秋分の歌会
夢で会う約束がある 傘立ての底にうまれた夜のみずうみ 久藤さえ × 西藤智
二人一組で短歌一首を詠む歌会 『R-2ぐらんぷり』2016-秋
詠題『 悲 』
- 概要
- 連歌の花道で最高の二人を決めるグランプリです
- 開催
- 平成28年9月20日(火)~ 25日(日)
- 資格
- 二人一組でエントリーができる方ならどなたでも
- 募集
- 二人で詠んだ短歌一首を提出してください
- 会場
- http://sing-for.month.jp/open.php?no=99
About
新月ノ歌会 春秋恒例"二人一組で短歌一首を詠む歌会"です
連歌の枠を超えて二人一組が話し合って短歌一首を詠むことで
どんな化学変化が生まれるのか新しい発見をお楽しみください
※上句下句を分担する連歌に限らず相談共作した短歌で参加できますSchedule
9月1日(木)
5日(月) AM00:00 20日(火) PM22:00 25日(日) PM22:00 |
開催発表結成期間エントリー受付 出詠開始作歌期間出詠〆切 互選開始歌会期間互選〆切 結果発表 |
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Rule
- 出詠は二人一組につき一首です
- 投稿は代表の方が行ってください
- 選歌は特選(2pt)並選(1pt)次選(0pt)の投票で行います
- 持ち票[特×1票][並×(参加コンビ数÷6)票][次×∞票]です
- 選評は一人一首以上に書いてください
- どの詠草に書いても構いません
- コンビの両名とも「選歌/選評」に参加ください
- 欠席したコンビが首席の場合は優勝無効になります
- 二首以上が同点首席の場合は以下の方式で一席を決定します
- *特選票を多く得ていた方の勝ち
*それも同点なら次選票を多く得ていた方の勝ち
History
詠草リスト
特選(2点)×1票 |
並選(1点)×5票 |
次選(0点)×∞票 |
かなしみを抱えるように雪のなか眠りつづける越冬キャベツ
出詠名
空に浮かぶ子供雀來豆 × 月骨
首席 / 47点 特×11 並×25 次×7
互選名 ハナゾウ風野瑞人知己凛inboxペパーミントP楢原もか野見川喃洋平太404notF0816奈月遥龍翔守宮やもり九条はじめたかはしりおこなべとびすこ連樟きいちいなでしこ藤子やじこ御糸さち淡海わこibaフジタレイ三田たたみ文車 雨御殿山みなみ蘇我ポコ焼きみかん長月優静ジャック黒井真砂なかばまち子犬飼あき香村かな岡本真帆えんどうけいこたかはしかずやももかつらいすサリーBはだしまるやまるい
選評名
静けさと優しさが感じられる、好きな歌です。奇をてらわず、淡々と詠んでいることにも魅かれました。
inbox
★0
冬キャベツは春キャベツに比べて、中身がぎゅっと詰まっているイメージです。その様子を思い浮かべながらこの歌を読むと、キャベツがかなしみにひしと耐え抜いているように、かなしみを押し殺しているように感じられてきて、とても好きな短歌でした。「かなしみを抱えるように」という比喩は、「かなしみ=雪」と直喩的に捉えることもできますが、キャベツにはキャベツならではのかなしみがあるのかなあ、と特定のかなしみを想定せずに、ファンタジックな想像をしながら、ゆるく「眠りつづける」につながっていく読みも楽しいのではないかなと思います。もしかすると「越冬キャベツ」は「雪のなか(雪に埋まっている、あるいは、土に埋められたその上に雪が積もっている)」から収穫するイメージが強いので、「雪のなか」は強調的、説明的と感じられることもあるかなと思います。
龍翔
★0
雪の中のキャベツが情景として美しく、越冬、という言葉によってなんとなく、悲しみを抱えて過ごす時間の先に希望があるような感じが伝わります。「かなしみを抱える」も「眠りつづける」も比喩なので、この二つの語句の関係性だけ、少しひっかかりました。「ように」を消して語順を整理されたらもっとすっきり、読みやすくなるのではないでしょうか。
秋山生糸
★0
何かを抱えているようなキャベツの形状、実はかなしみを抱えていたのですね。かなしみは冷たい雪の中。詩的な歌。
静ジャック
★0
キャベツが抱えているのが悲しみというのが共感できません。ポジティブなものを抱えているように思います。
泳二
★0
一枚のブルーシートに覆われた父の机が去る雨の朝
出詠名
きいジャックきい × 静ジャック
2席 / 40点 特×11 並×18 次×3
互選名 ハナゾウ宇野なずき日本橋ミヲ子月骨遠井海龍翔守宮やもり九条はじめたかはしりおこニキタ・フユルオねん小早川深影コトハちいなでしこ藤子御糸さち秋山生糸シュンイチ三田たたみ御殿山みなみ蘇我ポコ長月優黒井真砂なかばまち子犬飼あき香村かな岡本真帆西村曜塾カレーたかはしかずやかつらいす
選評名
なぜ父親の机が持って行かれたのか、詳しい描写は何もないんですけど、その分読み手の中でそれぞれのストーリーを当てはめて自然に補完できるシンプルさが良いです。ブルーシート、雨、去る、と切ない言葉が続き寒色系の静かな寂しさ悲しさを感じます。派手さはないけれど沁みてくる歌で好きです。
ハナゾウ
★0
ブルーシートに覆われたのが父とも机とも取れるように思うのですが、仮に父だとすると災害や事故で亡くなってしまったのでしょうか。重い悲しみを感じます。
双葉屋ほいる
★0
父との別れ、過去との対峙、それを一枚のブルーシートで覆い隠したとしても、雨に打たれる様子が深い悲しみを感じさせます。
九条はじめ
★0
ブルーシート と 雨 という単語が悲しみを連想させます。
上の方の、ブルーシートに覆われたのは父 という視点はなかった!そう読んでみると悲しみを通り越して絶望さえ感じます。
なかばまち子
★0
ブルーシートが使われる状況ということで、お父様は事故か事件で亡くなったのだと思うのですが、机がシートに覆われる事態(何があってそうなったのか)が具体的に想像できず、最終的には上手く歌に入り込むことができませんでした。
けれど、青と雨のイメージだけで悲しみを表現されたのはとても上手だと思いました。
深影コトハ
★0
涙雨でしょうか。重いシチュエーションを歌っていながら、少し一首が流れるように読めてしまうのが気になりました。最終的に「朝」にすべてがかかってしまうのがもったいないのかもしれません。語順を整えて、「父の机」に焦点が当たるようにすればもっとよくなるのではと思います。
シュンイチ
★0
ブルーシートに覆われているものといえば、農作業グッズ(田舎)というイメージでしたが、見事に覆されました。父にいったい何があったのかは不明ですが、ブルーシートと運び出される父の机(遺品?)により、いたましい事件が起きたことが分かります。そして、雨という単語で深い喪失感が描かれていると思います。
三田たたみ
★0
悲しいという言葉もそれらしいセリフも何も使ってないのに、具体的な小道具で悲しみを表現している歌、唸りました。静かでただそこにある悲しみ。亡くなった父親の遺品を整理して、ボロボロに使い込んだ机を粗大ごみに出して、その朝は雨が降っていて、主体はそれを眺めて過去を思って泣いているのだと思いました。とても好きです。
小早川
★0
うーん……ブルーシートに覆われているのはやはり「父の机」なのかなあと思います。おそらくは主体のお父さんは亡くなられているのでしょうが、その遺品整理の折に、父が生前使っていた机も引き取ってもらおう、という場面だと思います。雨の朝ですから、机を汚すわけにもいかず、ブルーシートで覆ってトラックに搬入しようとしているのでしょうか。
「父の机」が引き取られることで、主体にとっての父の思い出もまた、引き取られてしまうような感覚を覚えているのでしょう。「ブルーシートに覆われた」、「雨の朝」という部分がさりげないが優れていると思います。四句の「去る」という擬人的表現が字数合わせ的な感じがしてちょっと気になりましたが良い歌だと思います。
塾カレー
★0
雨の朝に亡くなったお父さんの遺品を運び出している場面と読みました。「ブルーシート」は、他の方の評にもあったように、おそらく机が雨に濡れないためのものでしょうか。どうせはもう手元から失くなってしまう机にも、ブルーシートをかけてやっているところから、机への愛着、ひいては亡きお父さんへの愛情がうかがえます。「悲」という語は使われていないのに、悲しみがひしひしと伝わってきました。
西村曜
★0
つぎに目をあけたら言おうと思ってた「すき」は言えずにわれた無花果
出詠名
桜町404番地桜望子 × 404notF0816
3席 / 29点 特×5 並×19 次×5
互選名 ハナゾウゆー風野瑞人村田一広心つんたかはしりおこニキタ・フユねん小早川きいちいなでしこ藤子かたゆまちゃんオリー秋山生糸淡海わこ三田たたみ須磨蛍蘇我ポコ焼きみかん長月優中牧正太なかばまち子犬飼あき泳二岡本真帆たかはしかずやかつらいす
選評名
この、取り返しがつかない感、すごく切なく悲しいです
ハナゾウ
★0
結果言えなかったことを「われた無花果」につなげてあふれだす深い悲しみを感じました。本当に結句が素敵ですね。
ニキタ・フユ
★0
割れたいちじく自体が開いた目のようです。歪に割れた事で深い悲しみを想像できて胸が痛みました。うまい表現だと思います!
きい
★0
下の句が最高だなとおもいました。つぎに目をあけたら言いたかったけど、言えなかったから、これからずっと目をつむったまま生きていかなきゃいけないんだなとおもうと悲しい。だいすきな歌です。
かたゆまちゃん
★0
言おうと思っていた「すき」が言えなかった、壊れてしまった恋を「われた無花果」と表現し、無花果を割った時のやわらかさや見た目の鮮やかさを想像させるところがすごいと思いました!
オリー
★0
病床についている想い人に「すき」と言おうと思っていたのに相手は目を開けることもなく逝ってしまった。ベッドサイドには無花果がパックリと割れていた。
みたいな光景が浮かびました。胸が痛くなりました。
淡海わこ
★0
無花果、ってあのフォルムからして内に秘めているものがたくさんあるような感じがして。「すき」のあともいろいろ言いたいことがあったんじゃないかなぁ、それを言えずにわれてしまって…悲しい、切ないです。
ちいなでしこ
★0
「われた無花果」のイメージがあざやかに頭の中に浮かびました。無花果が割れたところは赤く、まるで傷口のようです。
言えないままもう戻れない、どうすることもできない…強い悲しみを感じます。胸を刺す歌です。
犬飼あき
★0
無花果…正直アイテムとしてよく使われ過ぎていて好きになれないのですが、この歌の結句としては上手く使われていると思います。やや消極的な「並選」です。
泳二
★0
相手が目を開けることはなかった(亡くなった)と読みました。
その虚無感と後悔が「われた無花果」でよく表現されてるなと思いました。
蘇我ポコ
★0
抱き合って泣け風船は全部割れ悲しみアリーナツアーファイナル
出詠名
エレメントたかはしりおこ × 長月優
4席 / 29点 特×4 並×21 次×10
互選名 ハナゾウ宇野なずき村田一広心日本橋ミヲ子月骨洋平太龍翔守宮やもりニキタ・フユ小早川なべとびすこ深影コトハちいなでしこ藤子ナイス害御糸さち濱田健一郎淡海わこiba三田たたみ蘇我ポコ焼きみかん静ジャック黒井真砂なかばまち子犬飼あき泳二香村かなえんどうけいこ秋軸ざきこ。かつらいすはだしまるやまるい乾遥香
選評名
悲しみアリーナツアーファイナルの語呂の良さが好きです
日本橋ミヲ子
★0
リズムが気持ちよくて歌の魅力が5割増くらいになってます。悲しみツアーファイナルだとこのくらい派手にいきたいですよね。
ハナゾウ
★0
命令文のつよさと、悲しみアリーナツアーファイナルという面白い語感の言葉がとても好きです。もう悲しむのはさいご!これでおしまい!派手に悲しんで昇華させるのでしょうね。
守宮やもり
★0
散々な目にあったのかなと思いました。「悲しみアリーナツアーファイナル」が秀逸ですね。
ニキタ・フユ
★0
「アリーナツアーファイナル」を歌に持ってきたのは面白いですね。
ただ、上の句がすこし詰め込み過ぎかなあ。句割れも効いているかどうか。
焼きみかん
★0
あれっ?全然悲しくない!楽しい!好き!
御糸さち
★0
悲しい、というよりお祭り騒ぎの中の終焉…という感覚でした。いや、でもこの後かなしみがどっと押し寄せてくるのかなぁ…と思うと悲しい歌なのかもしれません。
文車 雨
★0
作為的なまでの大袈裟感が好きです。
抱き合って泣く、風船は割れる、アリーナツアーファイナル!
句割れも手伝って、カラーボールをやけくそに投げつけるような悲しみの表明だと感じました。
そうまでして大袈裟な悲しみ方をしないと悲しいということが伝えられない、道化師のような悲しさをこの主体からは感じます。
さらに「悲しみアリーナツアーファイナル」という語感の良さが乾いた悲しさに拍車をかけています。畳み掛けるようなa音がまるで風船やカラーボールの割れる音のようです。
黒井真砂
★0
大盛況のコンサートが終わってしまった悲しさを詠んだ歌だと解釈しました。興奮さめやらぬ感じが、他の投稿歌とは雰囲気が違っていておもしろいと思います。悲しい気持ちを歌うときにストレートに「悲しみ」と書いてしまうと余韻がなくなるかとも思ったのですが、この歌ではそのストレートさが良いのだと思います。
かつらいす
★0
無防備に朝焼けを待つ二人にはかなしみ方がまだむずかしい
出詠名
dreaming.九条はじめ × 中牧正太
5席 / 28点 特×4 並×20 次×9
互選名 かのか知己凛村田一広心楢原もか双葉屋ほいる404notF0816奈月遥龍翔守宮やもりルオきいちいなでしこやじこ淡海わこシュンイチ三田たたみ須磨蛍蘇我ポコ静ジャック黒井真砂なかばまち子犬飼あき香村かな岡本真帆西村曜えんどうけいこ桜望子塾カレーかつらいすはだしまるやまるい乾遥香
選評名
初めて夜を共にした恋人たちでしょうか。身につけているものが少ないであろうという目に見えることと、いつかは必ず遭遇するであろう不安や困難に対して、まだ無頓着であるのだろうという目に見えない状況、このふたつを「無防備」という一語で表しているのが巧いなと思いました。下句は「かなしむことが」とした方が意味がわかりやすいように思いますが、「かなしみ」とそれに続く「むずかしい」がひらがな表記なので、年齢を忘れて、一緒にいると幼くなってしまうような恋を描くためのたどたどしさだと思えばここも技巧的です。「悲」という題で、まさかこのような希望を感じられる歌が読めるとは思っていませんでした。
楢原もか
★0
素肌をさらしている二人が、朝焼け前の柔らかく色づいた闇に包まれている情景が美しいです。
二人はまだ若いのでしょうか。朝焼けを無防備に待ちながら、その光も二人を迎えて祝福してくれるという期待ばかりが先だって、その光にさらされることで受ける非難は頭で理解しつつもそんなことはないだろうと楽観視してるように思います。それをして「かなしみ方がまだむずかしい」と表現されてるように感じます。
しかし、朝焼けの、太陽の光に照らされたとき、二人の行為はまざまざと浮かび上がります。部屋の中ならいざ知らず、それが衆人の目の当たりになったとき、どれだけ二人が純粋に愛し合っていても、その行為だけで人々は嫌悪を見せる。自分たちの絆は素晴らしいもので、誰からも祝福されると信じる二人が、その事実を知った時の悲しみに胸が痛みます。
奈月遥
★0
夕焼けではなくて朝焼けなのが、取り返しのつかないことをしてしまったような背徳感が出ていて巧みだなあと思いました。これは二人の初体験だったのでしょう。大人にも子どもにもなり切れない微妙な年齢の、少し焦燥感のある青春がまぶしく映りました。
シュンイチ
★0
「無防備」は私は素肌をさらしているというよりも精神的なところを思いました。「かなしみ方がまだむずかしい」というやや破綻した日本語はこの歌ではよく効いていると思います。うまく悲しめない、という。これから先どんどん悲しみ方も上手くなってしまうのでしょう。朝焼けを待つのも無防備ではなくなってしまうのでしょう。
泳二
★0
初句「無防備」から始まる上の句で、朝が明るい未来の象徴としか思えないような 恋愛初期のふたりの関係がイメージされ、「かなしみ方を知らない」とは、時間の経過とともに起こってくる悩みや苦しみ、その中で出てくる「悲しみ」をまだ知らないと読みました。更に、成長しながら大人の社会に入っていくことで失っていくものや逆に背負うことになるもの、好きなだけでは続かない現実が垣間見えているような、いろんなドラマが読者によって作り出されていく、良いお歌だと思います。
須磨蛍
★0
「悲しみ方がまだむずかしい」に引っかかっていたのですが、まだ精神的に大人にはなりきれていない、成長段階の2人なのかな、と思ったらこの歌がすごく魅力的に見えてきました。
初句の「無防備」が硬い印象だったので、余計に違和感を持ったのですが、それも狙いだったのかな。
なかばまち子
★0
初句の「無防備」という入りが良い。
前評にもあるが、「無防備に肌を晒している」と「精神的に無防備である」という二つの意味の重なりを上手く表現していると思った。当然、この二人は年相応のかなしみ方を身に付けていくことになるのだろうが、今の二人には「かなしむ」ということが難しいのだ。輝かしい若さがある一首だと思う。ちょっと踏み込んで書くと、作者は作中の「二人」を冷静に描いており、そのあたりに「大人」である作者らの苦味というか、そういうものを思ったりした。尤も、作者と作品を一体として読むのは邪道であろうが。
塾カレー
★0
「かなしみ方」とは、かなしみの出力の仕方。それが「まだむずかしい」だけであって、そこにかなしみがないとはいえない。でもわからないから無防備に朝焼けを待ってしまう。朝日を浴びた後の二人のことを考えるとすこしこわい。それぞれ固有の「かなしみ方」を身につけてしまえば「二人」とはざっくりくくれなくなる。その前の、未分化な、夜明け前のような、まどろみの空気が、よかったです。
まるやまるい
★0
悲しみの夜を瞼に乗せたままくぐる改札チャージはせずに
出詠名
近江大橋ミワ子日本橋ミヲ子 × 淡海わこ
6席 / 26点 特×5 並×16 次×7
互選名 かのか知己凛村田一広ダサ美楢原もか野見川喃双葉屋ほいる404notF0816奈月遥守宮やもり九条はじめ深影コトハきいちいなでしこ藤子かたゆまちゃんいこ御殿山みなみ蘇我ポコ長月優犬飼あき雀來豆香村かな岡本真帆西村曜かつらいすサリーBまるやまるい
選評名
結句の「チャージはせずに」が悲しみを余計に強調しているように思いました。もうここには来ないという決意とも取れます。
知己凛
★0
改札という後戻りのできない場所をチャージもせずに通る、もう二度とこの改札をくぐらないのでしょう。そういう場面ですから、悲しみに泣きくれたあと、前を向いてすすむ決意を感じました。力強い歌だと思います。
守宮やもり
★0
チャージしないってことは改札を出るときに清算しなければならなくて、それをわかっていながらとりあえず抜けてしまえというやけっぱちの感覚や逃げ出したいような感覚が悲しみといちばんマッチしているなと感じました。
御殿山みなみ
★0
「チャージはせずに」が、すごく心に響きました。
もう二度とこの改札をくぐることはないんだろうなぁ、って。
ちいなでしこ
★0
歌の解釈は意味は皆さんの解釈のとおりなんでしょうが、チャージはせずに改札をくぐるって、大抵そうなのではないでしょうか。チャージって金額が不足したときにするものなので。いや言いたいことはわかります。
泳二
★0
アスファルト落ちたアイスの跡を追いしずかな夏の絶滅を知る
出詠名
やじキタ!やじこ × ニキタ・フユ
7席 / 24点 特×3 並×18 次×5
互選名 ハナゾウかのか宇野なずきinbox双葉屋ほいる洋平太404notF0816奈月遥小早川なべとびすこ藤子ナイス害かたゆまちゃん御糸さち秋山生糸三田たたみ御殿山みなみ長月優静ジャック泳二香村かな秋軸ざきこ。桜望子はだしまるやまるい悠佳里
選評名
下句が格好良いです!上句、アイスが今落ちてしまったというよりは、誰かが落としたアイスのあとが道についている、というような情景が浮かびました。そういう意味では「悲」は弱いかなと。それでも、とても好きなお歌です。
秋山生糸
★0
アイスを落とすだけでも悲しいのに、夏の絶滅という圧倒的な無慈悲さに、心をムンズと鷲掴みにされました。結論:アイスはいつだって勇敢。
ナイス害
★0
溶けたアイス=夏のおわりの比喩が少し使い古されてしまっているような気がしました。また、初句は「アスファルトに」と助詞を省かないほうがよかったと思います。表現には工夫の跡が見られるのですが、全体的にもう一歩昇華しきれていないところがあると思いました。
シュンイチ
★0
「アスファルト」、「アイス」、「跡」、「あ」の連なる上の句から、「静かな夏の絶滅を知る」インパクト充分な下の句へ。音の綺麗な歌でした。ただ、お題の詠み込みが弱いかな、と感じました。
静ジャック
★0
結句のインパクトが絶大でした。
上の句での「あ」の連なりが心地よく、結句までに流れる体温の低い歌だと思います。
助詞の省略は気になりますが、それを上回る衝撃を受けて特選とさせていただきました。
長月優
★0
夏の絶滅、とてもいい言葉だと思うのですが。なんだろう。ううん。上手く言えませんがいい歌だと思います。
泳二
★0
アイスが落ちた瞬間の絶望、まさに悲しみですね。
桜望子
★0
泣き止んだあとの心をもてあます染み込むように笑点を観る
出詠名
村を燃やすまるやまるい × 岡本真帆
8席 / 24点 特×1 並×22 次×7
互選名 ハナゾウ宇野なずき知己凛双葉屋ほいる月骨洋平太遠井海奈月遥守宮やもり九条はじめルオ小早川きいちいなでしこナイス害かたゆまちゃん御糸さちオリー秋山生糸フジタレイ三田たたみ静ジャック黒井真砂泳二秋軸ざきこ。桜望子たかはしかずやかつらいすはだし悠佳里
選評名
「染み込むように観る」という言い回しと、テレビの向こうの「笑点」との隔たりに、静かな悲しみを感じた。
洋平太
★0
どこか薄暗い一人暮らしの部屋で、ただ黙って笑点を観る主体が思い浮かびました。流行り廃りの激しいバラエティ番組ではなく、笑点であるところが効いています。泣き止んだ後の子どものような心に寄り添うのは、本当に子どもだった頃から続く、変わらない笑いなのかもしれません。テレビ越しの笑い声が主体の悲しみを引き立てているようです。
ルオ
★0
泣き止んだあとの心に沁み込ますのではなく「染み込むように」笑点を観るところがいいなあと思いました。泣いて泣いて乾いた心が笑点に穏やかに吸い込まれていく感じがします。
きい
★0
暗い自室で泣き疲れたあとに、おもむろにテレビの電源をつける。番組はたくさんあるはずなのに、目の前にうつるのはまさかの【笑点】。変わらない日曜の夜が、今日だけはこんなにも違う。そんな風に想像が膨らみました。「染み込むように」から、心を消化させている悲しさがこみ上げてきます。
九条はじめ
★0
泣き止んだあとの気怠さって結構尾を引きますよね。そこに何気なくつけたテレビから流れる笑点を見てたらいつの間にか小さく笑ってる…そんな風景を想像しました。「染み込むように」という優しさが効いてていいなと思いました。
オリー
★0
泣き止んで、ちょっと落ち着いて、なんとなくテレビをつけたら笑点やってて、あの誰も傷つけない笑いが涙が抜けた隙間に染み込んでいく。場面の切り取り方も笑点という着眼もよかったと思います。「染み込むように」の主格の混乱だけがもったいない。敢えてそうしているのかもしれませんが、そうだとすると効果的ではなかったと思います。
泳二
★0
なぜいつも代わりばんこに来るのだろう恋のよろこび恋のかなしみ
出詠名
遠い雷inbox × フジタレイ
9席 / 20点 特×3 並×14 次×12
互選名 ゆーペパーミントPダサ美双葉屋ほいるつん月骨遠井海奈月遥九条はじめたかはしりおこニキタ・フユねん小早川連樟深影コトハきいちいなでしこ藤子オリーiba御殿山みなみ蘇我ポコ長月優静ジャック犬飼あき香村かな岡本真帆えんどうけいこ秋軸ざきこ。
選評名
軽やかな上句を受けた下句が絶妙でした。
ペパーミントP
★0
「か行」の音が連続で来ているので、とても響きのいい歌だと思いました。リズムもよくて、言葉を丁寧に扱っているように感じました。
つん
★0
「よろこび」と「かなしみ」が対でやって来るという視点が魅力でした。
月骨
★0
花占いを彷彿させるリズムある下の句が効いていると思います。
九条はじめ
★0
小鳥のさえずりのようなかろやかさが好きです。内容も好きです。本当に恋って……!
たかはしりおこ
★0
可愛らしくてとても好きな歌なのですが、「よろこび」と「かなしみ」に等価値に焦点を当ててしまっているので、題詠「悲」の歌としては少々物足りなく感じてしまいました。どちらかというと「よろこび」のほうが強く残る読後感です。
深影コトハ
★0
よろこび、かなしみ、がひらがなで書かれてる雰囲気が良いなぁって思いました。柔らかさのある文字の羅列に滲み出る悲しみが好きです。
猫屋久太
★0
悲しみを空は知らねどソラシドレ縦笛吹けぬ僕だけは知る
出詠名
さばしそ塾西村曜 × 塾カレー
10席 / 20点 特×2 並×16 次×7
互選名 ゆーかのかペパーミントPつん月骨404notF0816遠井海小早川きい藤子秋山生糸淡海わこフジタレイ文車 雨御殿山みなみ須磨蛍蘇我ポコ焼きみかん静ジャックなかばまち子犬飼あき雀來豆えんどうけいこ桜望子サリーB
選評名
空というのがまたどこか虚しい感じを醸し出していてすてきだと思います。
かのか
★0
「ソラシドレ」の音色がとてもかなしみを感じさせます。
月骨
★0
「空は知らねどソラシドレ」の流れが好きです。
ゆー
★0
31文字の使い方として、歌意を表現するための意味のある単語が中心の詠み方になってしまうところ、三句を全部リズムのために使った大胆さと勇気が素晴らしいと思います。
須磨蛍
★0
二句三句はとても面白いと思うけど、「だけ」はいいかげんかなあ。「僕」以外にも人はたくさんいて、その人たちも「悲しみ」を知っているだろうから。
焼きみかん
★0
空は知らねどソラシドレ、のメロディーに乗って読める感じが好きです。
淡海わこ
★0
「空は知らねどソラシドレ」は声に出して読んでみたいですね。「縦笛吹けぬ」も切ないです。
蘇我ポコ
★0
僕だけが知るということは僕だけの悲しみだと思いますが、縦笛が吹けないことが悲しみなのでしょうか。「知らねど」が下句の文体と合っていないように思えます。ソラシドレの効果は私はよくわかりませんでした。
泳二
★0
「悲」という歌題で、音階を歌ったこと、まずそこに魅せられました。ソラシドレと、宙ぶらりんの形で切れているところも巧みで、こころに響きました。
結句は、少しぼんやりとした感じ。初句でいきなり「悲しみ」と歌いだすのも、勿体ないと感じました。
雀來豆
★0
目を閉じてふたりブランコ漕いでいた 悲しいものは見たくなかった
出詠名
龍二龍翔 × 泳二
11席 / 20点 特×1 並×18 次×9
互選名 ゆー風野瑞人宇野なずき村田一広心楢原もか404notF0816遠井海守宮やもりたかはしりおこニキタ・フユルオ小早川深影コトハやじこオリー秋山生糸シュンイチ焼きみかん長月優中牧正太静ジャック黒井真砂岡本真帆ももはだしまるやまるい乾遥香
選評名
たしかに悲しいものは見たくないなあと思いました
宇野なずき
★0
ブランコを漕ぐのってなかなかうきうきな行動のような気がするのですが、その行動のさなかに悲しいものを見ないために目を閉じているっていうのが、逆に想像力をかきたてます。ふたりの関係についてだったりとか、ふたりがおかれている状況についてだったりとか。しかも主体ひとりが悲しいものを見たくなくて目を閉じているわけじゃないんですよね。ふたりともなんですよね。ふたりでいて必ずしもうきうきじゃない関係のふたり。
いろいろなことが気になるし、想像しちゃうし、わからないけどだからこそ好きだなって思う歌でした。わからなくてヤダってなる歌のほうが基本的に多いのですが、このわからなさは好き。
たかはしりおこ
★0
目を閉じてブランコを漕ぐって、かなり不安定ですね。その危うい感じがこのお歌の魅力と思います。「悲しいもの」の「もの」はまだ動くような気がします。
秋山生糸
★0
ちょっとシチュエーションをつくりすぎの感がありますが、きれいにまとまっていて好きな一首です。目を閉じてブランコを漕ぐのは危ないのでやめたほうがいいと思いますが(笑)。
シュンイチ
★0
そうですか、かたいお米が好きですか。さよならですね (悲)
出詠名
語り描写うざっ隊かたゆまちゃん × ナイス害
12席 / 19点 特×4 並×11 次×5
互選名 ゆー日本橋ミヲ子ペパーミントP野見川喃月骨洋平太遠井海龍翔守宮やもり小早川なべとびすこちいなでしこいこ秋山生糸文車 雨蘇我ポコなかばまち子犬飼あきえんどうけいこ乾遥香
選評名
この歌とても好きです。
日本橋ミヲ子
★0
問答無用で淡々とした別れの切り出し方と、申し訳程度につけられた(悲)の対比が面白い。
洋平太
★0
こういうことは後からわかると面倒なことになるので、早めにわかってよかったです。次はきっと大丈夫です。
なかばまち子
★0
ひとつめのコメント、どこらへんが好きなのか知りたい……内容……?
たかはしりおこ
★0
ひとつめのコメントの者です
そっけなくたいして悲しくもなさそうな言い方だけど(悲)がつくことによって、悲しくないわけではなく感情があまり表に出ないタイプの女性なのかなーと、想像が膨らむところが好きです。
シン・ゴジラの尾頭さんが頭に浮かびました。
はじめからここまで書けばよかったですね、すみません!
日本橋ミヲ子
★0
字足らずかな?と思ったけど、結句が「カッコかなしみ」なんですかね。
かたいお米が好きなくらいでさよならか…?と思うと唐突なんですけど、たぶんかたいお米以外にも原因はあると思う…。さよならですね、の言い方や(悲)の表記の軽さに味がある気がします。
なべとびすこ
★0
この初句からはどうしても田丸まひるさんの歌を思い出してしまう…
そうですか夢精でしたか夏に降る雪はだれかをしあわせにする(田丸まひる)
どうしても特徴的な文体で類歌があると先行歌に引きずられてしまいがちなので、この歌は文体で損をしている歌だと思います。内容は面白いです。
焼きみかん
★0
「(悲)=かっこかなしみ」、なるほど!
他の方の評を読むまで読めませんでした…。
深影コトハ
★0
(悲)って、書き言葉の世界で言葉にはならない微妙なニュアンスを足す手段だと思うのですが、「かっこかなしみ」と音にした瞬間、そのニュアンスは失われてしまうような。難しいところにチャレンジされたお歌だと思いました。
秋山生糸
★0
価値観の違いということでしょうか。確かに米は主食ですから、視点は面白いと思います。最後の(悲)にはルビを振ってもよかったのかな。
いこ
★0
(悲)については最近(笑)を使った歌もよく目にしますし、本歌会でも初句に【悲報】という歌があるようにさほど斬新さはありません。この歌ではそこに寄りかからず、お米のかたさという絶妙な価値観の差に着目した点が上手かったと思います。初句「そうですか」はやや常套的かと思います。
泳二
★0
「そうですか」の初句から田丸まひるさんの歌を想起するというコメントもありましたが、僕は東直子さんの「そうですかきれいでしたかわたくしは小鳥を売って暮らしています」を思い浮かべてしまいました。工夫が感じられて意欲的な作品とは思いましたが、個人的にはその工夫がいたるところでぶつかってしまっていて、あまり成功している作品には思えませんでした。
シュンイチ
★0
お米のかたさの好みという、あまり目立たないけれど一緒に暮らしていくなら大切なポイントに目を付けたところがすてきだなぁと思いました。(悲)って結句、私は好きです。
乾遥香
★0
僕等といふひとりとひとりの影を濃くヱレクトリカルパレヱドがゆく
出詠名
クロホタル黒井真砂 × 須磨蛍
13席 / 19点 特×2 並×15 次×7
互選名 風野瑞人村田一広inbox日本橋ミヲ子ペパーミントPダサ美洋平太ルオ小早川ササキ アンヨきいibaシュンイチ焼きみかん中牧正太雀來豆泳二香村かな岡本真帆西村曜えんどうけいこかつらいすはだし乾遥香
選評名
これは詳しい人に訊きたいんですけど、外来語を旧かなで書くときってどう書くんですかね。この歌では「ヱ」が目立ち過ぎかなとも思うんですけど、意図的なのか、かなづかいの要請で仕方がないのか…
内容のことを言えば、「影」が実生活のつまらなさとか閉塞感の比喩として効いていると思います。そこに「悲」を読み取るか取らないかで題詠としての評価は変わってきますが。
焼きみかん
★0
エレトリカルパレエドの華やかな光が特徴的なので、その影には却って特別な悲しさが隠されているような気がします。それぞれの問題を抱える人が集まってみんな一緒にあの煌めく世界に酔っているのかと思うと、明るくて楽しい音楽もなんだか歪に変わって行くように思ったのです。惹かれました。
きい
★0
どこにも「悲」が読み込まれていないので、これは読者が「悲」をどこかで想起するしかないわけです。他の感情ならともかく、「悲」を読み込まずに「悲」を表現するのはとても難しい。この歌がその点に成功しているかはちょっとわかりませんが、僕自身は上句の入り方に惹かれました。エレクトリカルパレードは走馬灯のイメージなのかもしれません。過ぎ去った青春を振り返りながら、どうしようもない寂寥感を覚える様子が浮かびました。
シュンイチ
★0
「悲」の題詠としては評価が分かれるかもしれませんが、私はありだと思います。「悲」と最も遠いものとして描かれたエレクトリカルパレードは実景かもしれませんし明るいものの象徴かもしれません。それを見ている僕らの背後にはそれだけ濃い影ができている。韻律も整っていていい歌だと思います。
泳二
★0
ヱレクトリカルパレヱドに関して少し述べておくと、まず外来語の旧かな表記に関して定まったルールは無かったように記憶しています。ただ、「い」「え」はア行の音であるのに対し、「ゐ」「ゑ」はワ行の音に当てられている表記ですから、後者はwiやweの音に対して使うのが普通なのかな、と。「エレクトリカルパレード」はelectrical paradeなので、普通「エ」を当てると思うのですが、そうなっていないという事はやはり意図的に、旧かなを意匠として用いているということなのでしょうか。そのあたり、個人的にはちょっとやりすぎだと感じました。歌意は良いと思います。
塾カレー
★0
甘くないのど飴をひとつ口に入れ悲しい人をみんな避けてく
出詠名
蒲田品川守宮やもり × ハナゾウ
14席 / 18点 特×4 並×10 次×9
互選名 かのか風野瑞人宇野なずき村田一広日本橋ミヲ子ペパーミントP楢原もか野見川喃洋平太404notF0816龍翔深影コトハやじこフジタレイ文車 雨御殿山みなみ中牧正太黒井真砂泳二香村かな西村曜たかはしかずやサリーB
選評名
歌の入り方は少し唐突な感じがしましたが、結句へ向かうにつれて沁みるような悲しみに襲われました。詩として好きです。
風野瑞人
★0
・甘くない
とても好きです。今という時代を生きていく、宿命としての悲しさみたいなものを感じました。
ぼくらはもう世界の悲しさから目を背けられない時代に生きているけれど、それをすべて受け止めることなんて誰にもできないし、それでも前を向いて進んでいかなくちゃいけない。という宿命的悲しみ。そのためのアイテムとして、甘くないのど飴はすごく効いてると思いました。
もしかしたら「のど飴ひとつ」にしても良かったかもしれません。が、それはぼくの好みかも。
いやあ、あらためて好きです!
やじこ
★0
悲しい人と関わらないのが主体なりの生き方なのでしょう。しかしそれは積極的な「楽しい」生き方とは程遠いように思います。それが「甘くないのど飴」に象徴されているようにも。甘くないのど飴ってまずいんですよね。
「を」は省いた方が良かったと思います。
泳二
★0
喧騒をビニール傘で遮断してみれば無慈悲な夕映えが降る
出詠名
天使にロスタイムを秋山生糸 × 深影コトハ
15席 / 18点 特×1 並×16 次×10
互選名 ハナゾウかのか風野瑞人宇野なずき知己凛村田一広inbox洋平太404notF0816九条はじめニキタ・フユねんちいなでしこ藤子かたゆまちゃん三田たたみ文車 雨須磨蛍静ジャック黒井真砂香村かな岡本真帆秋軸ざきこ。桜望子塾カレーサリーBはだし
選評名
雨が降っていないのにビニール傘をさしているのでしょうか。
そこに降る夕映え。切ないです。
404notF0816
★0
たくさんの人の中にいるゆえに感じた孤独から逃げたくて、逆に音を「遮断」しようとしたのでしょうか。でも「ビニール傘」を透過してくる「夕映え」は何かをフィルタリングしたかのように無機質で決してその孤独を癒してくれるものではなかった、そんな歌意だと読みました。抒情のある単語を組み合わせ過ぎているかなぁと若干思いましたが、「傘」と「降る」の相性の良さ、「無慈悲」と「夕映え」との組み合わせの意外性がとても良いと感じました。
須磨蛍
★0
ビニール傘を差したところで喧騒は遮断されないだろう。
しかし、それでも傘を差さねばならぬほど主体は逼迫した状況に追い込まれているのだろうと思う。
雨が降っていれば、主体のそのような逃避行動も周囲に訝しがられることはないだろうが、「無慈悲な夕映えが降る」と言っているのだから、結局は雨も降っていないのに傘を差すというなんとも間抜けな状況に陥っている。「喧騒」「遮断」「無慈悲」という硬い言葉が並んでおり、一首に大げさなな感じを与えているが、それがまた悲哀を誘う。
塾カレー
★0
悲しみも溜まれば楽し日めくりを二枚一度にめくるごとくに
出詠名
B&PサリーB × ペパーミントP
16席 / 16点 特×2 並×12 次×4
互選名 ゆー知己凛村田一広inbox楢原もか月骨奈月遥深影コトハきいナイス害御糸さちiba御殿山みなみ中牧正太静ジャック香村かなかつらいすはだし
選評名
気持ちが荒んでいて日めくりカレンダーが溜まっていたのでしょうね。それを却って二枚同時にめくられるから楽しいと言う。
ただ、全体的にやや現実味が薄いか(「日めくりを二枚一度にめくる」ことって悲しみを凌駕するほど楽しいのか?確かに多少の面白みはあるけど)。
焼きみかん
★0
日めくりをまとめてめくる爽快感と、悲しみを別の感情に昇華してやるという主体の力強さが上手く重なり、とても気持ち良い歌だと思います。
ただ「溜まれば」なので、二枚と言わず、五枚や十枚くらいまとめてビリッとしてしまえばいいのにwと思いました。
深影コトハ
★0
日めくりを二枚一度にめくる人って、大雑把な人。悲しみも溜めてしまえばそれもまた楽しい、と思えるのかもしれません。妙に納得させられました。
静ジャック
★0
日めくりを二枚一度にめくるのはそんなに楽しいのか?と想像してみましたが、ペラッペラの薄い日めくりを二枚だけいっぺんにめくるって結構難しいかも。もしかしたら3枚めくっちゃって、「ヤダ?行き過ぎーww」みたいな話になるのかな。ちょっと虚しい気もしました…。
「悲しみも溜まれば楽し」は詠み手の強がりにも見えます。
なかばまち子
★0
「悲しみも溜まれば楽し」に共感があまりできませんでした。またその比喩として「日めくりを二枚一度にめくる」ことにも。十枚とかなら少しわかるかも? あるいは、実は楽しくなんてない、ということを詠んでいるのでしょうか。
泳二
★0
雨、雨、雨。頬にあたるとよみがえる風景がある かなしみがふる
出詠名
風の図書館司書(ふたたび)風野瑞人 × 中森つん
17席 / 15点 特×2 並×11 次×5
互選名 知己凛村田一広日本橋ミヲ子双葉屋ほいる404notF0816遠井海九条はじめ連樟ササキ アンヨきい濱田健一郎フジタレイ蘇我ポコ焼きみかん長月優中牧正太サリーB悠佳里
選評名
雨が頬に伝わることで、泣いたあの日を思い出してるんですね。なんとも切なく、抒情的です。
知己凛
★0
雨、雨、雨。という繰り返し。風景がある、かなしみがふるという韻の踏み方。よく工夫されていて、心に迫ってきます。好きなうたです。
サリーB
★0
好きな歌です。
降る雨を見上げながら悲しみをじっと耐えているようなイメージが浮かびます。
あえてなんでしょうが、最後も漢字でいいのかなと思いました。
悠佳里
★0
悲しみをピンクに隠しハリボテの笑顔を詰めるサマンサタバサ
出詠名
三田みなみ三田たたみ × 御殿山みなみ
18席 / 15点 特×1 並×13 次×9
互選名 ハナゾウ村田一広inbox日本橋ミヲ子ペパーミントP双葉屋ほいるつん洋平太ルオちいなでしこ藤子いこiba文車 雨蘇我ポコ中牧正太なかばまち子雀來豆香村かな秋軸ざきこ。桜望子サリーB悠佳里
選評名
女性の強さと悲しさを感じる歌でした。「ピンク」「サマンサタバサ」というところに、お仕着せの、世間から望まれ鎧として纏う女性性が表れているように思いました。「ハリボテの笑顔」という言葉も、雑誌や看板の中の女性の笑みを想起させて、目を引きます。
ルオ
★0
ピンクのサマンサタバサは、ちょっとアイテムとしてベタかも。色か、ブランドか、どちらかずらしたらもう少しニュアンスが出るのじゃないかなぁと思いました。
秋山生糸
★0
ピンクとサマンサタバサの二語が「女性」の定型を示しているような感じで、ふと「社会で輝く女性」云々の良く聞くフレーズが浮かびました。
「悲しみ」はよく青色(寒色)で示されるので、ピンクで隠すというのは当てはまるかなぁ、と思います。サマンサタバサのアイテムはなんというかもっと高いブランドよりも身近なブランドに思うのでハリボテの雰囲気みたいなものには合っていると思います。すっきりよみやすい歌でした。
文車 雨
★0
要素が多くて言葉足らずな感じが良いと思いました。
中牧正太
★0
↑「要素が多いのにどこか言葉足らずな感じがして良い」という意味です。言葉足らずですみません。
中牧正太
★0
二回目の「じゃあな」で僕らは歩き出す未来はきっと悲しくはない
出詠名
かりんとうシュンイチ × 焼きみかん
19席 / 15点 特×1 並×13 次×5
互選名 村田一広月骨404notF0816守宮やもり小早川連樟きいやじこ濱田健一郎オリー淡海わこ中牧正太静ジャック犬飼あき香村かな岡本真帆えんどうけいこ秋軸ざきこ。はだし
選評名
悲しい別れを敢えて明るくして見せたところに惹かれました。
404notF0816
★0
「じゃあな」という「さよなら」よりも軽い感じの別れの言葉と、「未来はきっと悲しくはない」と前向きな言葉があるので、今は別れても時間が経てば再会できるような可能性が見えていいなと思いました。
オリー
★0
一回目の「じゃあな」では歩き出せなかった。二回目の「じゃあな」でやっと歩き出す。そんな僕らの未来が「きっと悲しくはない」ところがいいです。
静ジャック
★0
「未来は」悲しくはない。つまり今は悲しい。否定と対比で伝える手腕、お見事です。
小早川
★0
一回目のじゃあなでは歩き出せなかったように、名残惜しさがあるのでしょうか。悲しい別れの瞬間をポジティブな歌にできているところに好感が持てました。
岡本真帆
★0
<kana>【悲報】<:>カッコヒホウ</kana>飲んだ麦茶はめんつゆで買った醤油はめんつゆでした
出詠名
桜木亭ぱん太ちいなでしこ × 御糸さち
20席 / 13点 特×0 並×13 次×13
互選名 ハナゾウゆー日本橋ミヲ子ダサ美野見川喃遠井海守宮やもり小早川なべとびすこ藤子秋山生糸淡海わこ文車 雨須磨蛍焼きみかん静ジャック黒井真砂犬飼あき雀來豆香村かなえんどうけいこ塾カレーたかはしかずやももはだし乾遥香
選評名
個人的には隅付きかっこを字数に入れなくてもよかったのではないかと思います
アキヒニ
★0
あるあるですね
野見川喃
★0
面白い表記!その発想はなかったです。それにしてもめんつゆ多すぎますね。ドジッ子ですか。
小早川
★0
こういうW残念あるあるの内容、とても好きです。
ただ、これまで私が頭の中で「かっこひほう」と読むことがなかったのと、初句の字余りが少し気になるので【超悲報】(ちょうひほう)とかでも良かったんじゃないかなと思います。
なべとびすこ
★0
「めんつゆで」の「で」で、次は別のものを持ってくるのではないかと思わせての、最後も「めんつゆ」かよってところに思わずつっこみたくなる面白さがあります(「醤油は」の「は」が地味に上手いです)。「めんつゆ」ってアイテムもほどよい脱力感ですよね。
せっかく二句以下が定型に収まっているので初句も定型に収めたいところではありますが…
焼きみかん
★0
【悲報】は2chのスレッド名でよく使われるネットスラング(?)のひとつですね。「かっこひほう」とは読まないように思いますが「悲」のお題をユーモラスな歌に仕上げたのは目を引いて良かったと思います。どうせなら【】以降の言葉もスレッド風にしてほしかった。
泳二
★0
ちゃんと前の評の方が指摘していますが、「醤油は」の「は」が抜群ですね。結局、ここを「も」としてしまうと、妙な冷静さが出てしまって一首としてはつまらなくなってしまうのですが、「は」となっているところに焦りが見えて面白くなってるんですよね。一方で、初句の「カッコヒホウ」はどうかなあ。【悲報】のカッコは発音しないんじゃないか、というのもそうですし、ルビで説明しすぎのような気がしました。
塾カレー
★0
また人の死が報じられいつからか蝉の最期がそこに重なる
出詠名
やつがれーず野見川喃 × 楢原もか
21席 / 11点 特×3 並×5 次×8
互選名 かのか心ダサ美双葉屋ほいる洋平太守宮やもり九条はじめルオねん小早川ササキ アンヨ藤子濱田健一郎静ジャック桜望子もも
選評名
変わってしまった自分を悲しんでるのですね。
ダサ美
★0
人の死が報じられる【間隔】と同じくらいの【間隔】しか生きられない蝉の最期が儚さを物語っています。切ないです。
九条はじめ
★0
合鍵は投げ捨てました いまさらに待尽月の痕をなぞって
出詠名
未言元年奈月遥 × 双葉屋ほいる
22席 / 11点 特×2 並×7 次×6
互選名 かのかinboxペパーミントP野見川喃九条はじめねんササキ アンヨ秋山生糸iba三田たたみ須磨蛍なかばまち子雀來豆桜望子サリーB
選評名
投げられた合鍵の軌跡がありありと思い浮かびます。なかなか現れず、一瞬で見えなくなってしまう待尽月があることによって、かつてその部屋の持ち主であった人と主体との過去のやり取りも「いまさら」になる哀しさがとても良い。
ササキ アンヨ
★0
町尽月は造語ですが、意味は説明がなくてもおおよそわかる、美しい言葉です。謎は「なぞって」にあるような気がします。この、月の軌跡をなぞる行為が未練を表すのか、それとも月のあとをなぞるような軌跡で思い切って鍵を投げ捨てたことを指すのか読みに迷いました。
秋山生糸
★0
「待尽月」は誰かを待ち尽くした歳月という含みのある造語としての月の種類かなと読みました。待ち尽くすほどならば、何十何百という回数、月は登りそして沈んだのでしょうね。その間ずっと部屋で待ち続けた主体が、決意をもって決別のために合鍵を投げ捨てた。その放物線は主体の心の傷痕のような、何度も見上げていた「待尽月」の軌跡だった。そんな風に読みました。風流であり、なおかつとても切なく、素敵な情景を想起させてくれるお歌です。
須磨蛍
★0
あたらしいわたしになるの悲しみの抜け殻そっと部屋に残して
出詠名
プチクチュ犬飼あき × 知己凛
23席 / 11点 特×1 並×9 次×6
互選名 ゆーかのか宇野なずき心日本橋ミヲ子奈月遥ルオ連樟藤子いこ淡海わこシュンイチ秋軸ざきこ。桜望子塾カレーはだし
選評名
すごくすてきだと思いました!
ゆー
★0
80年代アイドルソングみたいですね、という意味で「既視感がある」と言っておきます。
たかはしりおこ
★0
かなしみを克服することを脱皮のように表現するのは新鮮。面白いと思いました。
いこ
★0
シンプルで共感性の高い作品だと思います。部屋で思い切り泣いてすっきりしたことを「悲しみの抜け殻」と表現し、それを「残して」「あたらしいわたしになる」というところから主体がまた次の恋や夢に向かって歩き出す前向きなイメージを読み取ることができます。声に出したときのリズムも整っていて完成度の高い作品だと思いました。
シュンイチ
★0
「あたらしいわたし」「悲しみの抜け殻」「そっと」あたりの表現、前評にもありますが、歌全体としてちょっと紋切型の感を否めません。特に「そっと」は不用意に見えます。
泳二
★0
うーむ、確かに「悲しみの抜け殻」などは特にそれっぽいといいますか、紋切り型の表現であるという感じは否めないと思います。もっとも、言葉遣いに無理がなく、平明ながら情感はあるという点は評価に値するのでは。
塾カレー
★0
過ぎてゆくばかりの刹那に色づいた水ヨーヨーと晩夏を遊ぶ
出詠名
風かのか × ゆー
24席 / 11点 特×1 並×9 次×3
互選名 風野瑞人心ペパーミントP月骨洋平太404notF0816かたゆまちゃん秋山生糸フジタレイ御殿山みなみ雀來豆桜望子悠佳里
選評名
「ゆく」という時間を感じさせる表現の直後に「刹那」と持ってこられても歌意が取りにくい。
「過ぎてゆく」の主語が分かりにくいが、「水ヨーヨー」というアイテムがあるので(好意的に読んで)少年時代とも取れるか。悲しみというより寂寥な印象。
焼きみかん
★0
今まさに過ぎていこうとする夏を惜しんでいるのかなぁと思いました。
今の季節にぴったりの歌だと思います。
秋になり、夏の鮮やかな色彩が落ち着いていく中、
色づいた水ヨーヨーとの対比が見事です。
悠佳里
★0
悲と意味を持った肩甲骨に触れ(ずっとあなたに会いたかっ)たよ
出詠名
かんがえちゅう文車雨 × 九条しょーこ
25席 / 9点 特×1 並×7 次×6
互選名 宇野なずきつん404notF0816たかはしりおこなべとびすこナイス害やじこ秋山生糸須磨蛍香村かな西村曜えんどうけいこ桜望子はだし
選評名
「触れたよ」だけだったら見逃してしまったかもしれないのですが、「(ずっとあなたに会いたかっ)」という心の声がとても響いてきました。しかもただ触れただけ。抱きしめたとか寄り添ったではないのです。切ない歌です。
つん
★0
「悲」を「ひ」と読めば定型に入るけど、まず疑問として「悲(ひ)」をこのように名詞として使うことってあるのかしら。意味は分かるけど、疑問は残るし、リズムもそんなによいと思わないし…
焼きみかん
★0
悲、は背中側から見た肩甲骨の形を例えたのでしょうか。深読みかもしれませんが、肩甲骨の持ち主と「あなた」は別人かもしれないと思いました。というのは、結句で「?たよ」と語りかけていますが、()内は「あなた」に対する語りかけである一方、「触れたよ」と読む場合、これは肩甲骨の持ち主に対する語りかけとは読めないからです(触れられた側はそのことが自然とわかるはずなので、改めて報告するのは不自然)。とすると、悲、の意味もなんとなくしっくりきます。・・・深読みしすぎかなぁ。
秋山生糸
★0
肩甲骨にそういう意味があるのでしょうか。主体の(作者の)アイデアであれば「意味を持った」とはいわないと思います。「悲と意味を持つ」もちょっと苦しい。パーレンを飛ばすと「肩甲骨に触れたよ」、パーレンを外すと「会いたかったよ」と全く意味が違ってきます。もちろんあえてそうしているのだと思いますが、そこに感心するか違和感を持つか。私はちょっと舌足らずな感じを受けました。
泳二
★0
「悲」の漢字の語源として、羽が開いた形になっている「非」+「心」で心・胸が裂けるような切ない感じを表す、という説があります。肩甲骨は、羽の生えている(であろう)場所として使われたのかなと思いました。
須磨蛍
★0
すごく綺麗なお歌だと思いました。悲しいの上の非という文字は確かに背骨のようで、悲しみに直接触れている印象なのかなと思いました。
桜望子
★0
シュルシュルと排水溝に流れてく失ったものはオンナだけかな
出詠名
ポチ子なかばまち子 × 蘇我ポコ
26席 / 9点 特×0 並×9 次×3
互選名 ハナゾウ楢原もか月骨遠井海小早川ナイス害いこフジタレイ須磨蛍黒井真砂雀來豆悠佳里
選評名
血が流れてるのかな、と思ってしまいましたね。それを「女を失った」というのか「女になった」というのかは人それぞれなのかなと。妙に気になる歌ですね。二人で作ってこうなるってとても興味深いので作者お二人の歌意を聞いてみたいです。
小早川
★0
私も最初排水溝に流れるものは血で破瓜の歌かと思いましたが、その場合「オンナを失う」と言うでしょうか?片仮名にしている意味も読み取れません。「少女を失う」とかならわかりますが。たぶん読みを間違ってますね。
泳二
★0
髪を切ったのかなと思いました。伸ばしていた髪を自分でザクザクと切ったのかなと。
淡海わこ
★0
前評の方は女性目線のお歌と読まれたようですが、男子目線にも読めるなぁと。「オンナ」とは彼女のこと。「排水溝」を流れるものが何かは特定できませんが、「シュルシュル」と大量の水を吸い込むときの音がしているので、失恋をした夜に湯船につかって溢れたお湯が流れ出る情景に思いました。
いずれにしても、男か女か、流れていくのが何か、読者にいろんなものを委ねていながら「悲」を使わず悲しみを表現されている、巧みなお歌だなと思いました。
須磨蛍
★0
なるほど、髪の読みはうなづけますね。もし髪であればもう少しそうわかるように書いてもらえたら良かったと思います。
一つ前の方の評では主体の性別や流れるものが何かを読者に委ねていると好意的に読まれていますが、私は(もし委ねているとしたら)委ねすぎだと思います。
泳二
★0
いい社会勉強でしたきみはあの恋を悲恋と呼んでいたっけ
出詠名
ブレインビスケット宇野なずき × なべとびすこ
27席 / 6点 特×1 並×4 次×8
互選名 遠井海ルオ小早川連樟ササキ アンヨ秋山生糸文車 雨焼きみかん静ジャック雀來豆秋軸ざきこ。塾カレーもも
選評名
悲しみにはウェットな感覚が伴うという偏見がありましたが、からっとしていながら確かに横たわる悲しさを感じた歌でした。おそらくは望まない形で終わった恋を、幾らか年を経た後に思い出しているのでしょう。主体は「社会勉強」と言い、「きみ」は「悲恋」と言う、二人の性格や関係性が思い浮かび、物語を感じます。
ルオ
★0
前評者の方に全面同意です。特に、「社会勉強」と「悲恋」との対比から主体と「きみ」のキャラクターや関係性がにじみ出て、非常に心惹かれました。悲恋、という言葉のくよくよ感や自意識過剰な感じは、短歌には使いにくいと思っていたのですが、上手く逆手に取っていますね。
秋山生糸
★0
終わった恋を「いい社会勉強でした」とは面白い入り方だと思いました。「悲恋」とは終わった(あるいは終わる)恋を呼ぶと思うのですが、きみが過去にそう呼んで「いた」というのがよくわかりませんでした。今呼んでいるのならわかるのですが。
泳二
★0
↑のコメントの追記
「あの恋を」は余分だと思います。
泳二
★0
改札を通り抜けるため手を離す 悲しみにきみと気づいていくよ
出詠名
はるむい乾遥香 × 初谷むい
28席 / 6点 特×1 並×4 次×2
互選名 かのか知己凛村田一広連樟深影コトハ濱田健一郎シュンイチ
選評名
二人手をつないでいたら通り抜けられない関門があって、孤独は避けられないということなのかなと思いました。
ねん
★0
改札を通り抜けるために手を離す、というのは魅力的な着眼点だと思うのですが、少しだけ上句と下句がバラバラな印象を受けました。個人的には一字空けなくても良かった気がします。
深影コトハ
★0
「改札を通り抜けるため」「悲しみにきみと」「いくよ」と、字数を稼いでいるというか表現が全体的に冗長な気がします。
泳二
★0
一字空けは必ず議論になりますが、これは成功していると思います。「手を離」したあとの心情的な空白と時間の経過を、この一字空けが言葉を尽くすことなく説明しています。下句の「悲しみにきみと気づいていくよ」も優しい表現で、具体性がないところが様々な物語性をはらんでいてステキだと思います。平井堅の「センチメンタル」という曲を思い出しました。
シュンイチ
★0
孤悲しくて 焦がれ眠った夜の夢で 再び感じる声と体温
出詠名
DDIT東海支部悠佳里 × 猫屋久太
29席 / 4点 特×0 並×4 次×2
互選名 ダサ美奈月遥ササキ アンヨオリー須磨蛍もも
選評名
「孤悲しくて」がとても良いなぁと思います。独りでいることが悲しみをより強く感じさせるのが恋ということなのでしょう。そんな主体だからきっとまた夢の中で想い人を感じることが出来たのでしょうね。
須磨蛍
★0
初句は「こひしくて」と読むのでしょうか。独特の手触りを感じさせる言葉の使い方で、3句までの描写で切ない感情が沸きあがります。一方、それに応じる下句は、少し物足りないような。相手がどんな人なのか、相手とのどんな場面が夢に出てきたのか、わかるともっと切なさが引き立つと思いました。
秋山生糸
★0
勉強不足で「孤悲しくて」が「こいしくて」と最初読めなかったのですが、歌の表現する切なさや夢の中ですがる感じは好きだなと感じました。「夜の夢で」の「で」がなんとなく引っかかる感じがするのが惜しいな…と思います。
オリー
★0
意図はよくわかりますが、口語の歌で「孤悲」の表記は少し苦しい。でも工夫は買います。下句はちょっと説明的だと思います。字空けは効果的ではないと思います。
泳二
★0
「好きだよ」が「好きやで」になるあの声が遠くなってく遠くなってく
出詠名
こばやねん!小早川 × ねん
30席 / 3点 特×0 並×3 次×10
互選名 つん月骨藤子オリーいこ焼きみかん中牧正太雀來豆岡本真帆えんどうけいこ秋軸ざきこ。はだし悠佳里
選評名
近しくなったらお国言葉も見せてくれた恋人とお別れした、みたいな歌でしょうか。今の状況としては遠くなってってるんでしょう。好きだよ好きやでになったのはたぶん付き合い始めてからちょっと経った頃、過去のことでしょう。なんか少し時間軸がわかりにくいのかなと思いました。
あと、お別れしてるからまあ悲しいことなんだろうけど、悲しみ具合がいまいち伝わってこない感じがします。もっと深く悲しみを見せてほしかったなーという感じ。ちょっと題との関連性が低く思いました。
たかはしりおこ
★0
「…になる」と「遠くなってく」の時制の関係がよくわかりませんでした。「好きだよ」が付き合ううちに「好きやで」に変わっていった。その声が今は遠くなっていく、ということでしょうか。
泳二
★0
鳴らせない心の奥の非常ベル悲しさだったものは砕けた
出詠名
ルオリールオ × オリー
31席 / 3点 特×0 並×3 次×3
互選名 ハナゾウ九条はじめ濱田健一郎文車 雨岡本真帆もも
選評名
【心の奥の非常ベル】という表現が好きです。一般的な非常ベルは緊急時に鳴らせるもの。心に抱えた悲しみを必死で押さえようとして、限界に達した時にそれは砕けてしまった。得体の知れない悲しさだったものが一体何であったのか、最後に気付くことができたのかもしれない。
九条はじめ
★0
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出詠名
おもち恋をしている × すみ
32席 / 0点 特×0 並×0 次×0
互選名 Don't Mind...
選評名