連歌の花道『新月ノ歌会』

長月の歌会

新月ノ歌会工事中

夢で会う約束がある 傘立ての底にうまれた夜のみずうみ 久藤さえ × 西藤智

平成29年度 長月の歌会『下弦の部』

 上の句に付ける下の句を出詠ください

詠草リスト

[今回の投票式目]
特選(2点)×1票
並選(1点)×4票
次選(0点)×∞票
互選(2点)×1票

冠約束ひとつ流れてしまう

出詠名 きつね
首席 / 18点 ×2 ×12 ×6 ×1

互選名 キールもーたろえんどうけいこ甘酢あんかけ藤 かづえ諏訪灯鶴田よめ常盤このはみちくさきい成瀬山水ロサ・ブラックティー天田銀河小泉夜雨蟻男柳原カシス静ジャック衣未(みみ)宮嶋いつく永山雪きつね

選評名 約束をキャンセルされてしまったことを、この雨に流されると表現すると、自然に上の句とつながりまとまりがとてもよいと感じました。内容的にも、寂しげな切ない展開が、この秋雨にふさわしく、情景と合っていると思いました。「ひとつ」のひらがな表記も綺麗です。
甘酢あんかけ
★0
約束、これは主体にとって失いたくない大切な約束なのだと思います。ひとりビニール傘で佇む主体は雨に打たれる紅葉にその約束を託しているように見えます。自分の持つ傘を打つ雨と同じ強さで紅葉を打つ雨が約束をも流してしまうのではないか、そんな切なさを感じます。
もーたろ
★0
雨降り天気で、どこかへ行く約束が取りやめになってしまったのでしょうか。雨>流れるでまとめて、物寂しさと無念さをひしひしと感じさせられました。
ロサ・ブラックティー
★0

 果てなく煙る吉野路の朝

出詠名 田中翠香
2 / 18 ×2 ×12 ×1 ×1

互選名 キール木蓮えんどうけいこ甘酢あんかけ寿々多実果藤 かづえ諏訪灯鶴田よめきい成瀬山水ロサ・ブラックティー天田銀河小泉夜雨静ジャック田中翠香

選評名 桜が有名な吉野路ですが秋の紅葉も見事ですね。散策するにはお天気は良い方がいいと思いますが、吉野路は雨も似合います。上句と下句の流れが違和感なく自然ですし、何より美しい景が浮かんできました。
木蓮
★0
吉野路という具体的な地名を出されたことで、落ち着いた山の景色が目に浮かびました。
きい
★0
一番情景がしっかり浮かんできた歌でした。雨で煙って、紅葉が少し霞んでいる情景が浮かび、とても情緒あふれる光景だと思いました。しかも、朝。さわやかな冷たい空気が、主体を包んでいるのだろうと思いました。地名を生かした、しっとりとしたすてきな歌です。
甘酢あんかけ
★0
雨に濡れて色鮮やかに際立った紅葉と、朝寒で少し靄って、煙って見えるのでしょうか。清澄さを感じさせる情景が美しかったです。
ロサ・ブラックティー
★0

だから「ごめん」と言わなくていい

出詠名 静ジャック
3 / 17 ×5 ×5 ×6 ×1

互選名 もーたろえんどうけいこ甘酢あんかけ田中翠香知己凛村田一広404notF0816諏訪灯ロサ・ブラックティー天田銀河小泉夜雨蟻男宮嶋いつく彩華永山雪静ジャック

選評名 「だから」がユニークですね。だからといえる何らかの前提があって、その前提は何なのだろうと、未来へではなく過去へ、逆方向に想像が広がるのが新鮮でした。ごめんって言わなくていいとうフレーズには、優しさがあり、やわらかな秋雨を思わせます。
甘酢あんかけ
★0
「だから」が効いていると思いました。主体にしかわからない理屈がそこにあっておそらく下の句は誰かに対しての言葉だと思うのですが、その誰かに対する思いの抑えきれなさが、そこに表現されているように感じました。
天田銀河
★0
上句を引き継ぐ下句が多い中、この切り返しはとても個性的です。だから、ってどういうこと?と考えさせる余白と、理不尽かもしれないことに対する許しを感じました。静かに潔い!
彩華
★0

 きみを待つのはもうやめにする

出詠名 えんどうけいこ
4 / 17 ×2 ×11 ×5 ×1

互選名 キール木蓮もーたろきつね甘酢あんかけ知己凛藤 かづえ諏訪灯ロサ・ブラックティー天田銀河小泉夜雨蟻男静ジャック衣未(みみ)宮嶋いつく彩華永山雪えんどうけいこ

選評名 上の句に対して下の句が違和感なくすっと入ってきました。秋、雨のもつ、切なくもの悲しいイメージに悲恋を匂わせる下の句がぴったりはまって、とても素敵な一首になっていると思いました。
キール
★0
静かな主体の決意がよみとれました。秋の冷たい雨の中で、安いカサをさして健気に待ち続ける自分が、、みじめに思えた瞬間なのでしょうか。この展開につなげることで、鮮やかな紅葉の赤色が、残酷な色にも思えてきます。単なる待ち合わせをやめるというだけではなく、心が君を求めるのをやめるとよみとりました。
甘酢あんかけ
★0
この下の句で、カサと紅葉を濡らす雨が、心を濡らす雨の様に見え、紅葉の赤が、決断の色の様で、鮮烈でした。
ロサ・ブラックティー
★0
“もう”の響きが醸す想いの端々に感じ入りました。
蟻男
★0
とても印象的でした。
衣未(みみ)
★0

 君との距離が少し近づく

出詠名 木蓮
5 / 14 ×4 ×4 ×4 ×1

互選名 キールきつねえんどうけいこ甘酢あんかけ404notF0816鶴田よめ常盤このはきい成瀬山水ロサ・ブラックティー小泉夜雨静ジャック木蓮

選評名 透明な傘=ビニール傘だと思うのですが、急な雨が降ってきてビニール傘を買ったのではないかなと思いました。そのハプニング的な雨が二人の身体的な距離だけでなく、心の距離も近づけたように感じます。
きつね
★0
片思いの相手とはじめて相合傘に入っているシーンでしょうか。高級な傘ではなく透明のビニール傘というところから、おそらくまだ恋愛経験の少ない若い二人のういういしさが感じられます。紅葉の色が、お互いに照れて頬をあからめている様子を想像させるようにも思えました。
えんどうけいこ
★0
恋人未満の二人を想像しました。言葉のバランスがよく、上の句をとてもうまく活かした下の句だと思います。
静ジャック
★0
急な雨で相合傘でもしないと近づけない状況を呼んでいると思いました。特に若いころは、このようなことがよくあるように思います。紅葉なんて、これっぽっちもこの二人には見えていないのかもしれませんね。でも、はたから見たら、真っ赤な紅葉の下で緊張気味のふたりが、そこらへんで買ったカサで相合傘して歩いているのは、とても美しくほほえましいなと感じました。
甘酢あんかけ
★0
距離→透明なカサ 、君との→紅葉を濡らす雨 につながるので、上の句を活かすための下の句としてかなり考えられたのかなと思います。
透明なカサの部分を活かすためのwordsが難しいと思いましたが「距離」は親しみがありますし有効だと思いました。紅葉については人に倒置したり色々と考える幅もありましたが、「透明なカサ」の部分を一番親しみやすくわかりやすく且つ情緒的に仕上げれた素晴らしい下の句だと思いました。
鶴田よめ
★0
カサと紅葉と雨を活かした、自然体でいて微笑ましい下の句がいいなあと思います。甘過ぎないところがとても好きです。
きい
★0

ありのままって簡単じゃない

出詠名 天田銀河
6 / 13 ×4 ×3 ×7 ×1

互選名 木蓮もーたろ甘酢あんかけ藤 かづえ常盤このはみちくさきいロサ・ブラックティー明実静ジャック宮嶋いつく永山雪天田銀河

選評名 飛躍した展開が目を引きます。子供のように素直にはもうなれないという、いろいろ見えてしまうゆえの大人のあきらめを、雨のなかしみじみと感じていたのか、それとも、募る思いを吐き出したのでしょうか。違うかもしれませんが、濡れそぼった秋の中で、内省的な時間を過ごしている歌なのではとよみとりました。うったえるような文体で、強さを感じました。
甘酢あんかけ
★0
秋が来て少し大人になったのでしょうか。ありのまま飾らずにいることの難しさ。飾り気のないビニール傘と真っ赤な紅葉との取り合わせもいいと思いました。
みちくさ
★0
飛躍しているのに上の句との雰囲気がぴったりで魅力を感じました。秋の感傷的な雰囲気とも合っていて素敵です。あるままの姿で雨に濡れる紅葉とカサをさして濡れずにいる自分とを対比しているようによみました。(読み違いでしたらごめんなさい。)人はどうしようもなく取り繕ってしまう。たまには雨に濡れても泣いても取り繕わなくていいんじゃないですかと言ってあげたくなります。

★0
これも、雨=涙の様に感じます。カサの中の人の、ため息が聞こえてきそうです。
ロサ・ブラックティー
★0

ぽろんぴたんとふたつぶ跳ねる

出詠名 知己凛
7 / 13 ×3 ×5 ×6 ×1

互選名 甘酢あんかけ寿々多実果404notF0816諏訪灯鶴田よめ成瀬山水ロサ・ブラックティー天田銀河蟻男明実静ジャック宮嶋いつく永山雪知己凛

選評名 上の句で静かな雰囲気になりそうなところに、かわいらしい雨粒の擬音が後からやってくることで動きがついており、軽やかなギャップのある明るい一首だと感じました。
甘酢あんかけ
★0
擬音、よくある定番の、ポツポツなどではなく、雨粒が跳ねる様子があらわれるオリジナルな擬音なのがまた効果的ですね!追記でした。
甘酢あんかけ
★0
傘、紅葉、雨から連想するしっとりした雰囲気の歌が多い中、明るい印象で好感を持ちました。独特の擬音も雨粒の跳ねる様子に合っていると思います。
寿々多実果
★0
ぽろん、ぴたんという擬音語のに明るさを感じつつ、「ふたつぶ」という部分が、子どもがはしゃいでるような、そんな様子を連想させた。上の句の絵画的な綺麗さ、雰囲気を引き取りつつ、うまく可愛らしさを溶け込ませた歌であると、私は思う。
成瀬山水
★0
その情景に素直に入り込め…我にかえる。 短い文字で表現出来てて「すごいっ」と感じました。
明実
★0
「ぽろんぴたん」という擬音がビニール傘にはね、流れる雨の質感をよく表していると感じ、絵として浮かび上がってきます。秋雨はどこか寂しさを醸しますが、この何気ない雨粒の動きに軽やかな明るさを見いだします。
宮嶋いつく
★0

古都は静かに物思いする

出詠名
8 / 13 ×1 ×9 ×8 ×1

互選名 キール木蓮もーたろきつね甘酢あんかけ寿々多実果404notF0816藤 かづえ諏訪灯みちくさきいロサ・ブラックティー天田銀河蟻男静ジャック衣未(みみ)永山雪

選評名 古都の旅の途中で、急な雨に見舞われたのでしょうか。おしゃれなカサも素敵ですが、景色が美しい街並みを散策するときは、視界を邪魔しない透明カサのほうが堪能できてベターなのかもと思いました。古都の静けさと、雨の紅葉を味わう主体の心の落ち着きが伝わってきます。もの思いするには、晴れより雨のほうがいいですね。
甘酢あんかけ
★0
普段は人の多い古都も、雨で意外に静かなのかもしれません。透明な傘を通して見る紅葉は雨でいっそう鮮やかに、艶々としていることでしょう。「物思いする」がいいですね。
きい
★0
紅葉と古都の取り合わせがよく合っているな、と思いました。静かに物思いをする、という擬人法も趣きが感じられて秋に相応しいです。
藤 かづえ
★0

触れ合う肩に口数の減る

出詠名 キール
9 / 13 ×0 ×11 ×5 ×1

互選名 木蓮もーたろ甘酢あんかけ田中翠香知己凛404notF0816藤 かづえ鶴田よめ常盤このはみちくさロサ・ブラックティー天田銀河小泉夜雨柳原カシス静ジャック彩華キール

選評名 恋の段階によって、なんだか口数が減ってしまったり、逆に、照れ隠しで饒舌になってしまったり、ひとつのカサの中での会話はさまざまだな、ということを思いました。片思いではなく、もう、相思相愛で、でもまだこれから進展していく段階のふたりとよみとりました。シンプルな言い回しも雰囲気に合っていて効いていると思いました。
甘酢あんかけ
★0
小さめの傘を二人で使っているのですね。身を硬くして相手に触れないようにしようとしている二人の様子が浮かび、胸がきゅんとしました。
藤 かづえ
★0

かなしい香りとかして流る

出詠名 宮嶋いつく
10 / 9 ×2 ×3 ×5 ×1

互選名 もーたろ甘酢あんかけ知己凛寿々多実果諏訪灯成瀬山水ロサ・ブラックティー明実静ジャック宮嶋いつく

選評名 雨にかなしみの香りが溶け込むというのが、目には見えないのに感じることができました。もみじの濃い赤はちっとも溶けないのに、、、という思いも汲めて、深みがあると思いました。そして、最後、かなしみが流れていってしまうのですね、そしたら、笑顔が残るのでしょうか、何もなくなってしまうのでしょうか…、余韻にも味わいがあります。
甘酢あんかけ
★0
美しい上の句をきれいにまとめた句だとおもいました。
とかす、をひらがなにすることで、カサにつたう雨粒を思い起こせます。
知己凛
★0

 君を待ってる時間がひかる

出詠名 きい
11 / 9 ×1 ×5 ×6 ×1

互選名 キールえんどうけいこ甘酢あんかけ村田一広藤 かづえ常盤このはロサ・ブラックティー柳原カシス静ジャック衣未(みみ)彩華永山雪きい

選評名 雨に濡れてつやつやと紅葉がひかって、君を待つその時間も共にひかりだす、とよみとりました。もうすぐ来るだろうという高揚感が感じられるので、この雨と紅葉の情景を、落ち着いたものとしてではなく、真っ赤な紅葉に象徴される鮮やかなもの、として捉えられ、まさに明るい光を感じる一首だと思いました。
甘酢あんかけ
★0

調べの間から待ち人来たる

出詠名 ロサ・ブラックティー
12 / 9 ×0 ×7 ×5 ×1

互選名 木蓮甘酢あんかけ村田一広寿々多実果常盤このはきい天田銀河蟻男衣未(みみ)彩華ロサ・ブラックティー

選評名 陽の雰囲気を感じました。カサに打ちつける雨音の調べの合間に、待ち人がやってきたとよみました。雨音を「調べ」とすることで、和風な雰囲気になり、真っ赤な紅葉を背に奏でられる琴の音のイメージが沸いてきました。日本の美しい秋が鮮やかにあでやかに描かれていると思いました。
甘酢あんかけ
★0
雨音の調べが加わって情景がよりクリアになった気がします。素敵だなあと思いました。
きい
★0
11月3日。編集後記ミタイナ。語り過ぎたいミタイナ。
終わったので来ました。入れて下さった方、ありがとうございます。
もう暗いイメージしか出てこなくて、それを払拭したかったんです。
雨の向こうからイケメン現る、でもいいけれど、目を見張るような秋のモードで友人が来て、(ビニール傘は周りがよく見えて便利です)それを気づかぬふりで、自分も季節の点景になる・・ぐらいでいけたらいいなぁとか。最近そういう場面がないので(^^:)
ロサ・ブラックティー
★0

ココロノイロハ閉じかけている

出詠名 鶴田よめ
13 / 8 ×1 ×4 ×5 ×1

互選名 木蓮もーたろきつね甘酢あんかけロサ・ブラックティー蟻男明実静ジャック宮嶋いつく鶴田よめ

選評名 誰かと待ち合わせをしているのでしょうか。しかし目に映るのは紅葉を濡らす雨ばかり。カタカナで「ココロノイロハ」としたのはイロハモミジと掛かっているのだろうと想像します。長い時間、モミジに降る雨を眺めていると相手への心が閉じかかるという心情は秋の寂しさとうまく呼応しているように思う。
もーたろ
★0
秋が広がっていく情景とは逆に、こころの色は閉ざされつつある、反比例の動きがよみとれ、くっきりした一首だと思いました。カタカナ表記にしたのは、前の方がおっしゃっているようにイロハモミジゆえでしょうか。知識があると、歌も深められるのだなと思いました。
甘酢あんかけ
★0
「イロハ(モミジ)」と「色は」で言葉を掛けているように思いました。
心は自分が今見ているイロハモミジのように鮮やかな色をしているけれど、その色は今や閉じかけている。そのように読みました。
雨に濡れて一層鮮やかになる紅葉の色と、それとは対照的になりつつある心の色の対比がくっきりと表現されていると思います。安物であろう透明なカサと、ただしとしとと降り続く雨によって、「閉じかけている」という寂しさがより引き立っているように感じました。

上の評の方が言いますように誰かと待ち合わせをしている自分の心かもしれませんし、もしかしたら最近よそよそしくて先程もぎこちない雰囲気だった相手の心の中を推し量ったのかもしれないとも読みました。(後者は無理矢理な解釈かもしれませんが)

★0
ずっと「閉じかけている」を考えていたのですが・・・もしや閉じかけているのは、心ではなくて『傘』なのでは、と思ったりしました。もしそうなら、もうじき止む雨を暗示して、むしろ明るい詩・・とか思ったりしました。
ロサ・ブラックティー
★0
追。考えすぎで、ハズしているかな(^^;)
ロサ・ブラックティー
★0
皆さま票をありがとうございます◯
閉じかけている、はビニール傘に呼応してみました。傘も開いているとは限りませんよね。ビニール傘が開いた状態ではないのを表したかったです。
ロサブラックティー様が考えを巡らせて下さり感謝しております!
初参加の月ノ歌会でしたが楽しく皆さんの唄や評を見ています
鶴田よめより。
鶴田よめ
★0
皆さま票をありがとうございます◯
閉じかけている、はビニール傘に呼応してみました。傘も開いているとは限りませんよね。ビニール傘が開いた状態ではないのを表したかったです。
ロサブラックティー様が考えを巡らせて下さり感謝しております!
初参加の月ノ歌会でしたが楽しく皆さんの唄や評を見ています
鶴田よめより。
鶴田よめ
★0

頰もしずくも燃ゆるくれない

出詠名 甘酢あんかけ
14 / 8 ×0 ×6 ×5 ×1

互選名 えんどうけいこ田中翠香村田一広寿々多実果藤 かづえロサ・ブラックティー小泉夜雨明実柳原カシス宮嶋いつく甘酢あんかけ

選評名 情景を素直に詠んだ歌が多いなか、情景のなかに作中主体の気持ちの昂りを巧みに組み入れ、非常に奥深い歌にしていると思いました。冷たい雨の空気の中、頬が染まるほどの強い感情で待人を待つ姿が美しいです。相手を家族か友人か、恋人なのかをあえて明示しなかったことも、この歌に深みを与えていると思いました。
田中翠香
★0
透明な傘を通して見えた紅葉の色が、主体の頰や雨の雫にも映っている様子として捉えました
とても美しい情景を思い浮かべられる下句だと思います
小泉夜雨
★0

 気持ちも全部透かしたように

出詠名 小泉夜雨
14 / 8 ×0 ×6 ×5 ×1

互選名 キールもーたろえんどうけいこ甘酢あんかけ知己凛諏訪灯鶴田よめみちくさロサ・ブラックティー静ジャック小泉夜雨

選評名 カサの透明感を気持ちに反映させているのが面白いです。見えないはずの気持ちが、透けてしまっているような感覚が、この情景から起こったのでしょうか。秋の雨には、そんな力があるのかもしれない、とも思わされました。水彩画のイメージがわいてきます。
甘酢あんかけ
★0

 燃えたつ色は滴ってこず

出詠名
15 / 7 ×1 ×3 ×5 ×1

互選名 キールもーたろ甘酢あんかけ田中翠香村田一広ロサ・ブラックティー天田銀河小泉夜雨

選評名 鮮やかな濃い紅色は、雨にとりこまれ、したたってきてもおかしくない様に思えます。しずくの中に映るの真っ赤な紅葉は、実は透明な水なわけで、そこに着目したのが面白いと思いました。濡れると燃え立つ、反意語でメリハリが出せていると思いました。最後が否定形であるので、強く絞まりのある一首だと感じました。
甘酢あんかけ
★0

落ちる雫で消す秘めた恋

出詠名 寿々多実果
16 / 6 ×1 ×2 ×5 ×1

互選名 甘酢あんかけ田中翠香知己凛ロサ・ブラックティー小泉夜雨蟻男静ジャック衣未(みみ)寿々多実果

選評名 もうこの秘めた恋を最後にしようと、カサから落ちるしずくを見て決心したのでしょうか。単なる情景描写から一転、下の句の丁寧な心理描写で、後半一気に切なさがあふれて、しかも、透明なカサが、秘めた恋の終わりには似つかわしい気がして、秋雨のイメージにぴったりのしっとりとした悲しみが描かれている一首になっていると思いました。
甘酢あんかけ
★0

あと10分で告白しよう

出詠名 彩華
17 / 6 ×0 ×4 ×3 ×1

互選名 甘酢あんかけ藤 かづえロサ・ブラックティー蟻男静ジャック永山雪彩華

選評名 上の句の美しい景色を見せられて背を押されたのでしょう。10分の間に雨がやまないことを祈ります。
静ジャック
★0
時間で区切って、自分を追い込んでいるのですね。ドキドキ感が伝わってきます。10分という数字で、カジュアルな印象の一首に仕上がったように感じました。ベタですが、このしずくが落ちたら…、とか、この雨が止んだら…、とか、告白するタイミングに不確定要素を盛り込むと、読み手はさらにいつ告白するかわからないことにドキドキするような気もしますし、しないような気もします。どちらでしょう。。
甘酢あんかけ
★0
告白の結果が恐くてなかなか言い出せないのでしょうか。青春ドラマですねえ(^^)このもどかしさが甘酸っぱいです。
ロサ・ブラックティー
★0

柄を持つ拳 横顔遠い目

出詠名 明実
18 / 5 ×1 ×1 ×1 ×1

互選名 甘酢あんかけ村田一広ロサ・ブラックティー明実

選評名 情景描写のみなのに、つよい心の動きを感じました。柄を持つのは男性でしょうか。その男性のカサに入り、横顔を見上げている女性が主体だとよみとりました。男性の拳の存在感、遠い目をしている男性を見つめる女性の気持ちの動き、打ちつける雨、燃えるように赤い紅葉、それらがい美しく掛け合わされ、魅力的な一首になっていると思いました。主観ですが、この男性絶対かっこいいんだろうな、と、感じました。
甘酢あんかけ
★0
拳と横顔が同一線上に見えている気がして、この方は大きい人かなと思いました(^^)
ロサ・ブラックティー
★0
甘酢あんかけ様へ
選んで頂きありがとうございます(^^) 美化されちゃってるコメントに少し照れてます(ポッ) 実体験ならいいのになって(^w^)
明実
★0
傘の柄を持ってるのが「拳(こぶし)」で遠い目をしているとか、もう、ズバリ体育会系で、来たる大会の事とか考えている・・・などと、妄想しました(^^;
ロサ・ブラックティー
★0

降るたびごとに秋は深まる

出詠名 諏訪灯
19 / 5 ×0 ×3 ×4 ×1

互選名 キール甘酢あんかけ田中翠香寿々多実果常盤このは諏訪灯

選評名 秋雨が重なるほどに、紅葉の赤さも鮮やかになっていくという、秋の経過を楽しんでいるのがよみとれました。その場の瞬間を切り取る歌が多い中、時間軸を幅広くとっていて、季節の移ろいに心動かされているのがよかったです。「深まる」というのが抽象的なので、もし具体的に深まりを示したら、さらに絵が浮かぶ歌になるのかな、とも思いました。
甘酢あんかけ
★0

しとしとザーザー歌は甘やか

出詠名 衣未(みみ)
19 / 5 ×0 ×3 ×4 ×1

互選名 甘酢あんかけ404notF0816鶴田よめきいロサ・ブラックティー柳原カシス静ジャック衣未(みみ)

選評名 雨音を歌と捉え、それを甘やかと表現にしたのが素敵だなと思いました。視覚・聴覚・味覚が入っているのも面白みがあります。秋の寂しさの横にある、ほんのりした甘さに気づかされました。もしかしたら、ちょっぴりとろみがかった甘い雨が降っているのかもと、楽しい妄想がふくらみました。
甘酢あんかけ
★0
下の句はまるまる雨の音の描写にしたのが面白いと思いました。詠み手は長く外にいて雨を楽しんでいたのだとわかります。「(雨の)歌は甘やか」のフレーズが良いですね!
きい
★0

 あなたのいない秋をふと思う

出詠名 もーたろ
20 / 4 ×1 ×0 ×2 ×1

互選名 甘酢あんかけ村田一広藤 かづえもーたろ

選評名 景色を見て、「あなた」を思い出した瞬間なのでしょうか。不在というマイナスの存在感は、秋の始まりに、そして、雨の日に、顕著になるのかもしれないと気づかされました。字余りにしたのは意図的なものでしょうか、ふと思ってしまったという、飛び出した思いが象徴されているようにも解釈でき面白いと思いました。
甘酢あんかけ
★0
美しい景色を「あなた」と共に見られないことを寂しく思っているのでしょうか
もの悲しさがあり、素敵な下句だと思います
小泉夜雨
★0
何事も無くたって秋は寂しい季節。なのに、あなたがいなくなってしまう、、どんなに寂しいことだろう、主体はそう思っているのでしょう。
「ふと」ということは、それはただの仮定なのかもしれません。あるいは、近い将来そうなる可能性があるのかもしれません。いずれにしても、あなたがいない秋、雨、紅葉、寂しさのハーモニーが好きです。
藤 かづえ
★0

帰ってからも閉じる手は、まだ

出詠名 成瀬山水
21 / 4 ×0 ×2 ×5 ×1

互選名 きつね甘酢あんかけ鶴田よめロサ・ブラックティー小泉夜雨明実静ジャック成瀬山水

選評名 どうにでも読みようがあるのですが、この「手」は誰かの手を握っていたのかもしれません。その感触が「まだ」残っているということなのだと読みました。
きつね
★0
ストーリーが始まる感じがしました。「まだ」を、どうよみとればいいのか、考えさせられました。まだ冷たいのか、まだ誰かと手を握っていた感覚がのこっているのか、カサを握っている感覚がのこっているのか、もう少しヒントがあると、読み手はもっと楽しめるような気もいたしました。でも、そこを想像にお任せするのもいいのかもしれませんね!
甘酢あんかけ
★0

君の<kana> 初恋<:>せいしゅん</kana> 僕の<kana> 失恋<:>せいしゅん</kana>

出詠名 蟻男
22 / 3 ×0 ×1 ×5 ×1

互選名 甘酢あんかけ寿々多実果みちくさロサ・ブラックティー小泉夜雨宮嶋いつく蟻男

選評名 そのまま「はつこい」「しつれん」としても良かったのかな、という気もしますが初恋も失恋も青春の大切な一ページということを考えると「せいしゅん」というルビも分かるような気がします。
諏訪灯
★0
せいしゅん、という読みにそろえたことで、同じ青春でも、中身はさまざまであるということを強調したいのかなと、察してみました(違うかもしれません…)。秋雨の中、「君」の初恋がうまくいっているのを目撃してしまって、その瞬間、主体の恋が終わった、みたいな状況でしょうか。だとしたら、透明の安いカサが、一層切なく感じます…。
甘酢あんかけ
★0
鮮やかな紅葉を「青春」とするならば、この雨が、君には喜びの涙雨、僕には切ない涙雨・・と詠っているようで、共に「美しい記憶」としての情景に感じました。
ロサ・ブラックティー
★0

死に体蝶がふらふらと飛ぶ

出詠名 えさい
23 / 2 ×0 ×2 ×1 ×0

互選名 甘酢あんかけ村田一広ロサ・ブラックティー

選評名 幻想的な美しい画が浮かびます。蝶を紅葉の歌にもってくるというのが斬新で刺激的だと感じました。バランスを崩しながらふらふらと飛ぶのがまた、秋の寂しい雰囲気にふさわしいと思いました。とにかく、景が美しく、絵にしたい一首だと感じました。
甘酢あんかけ
★0

どこまでも雫が美しい

出詠名 うた猫
24 / 0 ×0 ×0 ×4 ×0

互選名 甘酢あんかけ村田一広ロサ・ブラックティー静ジャック

選評名 カサからしたたる雫に、心奪われてしまった瞬間を切り取った歌だとよみとりました。「どこまでも」という言葉が、奥行きのある透明感をさらに強めている気がします。美しいという言葉以外の表現で、美しさを表現したら、またさらに面白みが広がる歌かも!?とも思いました。
甘酢あんかけ
★0


Tポイントカード月POINTについて sing-for.month.jp/classic/tpoint.html
三ヶ月Data長月の歌会下弦の部H29.09.20 up
順位筆名首席投句選句特選偏差EX合計

EX内訳

最優+3きつね

最黄+2きつね田中翠香

最緑+2

上下+1甘酢あんかけきいきつね藤 かづえ404notF0816常盤このは彩華知己凛えんどうけいこ天田銀河鶴田よめ諏訪灯小泉夜雨柳原カシス蟻男衣未(みみ)えさいうた猫もーたろ静ジャック寿々多実果ロサ・ブラックティー宮嶋いつく田中翠香村田一広みちくさ永山雪

初回+1キール明実

欠票-1えさいうた猫

欠評-1えさいうた猫

六連+3もーたろみちくさ

のの+1全員(管理人欠席のため)

花Season Cup 『秋杯』表彰新月ノ歌会秋


新秋王 は きつね さんに決定しました

冠 秋の表彰会場へ 冠


月開催後記


きつねさんが通算トップ8回目の下弦首席でした

甘酢あんかけさんから(多分)全句評をいただきました

通算60回出席: 藤 かづえ

通算50回出席: ロサ・ブラックティー

通算40回出席: 彩華

通算20回出席: 木蓮

通算10回出席: 寿々多実果 うた猫 柳原カシス

連続50回出席: ロサ・ブラックティー

連続40回出席: 宮嶋いつく


ありがとうございました 花

長月の歌会下弦の部