連歌の花道『新月ノ歌会』

文月の歌会

新月ノ歌会工事中

夢で会う約束がある 傘立ての底にうまれた夜のみずうみ 久藤さえ × 西藤智

平成31年度 文月の歌会『下弦の部』

 上の句に付ける下の句を出詠ください

詠草リスト

[今回の投票式目]
特選(2点)×1票
並選(1点)×5票
次選(0点)×∞票
互選(2点)×1票

冠やぐら太鼓にいのちが灯る

出詠名 榊 康
首席 / 27点 ×8 ×9 ×6 ×1

互選名 芍薬キール西鎮さかなかな衣未(みみ)袴田朱夏遠野 かなみ知己凛ゆりこNATURAロサ・ブラックティー甘酢あんかけ苔井 茅詩のぶ他人が見た夢の話きい万間みいや天田銀河静ジャック藤 かづええさい榊 康

選評名 上の句から下の句への展開の鮮やかさが見事です。上の句の「宵の底に誘われて」から一日の終わりへ向かうと思いきや、夜はここから始まる、というような躍動感あふれる下の句にいい意味で裏切られました。ひぐらしの切ない鳴き声とやぐら太鼓の力強い音の対比もすばらしいですし「いのちが灯る」という比喩はやぐら太鼓にぴったりだと思いました。素敵な一首ですね。
キール
★0
上のかたもお書きのとおり、夜はこれからというわけですね。一年倉庫かどこかで眠っていたやぐら太鼓の晴れ舞台。その叩かれる瞬間を「いのちが灯る」と表したのが、すてきだと思いました。
袴田朱夏
★0
日が暮れていくのと対比して、やぐら太鼓がうかびあがるような景がとてもよく表現されていると思いました。
お祭りはこれから!さあ出番だ!という勢いも感じます。
知己凛
★0
祭りが始まってゆく景を描き、上の句の要素を活かしていると思いました。
子どもたちがはしゃぐ声・並ぶ夜店・大人たちが挨拶を交わしている場面が目に浮かびます。
『いのちが灯る』には、こういった夏を楽しむ行事が、未来にもずっと続いていくと良い…平穏な世界への願いも含まれていると感じました。
遠野 かなみ
★0
静の上の句から、動の下の句への転換がここちよく、明かりがぼんやりと見えてきます。また、耳だけでなく体に響いてくる和太鼓の躍動。いのちが灯るという表現から、祭りの神聖さも表現されており、すばらしいと思いました。
甘酢あんかけ
★0
終末的な雰囲気の上の句と対照的に、祭りが始まる「始動」を表現している下の句。それらが見事に捻れを生みながら、それぞれに馴染んでいる一首だと思いました。「宵の底」と「いのちが灯る」が、お互いに効いているのだろうと感じました。
西鎮
★0
季節が、とても伝わってきます。他の歌と違う点として、「まだ終わってないぜ!」みたいな、ある種の夏の意地・主張のようなものを感じられました。
他人が見た夢の話
★0
「やぐら太鼓」が印象的な下の句だと思いました。「いのち」という言葉にも力強さを感じる下の句です。
藤 かづえ
★0
キール様
目にとめて頂けたことが嬉しいです!灯”り”か灯”る”かで悩んでましたが評を読ませて頂き、<夜はここから始まる>というお言葉に<灯る>で良かったのだと思いました。評有難かったです!評と票までありがとうございました(^o^)/。
榊 康
★0
袴田朱夏さま
目に留めて頂き嬉しいです!いのちを漢字にすべきか平仮名にすべきか悩んでましたが、倉庫で眠っていたやぐら太鼓の晴れ舞台とのお言葉に、平仮名の方がより太鼓に寄り添っている表現だったのだと評を読ませて頂き思いました。評有難いです!評と票までありがとうございました(^o^)/。
榊 康
★0
知己凛さま
目に留めて頂き嬉しいです! やぐら太鼓が<うかびあがる>景だけでなく、さらに さあ出番だ!という勢いまでも感じ取って頂き、掬って頂きたかったところを感じて頂けた評がとても嬉しかったです。評と票までありがとうございました(^o^)/。
榊 康
★0
遠野 かなみ様
目に留めて頂けたこと嬉しく思います!子どもたちがはしゃぐ声・並ぶ夜店・大人たちが挨拶を交わしている場面にまで景を広げて頂き嬉しかったです。<いのちが灯る>に平穏な世界への願いを感じて頂けたのは、私にとって感慨深いものがありました。評に票まで感謝申し上げます<(_ _)>。
榊 康
★0
甘酢あんかけ様
目に留めて頂けたこと嬉しーいです!!「いのちが灯るという表現から、祭りの神聖さも表現」とのお言葉から改めて<いのち>を平仮名表記にして良かったのだと思いました。上の句に”静”下の句に“動”とのご指摘は助言を頂いたようで勉強になり、これからの歌作りにとても参考になりました!評に票までありがとうございました(^o^)/
榊 康
★0
西鎮さま
目に留めて頂き感謝いたします!<宵の底>を終末 <いのちが灯る>を始動、それを捻じれと読まれたところ興味深く拝読させて頂きました。本当に評が有難いです!評と票ありがとうございました(^o^)/。
榊 康
★0
他人が見た夢の話さま
ご無沙汰しております。お元気そうで榊とても嬉しく思います。
評を読ませて頂いて、あぁ~この評好きだなぁ~と思いました。あの~<まだら模様の西風>個人的に気になります。良かったら教えて下さいね!お時間許すようでしたら、また参加して下さいね!お待ち申し上げております。評と票ありがとうございました(^o^)/。
榊 康
★0
藤 かづえ様
目に留めて頂き嬉しかったです!やぐら太鼓 いいですよね。藤かづえ様のこの上の句は色んな光景が浮かび、作っている間とても楽しめました。素敵な上の句ありがとうございました<(_ _)> いっぱい いい歌を鑑賞することがでとても楽しかったです!評と票ありがとうございました(^o^)/。
榊 康
★0
皆様へ
お読み頂き票まで贈って頂き感謝申し上げます。この度も素敵な歌に出逢い、とても刺激になり勉強させて頂きました。ありがとうございました(^o^)/。
榊 康
★0

とけてちいさくなるこもりうた

出詠名 袴田朱夏
2 / 22 ×3 ×14 ×3 ×1

互選名 芍薬キール西鎮さかなかな衣未(みみ)知己凛ゆりこほのふわりロサ・ブラックティー甘酢あんかけ詩のぶ他人が見た夢の話蟻男きい万間みいやさち榊 康静ジャック藤 かづえ袴田朱夏

選評名 子守唄をうたってあげている親も眠気に勝てずだんだん歌声が途切れていく、そんな状況を「とけて」と表現したのが独特でとても面白いなと思いました。全部ひらがななのも子守唄らしいですし、眠くて頭が働かなくなっている様子をうまく表現されています。
芍薬
★0
「誘われて」から「こもりうた」を出してくるところがうまいです。また、少しずつ眠りに引き寄せられていくさまを、こもりうたがとけて小さくなる、と表現したところも素敵だと思います。
ほのふわり
★0
夏だけに「とけてちいさくなる」のは氷のようだと思いました。それでいて最後に「こもりうた」とした持ってきたところが意外性があってお上手だなあと。。子守唄の余韻は小さな寝息となり、ひぐらしの声の響きと重なるようでとても好きです。
きい
★0
皆さんの歌を拝見させていただき気付かされたのですが、今回の上の句は「入眠」との相性がとても良いですね。「入眠」を意図した下の句が何首かあるうち、こちらは第四句で比喩にも成功しているなと感じました。
他人が見た夢の話
★0
私も、評を読んでいまして、子守歌を聞いてる側が、眠りに引き込まれて、こもりうたが遠くなるのを、「ヒグラシの声の中にとける」と表現されたのが美しいと思いました。
ロサ・ブラックティー
★0
子守唄は溶けてしまったけど、ちびっこは寝れたのでしょうか(笑)
もし寝れていなくとも、静かに くすくす笑う良い子を想像しました。
蟻男
★0
ひぐらしの声を「こもりうた」にして眠ろうとしている幼子の様子なのでしょう。眠りに落ちていく幼子に聞こえているひぐらしの声を「とけて」と表現されたのが実感こもっていていいな、と思いました。
藤 かづえ
★0
票、またていねいな評をたくさんいただきとても感激しております。ありがとうございました!
袴田朱夏
★0

ひとりの夏を彷徨いており

出詠名 NATURA
3 / 18 ×1 ×14 ×6 ×1

互選名 芍薬キールりん2西鎮遠野 かなみもーたろ知己凛黛カイリ文月一音乃 遥ほのふわりロサ・ブラックティー苔井 茅詩のぶ他人が見た夢の話蟻男万間みいや天田銀河榊 康静ジャックNATURA

選評名 この下の句は、手がかりを求めて歩き続けている孤独感を感じて応援したくなりました。とてもシンプルですが、文学的で、こころにすっと溶け込んできました。
ひぐらしが、なぜ作中主体だけを誘ったのか…その答えは、彷徨った夏の果てに分かるのではないかと思います。
遠野 かなみ
★0
「ひとりの夏」から前の夏はひとりではなかったと読みました。大切なひとをなくしてしまったのでしょうか。ひとりの夏をどう過ごしてよいかわからない心が「彷徨う」から見えてきます。
キール
★0
ひとりの夏。
上の句と下の句のマッチの仕方がすごいと思いました。
かっこいいです。
一音乃 遥
★0
『夏』が入っててすごく悩んだのですが、「ひぐらしの宵」と「彷徨う」があまりにしっくり来てしまいまして(^^)
ロサ・ブラックティー
★0
ひぐらしの哀切を帯びた声を聞きながらひとり彷徨っている姿、寂寥感が夏の終わりにふさわしいな、と感じる下の句です。
藤 かづえ
★0

列車は長い鉄橋をわたる

出詠名 きい
4 / 16 ×5 ×4 ×4 ×1

互選名 りん2西鎮衣未(みみ)遠野 かなみ文月ロサ・ブラックティー甘酢あんかけ蟻男万間みいやさち榊 康静ジャックきい

選評名 先ほどまでひぐらしの声がしていた”長い”鉄橋。とても深い峡谷を想起させ、宵の底と響き合います。上の句で音としてひぐらしの声が途絶えたと思いきや、今度は鉄橋を渡る列車の音を下の句で響かす。ひぐらしの声と同様に心地よい音の響きを感じました。
榊 康
★0
上の句はひぐらしの鳴き声を背景に夕方から夜へ移り変わってゆく過程が描かれていると思うのですが、ここで「長い」を出したことで夜の長さをも表現しているように感じました。列車に乗っている作中主体の様子はまるでわかりませんが、包み込む雰囲気を細やかに伝えている七七であると思います。小説や映画のワンシーンのようでもあります。
りん2
★0
夜なのでしょうかひぐらしの声が暑い夏の夜に啼き鈍行列車が田舎に向かう鉄橋を超えるそんな景色が浮かびました。
文月
★0
穏やかな旅情を感じました。ひぐらしの声が、鉄橋をわたる音にかき消されて、景色は見えなくなっていくけれど、風景が移りかわってゆく様子が、心地よく伝わってきました。
ロサ・ブラックティー
★0
鉄橋をわたる列車の音とひぐらしの鳴き声がシンフォニーのように聞こえてきました。旅情を感じる一首になったと思います。
藤 かづえ
★0
ひぐらしに誘われているのは列車あるいは列車に乗った大勢の人という発想が素敵です。さらに「長い鉄橋」で一段とスケールが大きくなり、この後どうなるのか想像を掻き立てられます。
さち
★0
たくさん評を頂いて嬉しいです。お花もありがとうございました!
きい
★0

蚊帳はふたりの寝息で満ちる

出詠名 りん2
5 / 15 ×3 ×7 ×6 ×1

互選名 西鎮さかなかな袴田朱夏遠野 かなみもーたろ一音乃 遥ほのふわり寿々多実果他人が見た夢の話蟻男きい万間みいやさち榊 康静ジャックりん2

選評名 ひぐらしという虫に、蚊帳というそれを拒絶するものを持ってくる。
きっと直接には触れないけれど、声は届いている。
うまくいえないけれど、好きです。
一音乃 遥
★0
蚊帳という言葉を選ばれたことが、どこか懐かしんでおられるように思い,蚊帳の中では兄弟(姉妹・兄妹)仲良く寝息を立てている映像が浮かびます。<満ちる>という言葉を添えられたことで、特に母親のやさしいまなざしを感じさせつつも<宵の底>の言葉と上手くかみ合い、ぐっすりと眠り込んでいる様子が伝わってきます。満ち足りた時間とどこか郷愁を感じさせてくれる歌です。
榊 康
★0
外にはひぐらし、蚊帳のなかはふたりの寝息で満ちている。夏の幸せな情景が描かれていてほっこりしました。
きい
★0
ひぐらしの声が聞こえる窓を開け放った室内に吊られた蚊帳。蚊帳の中のふたりは安らかに眠っている。そのような景を思い浮かべました。蚊帳にもひぐらしの声にも包まれる、ほっとする晩夏の一首になったと思います。
藤 かづえ
★0

夕餉の支度忘れて眠る

出詠名 寿々多実果
6 / 15 ×2 ×9 ×5 ×1

互選名 さかなかな衣未(みみ)もーたろ知己凛ゆりこNATURA文月一音乃 遥ロサ・ブラックティー他人が見た夢の話万間みいやさち榊 康静ジャック藤 かづええさい寿々多実果

選評名 情景が浮かんできました。こういうことってありますね。
衣未(みみ)
★0
暑さに疲れた夏の夕暮れ窓から入る風心地よく知らず知らず眠ってしまったのでしょう…よくやってしまうやつですよね。
文月
★0
暑さに疲れた夏の夕暮れ窓から入る風心地よく知らず知らず眠ってしまったのでしょう…よくやってしまうやつですよね。
文月
★0
なるほど!こう詠めば上の句が自然になる!
日常の風景としてですね。とてもマッチしていていいと思いました。
一音乃 遥
★0
ひぐらしの声が心地よい子守歌になったのですね。ありがちな日常に上手に結びつけてとても素敵な一首。
静ジャック
★0
私も主婦なので最も実感をもって読みました。
藤 かづえ
★0

宮のほとりに集う兵児帯

出詠名 黛カイリ
7 / 14 ×1 ×10 ×4 ×1

互選名 芍薬キール西鎮衣未(みみ)遠野 かなみNATURA文月ロサ・ブラックティー甘酢あんかけ寿々多実果きい榊 康藤 かづえ黛カイリ

選評名 兵児帯という言葉だけでああ夏祭りの景だなとわくわくしました。神社のお祭りは夏の終わりにふさわしいハレのイベントですね。
芍薬
★0
私は、平安時代を詠われたのだろうと読みました。上の句を正面から受けとめ、時代的な設定をしっかり構築されているところが良いですね。この下の句が合わさったことによる相乗効果で、一首として日本の夏の美しさを宿していますね。特選にしようか迷った句です。

宵の底へ向かう途中に見かけた一場面とも読みましたし、その地域に存在するいろいろな景の一つを描いた…とも読めるなと感じました。
私には思いつかない下の句で憧れます。ステキですね。
遠野 かなみ
★0
上の句のもつなかば終末的な雰囲気を、「祭りの始まり」という景で良い意味で裏切りつつも、祭事(または神事)という一つの「幻想」が上の句とシンクロしていく流れが、見事だと思いました。
西鎮
★0
「兵児帯」がとにかく素晴らしいと思いました。夏祭りの始まりが目に浮かびます。
きい
★0
小さな社に子供たちが集まっている情景を思い浮かべました。お祭りの晩
なのでしょうね。昔どこかで見たような懐かしい気持ちになりました。
藤 かづえ
★0
集う兵児帯>がいいなぁ~。こうして平穏に令和も盆祭りが行われてゆくことを願い(^_^)。
榊 康
★0
芍薬様、遠野かなみ様、西鎮様、きい様、藤かづえ様、榊康様、評をいただきありがとうございました!丁寧に読み込んで頂けて感激です…!
黛カイリ
★0

青いビー玉埋める、ひそかに

出詠名 詩のぶ
8 / 12 ×2 ×6 ×6 ×1

互選名 りん2もーたろ黛カイリ一音乃 遥ロサ・ブラックティー甘酢あんかけきい万間みいやさち榊 康静ジャックえさい詩のぶ

選評名 「青いビー玉」が何を意味しているのか、何を象徴しているのか気になるところではある。
もーたろ
★0
密かに、ですか。
青いビー玉といえばラムネのビー玉ですよね。それを埋める。
嫌な思い出もお祭りであったのか。
それともやりきれない思いが爆発した果てなのか。
それであり、ひそかに。
やりきれない思いルートで読むと、それを誰にも知られたくない。
ここでかなり飛躍をします(妄想)
お祭りで心を寄せていた男に彼女がいるところを発見してしまう。そういう状況なのでしょうか。周りには特にバレてはいないけれど、心が大きくダメージを受けて、それで「ひそかに」埋めるのでしょうか。
いろいろ想像のできる、良い下の句だと思いました。
一音乃 遥
★0
私には、この「青いビー玉」は『宝物』もしくは何かの象徴なら『大切にしている想い』の様に思えました。美しく感じます。
ロサ・ブラックティー
★0
そのままの情景として読みました。子供の頃はこんなふうにちょっとした秘密を作ることに熱中したものです。ひぐらしの鳴く神社の隅にひとりうずくまってビー玉を埋めている子供の背中を想像して、ちょっとせつなくなりました。「青いビー玉」という描写もいいですね。
きい
★0
青いビー玉は、大切な宝物だったのかもしれませんね。だから、底に行く前に埋めておこうか、ひそかに、と考えたのかな、と思いました。その行為が夏を終わらせることも象徴しているようにも思えました。
藤 かづえ
★0
なにかまじないめいたものを感じました。不思議な力が働くのは夕暮れから夜にかけてですから、青いビー玉を埋めると何か願いが叶うんでしょうね。
小さい頃に聞いていた「鳥居の足元に宝物を埋めると神様がなんでも一つだけ願いを叶えてくれる」なんて伝説を、お盆の帰省中に思い出す。実家の部屋から小さい宝箱を見つけ、大事にしていたビー玉を取り出す。外はひぐらしが控えめに鳴いている夕暮れ、誘われるように鎮守の杜へ向かい、鳥居のそばにしゃがみこむ……。
そういう物語めいた背景が思い浮かぶようでした。「、ひそかに」が、妖しい雰囲気の中にも美しい予感を感じさせます。
万間みいや
★0
皆さま
お花と評をありがとうございました!光るものが好きで、ビー玉やおはじき、キラキラしたビーズを親に呆れられるくらい集めていた幼い自分にとっても、ラムネの青いビー玉は特別なものでした。でもどこにやったのか、今はもう手元にありません。いつかの宵の底に埋めてきてしまったんだなと思っています。
詩のぶ
★0
コメントしたつもりが送信できておらず、申し訳ありません。
青いビー玉を夏の間秘めていた感情のように感じました。ひそかに、という締め方が「青」という色と「ビー玉」というガラスにマッチし、風景の透明度を上げているように感じます。
暑さが引いて行く宵の空気感をこれ以上ないほどよく表した歌だと感じました。
黛カイリ
★0

時の裏口見つけてしまう

出詠名 遠野 かなみ
9 / 12 ×1 ×8 ×9 ×1

互選名 キールさかなかな袴田朱夏もーたろ知己凛ゆりこNATURA文月ロサ・ブラックティー甘酢あんかけ寿々多実果万間みいや天田銀河さち榊 康藤 かづええさい遠野 かなみ

選評名 この裏口をくぐると帰って来られなくなる、と直感に訴える戸口かなにかだったのでしょう。上の句の神秘的、暗がりのイメージをよく引き継いで、自然あるいは神様への畏れといったものを想起させられました。
袴田朱夏
★0
見つけた裏口はもう戻れないそんな扉でしょうか。その先が気になります。
ゆりこ
★0
宵の底から「時の裏口」へ発想したところがとてもいいな、と思いました。
藤 かづえ
★0

鈴ふるような声で出かける

出詠名 藤 かづえ
10 / 12 ×1 ×8 ×4 ×1

互選名 芍薬西鎮さかなかな袴田朱夏黛カイリロサ・ブラックティー甘酢あんかけ蟻男万間みいやさち榊 康えさい藤 かづえ

選評名 鈴ふるような声 心当たりがあります(^_^) オーバー・タイムというドラマに出演なさっていた頃の石田ゆり子さまを思い出します。心が弾んでる様子が鈴ふるような声として伝ってきそうで、浴衣姿で出掛ける巾着にも鈴が付いてそうな感じもしました(^_^)。
榊 康
★0
夏祭り、縁日など、宵の底に楽しみがあるんでしょうかね。宵の暗いイメージと「鈴ふるような声」の対照がいいと思いました。
袴田朱夏
★0
「鈴ふるような声」は「宵の底」とは対照的な明るさを感じます。一方で、「ひぐらし」の声とはどうなのでしょうか…自分は似て非なる音声という位置付けで表現されているのだろうと考えました。短調の「ひぐらし」と長調の「鈴ふるような」、というイメージでした。
西鎮
★0
評をよんでまして。鳴いているひぐらしはみんな♂(^^)「鈴ふるような声」は女性の高音を想像させるので、ひぐらしの声に応えるかの様に、夕刻に出かけていく様子を詠っているのかなと(評のおかげで)改めて深く感じさせられました(^^)。
ロサ・ブラックティー
★0
「鈴ふるような声」がひぐらしの鳴き声との聴覚での対比になっていて良いなと思いました。家族に「行ってきます」のような言葉を発したのかなと考えましたが、ひぐらしの誘いに対しての返答でもあるのかなと思いました。
さち
★0

麦わら帽子もおやすみなさい

出詠名 知己凛
11 / 11 ×1 ×7 ×6 ×1

互選名 芍薬キール衣未(みみ)袴田朱夏遠野 かなみゆりこNATURA文月ロサ・ブラックティー甘酢あんかけ他人が見た夢の話さち榊 康静ジャック知己凛

選評名 いろんな下の句を許す、ふところのある上の句でしたので、やはりいろんなタイプの下の句が集まりましたが、この下の句、やさしさが上の句といちばん滑らかにつながっていて、じんわりくるいい歌だなあと思いました。麦わら帽子をかぶった子が、夏に遊びほうけてつかれてしまったのでしょうかね。それを見届ける主体も、宵の涼しさに誘われてそろそろ眠るのでしょうか。おやすみなさい。
袴田朱夏
★0
『麦わら帽子』に悩みましたが、日が落ちて用が済んだそれに「おやすみなさい」と言っている作者のやさしさに魅かれました。
ロサ・ブラックティー
★0
夜の時間帯を詠んだ短歌になったのに、一日中楽しく遊び尽くしたことがよくわかる一首だと思いました。麦わら帽子もそれをかぶった子どももひぐらしの声に包まれて眠っている、安らかな一日の終わりを感じました。
藤 かづえ
★0

無邪気な夏を巻き戻せない

出詠名 芍薬
12 / 11 ×0 ×9 ×6 ×1

互選名 りん2遠野 かなみNATURA文月ほのふわり甘酢あんかけ寿々多実果苔井 茅詩のぶ天田銀河さち榊 康静ジャックえさい芍薬

選評名 夏に失恋でしょうか、してしまいその事から立ち直れず、無邪気さを取り戻せない、そう響いてきます。大人になって今はもう子供のように はしゃげない。そんな歌意ではないと感じるのは、どこか無邪気だった夏にまた戻りたいという希望みたいなものをこの歌から感じられたからです。間違ってましたらお許し下さい<(_ _)> 皆様はどのように感じられたのだろう。他の方の評が読みたくなる歌でもあります。
榊 康
★0
宵の底、勝手な想像ですが、きっと柔らかい泥が溜まっていて、何か満たされていない2人が、ひぐらしの切ない声に誘われて偶然出会ってしまい、そのままずぶずぶとイケナイ恋愛に沈んでいってしまう。ひぐらしが鳴き始めてからの一生は短く、この恋愛も長く続かないことを理解している、一夏の火遊びと思うようにしていたのに、ひぐらしの声が聞こえなくなってもまだ宵の底の泥の感触を忘れられず、遊びのつもりだった恋を再度切実に求めている自分に愕然としている、…そんなストーリーを想像しました。
詩のぶ
★0
楽しいばかりが恋愛じゃない、と言っている下の句なのかな、と思いました。相手を思えば思うほど無邪気な夏だけでなくなっていく、それが宵の底と響き合っていて素敵な下の句です。
藤 かづえ
★0

透けた羽根から星は生まれた

出詠名 ゆりこ
13 / 10 ×2 ×4 ×6 ×1

互選名 西鎮袴田朱夏遠野 かなみもーたろほのふわりロサ・ブラックティー甘酢あんかけ万間みいやさち榊 康えさいゆりこ

選評名 ひぐらし、と、宵、の両方を下の句で拾っています。もしかしたら主体は、宵の底にたどり着いたとき、ひぐらしになってしまったのかも、と思いました。
袴田朱夏
★0
ヒグラシはほかのセミより小さくて、透明な羽を持っていますけど、その羽の透明さから星が生まれるというのは、童話のような、ファンタジックな美しいイメージだと思いました。
ロサ・ブラックティー
★0
ひぐらしの羽、透明できれいですね。そこから「星がうまれた」とはなんともロマンチックな発想です。
藤 かづえ
★0

また滅びるね青い季節は

出詠名 天田銀河
14 / 10 ×0 ×8 ×6 ×1

互選名 芍薬さかなかな袴田朱夏黛カイリNATURA一音乃 遥ほのふわりロサ・ブラックティー甘酢あんかけ他人が見た夢の話万間みいやさち榊 康静ジャック天田銀河

選評名 第三者的な視点が面白いと感じました。蜩に誘われた宵の底。その先のことをこの歌の主は知っているかのような怪しさを感じます。青い季節の本当を読み手が好きに出来る広がりが、滅びるという言葉で奔放なものにさせず、蜩の語彙に戻っていく感じがしました。
さかなかな
★0
あをい季節がまた滅びる、ですか。滅びても戻ってくる季節と戻ってこない「この」ひぐらしの声。
夏は青いのでしょうか。「ひぐらし」と言っているから青く感じないだけでしょうか。そこが引っかかるところではありますが、綺麗だと思いました。
一音乃 遥
★0
わたしの住んでいるあたりでは、ひぐらしが鳴くのは晩夏、お盆過ぎのことが多い気がします。もう夏も終わっていく、というのをその声に感じた下の句だと思いました。夏を青い季節と表現しているのがいいな、と感じました。
藤 かづえ
★0
「青い季節」を考えていましたが、セミが鳴くのは求愛のため、そしてセミはやがて落ちてしまう。「また滅びる」のはセミの短い「ひと夏」なのでしょうか。
ロサ・ブラックティー
★0
ひぐらし、一日の終わりであると共に夏の終わりでもあるイメージでしたので「滅びる」という言葉が似合うなと思いました。
またこの季節が来る、だと春や秋なのですが、夏だけは「終わる」という感慨をいつも持ってしまうのですよね。そのことをふと思い出す歌でした。
黛カイリ
★0

ひとりがひとりまたいなくなる

出詠名 一音乃 遥
15 / 9 ×0 ×7 ×9 ×1

互選名 芍薬キール袴田朱夏知己凛黛カイリNATURAロサ・ブラックティー他人が見た夢の話蟻男きい万間みいや天田銀河さち榊 康静ジャック藤 かづえ一音乃 遥

選評名 宵の底というミステリアスな言葉を上手に引き継いで夏の怪談めいた一首に仕立てたのが良いなあと思いました。音をトリガーにして人が消えていく、ハーメルンの笛吹き男みたいですね。
芍薬
★0
遊んでいた子どもたちがひとりひとりと宵の底へと消えていくさまを想像しました。ミステリアスな一首に仕上がったと思います。
藤 かづえ
★0
著名なライトノベルを連想しました。また、上の句下の句が「ひ」で始まっていて、怪しげな雰囲気の中にも、リズムが生まれている印象の一首です。
他人が見た夢の話
★0
私も心の隅に引っかかっては居ました。そのライトノベルを数多く輩出した、かの有名なゲームを(^^;)
ロサ・ブラックティー
★0
わ、私知らないのですが…
何でしょうそのライトノベル…調べてみます…
ありがとうございました。
一音乃 遥
★0

強制参加型肝試し

出詠名 さち
16 / 8 ×1 ×4 ×8 ×1

互選名 キールさかなかな袴田朱夏ロサ・ブラックティー寿々多実果苔井 茅他人が見た夢の話蟻男きい万間みいや榊 康静ジャック藤 かづえさち

選評名 もう主観で・・妄想しました(^^;)「ひぐらし」のミステリアスなファンタジーから、「日暮れた 行くぞ行くぞ!」とリアルなドキドキの肝試しへの流れが楽しくて(^^)いろいろな期待も混ざっているようで、臨場感(いや、そこはもう本当に自分の妄想)感じました。
ロサ・ブラックティー
★0
肝試しのくじ引きの箱 二つ用意されてませんでした?
その内の一箱はどれ引いても一番しかはいってないヤツ。
私どーゆう訳か林間学校等で中高2回はめられました(^_^)
夜がお強いのかスケバン系のたくましい女子に、ガンガン引っ張って頂き今では貴重な体験でした。ハイ(^_^)。
榊 康
★0
「はい、みんな、ひぐらしの底まで行ってきて!」という声が聞こえてきそうな下の句です。肝試しは、子供の夏の定番行事、楽しい一首になったと思います。
藤 かづえ
★0
行きたくないけど弱虫と思われたくない。いいとこ見せなきゃいけないと思っているのか、はたまた好きな子も強制的に参加させて、手を繋ぐチャンスをうかがおうとしているのか。楽しい夏のひとこまですね。
寿々多実果
★0

旅の心によぎる君の名

出詠名 キール
17 / 7 ×1 ×3 ×8 ×1

互選名 西鎮もーたろNATURAロサ・ブラックティー甘酢あんかけ苔井 茅万間みいや天田銀河さち榊 康静ジャックキール

選評名 どこへ行くのも二人で、いつも隣に君がいる。同じ景色に触れ・同じ音を聞き・心震わせ・・・。「やまとなでしこ」最終回の欧介(堤真一)と桜子(松嶋菜々子)の仲睦まじい場面に憧れました。
自由で気楽だと一人旅に出ても、勿体ない程の景色に遭遇したり、いつまでも浸っていたいと思える空間に包まれてたりしていると、ふと心に顔や名前のよぎる人がいて寂寥感を覚えつつも、どこかで笑顔でいてくれたらと願ったことを思い出します。「男はつらいよ」のエンディングの寅さんを見ているようで、しみじみとしながらも視線が過去を交えながらどこか遠くの景色に行きそうな感覚を覚える、そのような歌に遭遇したように思いました。
榊 康
★0
ひとり旅でしょうか? 傷心の旅に、ひぐらしの鳴き声は一層旅情を誘います。忘れようとしても心をよぎってしまう君の名。この旅行中には吹っ切れそうにないですね。
NATURA
★0
ひぐらしの声は哀愁を感じる声ですよね。旅先でその声が聞こえてきたのかな、と思いました。そんなときにはどうしても恋しい人の名が頭をよぎってしまう、共感できる「旅の心」です。
藤 かづえ
★0

ほおずき舌に転がす記憶

出詠名 常盤このは
18 / 7 ×0 ×7 ×5 ×0

互選名 西鎮衣未(みみ)袴田朱夏ゆりこNATURA文月甘酢あんかけ寿々多実果天田銀河榊 康静ジャック藤 かづえ

選評名 子供の頃 祖母とほおずきの実で音を出す遊びをしてまして(^_^)皮を破らずに丁寧に中身を取り出す苦労、音が上手に出せるようになった時の喜び等の記憶が一緒に甦りました。不思議と<ひぐらし><鬼灯><記憶>は言葉の相性がいいように感じました。
榊 康
★0
もしかしたら、この句のテーマは「音を出す」なのでしょうか、虫は羽をこすったり、震わせたりして音を出しますが、人はその音に「時節」を感じ、昔の事を思い出す。ほおずきを口の中で転がして、自分の声ではない「音」を出すのにすごく苦労をし、私もその苦労を思い出しまして、考えすぎですが、セミの苦労も思ってしまう(^^;)
ロサ・ブラックティー
★0
ほおづきの実の中身をきれいに出して口で鳴らす遊び、子供の頃、やりました。いや、正確にはやろうとしました。母は上手に鳴らすのですが、わたしは鳴らすことができぬままでした。懐かしい記憶、共感します。
藤 かづえ
★0

浜学園にたどり着けない

出詠名 静ジャック
19 / 6 ×1 ×2 ×5 ×1

互選名 袴田朱夏ロサ・ブラックティー苔井 茅きい天田銀河榊 康藤 かづえ静ジャック

選評名 小学生の頃 勉強なんかより昆虫に関心があり、夏休みに常在戦場を掲げた塾をよくサボっては、ひぐらしの声を聞きながらクワガタやカブトムシを捕りに六甲山で遊んでいた記憶を思い出しました(^_^)。
榊 康
★0
「浜学園」にインパクトがありました。現世的な価値に疑問を感じて、心がさまよう不安定な様子が描かれていると思います。
苔井 茅
★0
「浜学園」という有名塾の名が効いているなと思いました。夕方に学校から帰ると今度は塾に行かねばならない子供たちの悲哀を感じます。
きい
★0
浜学園、調べました。有名塾なのですね。塾に行かなきゃいけない時間なのに誘われてしまってたどりつけない、ということなのでしょうか。ひぐらしの誘いはなかなか楽しいものだったようですね。
藤 かづえ
★0

それでも長い長いおるすばん

出詠名 蟻男
20 / 6 ×0 ×4 ×6 ×1

互選名 袴田朱夏遠野 かなみ文月ロサ・ブラックティー詩のぶ万間みいやさち榊 康静ジャック蟻男

選評名 ああなるほど、誘いには乗らなかった、というわけですかね。きちんとお留守番をすると。ほかにない視点だと思いました。長い長い、の繰り返しは、本当は誘いに乗ってどこかにいってしまいたい、という気持ちの表れのように読めます。きっと、きちんとお留守番をしたことが糧になりますよう。
袴田朱夏
★0
宵というわずかな時間に、ひぐらしも、そういつまでも泣いていないだろうに、その時間が長く長く感じるというのは小さい子供の留守番なのでしょうか。家人の帰りをキチンと待ちながらも、もどかしくしている情景が、健気で微笑ましく感じました。
ロサ・ブラックティー
★0
子供が宵の時間帯にお留守番をしている様子を思い浮かべました。ひぐらしの誘いにはのらなかったけれど、長い長いと感じていたのでしょうね。子供の寂しい気持ちが伝わってきました。
藤 かづえ
★0

涙も嘘も闇に沁みゆく

出詠名 もーたろ
21 / 6 ×0 ×4 ×3 ×1

互選名 NATURA一音乃 遥ロサ・ブラックティー甘酢あんかけ万間みいや榊 康えさいもーたろ

選評名 ひぐらし、ということですから日暮らしということでしょう。
その日暮らしていければいいという生活の中の涙、嘘も、闇夜に沁みていってしまう。
沁みる、というのがいいと思いました。
とけるほど簡単ではない。でもそれなりな表現として「沁みる」を選び出せた技量に驚きました。
一音乃 遥
★0
つらかった今日一日、あるいはこれまでを闇にしみこませながらひぐらしの声を聞いているのかな、と思いました。
藤 かづえ
★0

俯く背中に月を感じる

出詠名 ほのふわり
22 / 5 ×0 ×3 ×5 ×1

互選名 黛カイリロサ・ブラックティー甘酢あんかけきい万間みいや榊 康静ジャック藤 かづえほのふわり

選評名 夏の夜 もう背広は脱いでワイシャツ姿でしょうか。
うつむく背中だと白さは一層広がりまた丸みも加わります。
暗闇に浮かぶその白さは夏にあっても冬の月のごと寒々と寂しく浮かんでいるように感じられたのだと思います。上の句の雰囲気を損なわず、下の句で私達が見る光景を上手く拾われたように思いました。
榊 康
★0
俯く背中ごしに月光が見えたのかな、と想像しました。俯いているのは宵の底をのぞき込んでいるからかな、とも。聴覚から視覚へと展開した叙情的な下の句だと思います。
藤 かづえ
★0
今回投票後の鑑賞が長い(^^;)この句をみてますと、かの「--月は東に日は西に」を思い出すので、「宵の底」が陽の沈んだ方角で、見えていないけど、背中に出てきたであろう「月」を感じているのだなぁと思いましたが、「俯く」があって、季節だけでなく、なにか物悲しい事があった様に感じられました。
ロサ・ブラックティー
★0
追、「宵の底」は自身の「沈んだ気持ち」も表しているのでは・・・。
ロサ・ブラックティー
★0
榊 康さん、藤 かづえさん、ロサ・ブラックティーさん、素敵な評をありがとうございました。
上の句を読んで寂しい印象を受けたので、「俯く」という言葉が出てきたのかなと思います。本当にいろいろな読みをしてくださってありがたいです。
ほのふわり
★0

並んで見上げる散りゆく花火

出詠名 文月
23 / 5 ×0 ×3 ×3 ×1

互選名 りん2西鎮万間みいや天田銀河榊 康文月

選評名 <散りゆく>に目が止まりました。見上げる様な場所で見ていましたら降ってくるような感覚、また咲いてるのは一瞬で散りゆく方が長いので、花火をそのように描写した感覚解ります。そして幸せの絶頂にあって、時折押し寄せる不安になる感覚で散りゆくと見てしまう心の動きにも共感するところがあります。楽しそうでいても何処か不安が垣間見えた、繊細な心の機微を掬った歌のように思いました。
榊 康
★0
夏の恋人たちのデートといえば、花火ですよね。ふたりで花火が上がって落ちるまでを見上げているほほえましい様子を思い浮かべました。宵の底から「見上げる」への視点の移動がいいな、と思いました。
藤 かづえ
★0

まだら模様の西風涼し

出詠名 他人が見た夢の話
24 / 4 ×0 ×2 ×9 ×1

互選名 芍薬袴田朱夏黛カイリロサ・ブラックティー甘酢あんかけ詩のぶきい天田銀河さち榊 康静ジャック他人が見た夢の話

選評名 「まだら模様の西風」という表現が、日本手ぬぐいに書かれた藍染めの絵を連想しまして、ちょっと面白いと思いました。
ロサ・ブラックティー
★0
この歌と出会って二日色々考えていました。まだら模様を何に見ているのだろう。何故西風なのだろう。東風の方が涼しいのでは?ですが上評を読ませて頂きヒントを頂けたみたいで、岐阜の伝統工芸品 <水うちわ>を思い出しました。
美濃手漉き和紙にニス加工が施されており、水に浸して扇ぐことで涼を楽しめます。これですと団扇表面は扇ぐことでまだら模様になり、また西風でも涼を楽しむことができます。
私は興味深く鑑賞させて頂きましたが、歌意の解釈に自信はありません。間違っているようでしたお許し下さい<(_ _)>。他の方の評を読んでみたいです。
榊 康
★0
まだら模様はヒグラシの羽か、胴体からの発想でしょうか。いや、西風がまだら模様に吹いていたのかもしれませんね。夏の終わりに吹く涼しい風を感じました。
藤 かづえ
★0
またまた評を読んでいまして、「まだら模様」がヒグラシの羽の模様という発想はおもいつきませんでした、発見!ヒグラシの声に涼感を感じるというのも、すごく日本的ですね。
ロサ・ブラックティー
★0
みなさん
評をありがとうございます。
そして、榊さん!ご無沙汰してます!お元気そうで。笑
さて問題の、下の句の解説なんですが、
ほぼ藤かづえさんの読み、が私が想定したものでした!
なので、榊さんの読みはとても面白いと思いましたし、単純にひとつ勉強になりました。笑
他人が見た夢の話
★0

 隣の犬は俺におびえる

出詠名 苔井 茅
25 / 4 ×0 ×2 ×7 ×1

互選名 キールりん2もーたろロサ・ブラックティー蟻男きい榊 康えさい苔井 茅

選評名 「誘われて」と「隣の犬」の間に何かあったのだろうかと、いろいろ想像してちょっとクスッとしてしまいましたが・・・そのあたりが知りたいです(^^)
ロサ・ブラックティー
★0
私の想像に暫しお付き合い下さい<(_ _)>詠み人は上の句の時間帯に部活帰りを詠まれたように思いました。遅くまでの練習となると体育会系かな、剣道・野球等持ち物は大掛かりになります。もし玄関先に街灯・外灯とかなければ、真っ暗な中 犬は色までは識別出来なく持ち物が何か分からない黒い物としてビビッたのではないかと思いました。吠えるでなく<おびえる>に詠み人と隣の犬との普段からのコミュニケーションが育まれていたように思い、クスッとしてしまいました。面白かったです!
榊 康
★0
見慣れているはずの俺の影におびえる隣の犬。夕まぐれと言われる時間帯なのでしょうね。ひぐらしの声が遠く響いて、ホラーな雰囲気を盛り上げる気がしました。
きい
★0
また、評(こういう評は榊康様ですか)を読んでまして。持ってたのは、部活の野球バットも面白いですが、もしかしたら、ヒグラシを捕まえようと、虫取りの網を持って、わざわざ夕刻に出てきた、というのもアリでは?
ロサ・ブラックティー
★0
まさか。棒でセミをたたき落そうとかじゃないですよね(^^;)その考えはちょっと乱暴すぎるか・・・。
ロサ・ブラックティー
★0
ひぐらしの鳴く、少し怖い感じのする宵、隣の犬もおびえている、でもそれは「俺」に対してだ、というのがとても不思議で楽しい、味のある下の句です。
藤 かづえ
★0

君と二人で寝息をたてる

出詠名
26 / 4 ×0 ×2 ×3 ×1

互選名 もーたろロサ・ブラックティー寿々多実果榊 康静ジャック

選評名 夕刻にすでに寝てしまっている二人。(^^)なんか、浴衣着て、うちわ持ったまま寝ている姿を想像しまして、周囲の友達に「あの二人もう寝てるよ」って言われている気がします(@▽@
ロサ・ブラックティー
★0
ひぐらしの声が二人の眠りのためのお心地よい音楽になったのですね。おやすみなさい。
藤 かづえ
★0

香る緑の地球をあるく

出詠名 衣未(みみ)
27 / 3 ×0 ×1 ×7 ×1

互選名 袴田朱夏知己凛ほのふわりロサ・ブラックティー万間みいやさち榊 康静ジャック衣未(みみ)

選評名 おいしい空気が吸いたいと山へ自然散策に出かけ、時々懐かしい香りに夏を追いかけていた幼少期に心が帰り、どこで香りを記憶していたのかと不思議に思うことがあります。
見渡す限りの万緑に本来のこの星の姿に思いを寄せつつ、刻一刻と変わりゆく季節の移ろいの中、ひぐらしが鳴いている目前の光景もまた不変ではなく、今この瞬間でしか感じられないことなのだと実感がこみ上げたりします。
生きているからそう感じられる。そう思うと大地を踏みしめる一歩一歩が楽しい。そのようなことを思い出させてくれた歌でした。
榊 康
★0
宵の底からの発想で地の底を考えた下の句ではないか、と思いました。遙か深い地の底、その上にはこんなにも緑が香っている、その上を歩いている気持ちの良さを感じました。
藤 かづえ
★0

ふたりの波紋の調べはゆらぐ

出詠名 西鎮
28 / 3 ×0 ×1 ×5 ×1

互選名 ほのふわりロサ・ブラックティー天田銀河榊 康静ジャック藤 かづえ西鎮

選評名 ふたりの波紋はこのあと共振して一つになってもまた各々のゆらぎに返り、それを繰り返す。音もそれに連ねて強弱を繰り返しゆらぐ。そんな調べを聞きました。
榊 康
★0
ひぐらしのカナカナカナという声にふたりの声の波紋も合わせてゆれているのだろうな、と思いました。ゆらいでどこまで行くのか、ロマンチックな想像の広がる下の句だと感じました。
藤 かづえ
★0
「波紋」を心の中のものと捉えました。同じ時間を共有して、同じ音を聴いていても、見ている者、感じている者はそれぞれに違うということをゆらぐとしたところに、ひぐらしと同じはかなさと美しさを感じました。
天田銀河
★0

君が手の平背中に熱く

出詠名 さかなかな
28 / 3 ×0 ×1 ×5 ×1

互選名 キールロサ・ブラックティー寿々多実果万間みいや榊 康えさいさかなかな

選評名 手のひらが熱く感じる程、想いは『君』に集中している様に感じられます。ひぐらしの鳴く夕刻に、ムーディーな二人はどこへ行くのでしょうか(^^)
ロサ・ブラックティー
★0
恋人のてが背中にあるのですね。どきどきする宵になりそうですね。
藤 かづえ
★0
日も暮れ少し涼しくなった庭先に、吾子をあやそうと抱っこした父親の立ち姿の景も感じさせて頂きました。”君が手の平”に詠み人は男性を感じます。上評の方々の様な読みをしてたのですが、改めて読まして頂き父親の景も浮かんできまして、こちらの鑑賞の方も好きかなと思い評を書かせて頂きました(^_^)。
榊 康
★0

瞬く狭間に落ちる幻惑

出詠名 ロサ・ブラックティー
29 / 3 ×0 ×1 ×3 ×1

互選名 芍薬ほのふわり榊 康静ジャックロサ・ブラックティー

選評名 化粧品のCMのキャッチコピーみたいです。歌意を知りたいと思いました。幻惑をどう扱われたのか興味があります。
榊 康
★0
一瞬またたきをしたとき、耳に残っていたひぐらしの声に幻惑されたのではないか、と読みました。ミステリアスな魅力のある下の句です。
藤 かづえ
★0
ロサ様
連歌の花道の下の句ありがとうございました。上の句を詠んだのが恥ずかしくなるくらい下の句良かったです。白い蝶を夏の淡き点景と詠まれるとは!ほんとのこと言うと心の中では、ロサ様と歌を切磋琢磨していけたらと勝手に考えてました。前回の評も連歌の花道の方もその一環でした。失礼しましたm(_ _)m。
榊 康
★0
芍薬様、黄花ありがとうございますm(_ _)m。何と言いますか・・・ちょっと白昼夢(視覚的なイメージ)を見やすいタイプらしくて、湿度が高いと、聴覚も、嗅覚も、触覚も、視覚に集約してしまうんです(==;)感覚が全部混淆してしまった結果・・・こうなりました・・・。ヒグラシの声に眩暈しそうです。人間は五感で生きているというのをつくづく思いやられます。
ロサ・ブラックティー
★0
榊様、いろいろ心遣いすみません。あの「蝶」は大したことないんです(^^)日本画の技法にある「点景」が好きなだけで。大きな滝の前を飛ぶ一羽の鳥、とか、風景の中に極々小さく、よく見ないと気付かない程、薄い消えそうな月、とか、点景人物とか(^^)、あと『幻惑』は見えるかのように惑わされてしまうと言うつもりだったのですが、光も音も「波長」で視覚と聴覚が混淆してしまうんです。セミの声ってアルミサッシがないかのように通ってきてしまうので(--;)
ロサ・ブラックティー
★0
ロサ様
お返事ありがとうございます。視覚・聴覚の混淆は、僕も登山等でバテテきても、感覚は鋭いまま残っていて、嗅覚や聴覚で翻弄されたことがありました。登山は気が抜けなく集中しすぎる所があり、その集中し過ぎからふぅ~となることも。小さい時に自然の中で遊んでいたら、ちょっとした変化や動きに反応する癖がついていて色んな発見がある分、感覚的に疲れやすくなります。お返事読んでいてロサ様も幼い時に自然の中にいたのではと思いました。感覚の感度に体力がついていってないのかも。体力がついたら少しは改善するのかもと思いました。
榊 康
★0
ハイッ山育ちです(^^;)湿度が高いと、空気中の密度が高くて、情報量が多いんです・・・。
ロサ・ブラックティー
★0

ロウソクはどこ?迷宮の月

出詠名 甘酢あんかけ
30 / 3 ×0 ×1 ×2 ×1

互選名 ロサ・ブラックティー榊 康甘酢あんかけ

選評名 ヒグラシの声に誘われていった先は、ラビリンスか、はたまたダンジョンか、ゲームではだいたい最初に灯りが発見されるもの(^^)冒険の始まりですね。
ロサ・ブラックティー
★0
宵の底に行くのにロウソクを探しているのですね。素敵な物語が始まりそうな下の句です。
藤 かづえ
★0
甘酢あんかけ様
実はこのような挑戦的な歌が好きで三日間気になってました。もしよろしければ歌意を紐解く突破口みたいなのがあれば教えて頂けないでしょうか。榊理系人間ですのでアプローチがそうなってしまいます(^_^;) 失礼致します<(_ _)>。
榊 康
★0
皆様ありがとうございました!

榊 康 さま
コメントありがとうございます!

ひぐらしに宵の底に誘われるがままに進んで行くと、あたり一面暗く冷たく静かな空間が広がっていた。平衡感覚が失われ、上下も左右もわからないような迷宮だ。月明かりを頼りにロウソクを探して、宵の底から抜け出さなければいけない、そう僕は本能的に感じた。

そんな小説の書き出しの場面がわいてきたのです。特殊な歌になってしまった。。理解されないことが多いので、いつもちょっぴりしょんぼりしています。笑
甘酢あんかけ
★0
甘酢あんかけ様
丁寧なお返事ありがとうございます<(_ _)> 祖父母の住んでた田舎も50年前は街灯もなく、夜 目と鼻の先の親戚の家に行くのでも田んぼに落ちたことを思い出しました。子供心に猫にでもできること、目もすぐに慣れ歩けると思っていたら、家の中とは勝手が違い真直ぐ歩いてるのかもわからない感じで、平衡感覚を失うとは感覚的にこういうことだと学習しました。ロウソク探しはそんな心理状態から解放されたい動作だったのですね。
泉のように場面と言葉が湧いてくる甘酢さまが羨ましいです!榊はいつも必死で、今頃ですが歌詞などから言葉集めに奔走しています。甘酢さまのタクシーのコピー、甲乙つけがたいほどどれも好きです(^_^)ではまた長月の歌会で!失礼します<(_ _)>。
榊 康
★0
榊 康 さま

おお、な、なんと、タクシーのコピー見てくださったんですか!!うああ!ありがとうございます!コピーに関して、いろんな方のご意見を聞きたいなと思っていたのでうれしいです!(T=T)

はい、壁などの手がかりがないと、真っ暗な空間では意外と人は平衡感覚が保てなくて、脳というものが使い物にならない瞬間があると思います。その榊さまの体験に似た体験が私にもございます!ロウソクが飛躍しすぎちゃった感じですね!笑

私の想像は、共感を得にくい独自の方向に行ってしまうことが多々あるので(^^;いいんだかわるいんだか微妙ですね!(苦笑)榊さまはロジカルな筋道が歌の中にしっかりありながら、美しい世界観をそこに絡めるのがとても上手だなあと思っております!品があるのです~!これからも楽しみにしております~~~!わ~~!
甘酢あんかけ
★0
甘酢あんかけ様

~これからも楽しみにしております~に元気を貰いました(^_^)
ータクシーの甘酢さまのコピーで感じたままにー
どれも説明が要らない、つまり思考ルートを辿らずダイレクトに光景や背景が浮かび、その後じんわりと心に沁み込んでくる、どれも底流にはやさしさが流れていて、暖炉の温もりみたいなコピーでした。
すみません「なつぞら」のイッキュウさんみたいに語ってしまいました。では(^_^)/~。
榊 康
★0
榊 康 さま
おお、なつぞらのイッキュウさん!!理詰めですよね~、ロジカルですよね~、でも、最終的に言っていることはとても感覚的だったりもして。感覚的な要素の強いなつと、論理的なイッキュウさんは、いいバランスですね!(感情的に突っ走るすずめ、冷静で理論派の律、も浮かんできます 笑)夫婦とか、恋人とかも、似たもの同士である場合もありながら、ここのバランスが絶妙であると苦労なく長続きしているような気もしますし、そうでないような気も一方でします~(どっちなんじゃーい 笑)。

ロジカルな評はすごくすごくためになります!じっくり考えて、少しずつ作品に反映させていくことができるからです!とってもありがたいです!!!
甘酢あんかけ
★0
甘酢あんかけ様
あっ!ホントだぁ~鈴愛と律の関係と一緒ですね!ズバズバ言う所もなつと鈴愛は似ている様な^_^ イッキュウさんが家事頑張ってるように ロジカルな評頑張りま~す(^o^)v。
榊 康
★0
榊 康 さま
わ~~い!お願いします!私も、読んだ人がためになるような評を書けるようになりたいです~
甘酢あんかけ
★0

泣き音こぼれる 夏の誰そ彼

出詠名 万間みいや
31 / 2 ×0 ×0 ×5 ×1

互選名 西鎮ゆりこさち榊 康静ジャック万間みいや

選評名 ヒグラシに混ざって子供の泣き声がきこえるのでしょうか。「誰そ彼」は「それは誰?」というのと「たそがれ」をかけているのでしょうか。
ロサ・ブラックティー
★0
ひぐらしの鳴き声だけでなく、子供の泣き声も聞こえる宵。泣いているのは誰?と心配そうにしている主体の姿が浮かびます。「たそがれ」の語源は「誰そ彼」なので掛詞になっているのもいいな、と思いました。
藤 かづえ
★0
7月26日また来ています。もしかして、逢魔が時に・・・トワイライトはすみれ色 泣くのは猫かもののけか・・・とか(^^)うぅ~ミステリアス。
ロサ・ブラックティー
★0

浅すぎる底立てば天突く

出詠名 えさい
32 / 2 ×0 ×0 ×4 ×1

互選名 ほのふわりロサ・ブラックティー甘酢あんかけ榊 康えさい

選評名 宵の底が浅すぎて立つと頭がつっかえてしまう、と言うのは斬新な視点だと思います。
ロサ・ブラックティー
★0
底が浅すぎたのですね。楽しい発想だな、と思いました。「天」まで発想しているところにスケール感を感じました。
藤 かづえ
★0
また鑑賞してるのですが。これは、もしかして、『宵』という短い時間の存在を、「底」と「天」がある空間として表現しているのでしょうか。
ロサ・ブラックティー
★0


Tポイントカード月POINTについて sing-for.month.jp/classic/tpoint.html
三ヶ月Data文月の歌会下弦の部H31.07.20 up
順位筆名首席投句選句特選偏差EX合計

EX内訳

最優+3榊 康

最黄+2袴田朱夏NATURA

最緑+2遠野 かなみ一音乃 遥他人が見た夢の話

上下+1藤 かづえ西鎮キール蟻男ほのふわり知己凛ゆりこ天田銀河静ジャック芍薬甘酢あんかけきいNATURA万間みいや榊 康寿々多実果袴田朱夏一音乃 遥衣未(みみ)りん2遠野 かなみロサ・ブラックティーさちさかなかなえさいもーたろ

初回+1黛カイリ詩のぶ

欠票-1常盤このは

欠評-1常盤このはえさい

のの+1全員(管理人欠席のため)

月開催後記


榊 康さんが初の下弦首席でした

榊 康さんから(多分)全句評をいただきました

藤 かづえさんから(多分)全句評をいただきました

通算90回出席: 静ジャック

通算20回出席: 常盤このは


ありがとうございました 花

文月の歌会下弦の部