連歌の花道『新月ノ歌会』

秋分の歌会

新月ノ歌会工事中

夢で会う約束がある 傘立ての底にうまれた夜のみずうみ 久藤さえ × 西藤智

二人一組で短歌一首を詠む歌会R-2ぐらんぷり 『R-2ぐらんぷり』2019-秋

『  』

出詠は二人一組で参加ください
上句下句の分担なしで一首を相談共作して構いません
作中で題の詠み込みは必要ありません
出詠したコンビは互選(選歌と選評)に参加ください
選歌は特選並選次選の投票で行います(通常回と同ルール)
選評は(コンビ両名とも)一人一首以上に書いてください

詳しくはR-2ぐらんぷり案内ページR2GP

詠草リスト

[今回の投票式目]
特選(2点)×1票
並選(1点)×7票
次選(0点)×∞票

冠「嫌い」から始めればいいこの花は「すき」で終わりになるために散る

出詠名 十三夜笠原楓奏(ふーか) × 水月雪乃
首席 / 56点 ×12 ×32 ×17

互選名 花房香枝からすまぁ知己凛やざわあみ袴田朱夏ミウラたけの尾渡はちロサ・ブラックティー蝶番近江 瞬はとサブレガイトさん若紫音佳小林菫子ゆりこ西鎮宮本背水梅丘つばめ真島朱火シナモン万間みいや紺野なつ日向彼方華栄ペンギンおじさんとうてつ朝野陽々nu_ko多田なのモカブレンド若枝あらう安達太良守宮やもり波乃みなルナク宗谷燃西藤智えんどうけいこ久藤さえ凪沙帳天田銀河海月ただようn未補西田チヨ街田青々toron*実岡まつ小池佑真田和子minmin秋中弥典空川実栄藍野瑞希白木蓮といじま

選評名 花占いも、偶数の枚数の花びらですればOKですね。
それとも、「すき」で終わるために、花自ら偶数に花びらを整えてくれようと言うのでしょうか。儚く、可憐ですね。
ロサ・ブラックティー
★0
花占いをする前に、はなびらの枚数をかぞえているのでしょうか。本来「すき」か「嫌い」を花に託すところを、結果を自分で決めてしまう。相手への想いの強さと、恋心を抱き続ける決意のようなものも感じます。ひらがな表記の「すき」も、歌全体の雰囲気をやわらかくしている印象を受けました。かわいらしさの中に強さもあり、とても好きです。
はとサブレ
★0
「すき」ってひらがなで書くととてもかわいくて好きです。なので「嫌い」は「きらい」でもよかったのではないかなと思いましたが、あえて漢字とひらがなの表記にしてバランスを崩したのは主体の自信のなさ、不安定さを表そうとしたのかもしれません。縋るような「すき」の気持ちにヒリヒリしました。
芍薬
★0
うまくいえないけど、さみしさとあったかさの加減が丁度いいところにあるなと思いました。あと、ことばが解りやすいのも好きです。
nu_ko
★0
花を媒体にして成就する『好き』。美しい『好き』なのでしょうね。
安達太良
★0
「すき」で終わることで誰かに勇気を与えることが出来るのなら、ただ散ってしまうよりずっと素敵な散り方なのかもしれないと思いました。
華栄
★0
「好き」で終わるためにどれだけ大事なものを捨て去ってしまうのだろうかと想像しました。花が散る、というのは桜吹雪などと違ってあまり明るい場面とは思えず、また、始めればいい、終わりになるために、とどこか切羽詰まりながら諦めも入っているような言葉遣いに、さらにそう思います。もちろん、花占いを良くするためにという可愛い読みが通るのでしょうが、視覚としては「この花は」に焦点が当たっているので、どうしても、その裏に自分の「花」を捨てる覚悟があるように思えました。
秋中弥典
★0
 楓奏さんはわたしの師匠なので、十三夜は師弟コンビです。師に誘われて初めて参加いたしました。誰かとひとつの短歌をつくるのは初めての経験で、最高にたのしい時間でした。
 短歌を始めてから、このイベントの相手として師から声を掛けてもらうことをひそかに目標としておりましたので、今回その夢が叶いました。そのうえ、首席という身に余るほどの幸せをいただき、結果を知った時はひとりで号泣しておりました。
 選評をくださったみなさま、お読みいただいたみなさま、そして運営のののさま、心から御礼申し上げます。ありがとうございました。
水月雪乃
★0
私なんぞが昨年に引き続き首席をいただけるというバグが発生していますが次のバージョンでアップデートされるそうなので、次のバージョンのリリースまでは首席でいさせてください。選評いただいた皆様、日頃お世話になっている皆様、相方の雪乃さん、その他たくさんの有象無象、森羅万象、魑魅魍魎へ最大限の謝辞を。
笠原楓奏(ふーか)
★0

回遊魚だったぼくらが好きだった日付変更線の往復

出詠名 toromy近江 瞬 × toron*
2 / 56 ×6 ×44 ×11

互選名 花房香枝からすまぁsiiやざわあみ袴田朱夏りん2ニッキロサ・ブラックティー蝶番はとサブレ山口綴り若紫音佳ゆりこ青山祐己西鎮シナモン紺野なつとうてつ中嶋港人尾崎飛鳥ことり若枝あらう安達太良まちか守宮やもり笠原楓奏(ふーか)千仗千紘宗谷燃小俵 鱚太西藤智えんどうけいこともえ夕夏凪沙帳篠田くらげ天田銀河塾カレーnエノモトユミ未補このいと斎藤秀雄平出奔街田青々寿々多実果鴨衣草薙砂狐小池佑あひるだんさー黛カイリminminえだまめ秋中弥典泳二中本速空川実栄藍野瑞希海月莉緒といじま

選評名 「回遊魚」って、個人的には水族館の狭い水槽で群れ泳いでる窮屈そうなイメージがありました。でもこの歌では私たち人が簡単には出来ない、「日付変更線を往復する」行為を楽しむ自由の象徴として描かれている。そこがいい意味で裏切られました。とても爽やかで微笑ましい、でもそれは過去のことなので少し悲しい、秋の歌会という場においてもとても素敵な一首だと思います。好きです。
りん2
★0
回遊魚は広い大洋を、一定の航路を泳ぎまわって移動している魚ですが、日付変更線を越えるとは・・・度々海外旅行をしているのでしょうか。それとも海外に住んでいて里帰りに日本へ?何度も、太陽を追いかけたり、追いこしたりという、雄大なスケールと明るさを感じさせる所がすきです。
ロサ・ブラックティー
★0
回遊魚には、群れで外洋を突き進んでいく旅人のイメージ、また、成長していくイメージがあります。この歌は、そんな回遊魚のように仲間たちと成長していく若者の姿、また下の句ではその中で行きつ戻りつするままならない成長や人間関係を歌っているのではないかと感じました。全体がメタファーでありながら、そのものが美しく、また深みのあるお歌だと思います。下の句が硬質な語彙が並んでいるわりにスッと入ってくるのは、歌全体に流れる自然な空気のおかげでしょうか。そこも凄いと感じました。
西鎮
★0
やられました。とても好きなお歌です。見えるもの、見えないものに囚われるわたしたち人間にとって、日付変更線の往復って自由の象徴のように感じますね。回遊魚であったことも含めて、きっぱりと過去形で歌われることでなんとも言えない物悲しさを感じさせてくれます。割と漢字の多いお歌だと思うのですが、不思議と堅苦しくなく、美しく纏まっているのも素晴らしいです。
紺野なつ
★0
「回遊魚」が水族館で飼育されているものならばぐるぐると回る姿が容易に想像できる→でも水槽の中で日付変更線は往復できない。

「回遊魚」が本物の海を泳ぐ魚だとしたら個人的な印象ですが回るというよりは黒潮などの流れに乗って一定方向へ移動していくイメージが強い→日付変更線を越えることは十分あり得るが果たして往復するだろうか?という引っ掛かりが生じました。「日付変更線」の往復が「好きだった」と回顧するからには何度も繰り返した動作なのだと思います。実際の回遊魚がそれを成し得るか?という点が自分の中でどうしてもすっきりと消化できませんでした。

「回遊魚」「日付変更線」「往復」すべてを喩えと捉えれば壮大でロマンチックな歌だと思います。たとえば遠距離恋愛のように。
(調べたところ、実際一定の回遊パターンに沿ってぐるぐると回る魚もいるそうなのであくまでも個人の感想として受け入れていただけたらと思います。)
芍薬
★0
「日付変更線の往復」にやられました。
よくもまあこんな表現を思いつくなあ。
「ぼくら」は日付変更線を往復するように、思い出の日々を行ったり来たりするのだろう。
「回遊魚」もさりげないが上手い。ただ「魚」というよりも動きを感じさせると思う。
塾カレー
★0
とても美しい、青春の日の回想を詠んだ歌のように感じました。上の句のリズムも「回遊魚」という比喩も良いです。下の句の「日付変更線の往復」というフレーズもロマンチックで印象的。「だった」を2回繰り返しているところに過去のきらめきを思い返す切なさも感じられます。大好きな歌です。
旦坐よる
★0
「○○だったぼくら」とか「ぼくらが○○だった頃」というような発想は平凡だと感じました。その上で、「回遊魚」はちょっと面白いチョイスで、「日付変更線の往復」はとても面白い感性だと思いました。
泳二
★0
 日付変更線は、人間にとってのもの。回遊魚だったということの幻想性の、リアル感の少なさとバランスを取っているのがいいですね。
中本速
★0

その手へと渡せばトマトジュースまで好きの類義語めくシャワー室

出詠名 うずらとりかわ鴨衣 × sii
3 / 48 ×10 ×28 ×13

互選名 からすまぁ袴田朱夏NATURAニッキロサ・ブラックティー近江 瞬はとサブレ山口綴りガイトさん小林菫子ゆりこ青山祐己西鎮肉ロボ紺野なつペンギンおじさんハナゾウとうてつ芍薬朝野陽々nu_ko尾崎飛鳥若枝あらう安達太良まちか笠原楓奏(ふーか)千仗千紘宗谷燃小俵 鱚太えんどうけいこ凪沙帳篠田くらげ天田銀河海月ただようnエノモトユミ未補西田チヨ斎藤秀雄街田青々ハシリドコロtoron*実岡まつあひるだんさー黛カイリminminとおりすがり空川実栄藍野瑞希えがわゆか

選評名 その手という指示語での入りがまず、いいんです。トマトジュースはおかしみがあって雰囲気もある、絶妙のチョイスだと思います。有り得なくもないな、と。そして好きの類義語めく……類義語めくってズルい。好きという言葉にはストレートすぎるきらいがあるけど、そこを上手に避けている。好き、だと無邪気すぎる、でも類義語めく、めくっていうのがもうそれだけで上品な雰囲気があるし……。体言止めも余韻を残していて素敵。好き。
からすまぁ
★0
特選と最後まで迷いに迷いました。トマトジュースをシャワー室で渡すという状況が異性同士のやりとりとは自分では考えづらく、体育系の部活とか、サークル活動が終わったあとの同性同士のようにも思えそれがなんというかある意味グッときました。ただ、この歌にはなんの落ち度もなくこれは自分自身の問題なのですが、「その〇〇」「〇〇めく」という言い回しが自分、めちゃくちゃに好きすぎて、うたの日などでもこの言い回しが入っていると無条件で音符入れたがり芸人なので、逆にこれが入っているがために、この歌が好きだと思ってしまったのでは……みたく自分の感情に自信を持てなくなってしまい、並選としました。チーズが入ってる料理ならなんでも好きになってしまう、みたいな……でもめっちゃ好きな歌です。短歌を作りなれてるおふたりがきっと作った歌なのだろうと思いました。
山口綴り
★0
トマトジュース、まったくかんけいないんだけど、恋しているとなんと言うかそう言うなんでもさが、全部引っ張られていくような気がして、すごく個人的にわかりました。かわええなぁ…って、その後のシャワー室で現実のどきっとする感じがとても現代短歌みたいやなって思いました。
とうてつ
★0
シャワー室でトマトジュースを手渡すってどういう状況だろう?体を洗っているなら両手がふさがっているのでは?と思ったのですが、たぶんこれはシャワーを浴びる前か浴びた後に着替えるエリアで手渡しているのだろうと考え直すことにしました。「お疲れ様」という言葉も添えている様子が浮かびます。

トマトジュースの赤さが情熱をあらわしており、塩気のある赤=血液にもつながって心臓がどきどきしているのだろうなという情景もわかってきます。

爽やかさと生々しさをうまくブレンドしたthe 青春な一首だなあと思うのですが「類義語めく」の表現が最後まで自分には違和感がありました。この一箇所だけは個人の好みが分かれるところかなと思います。
芍薬
★0
恋心の裏側などを想像すればただ爽やかな感情だけではないと思うのですが、一読した印象ではとても爽やかな歌で、良いなと思いました。「好きの類義語めく」が良すぎます。「トマトジュース」や「シャワー室」などの言葉選びも巧みだと思いました。他に代わる語はないと思います。「その手へと」の導入から、二句三句での句またがり、四句結句での句またがり、「シャワー室」の体言止め、すべてのリズムが良く、どれも効いています。とにかく一首丸々好きだと思えた歌でした。
尾崎飛鳥
★0
「類義語」「めく」と同じ方向を向いている言葉が並んでいる感じがあります。すごく手慣れた歌なのであえてやっていることなのでしょうが、私はそこが引っかかりました。
海月ただよう
★0
「好きの類義語めく」とは、なるほどと思いました。シャワーを出る直前の恋人に、冷えたトマトジュースを渡しているのでしょうか。トマトジュースはその赤色と塩味から、何処か血液を暗示しているようにも思えます。肉体関係を持ったふたり。それすらも恋愛初期の溢れるような瑞々しさが包んで、「好きの類義語めく」…のかと感じました。恋人たちの、本来は大人の官能的な状況を、トマトジュースを好きの類義語めかせることで、甘酸っぱい風景に置き換えている…そのやや矛盾をはらんだ転換が、より鮮烈な印象を生んでいるのではないでしょうか。ジュース、シャワーと登場させることで、生まれる愛唱性も高いものと感じました。
西鎮
★0
既視感のない表現が良いなと思って票を入れました。有り得そうで有り得ないシチュエーションの組み合わせでも「その手」へと渡すことで限りなく「好き」に似たものになる、ということなのでしょうか。「好き」ではなく「好きの類義語」で代替品のようなもので、「好き」そのものにたどり着けないことも面白かったです。そう考えれば、シャワー室は海に近いもの、トマトジュースは血や手の主体の人物の栄養となり得るもののチョイスも上手いと感じました。また、全体がメタファーとして読め、色々な読み方ができることも良いなと思いました。
toron*
★0

好摩駅窓を擦れば言葉なく降りゆく人の息のぎんいろ

出詠名 有楽町きゃらめりーぜ天田銀河 × 芍薬
4 / 44 ×7 ×30 ×15

互選名 袴田朱夏ミウラたけのロサ・ブラックティー蝶番近江 瞬山口綴りガイトさん若紫音佳小林菫子青山祐己西鎮宮本背水肉ロボ万間みいや朧(ろう)紺野なつカイズケンとうてつ404notF0816朝野陽々中嶋港人尾崎飛鳥まちか守宮やもり笠原楓奏(ふーか)千仗千紘ルナク小俵 鱚太西藤智えんどうけいこともえ夕夏久藤さえ凪沙帳海月ただよう塾カレー未補西田チヨこのいと斎藤秀雄街田青々ハシリドコロtoron*草薙実岡まつ小池佑あひるだんさーminminとおりすがり泳二藍野瑞希

選評名 石川啄木の郷なんですね。言葉を発することのない人の息がどうして見えるんだろうと最初思ったのですが、窓、それを擦る、という行為がそういう不思議なことを許すんじゃないかなと思い直しました。ダイヤも1時間に1本以下のようで、その意味でも(都会の電車ではありえない)貴重な景を切り取っていて、現実と幻想の間にある窓なのかなあと想像を楽しみました。
袴田朱夏
★0
季節は寒い冬、温度差でくもった窓を拭えば外を歩く人たちの息が白く吐かれている。息のぎんいろがとても美しくその情景を表現していると思いました。好摩駅ははじめて知りました。
ミウラ
★0
具体的な駅名(他の方が書いているように背景が分かるとまた面白いですが、それでなくても題を読み込みながら使うの)がとても効いている歌だと思いました。また、その静けさと寒さの中で言葉のかわりに銀色の息が人々から吐かれる。それを主体がただ見るのではなく、曇り窓を擦ったその隙間から見るという僅かな細やかな一瞬が描かれていて、歌から景が鮮明に浮かび上がってくるようでした。
近江 瞬
★0
車内の窓を擦る手元から、窓の外へ、プラットホームへ降り行く人たちへ、さらにその息へと、視点の持っていき方が美しいなと思いました。好摩駅の「摩」と「擦」も共鳴し合っていて輪郭もくっきり浮かぶようで、とても好きな歌です。視覚や聴覚にも響く一首だなと感じました。
青山祐己
★0
好摩駅、はじめて知ったのですが、雪国のうつくしい情景に心を惹かれました。景の向こうにある主体の心境にもいろいろと想像が膨らんで、とてもすてきな一首だと思いました。好きです。
朝野陽々
★0
駅という場所、くもった窓を擦る行為、言葉無く降りる人のイメージ全てをぎんいろの息がまとめていて美しい。温度という体感、静かな聴覚、薄っすらとした曇りガラスと息の白/銀の視覚に訴え、詩的です。
このいと
★0
お題をLove またはLike として詠む歌がほとんどのなか、それを啄木縁の駅に詠み、他とは全く違う景を表現されていると思いました。冬の岩手の寒さや寂しさ、そして車内の暖かさの両方が、何処かさらりと感じられるように思えます。「言葉なく降りゆく人」は通りすがりの人なのでしょうか、それとも主体の想い人なのか。後者だとすれば、そこでも詠題に則しており、歌の奥行き、深みが更に増すのではと思いました。そこは読者に委ねられているのでしょうか。
西鎮
★0
良い歌だと思います。具体的な駅名も効果的で、曇ったガラス越しに見える人の描写(後ろ姿から吐いた息が見える)も絶妙だと思いました。上句に画数の多い感じが集まってしまい、また結句「ぎんいろ」を仮名書きにしたところが(当然計算してだと思いますが)、私にはアンバランス(字面的に)に思えました。
泳二
★0

手に取った本の匂いにきみをまだ好きだと気づく秋の古書店

出詠名 飛陽軒尾崎飛鳥 × 朝野陽々
5 / 43 ×1 ×41 ×18

互選名 花房香枝知己凛やざわあみミウラ尾渡はちNATURA水月雪乃ニッキロサ・ブラックティー蝶番近江 瞬山口綴りガイトさん若紫音佳ゆりこ青山祐己西鎮梅丘つばめ真島朱火肉ロボ万間みいやカイズケン華栄ペンギンおじさん404notF0816モカブレンドことり若枝あらう守宮やもり笠原楓奏(ふーか)波乃みなルナク小俵 鱚太凪沙帳海月ただよう塾カレーn岡桃代エノモトユミ西田チヨ平出奔街田青々寿々多実果草薙砂狐ひろうた実岡まつあひるだんさー真田和子minminえだまめ秋中弥典小川けいと水無月水有中本速空川実栄藍野瑞希

選評名 いつも本を片手にしている、読書家の彼女(彼)なのでしょうか。本の匂いと言うものは、どこか落ち着いて、心が安らぐ気がします。
ロサ・ブラックティー
★0
古書店に入る。秋の陽射しが深く差し込んでいる。店内は明るい。ふと一冊の本を手に取った。頁を開く。古書の香り。湿気と黴と。題名と内容に記憶がある。ああ、これは、高校時代、彼女が好きだった本だ。少しでも理解したかった。自分には難しかったが、無理をして読み終えた。記憶にある。だから、手に取った。そうすると、僕はまだ彼女が好きなのか。
笛地静恵
★0
読書好きな彼だったんだなって思います。新刊の匂いじゃなく、古書店の匂いなところが、ノスタルジックでいいなあと思いました。
若紫音佳
★0
手に取った古書は、別れた恋人が好きだった本なのでしょうか。その内容ではなく、古書からただよう黴っぽい匂いを、むしろ懐かしく嗅いで、恋人を思い出す主体。秋だからこそなお、古書の湿気は周囲の乾いた空気に流れだし主体の鼻腔と記憶を一層刺激するのだと思いました。そして既に過ぎた去った夏は、恋人との思い出も暗示しているようにも思えます。もう戻らないふたりの季節は、古本のように記憶の書架に並ぶのでしょうか。切ないです。
西鎮
★0
本の匂いというは確かにいくつかあって、思い出すこともそれぞれで、私にはとてもリアルな情景に思えました。きみへの思いをまだ消せずにいることに気づいた時の気持ちを読み取るヒントを探りたくなります。古書店については、事実かどうかというよりも、いろんな場所を入れられて、その背景にする場所によってかなり歌の印象が変わるように思いました。図書館、教室や寝室、屋根裏などなど。また、秋のを含めた最後7音の空想はとても自由な気がしました。
秋中弥典
★0

のばらのばらつるばらつるばら呪う棘だれも私を好きにならない

出詠名 いよぽん姉妹リターンズハナゾウ × 守宮やもり
6 / 40 ×6 ×28 ×20

互選名 花房香枝sii袴田朱夏ミウラたけの尾渡はちロサ・ブラックティー蝶番小林菫子西鎮シナモン朧(ろう)日向彼方芍薬404notF0816朝野陽々中嶋港人nu_ko尾崎飛鳥ことり安達太良まちか千仗千紘ルナク宗谷燃えんどうけいこともえ夕夏久藤さえ凪沙帳天田銀河海月ただよう夏山栞岡桃代エノモトユミ未補西田チヨこのいと斎藤秀雄街田青々ハシリドコロ鴨衣toron*砂狐ひろうた実岡まつ小池佑黛カイリminmin水無月水有空川実栄藍野瑞希えがわゆか

選評名 個人的に(^^)ノイバラ好きなので。植物好きなものですから、バラの棘は、葉を減らして水分の蒸散を防ぐため、というのを思うと、健気で愛しいものです(^^)ちなみに逆棘なので、引っかかったら無理に引かずに、戻すようにすると大惨事になりません。・・・とまあ、ノイバラの藪はウサギの格好の隠れ場所でもありまして、つまりは、嫌いという者ばかりじゃないと(^^;)
ロサ・ブラックティー
★0
評になってませんが(^^;)ただそれだけの事で句まで好ましくなってしまうとは(^^)
ロサ・ブラックティー
★0
「のばらのばらつるばらつるばら」の響きの良さが呪文のように聞こえました。「棘」は植物にとって生きるために必要なのでしょうか。人間もそうなのでしょうか。「だれも私を好きにならない」という呪いを掛けたのは意外と自分自身だったりするのでないかと、私は読みました。私は貴方が好きだよと云いたくなってしまいます。
小林菫子
★0
また来てすみません。時間がたって冷静になり、自分の言いたい事がわかりました(^^;)自己防衛に見る「弱さ」が可愛いと感じたのでした。でも、この感覚は上から目線かもしれませんスミマセン(_ _)
ロサ・ブラックティー
★0
のばらのばらつるばらつるばら、と音もリズムも良く、なんとなく可愛い感じもして、どう続くのかなーと読み進めると下の句の「だれも私を好きにならない」で心を刺されたような気持ちになる。だれも私を好きにならないってすごく悲しいことのはずなのに、この歌からはそこまで悲しみは感じなくて、むしろ強さのようなものも見える気がします。上手く言えなくてごめんなさい。いちばん気になった歌でした。
日向彼方
★0
呪詛めいた上の句にとても惹かれました。そして「だれも私を好きにならない」という下の句から、本当はだれかに愛してほしい、という主体の願いが聞こえてくるように感じました。好きです。
朝野陽々
★0
上の句がとても良いと思いました。本当に、呪文のようです。初句と二句の言葉遊びから三句目での体言止めでワンテンポ置かれて、そのあと下の句で言い切っているのが良いなと思いました。一番、「痛み」がある歌でした。
尾崎飛鳥
★0
だれも私を好きにならない、が、好きになるな、のようにも聞こえました。棘は人を拒むものであると同時に主体を守るものでもある。その呪いが誰かにかけられたものなのか自分でかけたものなのかわからないけど、呪いのために好きになってもらえない、棘で傷つけてしまうから好きにならないでいい(その方が平和)、でも、みたいな葛藤がまさにつるばらの絡み合う感じと響き合っていて、好きです。
まちか
★0
のばらのばらつるばらつるばら、というひらがなが繰り返された表記がまず目を引きました。「の」「は」「る」の中に入っている〇が絡み合う茎をイメージさせ、「呪い」とも繋がります。「だれも私を好きにならない」というのは裏を返せば誰かから好かれて関係性をつくってしまったらそのひとを傷つけてしまい、自分も傷つく可能性があるから、安易に好かれないようにしているのではないかと思います。棘を出して自分を守っている、そうせざるをえない繊細な心をのばらとつるばらになぞらえた表現が巧みで、たいへん魅力的な歌でした。
えんどうけいこ
★0
バラのとげとげしさが内側にいる"私"を守っているように見える、何とも贅沢に呪いに至る感情を味わえる素敵な歌だなと思いました。引き込まれる魅力がありますね。
西田チヨ
★0
野ばら、つる薔薇という小さな花を持つ薔薇、棘、呪い、好きにならないの否定…など言葉の繰り広げるイメージが怖い童話の世界に誘い、屈折した心の闇を描く。繰り返す音が呪文となり効果的。女の子っぽい童話の世界観が好きです。
このいと
★0
上の句の繰り返しが好きです。呪う棘という言葉なのになぜか可愛らしさが感じられてしまう、(上の方も仰っていますが)童話めいた世界観を感じます。いばら姫のような。
黛カイリ
★0
上の句が誰かを呪うための呪文のようで目を惹かれます。モチーフが薔薇なのも黒魔術のようですごく好きです。
水無月水有
★0

さかなたちは餌をたべたよいつまでもあなたのことを思っているよ

出詠名 キマグレ安達太良 × 山口綴り
7 / 39 ×6 ×27 ×19

互選名 sii知己凛たけのロサ・ブラックティー近江 瞬ガイトさん小林菫子西鎮梅丘つばめ真島朱火シナモン肉ロボ万間みいや紺野なつ日向彼方ハナゾウとうてつ芍薬404notF0816朝野陽々nu_ko多田なのまちか守宮やもり波乃みな千仗千紘ルナク宗谷燃えんどうけいこ久藤さえ凪沙帳海月ただよう塾カレー岡桃代エノモトユミ未補西田チヨ斎藤秀雄街田青々ハシリドコロ千原こはぎ鴨衣草薙ひろうた実岡まつminminえだまめ水無月水有中本速藍野瑞希といじま

選評名 好きだったあなたが残したさかなに餌をやることで気持ちを落ち着かせている主体が思い浮かびます。
あなたはもう戻ってこないのでしょう。切ないです。
知己凛
★0
静かで、すこし寂しくて、仄暗く透明な青い水のようなイメージを受けました。宛先のない手紙のような雰囲気が好きです。最後「思っていたよ」と過去形になっていたら、もっとそのイメージが深まったなと思いました。
水月雪乃
★0
何だか「あなた」はもうこの世にいない様な気がしまして。魚は(無事に)餌を食べたよ、(魚も自分も)「あなた」を忘れないよ、と空虚に向かって言っているように見えました。「好き」と言わないことが、よけいに切なく感じます。
ロサ・ブラックティー
★0
敢えて好きと書かないことで「あなた」への永遠を思わせる好きを想像させられました。「あなた」は他の人の元へ行ってしまったのか、亡くなってしまったのか。それでも「いつまでも」「さかなたち」を生かし続け、そのことが主体を生かし続けるのだろうと思いました。
小林菫子
★0
もうあなたはこの世にいない人と読みました。さかなと主体が、よりそいながらかなしみを乗り越えようとしている姿が浮かんできます。天国にいるあなたに報告しているような語り口と平仮名を多くされたことでやさしく切ない感じが胸にじわじわ広がっていきます。一番「好き」を感じた歌です。
シナモン
★0
魚が今日も無事に生きている平穏さと、「あなた」がもういない哀しさを引き立てて美しいですね。これが一般的なペットではなく魚なところも、静の情景が伝わってきます。
肉ロボ
★0
どこに《さかなたち》がいるのかは、書かれていない。《あなた》との関係(たとえば一緒に世話をしていた熱帯魚だとか)も書かれていない。《思っている》のは(たぶん)作中主体なのだけれど、どこか、《さかなたち》も同じように思っている、とも感じられる。二句までが比喩になっているようにも思える。さかなが餌を、本能によって機械的に食べるように、私は当然のごとく、あなたをいつまでも思っている、と。このとき、作中主体の思いが、世界全体に籠もっている感じがして、それは、「あなたに恋い焦がれている!」という強烈さ・鮮明さではなくて、じっくりと世界全体に染み渡るように思えて、《いつまでも》が嘘ではない感じがして、説得力があるように思いました。
斎藤秀雄
★0
さかなたちは、かつて二人で飼っていたさかななのだろうか。けれど今、さかなたちに餌をあげているのは一人(作中主体)だけ。主体と「あなた」はもう簡単には会うことのできない関係性なのかと推察してしまう。「あなた」がもし、主体と近しい距離にいて、いつでも会えるならば「さかなたちは餌をたべた」というごく当たり前のことを報告する必要がないから。「あなた」はどこか遠い国に行ってしまったのかもしれない。あるいは、もうこの世の人ではないのかもしれない。
「あなたのことを思っている」のは、主体自身の感情でもあるし、さかなたちの感情(の代弁)でもあると感じる。さかな、という生き物の選び方がよいと思う。さかなは、犬や猫のように人に懐いたり、感情を露わにしたりしない。餌を与えても、ただ淡々と食べる。さかなという生き物の感情の読み取れなさと、「いつまであなたのことを思っているよ」という甘いフレーズとのギャップに惹かれてしまう。
「いつまでも」は、つまり「終わりがないこと」を指す。さかなたちにも、寿命はある。いつか命が尽きて、餌を食べなくなる時が来る。けれど、少なくとも今、「さかなたちは餌をたべた」。同じように、少なくとも今、主体は「いつまでもあなたのことを思っている」。永遠に変わらないものは、この世にないのかもしれない。しかし、この歌に描かれた、今この一緒の永遠はとても美しかった。
わたしにとって、忘れられない歌になると思います。
未補
★0
魚たちが餌を食べた。その些細なことが、きっと実際には伝えられないから短歌にしたという感じがします。
そして、あなたへの思いも伝わらない。後半の、決して珍しくない詩句が、前半の取るに足らない良い出来事によって生かされています。
中本速
★0

波音に取り囲まれて無防備な背中に「すき」と書かせてもらう

出詠名 きすたとエノモ小俵鱚太 × エノモトユミ
8 / 36 ×4 ×28 ×22

互選名 花房香枝からすまぁsiiたけの尾渡はちNATURAニッキロサ・ブラックティー蝶番近江 瞬はとサブレガイトさん若紫音佳小林菫子西鎮真島朱火万間みいや朧(ろう)紺野なつ日向彼方ペンギンおじさんハナゾウ404notF0816朝野陽々中嶋港人nu_ko尾崎飛鳥安達太良千仗千紘ルナク宗谷燃えんどうけいこ久藤さえ凪沙帳天田銀河西田チヨ平出奔街田青々寿々多実果千原こはぎ鴨衣toron*草薙小池佑真田和子minmin秋中弥典空川実栄白木蓮

選評名 「波音に取り囲まれて」の入りが、読んでいるこちらも、主体たちの居る限られた空間へ一気に引き寄せて離さない様な、文字通りの見事な掴みに感じました。そこはきっと他の人の少ないところなのでしょう、取り囲むのは波音なのですから。そして波音が囲むにとどまる事は、主体たちだけの何ものにも邪魔されない空間がそこにある事。言外に色んな情景が伝わって来ました。
鳴り続ける海、無防備な背中、と来て、「すき」と声には出さず書く事の意味もちゃんと表現されています。「もらう」のちょっと悪戯な印象、静かな時間を許し合える二人とそれを印象づける「無防備」さ、書かれた相手がその文字を「すき」だと気づいた時、どんな反応をするんだろう、もしかしたら「す」の辺りでもう分かっているかも知れないな……、と、色んな想像を膨らませました。素敵です。
sii
★0
波音に取り囲まれてる「無防備な背中」がいいですね!
ニッキ
★0
書かせて「もらう」なんですね。書いてあげるとか書いちゃうとかではなく、許可を取っての行為。書かせてもらっている人は、背中を貸す人に片思いをしており、この恋は決して成就しないだろうなととりました。優しさが逆に作中主体を苦しめていますね。「もらう」で全部ひっくり返る辺りが素晴らしいと思います。
万間みいや
★0
無防備な背中の恋人は、海に向いて波打ち際に立っているのでしょうか。夏に出会い、秋を迎えたふたりは、夏に訪れた海に再び訪れ、まだ関係が続くことを確かめあっている…そんな景を想像します。「書かせてもらう」に、書いた側の(恐らくは女性でしょうか)書かれた側よりもすこし主体的な姿勢がにじんでいるのではないかと思います。
西鎮
★0
(書かせてもらう)というところ、音に囲まれて耳が塞がれている人へ、好きを口で言わず、背中に書いているところから、両思いの好きなのだと読みました。なみ、すき、など音がよくまとまっていて、心地よかったです。
鴨衣
★0
「もらう」にすごく惹かれました。背中に「すき」と書く、って、普通にやるにはロマンチックすぎて恥ずかしすぎるけどでもちょっとやってみたくて、せっかくこういうシチュエーションだしやらせてもらおう、みたいな。すきです。
小池佑
★0

好きなものばかりでおもたいかばん、けど野生のなかで死んでもいいの

出詠名 おんぶ&だっことうてつ × nu_ko
9 / 34 ×7 ×20 ×16

互選名 花房香枝からすまぁ袴田朱夏りん2たけのロサ・ブラックティー蝶番小林菫子青山祐己西鎮宮本背水肉ロボ朧(ろう)紺野なつカイズケンハナゾウ芍薬モカブレンド西藤智久藤さえ凪沙帳天田銀河海月ただよう夏山栞岡桃代未補西田チヨ斎藤秀雄平出奔街田青々ハシリドコロtoron*草薙ひろうた実岡まつ黛カイリminminとおりすがり泳二白木蓮えがわゆかといじま

選評名 お題から恋の歌が多い中で、この歌は自分の「好き」を大事にしていて、それでもそれを手放して(?)「死んでもいいの」なんて云い切ってしまう強さや弱さを秘めているのが印象的でした。「かばん」を持つのは恐らく人間だけで、「好きなもの」を集めるのもそうで、だからこそ人間に飼い馴らされない「野生」に憧れたり恐れたりするのだろうと、色々と考えてしまいました。好きです。
小林菫子
★0
好きなものを語る人が好きです。好きな理由を語る弾んだ声を聞くと、聞いているこちらまで好きのお裾分けを貰えるような気がします。
けれど「好き」を貫き、「好き」を抱え続けるのは時に楽ではないこともわかります。己の「好き」を否定する他者、というのは様々なコミュニティーで散見されますから。
この歌における野生、という語を、作中主体の好きなものを否定する人々、と私は読みました。理解は無理でもただ黙認してくれればいいのに、文句を言わずにいられない人たちの中で、自分の好きを守り続けようとする強い姿勢と、それを平仮名多めのやわらかな印象で表したところに共感を抱きました。
西藤智
★0
一言でいうと、とても気になる一首でした。
「好きなもの」がたくさんあるのは良いことのように思えます。それをかばんに集めてゆくのも楽しい行為でしょう。しかし「おもたいかばん」を持っていると身軽ではなくなって、「野生のなか」では群れから置いていかれてしまったり、獲物として狙われることになったりする。それを承知でおもたいかばんを持ったまま「死んでもいい」と言い切っている、ということなのかなと読みましたが、そうすると接続の「けど」が少し噛み合わない?とも思えてきました。
読む人によっていろいろな解釈がありそうで、ひきつけられました。
久藤さえ
★0
《けど》に重みがかかっているように思う。《けど》が、《好きなものばかりでおもたいかばん》を多義的にしていると思う。《おもたい》、《けど》、《好きなものばかり》あるから、《野生》のなかにも入って行けるし、そこで《死んでもいい》――とも読める。《かばん》に《好きなものばかり》つめこんでいる、《けど》、ほんとうはそんなものを捨て去って《野生のなかで死んでもいい》――とも読める。初読は前者(好きなものがあるから野生でもよい)で、くり返し読むうちに後者(好きなものをつめこんだかばんは捨ててもいい)で読むようになった。でも、意味を一義的に決定しないで、不定のままにしたほうがよいようにも思う。あるいは、読点の前のフレーズと下句は、もっと飛躍しているのかもしれない。なんの接続詞もないかのように、《、けど》を挟んでアンビバレントなことが述べられているのかもしれない(ほんとうはぼくはそのように読んだのかもしれない)。読点の前のフレーズも、下句も、それぞれに共感性の高いフレーズだと思う。そしてアンビバレントな(相反する)、ひとの欲望だと思う。だから、結句《死んでもいいの》の後ろに、「、けど」とさらに続くようにも感じられる。そう考えると、《けど》に重みが、というより、読点に重みがかかっているのかもしれない。相反する2つの欲望の溝を飛び越える、ジャンプのための「ため」として。
斎藤秀雄
★0
最初、おもたいかばんを笑う誰かに対して、「野生の中で死んでもいいの?」と問いかけている優柔不断な女の子を想像して読みました。かわいらしいな、とこの時点でも気になっていたのですが、これは「死んでもいいの。」という決意なのですね。人生を謳歌している、理想の生き方だなあと思いました。ひらがなと漢字のバランスも二人でよく考えられたことが伝わってきます。
草薙
★0
独特の世界観に惹かれます
好きなものばかりで重くなったかばんをもったあなたは、どこへ行けるのだろう。上の句ではお題の「好」しか漢字が無く、あとはひらがなに開いているところが効いていると思いました
海月ただよう
★0
大変迷いましたが特選にしました。
好きなものばかり重くなるほど詰め込まれたかばんと、野生の中で死ぬということの儚い類似性を「けど」で繋いだ感性と、仮名の多いたどたどしさに不穏な魅力を感じました。よくわかりませんが。
泳二
★0
まず「好きなものばかりをかばんに詰めてかばんが重くなってしまう」という無邪気な前半部分が魅力的でした。幼くてまわりのことが見えていなかった頃は何も考えず好きな物ばかり自分の周りを埋めつくすこと、埋め尽くそうとすることができていたけれど、大人になって現実的になってくるとそういう行為はもう難しくなってしまうと思います。ほとんどひらがなの前半部分から子供らしく愚かだけど無邪気でキラキラした幸せの感覚みたいなものを読み取りました。
後半部分では「死」という意味の強い漢字が登場し、内容も一見ネガティブなものに変化していて、この変化もとても魅力的でした。無邪気で子供らしい視点は消え去り、「好きな物ばかりを詰めていたらうまくいかない」という現実を認めた上でなお野生の中で死んでもいいと開き直っていて、前半の「周りを好きなもので埋め尽くしたい」という子供のような願いは大人の確固たる意志によるものだったのだと感じました。
「野生の中で死んでもいいの」という自暴自棄な決定は完全に幸福な環境から生まれるものではなくて、そう思うようになるまでにはおそらく自分の力及ばぬ野生に打ちのめされた経験があったわけで、その上で野生の中で生き残ることより死んでも好きなものをかばんにつめる選択をしたということに、ちゃんと考えた上で子供性を取り戻そうとするというある種逆説的な強い覚悟を読み取りました。表現や言葉の使い方と意味の両方から素敵な短歌だと思いました。
ハシリドコロ
★0

好きなほう選んだだけだ副作用みたいに褪せるペディキュアの青

出詠名 関西センチメンタルず街田青々 × 小池佑
10 / 30 ×3 ×24 ×20

互選名 花房香枝からすまぁりん2たけのNATURAニッキロサ・ブラックティー蝶番近江 瞬はとサブレ山口綴りガイトさん小林菫子ゆりこ西鎮紺野なつペンギンおじさんとうてつ芍薬朝野陽々中嶋港人尾崎飛鳥ことり宗谷燃小俵 鱚太西藤智えんどうけいこともえ夕夏凪沙帳n夏山栞岡桃代未補西田チヨ斎藤秀雄ハシリドコロ寿々多実果千原こはぎ黛カイリminminえだまめ水無月水有泳二空川実栄えがわゆか

選評名 副作用という言葉のチョイスがいいですね。靴やサンダルでペディキュアが褪せたように見えるのも共感できます。剥がれるだけじゃなくて色つやもくすみますよね。ただ、このお歌「いつ褪せた」のかがわからずモヤモヤしました。上の句で「好きなほうを選んだ瞬間」が詠まれているのに対して、ペディキュアが褪せるまでには時間の経過があるはずですが、それがイメージしづらかったです。まあでもペディキュアですから塗ってからそんなに経ってないですかね。とすれば褪せるのが早いというかかなり移り気な主体に見えます。わざわざ選ぶくらいだからもうちょっと愛着があるようなものですが、そうなれない原因が選んだ相手か主体にあるのでしょうね。ドラマチックで広がりのある景なのでそのドラマをもう少し具体的に想像したいなと思いました(想像力が乏しくすみません汗)
中嶋港人
★0
青いペディキュアというのは夏の恋の代名詞のように思いました。夏に、2人の相手のうちのどちらかを選択するというような状況になり(または恋ではなくても、2つの人生の選択のうちひとつを選ばない状況になり)、その時に選んだ道を秋になったいま、若干の後悔をもって捉えている。自分の足元を見るたびに色褪せた(というかはげかけた)ペディキュアが目に入りその時の感情を思い出している、というような景を(勝手に)想像しました。ドラマ性があって好きです。
山口綴り
★0
一番上の評を書いたものです。景を読み取り違えていたことに気がついたので、また書き込みをさせていただきます(作者様大変失礼をいたしました、申し訳ございません)。副作用と言っているんだから選ばなかった方が褪せているんですよね。ここを読み違えていました。しかし、いったい何を選ばなかったのでしょう。なぜ青いペディキュアなのでしょう。やはりドラマのある素敵な歌だと思います。
中嶋港人
★0
好きなほうを選んだはずなのにペディキュアが褪せてしまうことに気がつく、青はその不安の色なのでしょうか。後悔とまではいかなくてもまだ迷っているような、不穏な空気感がとても好きでした。
宗谷燃
★0
好きなほう選んだだけだ、という突き放したような、議論を拒むかのような二句切れがカッコいい。なんの副作用なのだろう? 私は、妻子ある人と、独身の人の間で揺れている主体をイメージしました。そして、妻子あるほうを選んだのだとしたら、この副作用という言葉がさらに光ります。良いですね。
小俵 鱚太
★0
「好きなほう」は、ペディキュアの色、そしてそれが好きだった、もしくは好きそうだった夏の恋人のことなのだろうと思いました。夏が過ぎ、その恋人との関係も、何処か疎遠、もしかすると破局しそうな秋のはじめ。季節から置いていかれたように、燃え上がった夏の恋の副作用のように褪せる青いペディキュア。この青は、主体の若さも暗示しているのではないでしょうか。二句切れがスパッと決まっていて、「好きなほう」「副作用」と韻律の似た言葉が近くに並び、これらも美しいと思います。
西鎮
★0
《副作用みたい》がとてもよいと思った。この《ペディキュア》が、誰かに対して見せるためのものだったのか、自分が満足するためだったのか、そこまでは書かれていないけれど、《褪せる》ことには物寂しさが伴うと思う。それこそ、木の葉が枯れて散るような。だけど「物寂しい秋の風情」というよりももっと、心情的に複雑な、別のフックが隠れているような感じが、《副作用みたい》にはあると思う。たとえば失恋のような出来事の、《副作用》であるように思える。
斎藤秀雄
★0
特選と迷いました。ペディキュアが実際に色褪せたのか、心象として褪せてしまったのか、いずれにしても「副作用みたいに」という比喩は絶妙です。上句の吐き出すような「好きなほう選んだだけだ」も結句の色彩と上手く作用していて、やはり褪せたのは心象なのかな、と思いました(実際に色が褪せていたとしても)。
泳二
★0

でも嘘じゃん そうだ嘘だよでも僕ら音だけの花火だって好きだよ

出詠名 はねと空港はね × 平出奔
11 / 29 ×3 ×23 ×17

互選名 花房香枝sii袴田朱夏たけの尾渡はちロサ・ブラックティー小林菫子宮本背水肉ロボ日向彼方とうてつ尾崎飛鳥モカブレンド波乃みな千仗千紘小俵 鱚太西藤智えんどうけいこ久藤さえ凪沙帳天田銀河海月ただようn夏山栞エノモトユミ未補西田チヨ斎藤秀雄街田青々ハシリドコロtoron*草薙ひろうた小池佑あひるだんさー黛カイリ真田和子minmin中本速空川実栄藍野瑞希といじま

選評名 みえないところで上がる花火かもしれないし、あるいはデジタルから聞こえる音かもしれない。それは目の前でひかりを放つ花火に比べたら、たしかに偽物で、嘘のようにも思えてしまう。でも、それを主体は「好き」だと言う。音だけの花火を「嘘ではない」と否定するのではなくて、「嘘だけど好き」だというのが、この歌のすてきなところだと思います。
この花火は比喩として持ち出されていて、このふたりが実際になにについて話しているのかはうたの中にはでてこないけれど、そこに想像が膨らみます。なんだろう、やはりふたりの関係性として読むのが自然でしょうが、それだけではなくいろいろと浮かんでくるのがたのしいですね。嘘を嘘のまま好きになる感性は、やさしいけれど、どこか危うさを感じます。その不安定な感じが、読んでいてここちよいどきどきを生みます。
「僕ら」と複数形で語ることの意味を、すこし考えたりもしました。すてきな歌をありがとうございます。
宮本背水
★0
二句目以降の疾走感が心地いいです。何より、軽口をたたき合い、するりと「僕ら」と言ってしまう作中のふたりの空気感があまりにも好みでした。
「音だけの花火」は部屋の中やビルの影にいたのか、それともテレビ中継の花火大会の音だけを聞いていたのか、もしくはただ比喩として上げたのか、そのあたりが読み手の想像に委ねられているのも、余白の豊かな歌が好きなので一読してうれしくなりました。
西藤智
★0
初句で軽く否定から入るのがインパクトがあって上手いです。
その否定に対するアンサーとして比喩に出されるのが音だけの花火というのがユニークで、しかし説得力があると思いました。
ところで、「音だけ」響く花火は嘘の比喩として適切なのか。完全に嘘ではなく、微妙にずれているところの引っかかりも絶妙で、歪みをすべてひっくるめた「好き」を感じます。
海月ただよう
★0
初句の《でも嘘じゃん》には、「嘘」であることを批難するニュアンス、「嘘」であることは良くないことだという価値判断のニュアンスがあるように見える。そしてなにが《嘘》だと批難されているのかは、書かれていない。《音だけの花火》よりも大きな嘘なのか、小さな嘘なのか。《だって》と述べられているので、「音だけの花火でさえ好きなのだから、ましてや」と読むなら、批難されているものはもっとさらに小さな嘘なのかもしれない。でも、なんとなく、《音だけの花火》のような小さな嘘の肯定によって、もっととても大きなものが嘘であることをも肯定しようとしているように感じられる。それは《音だけの花火》に《花火》というとても大きなもの(物理的にではなく、感情を揺さぶるものとして)が隠れているからかもしれない。そこで肯定されようとしているものは、たとえば世界とか、なのかもしれない。
斎藤秀雄
★0
下の句の韻律の悪さで取りませんでしたが、否定形から入る初句や、下の句にかけて花火が立ち上るようにスピード感があるところは素敵だと思います。
せしん
★0

好きなだけサラダを取っていいことがこんなに泣ける明るいロイホ

出詠名 キッチンドランカーズ塾カレー × せしん
12 / 28 ×5 ×18 ×19

互選名 花房香枝siiミウラ尾渡はちNATURAロサ・ブラックティーはとサブレ山口綴りガイトさん肉ロボ朧(ろう)カイズケン華栄ハナゾウモカブレンドことりまちか守宮やもり千仗千紘凪沙帳天田銀河海月ただよう夏山栞岡桃代西田チヨ斎藤秀雄街田青々ハシリドコロ寿々多実果minminえだまめ秋中弥典とおりすがり小川けいと水無月水有泳二中本速空川実栄海月莉緒えがわゆかといじま

選評名 私事ですが、災害に遭い、電気と水の止まった生活を一週間ほど送ったことがあります。いや正確には電気だけは3日ほどで復旧したのですが、本当に不便で不安でやるせない気持ちに随分なりました。そのくせ、隣の隣の町では何事もなかったように、コンビニでアイスが買えたりするのです。なんとも悔しいような切ない気持ちになったのを覚えています。
これは、その思い出と重なって見える歌でした。
自分は打ちひしがれているのに、水でさらしてパリッとさせた生野菜を電気で冷やしているサラダバー。ついこの前までは自分もそんなサラダバーのある日常の中にいたのに今はそうじゃない。煌々と日常を照らす明るさに、泣けてきてしまう…。主体を被災した人物と読むのが正しいかどうかわかりませんが、わたしには、そう受け取れた歌でした。日常は、失われてはじめて、その大切さを噛みしめるものなのです…。
守宮やもり
★0
なんというかお手本のようなまとまった歌だと思います。あまり大きな欠点がない。しかしながら歌全体からなんとなく感じる「よくある」感が惜しい。
泳二
★0

こいごころ声にならない言の葉をあかく焦がしてななかまど立つ

出詠名 (有)西久商会久藤さえ × 西藤智
13 / 26 ×5 ×16 ×15

互選名 sii袴田朱夏尾渡はちNATURAロサ・ブラックティー梅丘つばめシナモン万間みいやとうてつ芍薬404notF0816朝野陽々中嶋港人nu_ko尾崎飛鳥安達太良まちか千仗千紘えんどうけいこ凪沙帳エノモトユミ西田チヨこのいと街田青々ハシリドコロ千原こはぎ鴨衣toron*草薙ひろうたあひるだんさーminminえだまめ水無月水有空川実栄

選評名 上句の「こ」の韻と「お段」の音の連続により、声にならない言の葉がより暗く印象づけられています。そして下句では一変して、明るい「あ」段の音の連続により、ナナカマドの赤い房の実が、その声にならない言の葉を真っ赤に焦がしてゆく様子が立ち上がります。この恋心も赤く燃えて成就するといいですね。
ニッキ
★0
音読した時の響き、彩りにまで細やかに配慮した端正な一首だと思いました。
初句をひらがなにしたところも肉声には出せない心の中の小さな声をあらわしていて巧いです。散りばめられた「こ」音が煮詰まる頃(四句め)に「焦がして」という単語を選んだのもやっぱり巧いです。

言葉にならない想いをななかまどの赤い葉に喩え「ただ立っている」、それだけのことなのですが読んだ後に視界がぱあっと赤くなって美しかったです。秋ならではの一首、ありがとうございました。
芍薬
★0
コ音の連続が気持ちの良い韻律を生み出しておりさわやかな一首になっています。且つ、あかく立つななかまどが情熱的でいい歌だと思いました。
404notF0816
★0
今回、一番「音」に気を使っている歌だなと思いました。上の句の「こ」の連続、下の句の「あ音」の連続。歌意も無理がなく、素晴らしいと思います。声に出して読みたい歌でした。
尾崎飛鳥
★0
語の並びと景が噛み合った美しい歌だと感じました。
特に下の句のあ行の音の並びが心地よいリズムを作り出していると思います。
また、ななかまどの赤色を伝えきれない恋心と重ね合わせたのも今の季節に沿っていて美しいです。
題の「好」を詠みこまずに主体の思いを引き出し、読み手にも景を広げさせる手腕のひかる歌です。とても素敵です。
千仗千紘
★0
ななかまどの赤の季節感からして素敵だと思います。
恋に胸を焦がすことと、ななかまどが赤くそまることを関連付けた発想も素晴らしいです。
また、多用される「こ」の音が韻文としての短歌の楽しみがあって好きな歌でした。
エノモトユミ
★0
こ、の連続する音の楽しさ。赤を強く想起させる力のある歌だなと思いました。ななかまどの使い方が素晴らしい。
せしん
★0

感情の汽水域とす終電の誰かがだれかを想えば揺らぎ

出詠名 藍いスパニエルやざわあみ × 西鎮
14 / 26 ×2 ×22 ×16

互選名 sii袴田朱夏ロサ・ブラックティー近江 瞬山口綴り青山祐己肉ロボ朧(ろう)日向彼方ペンギンおじさんハナゾウとうてつ404notF0816尾崎飛鳥多田なの安達太良まちか守宮やもり笠原楓奏(ふーか)小俵 鱚太西藤智久藤さえ凪沙帳篠田くらげ天田銀河海月ただようエノモトユミ未補西田チヨ平出奔街田青々ハシリドコロtoron*黛カイリminminえだまめ秋中弥典藍野瑞希

選評名 「感情の汽水域」という表現になるほど、と思いました。しかも終電。いろんな物語が生まれそうでわくわくします。
日向彼方
★0
いい意味で幻惑させられた気分になりました。境界部分、この場合は海水と真水の境界、ということですが、どんなことでも境界部分が面白い、味わい深いですよね。ある感情が別の感情に変わる、まだ戻りうる感情に、終電で揺蕩っている。誰かがだれかを、も、誰かはっきりしないわけですが、揺らぎ、で最後まで茫漠として、決して具体化しない景。もう一度読めば、終電、だけがくっきりとしていて、気怠さや眠気、疲れ、がどろどろとした終電に、読み手も閉じ込められてしまいます。
袴田朱夏
★0
一番詩的で小説のようでもあり、奥行きがあったように感じました。
言葉のチョイスと並べ方、余韻の残し方が絶妙です。素敵な歌ですね。
ペンギンおじさん
★0
「感情の汽水域」「終電」「誰かがだれか」「想えば揺らぎ」それぞれ魅力的ですが一首に詰めこみ過ぎた印象があります。
泳二
★0

煮卵の半熟具合のほどよくて世界に好きが満ちるラーメン

出詠名 飛ぶ球場海月ただよう × なぎさらさ
15 / 26 ×1 ×24 ×15

互選名 NATURAニッキロサ・ブラックティー近江 瞬はとサブレ山口綴りガイトさん若紫音佳西鎮宮本背水肉ロボ朧(ろう)カイズケンハナゾウ芍薬中嶋港人nu_ko尾崎飛鳥多田なの波乃みな千仗千紘凪沙帳天田銀河岡桃代エノモトユミ西田チヨ草薙ひろうた実岡まつ小池佑真田和子minminえだまめ秋中弥典小川けいと空川実栄えがわゆか

選評名 食がもたらす絶対的な幸せを下の句でうまくまとめているなあと思いました。この「好き」は特定の誰かに向けたものではなく、自分あるいは世界そのものをまるっと肯定するようなあたたかさがあります。卵の丸さもあいまって読んだ後にほっこりする一首です。ラーメン食べたくなりますね!
芍薬
★0
全体的にリズムが良く、明るい歌で良いなと思いました。これがお店のラーメンだったら、「食」に対する普遍的な「好き」を詠んだ歌と読み取れますが、もし誰かの手作りだったとしたら、半熟具合のほどよい煮卵を作った人への個人的な「好き」を詠んだ歌とも読み取れて、面白いと思いました。今回の中で一番明るい歌だったと思います。
尾崎飛鳥
★0
おいしいものを食べている幸せと,丁寧に煮卵を作ってくれる人が存在する幸せ(ラーメン屋さんでも家族でも,恋人でも)に満ちあふれていて眩しいです.
朧(ろう)
★0
明るくて読んでるこちらにも1杯のラーメンが浮かびます。
煮卵にうっすらスープの油が光って確かにラーメンは美しくて幸福なビジュアルですね。パフェやケーキに匹敵しそう。
幸せな気持ちになれる歌でした。ありがとうございます
ハナゾウ
★0
この句をみた瞬間ふわっとラーメンの湯気が立ち上るのを目の当たりにしたような心地になりました…!こんな歌が堪らなく好きです。
西田チヨ
★0

お人好しのままでいるから朝焼けを見るとき用のひとでいさせて

出詠名 アラナギ派草薙 × 若枝あらう
16 / 24 ×2 ×20 ×19

互選名 花房香枝siiやざわあみ袴田朱夏りん2たけの尾渡はちロサ・ブラックティーはとサブレ山口綴り小林菫子西鎮万間みいや日向彼方華栄ペンギンおじさんハナゾウとうてつ朝野陽々中嶋港人nu_ko尾崎飛鳥ことり笠原楓奏(ふーか)凪沙帳天田銀河夏山栞未補西田チヨ斎藤秀雄街田青々ハシリドコロ寿々多実果千原こはぎtoron*草薙ひろうた実岡まつminmin藍野瑞希海月莉緒

選評名 主体にとっての誰かには「朝焼けを見るとき用のひと」が必要なのですね。それは友人や恋人や伴侶などより都合の良い存在だと思うのですが、それでも「いさせて」と望んでしまうのですね。きっと他の関係や役割を与えてもらえないから。とても切なくて泣きたくなりました。でももしかしたら名前の有る関係より特別なものかも知れませんね。
小林菫子
★0
恋人ではない「朝焼けを見るとき用のひと」。非常に切なくて、でも誰もが何処か共感できる存在なのでは無いでしょうか。どちらの立場かはともかくとして。題をこのように詠み込みながら、非常に詩性豊かで驚きました。
西鎮
★0

好きだったテーブルさえも戦場に変えてしまうね五年目の秋

出詠名 アオイトリことり × 青山祐己
17 / 23 ×2 ×19 ×15

互選名 花房香枝袴田朱夏ミウラNATURA水月雪乃ロサ・ブラックティー小林菫子梅丘つばめ華栄ペンギンおじさんハナゾウ芍薬404notF0816朝野陽々尾崎飛鳥まちか守宮やもり西藤智凪沙帳エノモトユミ未補西田チヨ平出奔街田青々砂狐ひろうたあひるだんさーminminとおりすがり小川けいと水無月水有空川実栄白木蓮といじま

選評名 きっと2人で選んだお気に入りのテーブル。そのテーブルを挟んで別れか離婚の話し合いをしているのでしょう。5年という歳月が長いような短いような…考えさせられました。
ミウラ
★0
「戦場に変えてしまう」が面白い表現だと思いました。「テーブル」は食卓の、家庭の象徴だと思います。新婚当初にふたり仲良く選んだテーブルが、いつの間にかケンカや話し合いをする場所になってしまった。辛い歌だと思うのですが、「戦場に変えてしまうね」の言い回しや、「五年目の秋」と体言止めにしていることによって、少し可笑しみがあって、不思議な歌だなと思いました。
尾崎飛鳥
★0
「変えてしまうね」じゃあないんですよ。とちょっと笑ってしまいました。「戦場」とまで言ってからの余裕が出てきてる感じがおもしろい。
 その余裕があるのは、これまでに過ごした五年の歳月にたしかなものがあるからなのだろうな……と伝わってきました。そのうえで、ちょっと怖い余裕だなとも思います。「ね」で共有してなんとかしようとしている感じ、がするんですけど、それでなんとかならなくなってくるのもまた「五年目」なのかなという気がします。
 いっかい笑ったりほっこりしたりして→からの→これで大丈夫か?に読者の感情が移っていくように、語彙と口調で持って行かれる感じが面白いと思いました。
平出奔
★0

ももいろのあまいにおいの消しゴムを返せずにいた夏の放課後

出詠名 チーム踊念仏吉岡繁樹 × 宮本背水
18 / 23 ×2 ×19 ×11

互選名 花房香枝知己凛袴田朱夏尾渡はちNATURAニッキロサ・ブラックティー蝶番ガイトさん若紫音佳西鎮カイズケンハナゾウ朝野陽々モカブレンド守宮やもり波乃みな千仗千紘凪沙帳n西田チヨ街田青々寿々多実果草薙砂狐真田和子minmin水無月水有空川実栄藍野瑞希

選評名 一息で読めるリズムが好きです。消しゴムは間違いを消すアイテム。それを返せずにいたのは、消したくない、無かったことにしたくない恋心だと読みました。「ももいろのあまいにおい」は恋の相手か、そんな部分を持っていると気づいた自分自身のことか、どちらでも読めると思います。ももいろの暗示から夏の青にひろがって行く。初々しい初恋の歌だと思いました。
波乃みな
★0
返したら関係が途切れてしまうから返せないものってあったな、という学生時代の思い出が想起されました。ももいろってのがまた甘酸っぱくていいと思います。
凪沙帳
★0
消しゴムというアイテムが、恋の要素で修飾されている上の句。韻律も含め、とても美しく感じました。消しゴムを返せば、この想い(どちらからどちらへのものなのか、もしくは両想いなのかは不明ですが)は消えてしまいそうな雰囲気で、初恋の切なさ、儚さを詠われていると感じました。
西鎮
★0

飛行機の影に触れられそこまでは好きになれない人の手を引く

出詠名 ゆめの背骨未補 × 斎藤秀雄
19 / 22 ×4 ×14 ×15

互選名 花房香枝sii袴田朱夏ミウラ尾渡はちロサ・ブラックティー小林菫子宮本背水朧(ろう)若枝あらう笠原楓奏(ふーか)千仗千紘小俵 鱚太ともえ夕夏凪沙帳天田銀河海月ただようn夏山栞平出奔街田青々ハシリドコロ千原こはぎ草薙ひろうた実岡まつminminえだまめとおりすがり海月莉緒えがわゆか

選評名 不穏な気怠さと悲しさが好きです.
手を引いている「そこまでは好きになれない人」は,私は主体の子供のことだと思って読みました.自分の子供は無条件に,何だったら世界で一番好きになるというようなルールが崩れていく,ぞっとする気持ちよさを感じます.
「飛行機の影」は,実際の飛行機のことなのか,子供が持っている玩具の飛行機のことなのか判断がつかなかったのですが,「影に触れられ」という表現に惹かれます.影が何らかの意志を持って動いているような,主体が影のぬるい体温を感じているような気がするので.
上手く言葉にできなくて自分にがっかりしているくらい,好きな歌です.
朧(ろう)
★0
私は、主体が手をひいた対象は年老いた親なのかなと思って読みました。先述の方とほぼ同じようなことになりますが、「飛行機の影」がもたらす、何とも云えない不穏な感じ‥‥私は、実際に上空を行く飛行機の影そのものと思って読み進めたのですが、大きくて逃れように逃れられない脅威がある=親の存在と無意識に結び付けたかもしれません。
主体が幼いときから、お母さんもしくはお父さんのことを「好きである」と偽って、自分をだまし言い聞かせていたのだとしたら、何とも切ない気持ちになるのです。切っても切れない縁だからこそ、もう脅威でもなんでもなくなった今、弱々しい父母の手をひく。好きと思い込んでいたのはまやかしであったと気づいた主体のもやもやするような自責がこの歌からにじみ出ている気がしました。
世間は親、もしくは子のことを愛せない人に対して臆面なく責めます。飛行機の影はそういうものの暗喩としても有効で、なかなかに味わい深い作品だと感じ入りました
ともえ夕夏
★0
年老いた親を持つ主体として読みました。
字数をたっぷり使って「そこまでは好きになれない」としたところが、ふたりの関係性をぐっとリアルにしていると感じました。そこまでは好きになれない、けれど義理や恩はあるから嫌いと切り捨てることも出来ない。そういう親子って多いのかもしれないですね。
夏山栞
★0
さびしさを湛えつつ「手を引く」というスキンシップは温かさ・柔らかさと無縁ではなくて、「そこまでは」好きになれずとも好きになれることは確かなようで、飛行機の影の触れるさまも無機質的でありながらもスキンシップであると捉えれば、やはりやんわりと温かい。調和の取れた、涼しい歌だな、と思いました。秋の空高く、って感じで、大好きです。
海月莉緒
★0

アンテナは良好ひげをぴんと立て仔猫は夜の風を見ている

出詠名 波待ち波乃みな × まちか
20 / 22 ×3 ×16 ×15

互選名 やざわあみ袴田朱夏水月雪乃ロサ・ブラックティーガイトさん真島朱火シナモン万間みいやカイズケン404notF0816朝野陽々ことり守宮やもり笠原楓奏(ふーか)久藤さえ凪沙帳篠田くらげ西田チヨこのいと街田青々ハシリドコロ千原こはぎ鴨衣ひろうた実岡まつminminえだまめ小川けいと泳二空川実栄藍野瑞希

選評名 「好き」がまだ好奇心だけだった頃のみずみずしい感じを思い出させてくれました。風を見ている、という表現が好きです。気持ちの良い歌だなと思いました。
カイズケン
★0
言葉に無駄がなくイメージを共有しやすい歌で好感を持ちました。風は何か対象が動くことではじめて見ることができる。夜の風に動くものはなんだろうと思わせる歌の余韻がいい。猫のアンテナは受信だけじゃなく送信もできるのでしょう。高層マンションの窓際で動きのない遠い夜景をじっとみている猫は私たちの感知できない何かと交信しているよう。「アンテナ」と「見る」の組み合わせがちょっと共感覚的な効果もあって面白い。たとえば電波望遠鏡って言葉を聞いて一瞬ゆらぐイメージに似てる(機械オンチな私だけかな(笑))。

★0
じっと窓の外を見つめる仔猫の透き通った瞳さえも見えてくるような一首です。ひげがぴんと立っているということはかなり集中している様子。その猫の目線の先には「夜の風」がある。何もない空間を見ていることを「夜の風を見ている」としたところが面白いと思いました。アンテナは良好なようだし、本来は見えない「風」すら、仔猫の目には見えているのかもしれません。
千原こはぎ
★0
奇を衒わないかわいらしい景に好感を覚えました。「子猫」ではなく「仔猫」と表記すると私は生まれて間もないとても小さな猫を想像するのですが、景としてはもう少し大きな子猫が浮かび、私だけかもしれませんが「子猫」の方が好きだったかな。と思いました。
泳二
★0

頬が言う九月にしては冷たくてこれは彼女が好きだった風

出詠名 海豚と水豚中牧正太 × 泳二
21 / 22 ×1 ×20 ×23

互選名 花房香枝やざわあみ袴田朱夏ミウラたけの尾渡はちNATURAロサ・ブラックティー蝶番はとサブレ山口綴りガイトさん若紫音佳西鎮万間みいや華栄芍薬404notF0816朝野陽々尾崎飛鳥モカブレンド若枝あらう守宮やもり波乃みな小俵 鱚太えんどうけいこともえ夕夏凪沙帳天田銀河海月ただよう塾カレーエノモトユミ未補西田チヨ平出奔街田青々鴨衣草薙ひろうたminminえだまめ秋中弥典藍野瑞希白木蓮

選評名 季節のうつろいと、秋のおとずれを感じさせてくれる一首。九月にしては冷たい風が頬に当たる。すでに仲秋から晩秋の温度。ということは、この彼女の記憶は、今年の冬か、あるいは去年の秋のころのもの。一首の中に、長い時間が経過している。それでも、忘れらない。頬の温感という繊細さから、少女同士の恋愛と読んだ。
笛地静恵
★0
2句以降の流れは好きだったのですが、初句の「言う」がどこまでなのかが読み解けず引っかかってしまいました。ここはもう少し動かせたかもしれませんね。
若枝あらう
★0
説明調なんですが、少し引いたところから感情が当たっていて惹かれました。余韻がとてもとても好きでした。
街田青々
★0

好きですが言えなくなっても好きでした過去形にして許されている

出詠名 催花雨日向彼方 × 花房香枝
22 / 21 ×4 ×13 ×16

互選名 知己凛りん2ミウラたけの尾渡はち水月雪乃ロサ・ブラックティー蝶番はとサブレゆりこ梅丘つばめ真島朱火朧(ろう)華栄ペンギンおじさん404notF0816nu_ko尾崎飛鳥モカブレンド千仗千紘凪沙帳n岡桃代街田青々ハシリドコロ千原こはぎ実岡まつminmin秋中弥典空川実栄藍野瑞希海月莉緒

選評名 心変わりを許容されているのでしょうか。ほのかに温もりが残っている分、切ないです。
ロサ・ブラックティー
★0
振られてしまってもう相手に想いを伝えることはできなくなってしまったけど、過去形にすることで好きな気持ちを相手に許されたような気持ちになっている。そんな経験があるからか、ストレートに響きました。好きな歌です。
梅丘つばめ
★0
ずっと片想いをしていた相手についに恋人ができてしまって、もう告白することは叶わない。けれど、過去形にして伝えることで、相手のことを好きだということを許してもらう、というふうに読みました。無理をした笑顔で長い間の想いを伝える主体が見えてくるようで、切なくて好きでした。
「好きですが」「好きでした」の言葉の重ね方が耳に心地良く、さらっと読めてしまいますが、簡単な言葉を使っているけれど意味としてはすこし捻りがあるところなど、実は工夫のある歌だなと思います。
「恋を過去形で伝える」という歌の景自体は新しいものではありませんが、上句の言葉選びにより魅力的な一首になっていると思います。
千原こはぎ
★0
「好きです」が言えなくなった=心変わりと思ったのは、もしや私だけ?(^^;)
ロサ・ブラックティー
★0

変わることなど望まないおれなんか好きにならないとこが好きだよ

出詠名 レッドブルー梅丘つばめ × 夏山栞
23 / 21 ×2 ×17 ×15

互選名 花房香枝からすまぁ知己凛たけの尾渡はちロサ・ブラックティー近江 瞬宮本背水真島朱火日向彼方カイズケン華栄ハナゾウ朝野陽々中嶋港人nu_ko尾崎飛鳥まちか波乃みな千仗千紘西藤智ともえ夕夏凪沙帳n西田チヨ街田青々ひろうたminminえだまめ小川けいと空川実栄藍野瑞希

選評名 変わることなど望まないって言い切っていて、しかも自分なんかを好きにならないところが好きだなんて言う。きっと相手が結婚してもいちばんの友だちとして喜んだりするんだろうなって考えちゃいました。切ない。
日向彼方
★0
この主体のちょっとひねくれた感じ、めっちゃ好きです。かわいい。
朝野陽々
★0
なんてめんどくさい男なんだーとぐんにゃりしましたが、なんか、うん、いろいろキャラが想像できました。脱力させてくれるこの歌がなんか好きです。
ハナゾウ
★0
好きになってもらえない強がりでしょうか。それとも本当にそう思っているのでしょうか。きっと主体のことを好きになってくれたとしても、どうせずっと好きなんだろうな、と思いました。
華栄
★0
面倒くさいけど憎めないキャラクターだと思いました。
波乃みな
★0
面倒くさいけど憎めないキャラクターだと思いました。
波乃みな
★0
好きにならないところが好き、あまりにめんどくさ可愛くて動揺しました。この一句で彼の人となりが透けて見えるよう…
西田チヨ
★0

光源を好いてしまった 下ばかり見れば次第に影が濃くなる

出詠名 ネス湖宗谷燃 × 小林菫子
24 / 20 ×2 ×16 ×25

互選名 花房香枝知己凛袴田朱夏ミウラ尾渡はちロサ・ブラックティー蝶番はとサブレ山口綴りガイトさんゆりこ青山祐己肉ロボハナゾウ404notF0816朝野陽々中嶋港人nu_ko若枝あらうルナク西藤智凪沙帳篠田くらげ天田銀河海月ただようエノモトユミ未補西田チヨ街田青々ハシリドコロ千原こはぎtoron*草薙ひろうた黛カイリ真田和子minmin秋中弥典とおりすがり空川実栄藍野瑞希えがわゆか

選評名 光源を好いてしまったとはあまりにも眩しい存在を好きになってしまったのでしょう。好きになればなるほどその存在の輝きは増し、好きと伝えられずに下を見る主体の影は濃くなってゆく。片思いのせつなさや、やるせなさ、悲しみを美しく詠まれていると思います。
ミウラ
★0
二句切れがとても効果的に使われています。第二句までの眩しさと第三句以降の重苦しさが主体の感情を表現していていい歌だと思いました。
篠田くらげ
★0
眩しすぎる存在を好きになってしまったせいで、直視できずいつも下ばかり向いている。そして、自分の影はどんどん濃くなっていく(心の影がどんどん暗く濃くなっていく)。人を好きになったからこそ、生まれる「影」。輝きすぎている(ように見える)好きな人と、片想いのしんどさをうまく表現されているなと思いました。
千原こはぎ
★0

スニーカーの紐編み上げてひと休み好きになるつてパターンなのかな

出詠名 花野歌青 × このいと
25 / 20 ×2 ×16 ×7

互選名 花房香枝たけの尾渡はちロサ・ブラックティー若紫音佳小林菫子芍薬404notF0816多田なの若枝あらう小俵 鱚太凪沙帳塾カレー岡桃代エノモトユミ西田チヨ斎藤秀雄街田青々ひろうた小池佑真田和子minmin中本速藍野瑞希

選評名 下句がよいと思いました。《パターンなのかな》は「好きになることには、なにかの法則があるのかな」というようにも読めますが、「これから好きになってしまう、というパターンに、いま、いるのかな」と読みました。上句の靴紐を編み上げるシーンも、好きになる予感を抱きながらの行為なのかな、という感じがします。もしくは《ひと休み》のところでしみじみ感じているのかも。韻律も心地よかったです。
斎藤秀雄
★0
好きになるというパターンに自分が陥りかけているのか、という風に後半を読み取りました。そのうえで、スニーカーの紐を編み上げるという行為は、前へ、外へ行こうとしている準備とも思える。パターンだから偽物、というのでなく、そこに踏み出していく短歌なのかもしれません。
中本速
★0

好きだって言いきれなくて夕景におびえたような声のさざなみ

出詠名 中千住中嶋港人 × 千仗千紘
26 / 19 ×1 ×17 ×19

互選名 花房香枝袴田朱夏ミウラ尾渡はちNATURAロサ・ブラックティー近江 瞬ガイトさんゆりこ青山祐己梅丘つばめ真島朱火紺野なつカイズケン芍薬404notF0816朝野陽々nu_koことり安達太良守宮やもりルナク宗谷燃小俵 鱚太凪沙帳天田銀河西田チヨ街田青々ひろうたminmin秋中弥典中本速藍野瑞希白木蓮海月莉緒

選評名 とてもきれいにまとまっていると思いました。
おびえたように震えた声をさざなみと捉えたところが感覚としてわかる感じがします。声自体も震えて、その場にもさざなみが起こるような、そんな空気を感じることができます。
なぎさらさ
★0
想いをうまく完璧には伝えられない(伝えきれない?)もどかしさと、夕景→もうすぐ日が沈んでしまう、何かのタイムリミットのように感じました。
「声のさざなみ」は空気、空の震え、その場の雰囲気や主体の心の動きをあらわしていて、繊細で美しいと思いました。
ことり
★0

西日さす机の桃は腐りゆき引き返せない背中にふれる

出詠名 小萩笛笛地静恵 × 千原こはぎ
27 / 17 ×1 ×15 ×12

互選名 花房香枝sii袴田朱夏尾渡はちロサ・ブラックティーシナモン万間みいや朧(ろう)日向彼方カイズケンハナゾウ若枝あらう守宮やもり千仗千紘ルナク宗谷燃凪沙帳天田銀河岡桃代西田チヨ街田青々草薙真田和子minmin秋中弥典空川実栄藍野瑞希

選評名 具体的なモノを描きつつ、歌全体として抽象的な「ある一線を越える瞬間」を描いてるのが面白いなと思います。
カイズケン
★0
色、香り、形、それから傷みやすさ…桃って心の、それも好意の象徴のように思います。四句で切って読んだのですが、時間の経過とともに相手への好意が熟しすぎて、自分でもどうしていいのか分からずに「背中にふれ」たのだと思います。多分、好意をてはいけない相手だったのかな。西日の、ちょっと背徳的なイメージも効いているのではないかと感じました。
お題を直接入れ込んではいない分、主体の静かな感情が感じられ好きな歌でした。
天田銀河
★0
「引き返せない」をどう取るかが分かれ道かなと思いました。他の部分はこれでもかというくらいに具象で語っていますが、ここだけがぐっと情感的です。また、西日、腐り、背中と退廃的な言葉に、机(材質によりますが)の無生物感、そこに桃が来た時に、これだけでもかなり舞台設定としては雄弁かと思います。そこに、「引き返せない」ときた時に一気に想いが溢れたと取るか、あえて抑えて具象で行ってよと感じるか、難しいところだと思いました。
秋中弥典
★0

鍵盤の硬いピアノに突っ伏して未完のままの誰かへの好き

出詠名 泥まみれのササミからすまぁ × 一音乃 遥
28 / 17 ×0 ×17 ×22

互選名 siiやざわあみ袴田朱夏ミウラたけの尾渡はちロサ・ブラックティー蝶番はとサブレ小林菫子西鎮シナモンカイズケン華栄ペンギンおじさん朝野陽々多田なのルナク西藤智えんどうけいこともえ夕夏凪沙帳塾カレーn西田チヨ斎藤秀雄街田青々鴨衣toron*真田和子minmin秋中弥典小川けいと藍野瑞希白木蓮えがわゆか

選評名 鍵盤が固いということは、長い間弾かれることがなかったピアノなのでしょうか。ピアノを弾くことも、「誰か」に想いを告げることも諦めてしまった無念さが突っ伏した姿勢で表現されているように感じました。
えんどうけいこ
★0
突っ伏した時の、ジャーンとガーンが混ざったような大音響に、誰かへの好きが隠れてしまえばいいのに、という気持ちがあるのかなと思いながら読みました。人に知られたくない、そして誰より自分も見たくない、誰かへの好きかと思いました。
秋中弥典
★0

好きだよとあなたが言えばこの街に静かに開くたんぽぽの花

出詠名 みなとまち若紫音佳 × ガイトさん
29 / 15 ×0 ×15 ×16

互選名 花房香枝からすまぁやざわあみミウラ尾渡はちロサ・ブラックティー近江 瞬ゆりこ西鎮華栄ハナゾウ芍薬中嶋港人まちか守宮やもりルナク凪沙帳n岡桃代エノモトユミ西田チヨこのいと斎藤秀雄街田青々ひろうたminmin空川実栄藍野瑞希えがわゆか

選評名 あなたの「好きだよ」はこの街を少しだけ美しくする魔法だ、と解釈しました。たんぽぽがどこかで咲いても知らない人にはどうってことない出来事で、でも確実にその場所を少し明るくする。好きだよっていっぱい言ってほしいです。
まちか
★0
結句でほんのりとした恋心が広がります。たんぽぽを選んだところに気持ちが表れて、可愛いと感じました。
このいと
★0
素朴でよくある歌のようにも見えます。57577でクキクキと区(句)切れて、あまりにも自然なようにも読めます。いや、じっさい、素朴で実直な歌だと思います。《街》だから、「町」とか「村」「里」と違って、かなり大きな街なのかな、とか、《たんぽぽ》だから、「ひまわり」と違ってほんとうにほのかな恋を歌っているのかな、とか、素直に伝わってきます。そして一点だけ、ほんとうにかすかな山、かすかなピークを作っているのが《静かに開く》で、花が開くときにはほんらい、音がしているのだと思いますが、ひとはたいてい、それに気づかない。性能のいいマイクで録音したりすれば、知覚可能だとはいえ。この作中主体は、たんぽぽの開く音は《静か》だと、なぜか気づくことができている。もちろん物理的に鼓膜を振動させられているわけではなくて、心理的に(精神的に、といったほうがいいのかもしれません)。《たんぽぽ》だけでも恋のほのかさが伝わりますが、たんぽぽほど小さなものの音を、《静かに》と感受できることで、もっとくっきりと、どれだけほのかであるかが、伝わってきます。
斎藤秀雄
★0

君のいるこの星が好き 限りなく青き孤独を二人占めして

出詠名 spicesニッキ × シナモン
30 / 14 ×2 ×10 ×11

互選名 花房香枝からすまぁやざわあみ水月雪乃ロサ・ブラックティー蝶番ガイトさん若紫音佳西鎮日向彼方ペンギンおじさんことりルナク凪沙帳n西田チヨ街田青々ひろうた黛カイリ真田和子minmin藍野瑞希

選評名 😌♥
蝶番
★0
世界の中にただ二人だけ。お互いしか見えない世界の「青き孤独」が美しいです。
ロサ・ブラックティー
★0
広くて狭くて、青き孤独、素敵です。
ガイトさん
★0

東京が好き新宿の雨が好きコンクリ製の殻を持つ貝

出詠名 ロココドボボハシリドコロ × 肉ロボ
31 / 14 ×0 ×14 ×21

互選名 花房香枝siiやざわあみ袴田朱夏ミウラたけの尾渡はちロサ・ブラックティーゆりこ梅丘つばめ華栄ペンギンおじさんnu_ko多田なのことりまちか波乃みな千仗千紘ともえ夕夏凪沙帳塾カレーn西田チヨ斎藤秀雄街田青々寿々多実果千原こはぎtoron*黛カイリminmin秋中弥典とおりすがりといじま

選評名 コンクリ製の殻とは建物をさしているのでしょうか。その殻に守られて雨を見ている貝がおそらくは主体なのだと読みました。自然界で儚い殻を持つ貝といえばかたつむりが思い浮かびますが、それと対比させて都会に生きる人間の寂しさのようなものを詠いたかったのかな……下の句の分かりづらさ、含みの多さは決して悪いということはなくて、それにしては対応する上の句が具体的すぎてアンバランスな一首に仕上がってしまった感じがしました。(でもこのバランス感覚を好む人もいると思います)
芍薬
★0
かたつむりは殻を作るためのカルシウムを補充するためにコンクリートを食べる、というのをどこかで読んだのでそのことだと思い読みました。雨が降るとコンクリートからカルシウムが染み出してくるんですよねたしか。本来自然界のものなのに都会を食べて適応して楽しくやっている(かどうかは個体によるかもですが)かたつむりに共感しつつ雨の新宿を闊歩する主体が見えてくるようで良いです。ただ下の句の言い回しだと硬い殻に籠もっているようにも思えてしまうかも…本来の歌意がそちらでしたら的外れですみません。
まちか
★0

同好の士としてパフェを分け合った あなたがすき、と告げる気はない

出詠名 海えんどうカイズケン × えんどうけいこ
32 / 13 ×0 ×13 ×15

互選名 花房香枝知己凛袴田朱夏ミウラたけの水月雪乃ロサ・ブラックティーガイトさん404notF0816ことりまちかルナク西藤智ともえ夕夏凪沙帳篠田くらげn西田チヨ街田青々ひろうたminmin秋中弥典中本速えがわゆかといじま

選評名 甘いもの好きな二人。ほんとは好きなのに言わないのか、全く恋愛感情はないのか、読みが分かれるのかもしれないですね。
いずれにしてももう少しだけ心の動きがほしいなと思いました。
知己凛
★0
パフェの柔らかい印象の短歌ですが、同好の士という言い回しを使っているのが面白いですね。
せっかく同じ趣味を見つけられたけれど、告げる気がない好意は、本当に告げないのか?
告げてしまうんじゃないのか! 気になります。
中本速
★0

你好の発音ばかり上手くなる 好きと言えない僕らの放課後

出詠名 みえないふたり篠田くらげ × 404notF0816
33 / 12 ×0 ×12 ×14

互選名 からすまぁたけの尾渡はちニッキロサ・ブラックティーはとサブレガイトさん若紫音佳宮本背水シナモンペンギンおじさん尾崎飛鳥多田なの守宮やもり凪沙帳夏山栞西田チヨこのいと街田青々あひるだんさーminmin空川実栄藍野瑞希

選評名 物語性を感じる歌ですね。照れ隠しのあいさつなのか、中国語のクラブにでも通っているのか、あるいは相手が中国からの留学生なのかもしれません。詳細な状況までは読み取れないのですけど、「好き」と「你好」の取り合わせがきれいで、惹かれる歌でした。
宮本背水
★0

この星の最期の夜に傍にいて無理なら今だけ抱きしめていて

出詠名 華サブレのレシピ華栄 × はとサブレ
34 / 10 ×1 ×8 ×12

互選名 花房香枝りん2たけの水月雪乃ロサ・ブラックティー近江 瞬ガイトさん若紫音佳シナモン万間みいや凪沙帳天田銀河西田チヨ街田青々寿々多実果砂狐minmin藍野瑞希

選評名 絶対あり得ないだろうなという相手への要求と、叶えようとしたらできるよね?というレベルでの要求を並べる歌…ちょっと佐藤真由美さんのキャラメルコーンの歌を思い出したので、目新しい形ではないのかなと思いはしたのですが、先に、ものすごく規模の大きなレベルでのあり得ない要求を出して着て、跡から、おそらくは2人の関係性の上では、叶えようとすればできるのだろうけれど、そのためには多くのことを犠牲にしないといけないというレベルの要求を持ってくるこのバランスに、主体の、ある意味ではすごくわがままな「好き」が感じられ、そこに好感が持てました。
上下の句の要求の重さのバランスについては、このように面白いなと感じたのですが、内容がもう少し切り離されたもの、うまく言えないんだけど上下の句の内容に意外性というか飛躍があれば、より印象的な歌になるような気がしました。
天田銀河
★0

ノートの隅には恋文「貸して」って言ってくれなきゃただの落書き

出詠名 シルクのカーテン絹 × 凪沙帳
35 / 10 ×0 ×10 ×16

互選名 花房香枝からすまぁsiiロサ・ブラックティー近江 瞬はとサブレ小林菫子青山祐己万間みいや華栄ペンギンおじさん尾崎飛鳥若枝あらう天田銀河n西田チヨ斎藤秀雄街田青々ハシリドコロ草薙ひろうたminmin小川けいと藍野瑞希といじま

選評名 期待と不満が綯い交ぜな学生の、青い恋の真っ最中。多分作中主体は必死なんですけど、側から見てるとかわいらしいなぁと思います。
万間みいや
★0
破調かつ二句切れという高度なことをしていますが、「ノートの隅には恋文」は韻律に囚われずに読みたい良いフレーズだと思いました。恋文、と言い切った後にセリフが来る展開も三句目として良いのではないでしょうか。
「言ってくれなきゃ」は「言ってくれなければ」の口語的な表現ですが、学生の言葉遣いを再現したかったのでしょうか。だとすると「恋文」との相性はどうでしょうか。音数合わせだとしたら、せっかくの破調が陰ってしまいます。「言われるまでは」などで回避しなかった意図を聞きたいです。
笠原楓奏(ふーか)
★0
上の方とは違う意見になってしまいますが、わたしは最初の2句がどうしても読みづらいと思ってしまったので、初句を6〜7音くらいにして韻律を整えるほうが良かったのかなぁと思いました。下の句は今の自然な感じの言葉遣いでも良いと思います。
若枝あらう
★0
なんてことのない恋の歌に見えますが、前のめりな感じが、よいと思いました。「恋文をノートの隅に~」とやると整いはするのですが、そうしてしまうと客観的に状況を見ている感じがして、ひっかかりがなく、なめらかに読み流してしまうような気がします。《ノートの隅には恋文》と一息に読ませようと迫られているような迫力があり、《「貸して」って~落書き》に、ほのかな恋心というよりも情念のようなものが籠もっているように思いました。
斎藤秀雄
★0
切迫感が伝わってきました、景色も可愛らしい歌だと思いましたが、つまるかんじが読みにくかったです。
鴨衣
★0

秋桜がひとりぼっちで揺れていてあなたは今も好きですか、シチュー

出詠名 麦芽飲料ミロミウラ × 朧(ろう)
36 / 9 ×1 ×7 ×11

互選名 花房香枝siiやざわあみりん2尾渡はちロサ・ブラックティー近江 瞬ガイトさん梅丘つばめ華栄ルナク凪沙帳西田チヨ斎藤秀雄街田青々minmin海月莉緒

選評名 一輪だけの秋桜と、鍋でいちどに何食分か煮込むシチュー、という対比が浮かびました。シチューといえば冬を連想しますが、涼しくなってくる秋桜の季節に増えだすメニューでもありますね。秋桜とシチューがもう少しつながりというか、説得力があればもっといいのではないかと思いました。
鴨衣
★0

珈琲のやうな好意が有りました 薫るばかりで飲めば苦くて

出詠名 叙々苑ホルモンRemix黛カイリ × 西田チヨ
37 / 9 ×0 ×9 ×16

互選名 やざわあみミウラロサ・ブラックティー蝶番近江 瞬はとサブレ西鎮朧(ろう)カイズケンモカブレンドことりルナクともえ夕夏凪沙帳篠田くらげ天田銀河n街田青々砂狐ひろうたminminえだまめ秋中弥典空川実栄白木蓮

選評名 上の句の比喩がいいなと思いました。身近にある具体的なものを使っているのに適度に謎めいていて・・・。ですが、下の句が、せっかくの比喩の直接的な説明のような感じになってしまっているところが、少しもったいないなと感じました。まだまだ飛び上れる可能性が残されているように思います。
天田銀河
★0
コーヒーは苦いですが、苦さがわかるようになることもあるものだと考えると、その好意を純粋な迷惑とは思っていないのがわかります。それでも、いまは好きな味ではないのでしょう。
中本速
★0

好きなだけ蜂蜜たらす パンケーキ、ゴルゴンゾーラ、そしてきみにも

出詠名 Motto Hotともえ夕夏 × 知己凛
38 / 9 ×0 ×9 ×13

互選名 花房香枝袴田朱夏水月雪乃ロサ・ブラックティー朧(ろう)404notF0816朝野陽々尾崎飛鳥ことり西藤智凪沙帳n西田チヨこのいと斎藤秀雄街田青々あひるだんさーminmin泳二藍野瑞希といじま

選評名 蜂蜜、パンケーキ、ゴルゴンゾーラ。この3つのアイテムのチョイスが暗喩として効いているなと感じました。刺さりました。
朝野陽々
★0
初句、二句と結句に魅せられました。蜂蜜色が浮かび、甘い気持ちに。
このいと
★0
結句の気持ち悪さを採りました。気持ち悪いです。褒め言葉ですが。
泳二
★0

好きな人に好かれることの難しさ せめて密かに咲く木犀花

出詠名 なんこつホイップ万間みいや × りん2
39 / 9 ×0 ×9 ×9

互選名 花房香枝尾渡はちロサ・ブラックティー山口綴り青山祐己梅丘つばめシナモンカイズケン芍薬ことりルナク小俵 鱚太えんどうけいこ久藤さえ凪沙帳天田銀河砂狐

選評名 木犀花(金でも銀でも)は小粒で一輪としての存在感は薄いのにその香りゆえ目立ってしまいますよね。
叶わない(あるいは告げられない)想いを喉にぐっと押さえ込んでいる主体の周囲に香る木犀花。どこに咲いているのかはよくわからないけど匂いだけは届いてしまう。自分の想いもこうやって漏れてしまうのではないかと不安になっているさまが浮かびました。
芍薬
★0
上の句が、きっと誰にでも経験のあるままならないことをすぱんと言い切っているので、下の句の着地をどうするかの加減が難しいところを、とてもうまくまとまっていると思います。木犀花の隠しきれない香りと、かなわない想いを重ねているところも季節感があって素敵でした。
久藤さえ
★0
「せめて」が心情をストレートに表し過ぎていてもったいないと思いました。
泳二
★0

もうこれの他にはなくてビルからの眺めと愛をLINEして飛ぶ

出詠名 銘菓れもんの巣れもんぜすた × 鴇巣
40 / 8 ×0 ×8 ×11

互選名 花房香枝りん2ロサ・ブラックティー蝶番若紫音佳ペンギンおじさん中嶋港人凪沙帳篠田くらげ西田チヨ斎藤秀雄街田青々千原こはぎminmin泳二空川実栄藍野瑞希白木蓮海月莉緒

選評名 この歌自体がおそらく《愛》のむき出しの状態であるように思うので、題である「好」に合わせようと、無理に《愛》の文字を入れなくてもよかったのでは、と思いました。どこか、文字としての「愛」が、この歌自体の「愛のむき出し状態」と比べて、取ってつけたようにさえ感じてしまう。それぐらい、むき出しってる。このむき出し状態は、《もうこれの他にはなくて》という、つんのめったような、前のめりの出だしで決まっていて、そこですでに納得させられている感じがあり、《LINE》するようなことって何かな、ビルからの眺めは送るだろうな……あとついでに愛かな、そして《飛ぶ》のだ。と、読んでいて考えた。もしかしたらこの作中主体は飛び降り自殺をしているところなのかもしれませんが(自殺の他にはなくて、ということかも)、そしていまから飛び降りますとLINEされる方も嫌だろうな(いや、愛だけ伝えられるのか)、とも思うのですが、飛び降り自殺なのか否か、という解釈のうえでの判断がわりとどうでもよいように思うのは、どうしても作中主体は死にたいから《飛ぶ》のではなくて、《もうこれの他にはなくて》《飛ぶ》のだとしか考えられないからですね(自殺なら《これ》とぼかさずに「もう自殺以外になくて」とするようにも思う)。たぶん、《ビルからの眺めと愛をLINE》する必要はまったくなくて、必要はないのだけど、《飛ぶ》まえの、なんでもいいから何かやる、焦燥感のような、手持ち無沙汰のような、よくわからない混沌とした「助走」が必要だったのではないか。などと思いました。
斎藤秀雄
★0
最後の「飛ぶ」で、飛び降りだ!と思った瞬間、ぞわっと怖さが来る歌でした。「もうこれの他にはなくて」という切羽詰まった状況にあって、景色と愛をLINEして、飛ぶ。切実でけれどどこか淡々とした描写により、かえってリアル感が増しているように思います。
「飛ぶ」だけで飛び降りだとは言っていないので、他の可能性もあるのですが、すこしぼかしてあるところもまた直接的ではないのに切実な感じだけはしっかりと伝わってきていいなと思いました。
千原こはぎ
★0
「これ」をストレートに短歌に詠んだところを買いました。切実さと軽さの微妙なボーダーを描いて成功していると思います。しかしこのモチーフで詠める短歌の限界がギリギリこの辺りなのかな、という気もします。
飛んでしまったならこの短歌の作者は死んでいるわけで、読者はそのことを無意識に織り込み済みで読みます。その分切実さが割り引かれるというか。
泳二
★0

17.「ニコイチやん?」「失敗作のたこ焼きやん!」「なんで仲良うできるんウチら?」

出詠名 朱いしずく水無月水有 × 袴田朱夏
41 / 5 ×0 ×5 ×14

互選名 やざわあみミウラたけのロサ・ブラックティーはとサブレ山口綴りガイトさんルナク凪沙帳天田銀河nエノモトユミ西田チヨ街田青々ひろうたminminえだまめ藍野瑞希

選評名 詠んだ者ですが、"17." は省いてお読みいただければ幸いです。
袴田朱夏
★0
関西弁が…すきやで…!!
やざわあみ
★0
何と言いますか、もう好きあっている、「好き」の連呼で(^^)ごちそうさまです。失敗作のくっついてしまったたこ焼きがいい(^^)
ロサ・ブラックティー
★0
成績は振るいませんでしたが、お読みくださり、またやざわあみ様、ロサ・ブラックティー様におかれましては評をありがとうございました!
袴田朱夏
★0

好きは今過去形になる想い出を弔うように凪いだ秋風

出詠名 THE どうぶつズペンギンおじさん × 紺野なつ
42 / 3 ×0 ×3 ×16

互選名 やざわあみミウラ尾渡はちニッキロサ・ブラックティーはとサブレ若紫音佳西鎮西藤智えんどうけいこ凪沙帳天田銀河n西田チヨ街田青々鴨衣ひろうたあひるだんさーminmin

選評名 意味の上では二句切れかなと思いますが、初読のときに「なる」が連体形で読めてしまい「(凪い)だ」が出てくるまで解消されないので語順に工夫の余地はあったかもしれないです。それとどうしても、「凪いだ秋風」に違和感を覚えるのはおそらく「凪ぐ」自体に「風や波がおさまること」という意味があるからで、空や海は凪いでも風や波が凪ぐのはやや重言に近い表現になってしまっているのかなと思います。凪いだ時点でもう風じゃないわけです。
また、今まさに過去形になろうとしている想い出を弔うように、の後に過去・完了の「た(だ)」が来るのは時制の上でぶつかっている気がします。例えば結句を「秋空が(は、の)凪ぐ」にするとその点での問題は解消されるかもしれません。
笠原楓奏(ふーか)
★0
「今」は(好きは今)(今過去形になる)の両方にかかっていて、失恋のすぐあとと読みました。
鴨衣
★0

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出詠名 お菓子が食べたい甘酢あんかけ × さゆ
43 / 0 ×0 ×0 ×0

互選名  Don't Mind... 

選評名


参加者一覧

エントリーコンビ
十三夜笠原楓奏(ふーか) × 水月雪乃
月が綺麗ですねえ!?
toromy近江 瞬 × toron*
無表情でがんばります。
うずらとりかわ鴨衣 × sii
kamoii's kitchen
有楽町きゃらめりーぜ天田銀河 × 芍薬
2019年秋とっておきの限定フレーバー、できました。
飛陽軒尾崎飛鳥 × 朝野陽々
おいしい短歌はじめました!飛陽軒、ただいま開店です!
いよぽん姉妹リターンズハナゾウ × 守宮やもり
酸っぱさ甘さの向こうから、帰ってきたよ柑橘姉妹。
キマグレ安達太良 × 山口綴り
泣きたくて笑いたい感じなんですか?それとも子猫ですか?
きすたとエノモ小俵鱚太 × エノモトユミ
○○が遠くなっていく
おんぶ&だっことうてつ × nu_ko
背に腹はかえられない
関西センチメンタルず街田青々 × 小池佑
2秒ください
はねと空港はね × 平出奔
よい旅を。
キッチンドランカーズ塾カレー × せしん
空きっ腹に酒
(有)西久商会久藤さえ × 西藤智
たにゆめ商事株式会社との資本関係はございません
藍いスパニエルやざわあみ × 西鎮
藍担当🔵はやざわ、スパニエル担当🐶は西鎮でお送りしますワン。
飛ぶ球場海月ただよう × なぎさらさ
目指せ新人王、31本塁打!
アラナギ派草薙 × 若枝あらう
分裂したら笑ってください
アオイトリことり × 青山祐己
幸せどこにありますかー。
チーム踊念仏吉岡繁樹 × 宮本背水
すべてを捨ててみな踊れ
ゆめの背骨未補 × 斎藤秀雄
あなたとわたしでゆめじかん。
波待ち波乃みな × まちか
1,000kmを越えてゆきます
海豚と水豚中牧正太 × 泳二
腐れ縁
催花雨日向彼方 × 花房香枝
ふたりで歌を咲かせます
レッドブルー梅丘つばめ × 夏山栞
翼をさずけられたい人生だった
ネス湖宗谷燃 × 小林菫子
貴方の胸の菫を燃やして
花野歌青 × このいと
花好きの青と古歌好きのこのいとが詠みます。
中千住中嶋港人 × 千仗千紘
ふたりならどこにだって住めるよ!
小萩笛笛地静恵 × 千原こはぎ
秋ですねえ…(´ω`)
泥まみれのササミからすまぁ × 一音乃 遥
ササミを裂きつつ泥を塗りたくります。
みなとまち若紫音佳 × ガイトさん
せいいっぱいがんばります!!!カピバラさんだいすき!!!
spicesニッキ × シナモン
おたべと聖と夕子のちがいがわかる大人になりたい今日このごろ。おやつはやっぱり八ツ橋です。
ロココドボボハシリドコロ × 肉ロボ
助けてください
海えんどうカイズケン × えんどうけいこ
コトバ類タンシケイ科タンカ属の海藻。ミネラルを豊富に含む。
みえないふたり篠田くらげ × 404notF0816
みえないふたりがお届けする歌
華サブレのレシピ華栄 × はとサブレ
小麦粉、牛乳、卵に蜜をひと匙、最後にエディブルフラワーを添えましょう
シルクのカーテン絹 × 凪沙帳
夏の雪としてシルクのカーテンが冷房に揺れ凪を知らない
麦芽飲料ミロミウラ × 朧(ろう)
フレッシュな中年で頑張ります!
叙々苑ホルモンRemix黛カイリ × 西田チヨ
はらわたをじっくり炙ってお出しします
Motto Hotともえ夕夏 × 知己凛
こたつ入ってハロゲンつけてますけど。
なんこつホイップ万間みいや × りん2
あっ、ホイップは別添えで!
銘菓れもんの巣れもんぜすた × 鴇巣
地元農家の手作りレモンピューレをふんわりとした生地に包んで仕上げました。
朱いしずく水無月水有 × 袴田朱夏
たまに絞ったら出る 百年に一度のとても貴重なカクテルをお届けします
THE どうぶつズペンギンおじさん × 紺野なつ
オレタチ タンカ ヨム イイタンカ ヨム タンカ ヨマセロ
お菓子が食べたい甘酢あんかけ × さゆ
家族でチャレンジ!

43組 

花房香枝[*]からすまぁ[*]sii[*]知己凛[*]やざわあみ[*]袴田朱夏[*][*]りん2[*]ミウラ[*]たけの[*]尾渡はち[*]NATURA[*]水月雪乃[*]ニッキ[*]ロサ・ブラックティー[*]蝶番[*]近江 瞬[*]はとサブレ[*]山口綴り[*]ガイトさん[*]若紫音佳[*]小林菫子[*]ゆりこ[*]青山祐己[*]西鎮[*]宮本背水[*]梅丘つばめ[*]真島朱火[*]シナモン[*]肉ロボ[*]万間みいや[*]朧(ろう)[*]紺野なつ[*]日向彼方[*]カイズケン[*]華栄[*]ペンギンおじさん[*]ハナゾウ[*]とうてつ[*]芍薬[*]404notF0816[*]朝野陽々[*]中嶋港人[*]nu_ko[*]尾崎飛鳥[*]多田なの[*]モカブレンド[*]ことり[*]若枝あらう[*]安達太良[*]まちか[*]守宮やもり[*]笠原楓奏(ふーか)[*]波乃みな[*]千仗千紘[*]ルナク[*]宗谷燃[*]小俵 鱚太[*]西藤智[*]えんどうけいこ[*]ともえ夕夏[*]久藤さえ[*]凪沙帳[*]篠田くらげ[*]天田銀河[*]海月ただよう[*]塾カレー[*]n[*]夏山栞[*]岡桃代[*]エノモトユミ[*][*]未補[*]西田チヨ[*]このいと[*]斎藤秀雄[*]平出奔[*]街田青々[*][*]ハシリドコロ[*][*]寿々多実果[*]千原こはぎ[*]鴨衣[*]toron*[*]草薙[*]砂狐[*]ひろうた[*]実岡まつ[*]小池佑[*][*]あひるだんさー[*]黛カイリ[*]真田和子[*]minmin[*]えだまめ[*]秋中弥典[*]とおりすがり[*]小川けいと[*]水無月水有[*]泳二[*]中本速[*]空川実栄[*]藍野瑞希[*]白木蓮[*]海月莉緒[*]えがわゆか[*]といじま

108名 


秋分の歌会R-2ぐらんぷり