空とともにあるんだなあ、、と、作中主体がしみじみとしている様子を想像しました。新生活のスタートを感じる、清々しい一首だと思いました。
甘酢あんかけ
★0

秋の香りが鼻をくすぐる

出詠名 えさい
20 / 2 ×0 ×2 ×4 ×0

互選名 NATURAキール寿々多実果蟻男静ジャック

選評名 窓を開けるとどこか近くからキンモクセイの香りがしたのでしょうか。それとも秋刀魚を焼く匂いでしょうか。想像で鼻がくすぐられます。
寿々多実果
★0

 目にもなれない羊がひとつ

出詠名 朝月
21 / 0 ×0 ×0 ×2 ×0

互選名 斎藤秀雄ロサ・ブラックティー

選評名 「目」が読み切れなかったのですが、いわし雲→うろこ雲→ひつじ雲の順に上の方へ出来るらしいのですが、日に透けたいわし雲のその上層にひつじ雲状のひと欠けらがあるのでしょうか。
ロサ・ブラックティー
★0
はじめは意味がわかりませんでしたが、時間が経ってスイミーをイメージしたのかなと思いました。
きつね
★0


Tポイントカード月POINTについて sing-for.month.jp/classic/tpoint.html
三ヶ月Data長月の歌会下弦の部H30.09.20 up
順位筆名首席投句選句特選偏差EX合計

EX内訳

最優+3古志野光

最黄+2斎藤秀雄

最緑+2きつね寿々多実果

上下+1きい蟻男衣未(みみ)キールさち知己凛静ジャックきつねロサ・ブラックティーNATURAつる藤 かづええさいかくとだに甘酢あんかけ寿々多実果古志野光もーたろ

初回+1斎藤秀雄

欠票-1えさい朝月

欠評-1かくとだにえさい朝月

六連+3かくとだにもーたろ

のの+1全員(管理人欠席のため)

花Season Cup 『秋杯』表彰新月ノ歌会秋


新秋王 は キール さんに決定しました

冠 秋の表彰会場へ 冠


月開催後記


古志野光さんが通算2回目の下弦首席でした

通算120回出席: 

通算30回出席: 


ありがとうございました 花

長月の歌会下弦の部