霜月の歌会
夢で会う約束がある 傘立ての底にうまれた夜のみずうみ 久藤さえ × 西藤智
平成28年度 霜月の歌会『下弦の部』
上の句に付ける下の句を出詠ください
詠草リスト
特選(2点)×1票 |
並選(1点)×3票 |
次選(0点)×∞票 |
互選(2点)×1票 |
北極星を閉じ込めてゐる
出詠名
宮嶋いつく
首席 / 16点 特×2 並×10 次×3 自×1
互選名 ロサ・ブラックティー村田一広いちかわあさひ404notF0816御泉水みちくさ坊斎雀來豆木蓮古志野光きつね静ジャックもも蟻男藤 かづえ自宮嶋いつく
選評名
夜の情景だという事にはっとしました。氷と星、かすかに輝くものが二つあって美しいと思いました。少しづつ張っていく氷に閉じ込められて行く時間の経過も詠われているのではないでしょうか。
ロサ・ブラックティー
★0
夜から朝にかけての移ろう時間がうまく描けているなと思いました。
いちかわあさひ
★0
薄い氷の光を、星ととらえたように読めて
ハッとさせられました。
とてもロマンチックだと思います。
古志野光
★0
夜の情景としているところが独創的です。動くことのない北極星が氷に映っている様子を「閉じ込めてゐる」としたことで詩的な深みが増したと思います。
藤 かづえ
★0
知っているのは僕だけ 多分
出詠名
悠
2席 / 12点 特×3 並×4 次×3 自×1
互選名 知己凛ロサ・ブラックティー村田一広404notF0816きい木蓮静ジャックもも蟻男藤 かづえ自悠
選評名
「僕」しか知らないであろう初氷の行方が気になります。
やさしい下の句だと思います。
404notF0816
★0
冬一番の氷を見つけてわくわくする気持ちが結句の「多分」でちょっと自信のなさも表れて、それが「あるかなきかの」と呼応しているようで楽しく読みました。
きい
★0
朝の通学路で初氷を見つけた学生の「僕」をイメージしました。←勝手なイメージですが。
最後の「多分」で「あるかなきか」を表して絶妙な味が出ているように思いました。
木蓮
★0
一字空けた「多分」が絶妙な間で自信のなさを表現していますね。朝一番乗りしたつもりなのに、先客がいたのかも?なちょっとした悔しさも感じました。
もも
★0
皆さんがおっしゃるように最後の「多分」があることで味わいが一段と増しているように感じます。
藤 かづえ
★0
水底に見ゆ昏睡の柿
出詠名
サリーB
3席 / 11点 特×3 並×3 次×5 自×1
互選名 ロサ・ブラックティー村田一広坊斎雀來豆きい木蓮古志野光静ジャックもも藤 かづえ宮嶋いつく自サリーB
選評名
青いバケツを想像しました。薄白い気泡の下に、秋の実が秋の色をして眠っている。青白い冬が、秋を静かに閉じ込めているようです。氷、柿がそれぞれに季節を表象していて、両者の間にある水にも何か関係性を象徴させたくなります。
坊斎
★0
響きのかっこいい歌だと感じます。
秋から冬への移り変わりも感じられる素敵な歌だとも思います。
古志野光
★0
前の方の評にあるように深さのある容器に張った薄い氷を通して底に沈んだ柿を見ている句なのでしょう。その沈んでるさまを「昏睡の」としたところが巧みだと思います。
藤 かづえ
★0
初氷の張った、深みのある水という、いかにも冷たさを感じる情景の中で、着目しているのが暖色系の柿の実。絵的なアクセントになっていていいと思いました。
宮嶋いつく
★0
ここに涙を閉じこめてゆく
出詠名
木蓮
4席 / 11点 特×2 並×5 次×5 自×1
互選名 知己凛ロサ・ブラックティーいちかわあさひ404notF0816御泉水みちくさ古志野光きつね静ジャック蟻男宮嶋いつく悠自木蓮
選評名
涙は氷に閉じ込めて、涙を見せずに行くのでしょうか。その健気さに心が動きました(^^)
ロサ・ブラックティー
★0
辛いことを誰にも打ち明けられずに、悩んでいる姿に共感。
いちかわあさひ
★0
シンプルな歌だと感じました。
上の句を読んでそのまま出てきた言葉を並べたような。
なので、内容どうのこうのよりも
作者さんの人柄がうかがえる作品であることに
一票入れさせていただきます。
古志野光
★0
涙がうっすらと氷に変わっていくような様子が浮かびます。透明感のある下の句だと思います。
藤 かづえ
★0
風の気まぐれ幾何学模様
出詠名
坊斎
5席 / 11点 特×2 並×5 次×3 自×1
互選名 ロサ・ブラックティー村田一広いちかわあさひ御泉水みちくさきい静ジャックもも藤 かづえ宮嶋いつく自坊斎
選評名
幾何学模様を生む初氷の儚さと存在感がいいなと思った。
いちかわあさひ
★0
綺麗な氷の結晶が目に浮かぶようです。
御泉水
★0
上の句の美しさをうまくひきたてている下の句だと思います。「幾何学模様」がいいなあ。
静ジャック
★0
皆さんがおっしゃるように「幾何学模様」はもちろん素敵なのですが、その模様が「風の気まぐれ」だというのがよりいいなと思いました。
藤 かづえ
★0
淋しき鳥は森を騒がす
出詠名
いちかわあさひ
6席 / 9点 特×2 並×3 次×3 自×1
互選名 ロサ・ブラックティー村田一広御泉水みちくさ坊斎雀來豆サリーB静ジャック自いちかわあさひ
選評名
巧く視点をずらして、歌の世界を広げていると感じました。
雀來豆
★0
鳥のイメージが美しい。
サリーB
★0
冬の朝、一羽の鳥が高い声で鳴いている。地面にはうっすら氷が張っている。鳥の声を詠んだ下の句ですが、合わせると一枚の写生画になりそうです。
藤 かづえ
★0
行くか行かぬか物理の授業
出詠名
静ジャック
7席 / 8点 特×2 並×2 次×8 自×1
互選名 知己凛ロサ・ブラックティー村田一広雀來豆木蓮サリーBきつねもも蟻男藤 かづえ宮嶋いつく悠自静ジャック
選評名
教室で学ぶより自然の中で学ぶべき事ってありますよね。「あるかなきかの初氷」の経過を見守ることで、物理の授業では得られない貴重なものを体験できるかもしれません。ある意味これも物理の授業といえそうですし(そうなの?)。
悠
★0
物理の授業というのがいいなと思います。
きつね
★0
私も“あるかなきか”を踏む形を考えたのですが
景の浮かぶ下の句が出来上がらず断念したので、
くすり とする仕上がりに一票です。
蟻男
★0
上の句に呼応するような「行くか行かぬか」がとても上手い下の句だと思います。そして、その場所が「物理の授業」というところも最高の選択です。(高校時代物理が一番の苦手科目だった者の個人的感想です。)
藤 かづえ
★0
清しき街に朝は流れて
出詠名
ロサ・ブラックティー
8席 / 6点 特×2 並×0 次×4 自×1
互選名 みちくさ坊斎きい古志野光きつね静ジャック自ロサ・ブラックティー
選評名
初氷の張った冬の朝の空気感が清しいとう言葉でよく捕らえられていると思いました。
みちくさ
★0
清少納言と同じようにわたしも冬の朝のキーンと澄み切った空気、好きです。この句はその空気を「清しき」と表現しています。新鮮な澄み切った空気が流れていそうな朝です。
藤 かづえ
★0
光に透かす子らのまなざし
出詠名
つん
9席 / 6点 特×1 並×4 次×3 自×0
互選名 知己凛ロサ・ブラックティー404notF0816木蓮静ジャック蟻男藤 かづえ宮嶋いつく
選評名
上の句の「きらきらと」と子どもたちのきらきらした様子の「まなざし」がうまく呼応していると思いました。どちらも純粋で透きとおるイメージですね。
知己凛
★0
子供たちが薄い氷を手にして冬のわずかな日差しを反射させている様子が浮かびます。きらきらとした「子らのまなざし」からとても楽しそうなことがうかがえます。
藤 かづえ
★0
ぱり と割るよな溜め息ひとつ
出詠名
蟻男
10席 / 6点 特×0 並×4 次×4 自×1
互選名 ロサ・ブラックティー404notF0816御泉水坊斎きい木蓮静ジャック悠自蟻男
選評名
冷たくて白いため息が目に浮かびます。
きい
★0
「きらきら」という明るい言葉と対比になるような「溜め息」そして「ぱり」。溜め息でも割ることができてしまいそうなほどに薄い初氷なのですね。溜め息をつく主体に何があったのでしょう。そして「ぱり」という微かな音を空白で独立させたことで、薄い薄い初氷が割れる音すらはっきり聞こえるような、冬特有のきんとした空気の冷たさが際立っています。
悠
★0
生きていれば溜め息のひとつもつきたくなることはありますよね。しかし、「ぱり」という音の溜め息であれば、それほど深い悩みではないのかもしれません。または、「ぱり」と氷を割る音で表現することで悩みも溜め息とともに消えていってくれたのかもしれません。
藤 かづえ
★0
浅い眠りを見守っている
出詠名
きい
11席 / 6点 特×0 並×4 次×3 自×1
互選名 知己凛ロサ・ブラックティー村田一広404notF0816古志野光静ジャック悠自きい
選評名
考えるより感じたい歌だと思いました。
語れば語るほど、光沢を失ってしまう気がします。
古志野光
★0
寒い朝はとろとろと「浅い眠り」を続けてしまいますよね。それを初氷が「見守っている」という冬ならではの温かさがある句だと思います。
藤 かづえ
★0
子犬の駆けるスピードで行く
出詠名
藤 かづえ
12席 / 6点 特×0 並×4 次×1 自×1
互選名 ロサ・ブラックティー村田一広いちかわあさひ静ジャック悠自藤 かづえ
選評名
散歩していて、少し冷えてきたな、と思っても元気の良さが見えます。
いちかわあさひ
★0
スマートフォンが小さく震える
出詠名
きつね
13席 / 5点 特×1 並×1 次×4 自×1
互選名 ロサ・ブラックティー御泉水みちくさ静ジャック藤 かづえ悠自きつね
選評名
スマートフォンを持つ手が震えているのですよね。氷が張るような寒さをうまく表現していると思いました。
ロサ・ブラックティー
★0
初氷が張る朝、寒くて思わずポケットに手を入れたのかもしれません。そのとき、スマートフォンのバイブレーション機能が働いたのでしょうか。寒さによる震えとスマートフォンの震えがうまく相乗効果を産んでいると思います。
藤 かづえ
★0
ふれたらとける きみの心も
出詠名
みちくさ
14席 / 5点 特×0 並×3 次×2 自×1
互選名 ロサ・ブラックティー404notF0816木蓮静ジャック悠自みちくさ
選評名
氷>とける、ですごく「ぬくもり」を感じまして、思わず選びました(^^)
ロサ・ブラックティー
★0
ということは、「きみの心」はもうかなり主体へと傾いているということでよいのでしょうか。でも、「ふれたら」だからふれられないのですよね。その踏み込めない距離感、よくわかります。
藤 かづえ
★0
そおっとすくう初恋のように
出詠名
知己凛
15席 / 5点 特×0 並×3 次×2 自×1
互選名 ロサ・ブラックティーきい静ジャック蟻男宮嶋いつく自知己凛
選評名
儚いけれどきらきらしてる初恋のイメージが初氷にぴったりです。
きい
★0
初恋も初氷も「そおっと」でないと壊れてしまいますからね。純粋な主体の心持ちが感じられます。
藤 かづえ
★0
そっと飛び越えはじまる冬へ
出詠名
古志野光
16席 / 4点 特×0 並×2 次×1 自×1
互選名 村田一広サリーB静ジャック自古志野光
選評名
水たまりの中の初氷に冬を見つけた主体。「そっと飛び越え」に優しさと冬に向かって行く力強さを感じました。
静ジャック
★0
水たまりにうっすら張った氷を割らないように「そっと飛び越え」ているところにやさしさを感じました。
藤 かづえ
★0
欠けたかえでがくるくる惑う
出詠名
もも
17席 / 3点 特×0 並×1 次×3 自×1
互選名 ロサ・ブラックティー村田一広雀來豆静ジャック自もも
選評名
かえでは楓と漢字にした方が風にくるくる回る感じがでるし、読みやすいかなと思うのですがいかがでしょう。
みちくさ
★0
かえでの葉は枯れて欠けてしまいくるくる回りながら氷へと落ちてくる。欠けているからか、その回り方が不規則で「惑う」と表現されたのかな、と想像しました。擬人法を使うことでかえでの葉の意思を持っているかのような動きを表現できたと思います。
藤 かづえ
★0
そっとすくって光にすかす
出詠名
404notF0816
18席 / 3点 特×0 並×1 次×3 自×1
互選名 きいサリーB静ジャック宮嶋いつく自404notF0816
選評名
薄い氷をすくう指先は冷たい水に触って赤らんでいることでしょう。そっと、すくって、すかす、とさ行が続くことで空気の冷たさを感じました。
きい
★0
あるかなきかの氷なので「そっとすくっ」たところに主体のやさしさ、あたたかさを感じます。
藤 かづえ
★0
前へ進めぬ臆病な犬
出詠名
雀來豆
19席 / 3点 特×0 並×1 次×2 自×1
互選名 ロサ・ブラックティーサリーB静ジャック自雀來豆
選評名
寒い朝は猫と違って犬はへっちゃらなんですよね。けれども、犬は犬かきができるから水を怖がらないだろう、というのはわたしの飼い犬経験から言うと誤解で、大抵の犬は水を怖がります。氷が張った水たまりを越せないでじっと見つめている犬の困った顔がかわいいです。
藤 かづえ
★0
冬の妖精息吹きかけて
出詠名
御泉水
20席 / 2点 特×0 並×0 次×3 自×1
互選名 みちくさサリーB静ジャック自御泉水
選評名
「冬の妖精」が「息吹きかけて」初氷が張った、という解釈でよいでしょうか。ロマンチックな発想だと思いました。妖精は次々息を吹きかけて真っ白な雪景色も生み出すのでしょうか。
藤 かづえ
★0
月POINT
順位 | 筆名 | 首席 | 投句 | 選句 | 特選 | 偏差 | EX | 合計 |
---|
EX内訳
最優+3:宮嶋いつく
最黄+2:宮嶋いつく
最緑+2:静ジャック
上下+1:藤 かづえ宮嶋いつく坊斎雀來豆きつね木蓮いちかわあさひみちくさ蟻男404notF0816つんきい静ジャックロサ・ブラックティー悠知己凛村田一広
初回+1:御泉水
欠票-1:つん
欠評-1:つん
六連+3:坊斎ロサ・ブラックティーきつね
のの+1:全員(管理人欠席のため)
開催後記
宮嶋いつくさんが通算2回目の下弦首席でした
藤 かづえさんから(多分)全句評をいただきました
通算40回出席: 藤 かづえ 雀來豆
通算30回出席: ロサ・ブラックティー
連続40回出席: 雀來豆
連続30回出席: ロサ・ブラックティー
連続20回出席: 宮嶋いつく
ありがとうございました