卯月の歌会


夢で会う約束がある 傘立ての底にうまれた夜のみずうみ 久藤さえ × 西藤智
平成32年度 卯月の歌会『下弦の部』
ゆらゆらと新茶しずかに冷めてゆき[ ? ]
ほのふわりさんの句
上の句に付ける下の句を出詠ください
詠草リスト
特選(2点)×1票 |
並選(1点)×4票 |
次選(0点)×∞票 |
互選(2点)×1票 |
ゆらゆらと新茶しずかに冷めてゆき祖母は今日さえ忘れてしまう
出詠名
ほのふわり × ほのふわり
首席 / 32点 特×12 並×6 次×5 自×1
互選名 万間みいや聴雨りん2おうい藤 かづえNATURA甘酢あんかけちまさかなさちロサ・ブラックティーキールてつぞうはとサブレ悠うをみ知己凛きい袴田朱夏天田銀河鮎静ジャックビリでえぇよ(^_^)宮嶋いつく自ほのふわり
選評名
上の句の、穏やかで静かな雰囲気の中に潜む一抹の不安を、見事に回収した下の句だと思いました。すごいの一言に尽きます。
万間みいや
★0
こういう下句への展開があったか!って感じです。じんわりと淋しさ、哀しさ、切なさが迫ってきますね。
NATURA
★0
新茶が冷めてゆく時間の中の主体と、異なる時間を生きている祖母は、周囲の不安を他所に、むしろ幸せそうに見えました。
ロサ・ブラックティー
★0
失恋のイメージ漂う上の句の「新茶」というワードと「祖母」をリンクさせたところが良いなぁ、と思いました。お茶が冷めてゆき澱が底に重なってゆく様子と記憶が消えゆくおばあさまのご様子との対照、あるがままを受け入れている、でも戸惑いもあり「ゆらゆら」なのかもしれない、と読みました。
聴雨
★0
新茶をいれてくれる人がちゃんといる、温かい家族に支えられているおばあさまなんだろうと思います。
私は、幸せな歌だと感じました。
てつぞう
★0
祖母に限らず我々どの世代でも<穏やかであった今日という日>を経験していながら、記憶の忘却に埋もらせてしまっていることに改めて気付かせてくれた歌でした。普遍性を詠われたように感じ只々感服するばかりです!
ビリでえぇよ(^_^)
★0
新茶が冷めていく短い時間軸と、祖母が記憶を失うという比較的長い時間軸との対比がいいなと思いました。「ゆらゆら」に呼応した切なさや不安もありながら、全体の雰囲気は穏やかで素敵です。
はとサブレ
★0
新茶をすすめても、飲む気配もなくじっと見つめておられる祖母の姿。そのすがたをじっと見つめる主体の姿が浮かんできます。おだやかな初夏の日は、大切な一日。
うをみ
★0
今回断トツでこの句がよかったです。
お茶を飲むことだけでなく今日のことも忘れていく。なんとも言えないやるせなさと、日々の様子も垣間見ることができました。
知己凛
★0
お茶が冷めるのも、お年寄りの認知が衰えるのも、等しく自然の摂理です。その二つの時間がよく対照される、いい歌になっています。
袴田朱夏
★0
圧倒的な存在感を放っています。
認知の衰えていく祖母の姿、静かに冷めていく新茶と背景にある5月の明るさが相まって、哀しさを際立たせていると感じました。
宮嶋いつく
★0
ゆらゆらと新茶しずかに冷めてゆきことばの<kana>澱<:>おり</kana> はじつと降りつむ
出詠名
ほのふわり × 聴雨
2席 / 14点 特×1 並×10 次×2 自×1
互選名 おうい甘酢あんかけロサ・ブラックティーてつぞうはとサブレ悠ほのふわりきい袴田朱夏天田銀河鮎静ジャック宮嶋いつく自聴雨
選評名
言葉の澱みを、茶碗の底にたまっていく澱にかけて、何か新茶のうまみより、苦みをかんじさせる歌でした。
ロサ・ブラックティー
★0
言い出せない言葉があって、お茶も冷めてしまったのだろうと読みました。とても上の句に合っていると感じました。澱がとてもうまく使われていると思います。
甘酢あんかけ
★0
冷めてしまったお茶にきっと沈んでいるであろう澱。そこに「ことば」をからめて気まずい空気をうまく表現されていると思いました。言ってしまった、言われてしまった「ことば」が澱となり降りつもってゆく。あとには苦い沈黙の余韻を感じます。
きい
★0
ゆらゆらと新茶しずかに冷めてゆき微風 あなたの声は空耳
出詠名
ほのふわり × 宮嶋いつく
3席 / 13点 特×2 並×7 次×3 自×1
互選名 聴雨りん2おういちまさかなロサ・ブラックティーはとサブレほのふわりきい袴田朱夏天田銀河鮎ビリでえぇよ(^_^)自宮嶋いつく
選評名
爽やかな初夏にぴったりの歌だと思います。「微風」の後の空白が、確かに通った風の存在を伝えるようです。空耳ということは、実際はあなたの声を聞いてないのでしょう。微風があなたの声として聞こえるという表現は新鮮で、同時に主体とあなたの関係を想像させます。
りん2
★0
開け放された部屋なのか、野点なのか、微風があることで屋外とのつながりが、空耳が聞こえる事で、よりいっそうの静けさを感じさせられました。
ロサ・ブラックティー
★0
私は、本当は風は吹いていないんじゃないかなぁと読みました。ふと「あなたの声」が聞こえた気がして、新茶から立つ湯気がほんの少し揺れた。でも気のせいでしかない。そういう情景が浮かびました。素敵な下の句でした。
ほのふわり
★0
眠りのなかにいるような不思議な感覚。「微風」がまるで魔法にかかったようで、後の言葉をうまく馴染ませていると思いました。
きい
★0
ゆらゆらと新茶しずかに冷めてゆき ごめんなさいが上手く言えない
出詠名
ほのふわり × てつぞう
4席 / 13点 特×1 並×9 次×6 自×1
互選名 りん2おうい藤 かづえNATURAロサ・ブラックティーはとサブレ悠うをみ知己凛ほのふわりきい袴田朱夏鮎静ジャックビリでえぇよ(^_^)宮嶋いつく自てつぞう
選評名
伝えたいことがなかなか切り出せない、気まずい時間の経過をうまく表現していると感じました。
りん2
★0
喧嘩のの後の気まずい時間なのか(^^)もどかしさが見える様でした。
ロサ・ブラックティー
★0
とても共感できました。お茶を前に黙って俯いている主体の景が浮かびます。上の句との繋がりがすんなりと自然です。
砂狐
★0
新茶のさめていく様子から私も沈黙を連想しました。口喧嘩の後の気まずいふんいきですね。わかりやすく心情を描かれていて、ちょっと意地っ張りな主体の姿が見えるような気がします。
きい
★0
ゆらゆらと新茶しずかに冷めてゆき居間に黄昏時が差し込む
出詠名
ほのふわり × 悠
5席 / 11点 特×1 並×7 次×3 自×1
互選名 万間みいや聴雨甘酢あんかけさちロサ・ブラックティーキールはとサブレうをみ鮎静ジャックビリでえぇよ(^_^)自悠
選評名
お茶が冷めるのも忘れるほど、何かに(例えば話などに)夢中になっていたのでしょうか、ふと我に返る時間の経過。個人的には、鮮やかな新茶の色と黄昏時の淡い光の色、手元と全体、という対比が好きです。
ロサ・ブラックティー
★0
夕食の支度にかかる前のちょっとしたティーブレイクのシーンを切り取られたように思いました。紅茶もいいですが新茶の美味しい時期になりますと淹れたくなるものです(^_^) 美味しいお茶を飲みながらふと台所から居間に差し込んだ夕日の美しい色に視線が向かう。ゆっくりと新茶が冷めてゆく感じに黄昏時の移ろいが調和しているように感じました。
ビリでえぇよ(^_^)
★0
ゆらゆらと新茶しずかに冷めてゆき青の炎は赤より熱い
出詠名
ほのふわり × はとサブレ
6席 / 10点 特×3 並×2 次×7 自×1
互選名 聴雨おうい藤 かづえ甘酢あんかけちまさかなさちロサ・ブラックティーてつぞうほのふわり鮎ビリでえぇよ(^_^)宮嶋いつく自はとサブレ
選評名
冷たい静と、熱い動の対比、新茶の色や強い香りと、青い炎の類似が、とても素敵だと思います。
こんな歌を詠んでみたいと憧れるし、うっとりするような作品だと思います。
おうい
★0
冷めると熱いの対比、窯の炎なら赤<黄<青<白の順に熱を帯びてくるので、実際は解かりませんが、共感できました。次へと進む感覚が好きです。
ちまさかな
★0
色と熱の対比がいいなと思いました。青は赤より温度が高いって、そういえば理科で習いました。すごくかっこいいです。
てつぞう
★0
すみません読者として、上評の方及びこれから評を書かれる方でも構いませんので”青の炎”をどこに見ているのか・わがままを言えば場面設定も含め、上の句との関連を教えて頂ければ幸いです。よろしくお願い致します。
ビリでえぇよ(^_^)
★0
私は、新茶が冷めてゆく過程で心の中に灯した炎なのかなと読みました。なにに対するものなのかは分からないけれどこの主体は何かを決心した、と。新茶が冷めるほどの時間、思案していたのかなと想像します。そしてしずかに冷めてゆく新茶と鮮やかな対比する熱い炎と、それが青い炎であるところに主体の静かで強い強い心をみました。
鮎
★0
一つ上の評を書いて下さった方へ
ありがとうございました。参考になります。青い炎は<心の中に灯した決意>に共感しました。青だから若い方の決意でしょうか。物理現象をこころの世界に落とし込むのが個人的に難しく、他の方の感性に頼ってしまいました(^_^;) <赤より>が何かしらの暗喩なのか掴み切れませんが以前より少し世界が開けた気がします。ありがとうございました(^_^)。
ビリでえぇよ(^_^)
★0
ゆらゆらと新茶しずかに冷めてゆき鏡のような時間を放つ
出詠名
ほのふわり × うをみ
7席 / 9点 特×2 並×3 次×5 自×1
互選名 聴雨藤 かづえ甘酢あんかけさちロサ・ブラックティーほのふわりきい天田銀河静ジャックビリでえぇよ(^_^)自うをみ
選評名
独特の抽象的な下の句がとてもいいなと思いました。いろいろな深みのある解釈ができそうで、読む人によって様々な世界が生まれそうです。その読者への委ね具合が面白いと思いました。私は、五月の透明感のようなものを感じました。
甘酢あんかけ
★0
うまく言えないのですが、抽象的、詩的でありながら共感性があるというか、なんか分かる感じがいいなぁと思いました。冷めていくことを「時間を放つ」と表現するのも新鮮でした。
ほのふわり
★0
新茶の水面のさ緑の鏡。放たれた時間が部屋中にただよっています。時間の中を僕たちはさまようのかな。
みな
★0
星の誕生は光と共に星の時間もまたその存在が放たれますが、ここでは湯呑みに新茶が残り水面を張っている間は<鏡の様な時間>が存在し放たれる。このような表現を鑑賞でき嬉しい時間を過ごさせて頂きました。またいい歌聞かせて(^_^)。
ビリでえぇよ(^_^)
★0
ゆらゆらと新茶しずかに冷めてゆき離婚届のかたちになりぬ
出詠名
ほのふわり × 袴田朱夏
8席 / 8点 特×1 並×4 次×7 自×1
互選名 万間みいやりん2おういさちロサ・ブラックティーキールてつぞうはとサブレきい鮎静ジャック宮嶋いつく自袴田朱夏
選評名
新茶がしずかに冷めてゆくことと夫婦の気持ちが冷めてゆくことを重ねて読みました。新茶からは新婚の初々しさが感じられ、この上の句から下の句への運びは無理がなく上手いなと思いました。新婚のころの気持ちが冷め、この歌の主体は夫、または妻と別れようか迷っているのではないでしょうか。そして冷めてしまったお茶に同じく緑色の離婚届が浮かび上がって見えるような気がしたのでしょう。お茶の冷めてゆく様と心の冷える様、お茶の揺れと心の揺れ、この重なりがじわじわ胸に沁みました。
キール
★0
冷めていくのはお茶だけではないんですね。でもきっと奥さまがいれてくれた、最初は間違いなく温かかった新茶なのに。。。
人間関係は難しいですね。
てつぞう
★0
悲しい事実ですが、上の句がその経過の比喩としてうまく作用しています。ひとつの歌として見た時になるほどと思いました。別れましたとか離婚することになったではなく、その言い回しも工夫されているなと。
きい
★0
ゆらゆらと新茶しずかに冷めてゆき寝息優しいへそ天の犬
出詠名
ほのふわり × おうい
9席 / 8点 特×1 並×4 次×1 自×1
互選名 さちはとサブレ悠きい天田銀河ビリでえぇよ(^_^)自おうい
選評名
考え事かお仕事か、何かに夢中になってて、ふと気がつくと愛犬が無防備に眠ってることってあるなあ、と共感しました。
へそ天で眠る犬、可愛いです。
てつぞう
★0
へそ天の犬、良いですね。その光景を浮かべただけで平和な気持ちになりました。
砂狐
★0
「へそ天」という言葉を知らなくて調べました。お腹を上に寝ていることなんですね。可愛い!「ゆらゆら」と犬の寝息が呼応してのどかな景が浮かびます。
きい
★0
何か作業を終え ふと縁側に目をやると、陽だまりに愛犬がへそ天で寝そべっている。このご時勢か平和で長閑な光景を詠われたこの歌に心を持っていかれました!
ビリでえぇよ(^_^)
★0
ゆらゆらと新茶しずかに冷めてゆき溜め息すこしゆっくりになる
出詠名
ほのふわり × 万間みいや
10席 / 7点 特×0 並×5 次×4 自×1
互選名 聴雨甘酢あんかけロサ・ブラックティー悠うをみ知己凛ほのふわり天田銀河静ジャック自万間みいや
選評名
ため息の速度という、とても繊細なところへの注視が印象的でした。何に対してのため息なのだろうと、想像が膨らみます。
甘酢あんかけ
★0
新茶が冷めていく間に、主体あるいは主体が見ている誰かの落ち込んでいたりイライラしていたりなどといった心情が少し落ち着いてきている、と読みました。平常心を保つのは難しいですが、そんな時はお茶を用意するなどして、心をゆっくりと元に戻す時間を作る事ができたらいいなと思いました。
悠
★0
ゆらゆらと新茶しずかに冷めてゆきあなたに触れた夢の入り口
ゆらゆらと新茶しずかに冷めてゆき ひと気の絶えた都心のニュース
出詠名
ほのふわり × きい
12席 / 6点 特×0 並×4 次×5 自×1
互選名 おうい藤 かづえNATURAさちロサ・ブラックティーてつぞう鮎静ジャック宮嶋いつく自きい
選評名
この情勢にあっていて、共感しました。不安感はあるものの、悲観的になりすぎない点も好きです。ゆっくりと冷めていく新茶が、ここでは少しの安心感につながっているような気がします。まだ少し温もりを感じる日常のものだからでしょうか。
鮎
★0
上の評追記ですm(_ _)m言葉足らずだったので……。
安心感について、作中主体が新茶に安心感を感じているかは分かりませんが、この歌を読んだ私がそう感じたという意図です。
鮎
★0
新茶を飲みながらテレビを見ているのかな、と思いました。
冷めていくお茶と賑わいの消えた都心がうまく響きあっています。少しでも早く収束に向かうことをみんなが願っていると思います。
藤 かづえ
★0
ゆらゆらと新茶しずかに冷めてゆきぽつりぽつりと切り出す別れ
ゆらゆらと新茶しずかに冷めてゆきあなたが蝶になるエピローグ
ゆらゆらと新茶しずかに冷めてゆき話題をそらす言いわけにする
ゆらゆらと新茶しずかに冷めてゆきペアの茶碗も気まずそうです
ゆらゆらと新茶しずかに冷めてゆき始まるね僕らのものがたり
ゆらゆらと新茶しずかに冷めてゆき君の視線の先を見れない
ゆらゆらと新茶しずかに冷めてゆきさくらで一句ととのう友蔵
ゆらゆらと新茶しずかに冷めてゆき立てた写真はスーツで笑う
ゆらゆらと新茶しずかに冷めてゆき飲む人はまだ布団の中に
ゆらゆらと新茶しずかに冷めてゆき正座の膝に君が手を乗す
ゆらゆらと新茶しずかに冷めてゆき<kana>満つ<:>み </kana><kana>姉弟<:>きょうだい</kana>の寝息すよすよ
出詠名
ほのふわり × 蟻男
23席 / 2点 特×0 並×2 次×2 自×0
互選名 ちまさかなロサ・ブラックティーほのふわり鮎
選評名
ゆらゆらで始まり、すよすよで終わる、とてもやわらかな表現が印象的でした。寝息というのがおだやかで、上の句と合っていると思いました。
甘酢あんかけ
★0
ゆらゆらと新茶しずかに冷めてゆききみとのキスのような甘さは
ゆらゆらと新茶しずかに冷めてゆき水面に幼き私が映る
ゆらゆらと新茶しずかに冷めてゆき別れ話しをいつ切り出そう
ゆらゆらと新茶しずかに冷めてゆき羊の恋が犬に変われり
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