神無月の歌会
夢で会う約束がある 傘立ての底にうまれた夜のみずうみ 久藤さえ × 西藤智
平成31年度 神無月の歌会『下弦の部』
上の句に付ける下の句を出詠ください
詠草リスト
特選(2点)×1票 |
並選(1点)×4票 |
次選(0点)×∞票 |
互選(2点)×1票 |
父の眼鏡がますます曇る
出詠名
きい
首席 / 20点 特×4 並×10 次×4 自×1
互選名 知己凛袴田朱夏舟来里己ロサ・ブラックティーミウラゆりこ朧(ろう)甘酢あんかけさかなかな衣未(みみ)寿々多実果鮎えさい悠さち藤 かづえ沙羅粗伊天田銀河自きい
選評名
寂しさや別れの歌が並ぶ中、ふっと温かい家族団らんの様子が見えてほっこりしました。
知己凛
★0
濁りにとらわれているのが主体ではなく父としたところが面白いと思いました。鍋に真剣な父とそれを観察する主体、どんな食卓だろうと想像がふくらみます。
ミウラ
★0
何事にも一生懸命で,でも少し不器用なお父さんの姿がイメージできました.
家族の笑い声が聞こえてくるような,温かい食卓の歌だと思います.
朧(ろう)
★0
食事のときはだいたい両手がふさがるから、冬場の特に鍋料理のときは眼鏡がくもって困るのですけど、このお父さんは(あれーなんか濁ってるなぁ)と思っているうちに鍋が見えなくなるほど眼鏡が真っ白になったのかもしれませんね。おかしみとなんだかちょっと哀愁も感じます。
寿々多実果
★0
たくさんの評やお花をありがとうございました!
きい
★0
きい様、首席おめでとうございます。
眼鏡の発想、私も同じでした(笑)
ただ、あえて自分の眼鏡ではなく、人の眼鏡にすることは私にはない発想でした。家族のだんらんを一言で表す、不穏そうな上の句から平和そうな下の句へと着地させる技量に感服いたしました。
ありがとうございました。
舟来里己
★0
舟来里己さま
上の句の作者の方からコメントを頂けて喜びもひとしおです。
こちらこそありがとうございました☆
きい
★0
次の言葉を探せずにいる
出詠名
寿々多実果
2席 / 17点 特×2 並×11 次×4 自×1
互選名 キールNATURA舟来里己ロサ・ブラックティーミウラ芍薬ゆりこ朧(ろう)甘酢あんかけさかなかな万間みいや鮎悠藤 かづえ蟻男沙羅粗伊ほのふわり自寿々多実果
選評名
上の句が場面設定をほぼ一切していない句なので、端的に「そこに誰かがいる」とわからせたうえで、何か会話の中であったのだろう、と伝えることのできる下の句がとてもキレイだと思いました。また、上の句は清音を中心に組み立てられたものだったので、濁りにとらわれた下の句は濁音や漢字が多いものが好みでした。
舟来里己
★0
読んでいて、「とらわれて」からの繋がりに違和感が出てしまいがちなのかなぁ(自分も含めて)と思ったのですが、このうたは、とても歌意に違和感がなくてすっきりとしているんだけれども余韻があって、素敵だと思います。
ほのふわり
★0
「とても歌意に違和感がなくて」変なことになってますね。「とても」がいらないと思います。すみません。
ほのふわり
★0
投票期間中に記させていただいたとおりです!
句のリズムも、濁音や漢字の使い方も、表現力も私の好みでした。
ありがとうございました。
舟来里己
★0
しまう あなたの帰らぬ夜に
出詠名
キール
3席 / 16点 特×5 並×4 次×4 自×1
互選名 NATURAロサ・ブラックティーミウラ芍薬ゆりこ甘酢あんかけさかなかな万間みいや藤 かづえ蟻男きい天田銀河ほのふわり自キール
選評名
なかなか帰らない人の事を考えて、やきもきしながら、湯豆腐の鍋の前から、移動できないでいる、という情景が、目に見えるようです(^^)
ロサ・ブラックティー
★0
とらわれてしまうという、自分ではどうすることもできない感情と帰りを待ち続ける切なさに共感しました。
ゆりこ
★0
何か不穏な空気が漂い、帰らないあなたの居るところに一気に空想が飛びます。湯豆腐のかすかな濁りは、自分の疑惑の念の写しでしょうか。早く帰られるといいですね、と、言いたくなりました。
さかなかな
★0
湯豆腐から続く下の句で、しっかりと物語を作り上げた印象です。「濁りにとらわれる」時間が膨らんでいくような気がしました。
きい
★0
自分の中で、全体の流れが一番しっくりきたというか、自然な感じがして好きでした。かすかな濁りに気が付くまで、何一つ疑いなく過ごしてきたことが、とらわれてしまった瞬間から、どんどん悪い想像が膨らんできて…という誰にでもある人の感情と湯豆腐のかすかな濁りをいい感じに重ねあわせていると思います。
天田銀河
★0
丁寧に読んでいただきありがとうございました!
たくさんのお花と評、うれしかったです!
キール
★0
あなたがいない理由は、もしかしたら些細な理由かもしれないし、もっと大きなものかもしれないけれど、そういったものが濁りと私だけの世界をのぞき込んでいるような気がして、不思議な気持ちになる句でした。
ありがとうございました。
舟来里己
★0
君の不在を忘れた5秒
出詠名
甘酢あんかけ
4席 / 13点 特×2 並×7 次×6 自×1
互選名 知己凛袴田朱夏NATURA舟来里己ロサ・ブラックティーミウラ芍薬朧(ろう)鮎えさい藤 かづえ蟻男遠野 かなみ沙羅粗伊ほのふわり自甘酢あんかけ
選評名
何かを集中して見つめていられるのってせいぜい五秒くらいですよね。時間間隔が絶妙にリアルで好きです。五秒は漢数字表記でもよいのかなと思いますが好きです。
芍薬
★0
5秒がいいなと思いました。湯豆腐の濁りにとらわれている時間はせいぜいそれくらいだろうなと思います。そのわずかな時間だけ不在を忘れることができたのがとても切ないです。
ミウラ
★0
お読みいただきありがとうございました。お花、評、とてもとてもうれしかったです!
甘酢あんかけ
★0
忘れた、という言葉から何となく時間の経過を忘れていた自分を少しあとから振り返っているような感じがします。
食事中に、あれ?今寝てた? のようにどこかふわふわとした夢見心地になったりボーっとしていたような気になったりすることがあります。君が不在で気もうつろ、あ、今ボーっとしていたけど、その時湯豆腐のお湯しか見ていなかったような記憶だけがあるような、寝ぼけたような感覚を想像しました。
ありがとうございました。
舟来里己
★0
舟来里己さま
コメントいただけてうれしいです!趣のある上の句、ありがとうございました!たのしかったです!
甘酢あんかけ
★0
私にはむしろ、5秒しか忘れていなかった、という「君」への愛が感じられますよ(^^)
ロサ・ブラックティー
★0
来たる小春の<kana>彩<:>いろ</kana>に気付かず
出詠名
蟻男
5席 / 11点 特×1 並×7 次×1 自×1
互選名 キール袴田朱夏ゆりこ甘酢あんかけ衣未(みみ)きい遠野 かなみ天田銀河ほのふわり自蟻男
選評名
情感のありつつもあいまいさ、ナイーブさの支配する上の句に負けない、キリっと締まった下の句だと思いました。対比がいいです。
俳句に詳しくないので間違っているかもしれませんが、俳句だと「湯豆腐」「小春」は季重なり(季重ね?)で嫌われるでしょうか。私は小春を主の季語と感じ、気になりませんでしたが。
袴田朱夏
★0
寒くなって食べる湯豆腐の白に 小春日和の色彩を持ってきたところ、目にほんわりとした温もりを感じました。
きい
★0
目の前の小さな濁りにとらわれて、世界の小春の色に気づかない。
この句の流れ方として最も自然で読みやすい句だと思います。その世界の表し方も美しいし、丁寧で優美で、洗練された短歌だと感じました。
ありがとうございました。
舟来里己
★0
嘘を見ぬけなかったのだろう
出詠名
ミウラ
6席 / 9点 特×2 並×3 次×3 自×1
互選名 キールNATURAロサ・ブラックティー朧(ろう)甘酢あんかけ衣未(みみ)悠藤 かづえ自ミウラ
選評名
誰の嘘を見抜けなかったのかはわかりませんが,きっと信じていた人だったのだと思います.
小さなことばかり気にしてしまい,一歩引いた視点で見られなくなること.
でも,この主体は少し嘘に気づいていたような気がします.そんな悲しさを歌に感じます.
朧(ろう)
★0
たくさんの票をありがとうございました。
朧さん、評をありがとうございます!歌意をていねいにあたたかく読み取ってくださり感謝です。
ミウラ
★0
嘘は目の前にあったのに、湯豆腐の濁りくらいの微かな濁りが、その嘘を見抜けなくした。ぼんやりとは見えていたのに、はっきりとは見えなかった。
この濁りは、愛なのか友情なのか、いずれにしてもかすかな濁りを真実を見誤った口実にするような心の動き、あるいは絶望や後悔が見えたような気がします。ありがとうございました。
舟来里己
★0
いればにゅ〜っと猫の手のびる
出詠名
遠野 かなみ
6席 / 9点 特×2 並×3 次×3 自×1
互選名 知己凛ロサ・ブラックティー衣未(みみ)鮎えさい悠きい天田銀河自遠野 かなみ
選評名
何か他の献立に手が伸びたのか。とても可愛らしいです。
衣未(みみ)
★0
上の句の静かな少し張りつめたところからの崩し方が上手いなと思いました。ふは、と笑いだしたくなるような、温かくて幸せな瞬間の切り取り方。我が家にも猫がいるからかもしれませんが、実感をともなってその景色が浮かんできました。
鮎
★0
湯豆腐の側にあったのはお刺身か焼き魚か。献立を想像してしまいました。この後の「こらっ!」と言う声が聞こえてきそうです。
きい
★0
「にゅ~っと」が効いていると思います。
ほのぼのとした日常の一コマのように感じられ、微笑ましい気持ちになりました。
悠
★0
濁りを凝視している自分と湯豆腐だけの世界に猫の手が伸びてくる様が、にゅ~という音で非常に面白く表れているように思います。
猫の手によって、急に現実に引き戻されるような感覚がとても面白いです。
ありがとうございました。
舟来里己
★0
あなたの嘘をゆるしてしまう
出詠名
藤 かづえ
7席 / 9点 特×1 並×5 次×5 自×1
互選名 キール袴田朱夏NATURAロサ・ブラックティーミウラゆりこ甘酢あんかけさかなかな鮎沙羅粗伊ほのふわり自藤 かづえ
選評名
あなたのついた嘘が原因でケンカでもしたのでしょうか。湯豆腐の濁りに見とれているうちに心も落ち着き「まぁ、いっか」となったのかなと思いました。仲直りして食べる湯豆腐はおいしいでしょうね。
キール
★0
あなたの嘘も湯豆腐の濁りぐらいかすかなものなのかも、という感じでしょうか。
もしかしたら「なんで嘘ついたの?」「湯豆腐の濁りのせい」という深いのかなんだかよくわからない会話が行われたのかもしれません。
逆に下の句が清音ばかりで構成されていて、漢字も極力使われていないのも、湯豆腐の濁りはあくまで第三者であり日常を繰り広げている私たちは濁っていないという印象を受けて、驚かされました。
舟来里己
★0
お花と評をありがとうございました。
藤 かづえ
★0
幾度も君を傷つけたこと
出詠名
天田銀河
8席 / 9点 特×0 並×7 次×3 自×1
互選名 キールりん2舟来里己ロサ・ブラックティー芍薬朧(ろう)甘酢あんかけ衣未(みみ)悠さち自天田銀河
選評名
豆腐の柔らかさ、崩れやすさが君の傷つきやすさとリンクしていてよいなあと思いました。
芍薬
★0
ありがとうございました🌟
天田銀河
★0
なんだか心がモヤッとして、君に八つ当たりをしてしまうような。
そんな印象を受けます。
おそらく湯豆腐の濁りを何らかの比喩に用いているのだと思いますが、そのおかげで非常に奥行きがあり、さらに気持ちのいい短歌になっているように思います。
ありがとうございました。
舟来里己
★0
眼鏡を何度も何度も磨く
出詠名
舟来里己
9席 / 8点 特×1 並×4 次×4 自×1
互選名 りん2ロサ・ブラックティーミウラ甘酢あんかけさかなかな寿々多実果万間みいや悠天田銀河自舟来里己
選評名
湯豆腐を何度も見返しているのでメガネがくもるのか、湯豆腐の濁りがメガネのせいだと思っているのか、必然で自然な感じがしますし、情景はコミカルでほほえましいです(^^)
ロサ・ブラックティー
★0
我ながら難しい上の句でした。皆さまに下の句をつけていただくことは、本当になかなかないことだと思います。感無量です。
文字通り半人前だった私の句が、皆さまのおかげで一人前あるいはそれ以上に成長することができ、私の句も大変喜んでいることと思います。
私自身、もっと精進させていただきます。
舟来里己
★0
遅刻したのが僕です。ごめん。
出詠名
悠
10席 / 8点 特×1 並×4 次×4 自×1
互選名 キール袴田朱夏りん2ロサ・ブラックティー甘酢あんかけ鮎きい遠野 かなみ天田銀河自悠
選評名
自然体で素敵だと思いました。ですますと「ごめん」って少し不器用な言い方が混ざっているところが、湯豆腐と湯気が揺らめいている様子だったり、薄っすらと白い濁りの雰囲気にあっているように感じます。内容も「僕」の不思議な魅力が表現されていて好きです。
りん2
★0
自宅で湯豆腐を作ってきたのでしょうか。こだわりの料理男子?なんか可愛くて、クスッとしてしまいました(^^)
ロサ・ブラックティー
★0
素直な人間性を感じる下の句で、印象に残りました。
僕と相手方の良好な人間関係も伝わってきます。
遠野 かなみ
★0
遅刻って意外とこんなささやかな理由でするものですよね。なんだかわかる気がします。
一方で、謝るときは全く濁さず、ごめん、と3文字で謝る潔さを対比で感じることができて、非常に面白いです。
また、5句目で間に句点を入れる勇気がすごいです。最後の3文字でバシッと締めることのできる技量が無ければできることではないように思います。
ありがとうございました。
舟来里己
★0
上あごを焼くひとと十年
出詠名
袴田朱夏
11席 / 7点 特×1 並×3 次×3 自×1
互選名 NATURAロサ・ブラックティー朧(ろう)寿々多実果鮎悠さち自袴田朱夏
選評名
私もよくやけどします、上あご。この主体が一緒にいる人も、おっちょこちょいというか不器用というか、そういう感じの方なのかな。でも十年も一緒にいる(夫婦生活なら十年はもしかしたら序の口なのかもしれませんが、私は長いと捉えました)。主体の優しい目線と愛を感じます。
鮎
★0
そうやって「上あごを焼く」のは、細かい所に囚われて肝心な所が抜けているという事になるでしょうか。でも小さな変化を見逃さない、観察眼がある、一つの事に集中できるとも言えたり。そんな人と「十年」というのに、暖かい愛情が伝わってきます。
さち
★0
票、お読みくださりありがとうございました。鮎様・さち様、評をありがとうございます!
袴田朱夏
★0
なんだか、何かの教授を思わせるような短歌ですね。もしかしたら、お子さんなのかもしれませんが。
多分あなたとは違うものが見えているのだろうけど、私はあなたをじっくりと見守っていくよ、というやさしさと覚悟、そして時の流れを感じた気がします。
ありがとうございました。
舟来里己
★0
舟来里己様、ふくらみのある上の句に甘えさせていただきました。ありがとうございました!
袴田朱夏
★0
薄まっていくわたしの涙
出詠名
西鎮
12席 / 7点 特×0 並×7 次×5 自×0
互選名 袴田朱夏りん2ロサ・ブラックティーミウラゆりこ朧(ろう)万間みいや鮎えさい悠沙羅粗伊ほのふわり
選評名
薄まっていくのは悲しさなのだろうと思います。湯豆腐をしながら濁りにとらわれている自分に気づき、そんなことにとらわれるほど悲しさから立ち直りかけているのだと気づいた主体の前向きさを感じました。
ミウラ
★0
湯豆腐のお湯と涙、2つの液体の対比が心地いいです。
ありがとうございました。
舟来里己
★0
沈んでゆくのは今朝の諍い
出詠名
鮎
13席 / 7点 特×0 並×5 次×7 自×1
互選名 ロサ・ブラックティー芍薬甘酢あんかけさかなかな衣未(みみ)寿々多実果万間みいやえさいさちきい沙羅粗伊ほのふわり自鮎
選評名
諍いを「水に流そう」ではなく「湯豆腐に沈めてしまおう」という健気さがかわいらしいです。あたたかい食卓となりますように。
芍薬
★0
もしかしたら、湯豆腐の濁りの正体は豆腐同士の諍いなのかもしれません。
人間たちの諍いも一緒に沈めてくれればいいのに。
美しい短歌だと感じます。
ありがとうございました。
舟来里己
★0
きっちりたたむ白いハンカチ
出詠名
知己凛
14席 / 7点 特×0 並×5 次×1 自×1
互選名 りん2ロサ・ブラックティー芍薬えさいきい遠野 かなみ自知己凛
選評名
湯豆腐から少し離れた感じが新鮮でした。食べる時に取り出したハンカチかもしれない。かすかに濁ってぼんやりした湯豆腐に、白いハンカチをきっちり畳んで小さくなった四角が対となり面白いです。
きい
★0
湯豆腐の濁りって、なんだかきっちりしていない感じがします。きっちりしていたら、きっと透明なのだろうなと思います。
人間界の私のハンカチだけは、きっちりしている。湯豆腐の濁りは勝手にそうなってしまうかもしれないけど、ハンカチをキッチリ畳むのは私自身の意思で行われているのでしょう。
なんだかよくわからない言葉になってしまいましたが、とにかくありがとうございました、ということです!
※Twitterも拝見させていただきました。難しい上の句を失礼いたしました。
舟来里己
★0
いるふりをしたけれど別れは
出詠名
朧(ろう)
15席 / 6点 特×2 並×0 次×6 自×1
互選名 袴田朱夏NATURAロサ・ブラックティー甘酢あんかけ鮎えさい悠きい自朧(ろう)
選評名
破局が決定的なのでしょうか。気に留めていない風を装っているけれど、内心穏やかではないのを、態度に出ない様に、湯豆腐を気にしているふりでごまかしていると取りました。何かにとらわれているとき、必要以上に同じ事をくりかえしてしまう、というのはよくあること。心の動揺がよく表されていて、しっくりきました。
ロサ・ブラックティー
★0
上句の雰囲気をとても上手く受け止めた下句になっていますね。三句から四句へ句跨りで繋げたのは上手いなと思いましたし、「別れは」と結句を言いさしにしたところも余韻が生まれて素敵です。
NATURA
★0
ありがとうございました.
朧(ろう)
★0
「あれ、なんで湯豆腐って濁っているんだろう」
そんな会話をですら幸せに思えるときもありますが、そんなことでしか間をつなげないほど冷え切った仲というのもあるのでしょう。強引に別れから目をそらそうとしているのに、容赦なく別れがのしかかって来る感じが寂しいです。湯豆腐の温かさが、冷え切った2人の中をより一層際立たせる気がします。
ありがとうございました。
舟来里己
★0
舟来里己様,丁寧に読みとっていただきありがとうございます.
うれしいです!
素敵な上の句で,下の句を考えるがとても楽しかったです.
朧(ろう)
★0
思い出せない最後のせりふ
出詠名
芍薬
16席 / 6点 特×1 並×2 次×4 自×1
互選名 袴田朱夏ロサ・ブラックティーミウラ寿々多実果万間みいや悠藤 かづえ自芍薬
選評名
何かが引っかかってるときってなんでもないことにも気が散ってしまいますよね。上の句のインパクトを平易な言葉でうまくいなしているなぁと思いました。湯豆腐のにごり、も、最後のセリフ、も、どっちも気になるようか絶妙なバランス。
万間みいや
★0
もやもやして思い出せない。
そんなモヤモヤと湯豆腐の湯気、とらわれている感じ、最後のセリフ、全ての状況が過不足なくお互いを引き立たせているように思います。
確かに何かにとらわれているときって、大事なことを見失ったりしますもんね。
素晴らしい詠み手の方に下の句をつないでいただけて幸いです。ありがとうございました。
舟来里己
★0
紅色残るグラスを割りぬ
出詠名
ゆりこ
16席 / 6点 特×1 並×2 次×4 自×1
互選名 知己凛袴田朱夏ロサ・ブラックティー甘酢あんかけ寿々多実果きい沙羅粗伊自ゆりこ
選評名
湯豆腐の白とグラスの虹色、柔らかな湯豆腐と硬質なグラス、かすかな濁りと割れたグラス。対比を重ねることで印象的な歌になっていますね。
きい
★0
かすかな濁りにとらわれた結果としての顛末が、一番しっくりきました!紅色残るの記述で、一気に情景やストーリーが広がるのも面白みがありました。
甘酢あんかけ
★0
何かにとらわれると、自分が自分じゃなくなったような行動をする、ものすごく感情的な行動をしてしまう、といった状況をまとめた短歌だと感じます。
その思い切った行動が、何か辛い思い出を想像させる下の句に表れている、表現力に感服いたします。
また、白と紅との対比も、普段はおめでたいのに、この短歌ではエキセントリックな印象を持たせているのが非常に面白いです。
舟来里己
★0
実はこの「紅色残るグラス」は口紅ついているのかな、と思ったのですが、それが(湯豆腐を作っている)本人のじゃない気がしまして(^^;)ドラマ性があるなぁと思っていたのでした(^^)
ロサ・ブラックティー
★0
鍋と私が世界のすべて
出詠名
りん2
17席 / 6点 特×0 並×4 次×4 自×1
互選名 ロサ・ブラックティーさかなかな衣未(みみ)万間みいやえさい悠さち蟻男自りん2
選評名
「男子、厨房に入るべからず」のような(^^)台所が主体のテリトリーなのでしょうか。腕を振るっている最中なのですね(^^)なかなかの集中力を感じます。
ロサ・ブラックティー
★0
“すべて”と言い切っている主体には
この“世界”に閉じこもり目を向けたくない何かがあるように感じました が、
まあ今は ほっこりタイムに浸りましょう。
腹から温まれば大概なんとかなるような気になれますもんね(笑)
蟻男
★0
非常に素直な下の句だと思います。
湯豆腐をじっと見つめている私、その2つだけの世界で今は充分なのだという感じがします。
詠み手が寂しいか寂しくないかはこの際問題ではなく、今の世界を淡々と表してて、それが逆に寂しさや温かさを呼び起こすように感じます。
ありがとうございました。
舟来里己
★0
開いたままの絵本のとびら
出詠名
静ジャック
18席 / 5点 特×1 並×3 次×8 自×0
互選名 知己凛袴田朱夏ロサ・ブラックティーミウラ芍薬衣未(みみ)えさい悠さち蟻男遠野 かなみ天田銀河
選評名
お子さんが湯豆腐を見ているんでしょうか。やけどしないように気をつけてほしいです。
袴田朱夏
★0
子どもの素直な疑問なのですかね。この視点はありませんでした。
絵本が開きっぱなし、というのは、とてもリアリティがあります。日常を切り取った短歌でとても心地いいです。
ありがとうございました。
舟来里己
★0
きみの瞳を見返せずいる
出詠名
衣未(みみ)
19席 / 5点 特×0 並×3 次×3 自×1
互選名 ロサ・ブラックティーミウラ寿々多実果沙羅粗伊天田銀河ほのふわり自衣未(みみ)
選評名
きみの瞳は、多分きれいな黒目と白目からできていて、濁りなど入り込む余地がないのでしょう。
キレイすぎるものって、なぜだか恐ろしく感じます。
濁っているものを見ていた方が、なぜか心が落ち着くときがある気がします。
ありがとうございました。
舟来里己
★0
君の恋愛遍歴おもう
出詠名
NATURA
20席 / 5点 特×0 並×3 次×1 自×1
互選名 ロサ・ブラックティーえさいさち藤 かづえ自NATURA
選評名
湯豆腐のかすかな濁り、何かをつい考えてしまいそうになる気持ち、わかります。そう、考えなくてもよいことまでいろいろ想像してしまったりして。そんな下の句なのかな、と思いました。
藤 かづえ
★0
恋愛遍歴は、意外とわかりやすいようではっきりしていないものなのかもしれません。君はあのとき、この人とは付き合っていたのだろうか。もしかしたら、曖昧な関係性がところどころにまじっているのでしょう。
もしかしたら、湯豆腐の濁りのように見えづらく、でもそんなに汚く見えるものではない。似ているのかもしれません。
ありがとうございました。
舟来里己
★0
君の涙がわからないとは
出詠名
さち
21席 / 4点 特×0 並×2 次×4 自×1
互選名 知己凛袴田朱夏舟来里己ロサ・ブラックティー悠ほのふわり自さち
選評名
小さなことにとらわれて、君の涙を見逃した。
後悔に満ち溢れている短歌であるように思います。
最後、「とは」で締められているのが最高にかっこいいです。
ありがとうございました。
舟来里己
★0
あなたの無事を思ったりする
出詠名
万間みいや
21席 / 4点 特×0 並×2 次×4 自×1
互選名 ロサ・ブラックティー鮎えさい藤 かづえ蟻男遠野 かなみ自万間みいや
選評名
ひとり静かに小さな鍋で湯豆腐を食べている景を浮かべました。何気ない鍋の濁りがいまるすをしているひとへの思いにつながるのだと感じました。
藤 かづえ
★0
ふとした瞬間に思う相手が居る。過度に心配している様子ではなく、何気なく無事を思うわけですね。
作中主体が、ゆらゆらと揺れる湯豆腐を味わいながら(たった一人の相手に執着をせず)、自分の生活を大事にしている姿が思い浮かびました。
遠野 かなみ
★0
あなたのことが心配で何も手につかず、湯豆腐くらいしか作れなかったのかもしれません。でもそんな湯豆腐を食べていても、なぜかあなたのことが頭に入り込んできてしまう。湯豆腐のかすかな濁りがきっかけなのかどうかはわかりませんが、なぜか湯豆腐を見て思い出してしまったという感じでしょうか。
ありがとうございました。
舟来里己
★0
無駄にはするまい滋養も愛も
出詠名
ロサ・ブラックティー
22席 / 3点 特×0 並×1 次×0 自×1
互選名 衣未(みみ)自ロサ・ブラックティー
選評名
衣未様、黄花ありがとうございますm(_ _)m湯豆腐の濁りは豆腐の旨味が溶け出している様に思うので(^^;)残らず飲んでしまう自分です。そして、かの、豆腐懐石のお店では、湯豆腐は豆乳で煮るので、もうもったいなくてもったいなくて。
ロサ・ブラックティー
★0
湯豆腐の湯を「見ている」という状況から、「飲み干す」という動作に流れを持って行ったのが、さすがにうまいと感じました。私には、こんなに連続性のある思い切った短歌は作れなかったと思います。
ありがとうございました。
舟来里己
★0
お返事ありがとうございます。いろいろ思い込みの、一方通行なので(^^;)動物タンパク摂れない自分には豆腐は貴重なので(^^;)
ロサ・ブラックティー
★0
そして・・・久々にお豆腐懐石に行きましたら、湯豆腐が、豆乳の入っていない温泉水のみになっていました(^^;)しかし、その後豆腐が溶け出してすっかり白色に・・・しっかり鍋を傾けて、全部飲んで来ました。・・・この食い意地(--;)
ロサ・ブラックティー
★0
きっと今夜は夢にあなたが
出詠名
ほのふわり
23席 / 2点 特×0 並×0 次×2 自×1
互選名 ロサ・ブラックティーえさい自ほのふわり
選評名
湯豆腐の湯気にとらわれている感じ、夢が最も近いのだと思います。
きっと日焼けしてない顔をしたあなたなのでしょう。
温かく、だきしめてくれるのでしょう。
ありがとうございました。
舟来里己
★0
舟来里己さん、素敵な評をありがとうございます!全句評、お疲れ様です。
想像を膨らませていただいたようで嬉しいです。上の句が素敵だったので、下の句のイメージはすぐに浮かんだのですが、要素が多すぎて14音にまとめきれなかったのです。もう少し考えてみようと思っています。
ほのふわり
★0
出汁昆布の端つまみ上げくる
出詠名
さかなかな
23席 / 2点 特×0 並×0 次×2 自×1
互選名 ロサ・ブラックティー甘酢あんかけ自さかなかな
選評名
実際に湯豆腐をしっかりと作らないと詠めない短歌であるように思います。
こうした生活感のある短歌、私には詠めないと思いますし、好きです。
ありがとうございました。
舟来里己
★0
指を見て居る手のひらは見ず
出詠名
えさい
24席 / 2点 特×0 並×0 次×1 自×1
互選名 ロサ・ブラックティー自えさい
選評名
小さなものにとらわれている様子がリアリティをもって表れているように思います。
分かりやすくて、いい短歌です。
ありがとうございました。
舟来里己
★0
「手のひらは見ず」に何か深い意味がありそうで気になるのですが・・・紐解けません(^^;)
ロサ・ブラックティー
★0
令和2年。今思うと、現実のようで何らかの比喩のようでもあり、まるで第三者のようにも感じられます。濁りを何とかしようとしている人の指(やっている事)を見るばかりで、その人の手のひら(心の内)は見ていない、と言っているかの様。
ロサ・ブラックティー
★0
わたしを棄てた君を赦そう
出詠名
水無月水有
25席 / 1点 特×0 並×1 次×3 自×0
互選名 袴田朱夏ロサ・ブラックティーゆりこ甘酢あんかけ
選評名
白い湯豆腐の濁りはやさしい色ですね。赦したくなる気持ち、わかるような気がします。
藤 かづえ
★0
柔らかなイメージのある上の句、そして平仮名表記の「わたし」に、「棄てる」「赦す」というどことなく緊張感のある言葉が襲い掛かってくるように感じます。
優しいことを言っているのになぜか緊張感のある句、湯豆腐をモチーフにした上の句にかなり合っているのではないでしょうか。
ありがとうございました。
舟来里己
★0
優しいことを言っているのに緊張感、と言うのにハッとしました。「君を赦そう」という上から目線の語感のせいですね(^^)年上の恋人だった様な、プライドと寛容が可愛いです。趣深い(^^)
ロサ・ブラックティー
★0
月POINT
順位 | 筆名 | 首席 | 投句 | 選句 | 特選 | 偏差 | EX | 合計 |
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EX内訳
最優+3:きい
最黄+2:寿々多実果
最緑+2:静ジャック
上下+1:舟来里己鮎天田銀河キールさちほのふわりきいさかなかなロサ・ブラックティーりん2袴田朱夏芍薬万間みいや朧(ろう)ミウラ悠甘酢あんかけゆりこ静ジャック遠野 かなみ寿々多実果水無月水有衣未(みみ)NATURA沙羅粗伊知己凛蟻男藤 かづええさい
欠票-1:西鎮静ジャック水無月水有
欠評-1:西鎮静ジャックえさい水無月水有
のの+1:全員(管理人欠席のため)
開催後記
きいさんが通算4回目の下弦首席でした
舟来里己さんから(多分)全句評をいただきました
通算50回出席: 寿々多実果
通算40回出席: NATURA
通算20回出席: さかなかな
連続10回出席: きい キール 甘酢あんかけ 蟻男 遠野 かなみ 藤 かづえ 天田銀河 悠 袴田朱夏 鮎 知己凛 芍薬 ゆりこ りん2 静ジャック 衣未(みみ) NATURA さち 万間みいや ロサ・ブラックティー さかなかな
ありがとうございました